何事も何となくで始めずしっかり準備してから作らなければ、エタる原因になりかねないので気を付けねば……。
そんなわけでエンジン掛ける意味でも久々に戦闘回なのだよ
「さて、どういう状況だこれは……」
浜辺で俺は海を眺めていた。
遠く離れた海には憎しみの目を宿した人型のモノクロ女が1人。
この前の黒い主が3体。あれ、海の主じゃなかったのか。
そして何故か卯月がそいつらに砲を向けながら海の上に立っていた。
なんだろうこの朝起きて朝飯食いにいったら女の修羅場にいるような感じ。朝飯くらいゆっくりしたいんだが。
あとなんで、卯月は海の上に立っているんですかねぇ。普通の人間だったら海の上に立てないと思うんですがねぇ。
寝惚けた頭でどうでもいいようなことを考えていたら、唐突に大きな音がした。
ドォン!
前から赤い火が見えたと思ったら後ろから何かが爆発したような音がした。
砲撃だと?
どうやらさっきのはモノクロ女の仕業のようだな。
見れば、卯月が引き金のない銃を一発ぶっぱなし、モノクロ女の土手っ腹に当てていた。
俺も戦闘に加わるべきか? しかし、この前のように海の上に立てるなら話は別だが沈むなら、島に隠れた方がいいよな。
俺はすぐに決断した。
あの様子なら卯月はしばらく大丈夫だろう。その間に島の裏側に回って、立てるかどうかやってみよう。出来なきゃ、諦めて野球でもやろう。
俺は島の中央を突っ切り走る。林の横を通り、岩を越え、野を踏みしめ、ゴミの残骸を蹴っ飛ばす。
音を聞けばドンドンギャーギャーうるさい。
島の裏へと回り込めて、躊躇なく海へと踏み入れる。
パシャ!
「今度は立てるのか」
二度目の遭遇で何となくだが理解する。
俺が海の上に立てるのはあいつらが原因なんじゃないか?
恐らくだが、そんな気がする。
何はともあれ海を走りながらあいつらのもとへと急ぐ。
武器はナイフと十手。銃を持ってる相手に無謀な武器しかないが、やれるだけやるしかあるまい。
奴らの姿が見れるところまで走ったところで戦況が見えた。大きい黒魚が3体、高笑いモノクロ女が一人立っている。
装備の損傷、肩を抑えて立っているのが卯月のようだ。
戦況は不利か。不意討ちするにしても状況が悪すぎる。矢面に立って戦うか、今から注意を引いて卯月に退くよう叫んでみるか。
砲撃の音で分からないが何か叫んでるように見える。
一体何を?
……いや、そんなことを考えてる場合ではないか。
隠れられるところもないし、この大きい身体じゃどうせばれる。奇襲にもならないなら、初っぱなから飛ばしていくより他はない。とは言え、そうなるにしても出来るだけ近付いていたいという気持ちもある訳なので少し考えた。
「すぅ……ふぅー……」
息を静かに整え、余分な力を抜く。
必要なのは敵のところまで一気に間合いを詰める圧倒的速度。力は入らない、ただ駆け抜けるのみ。
ダッ!
駆ける、駆けるただただ速く、軽く、鋭く、空気を割るのではなく鋭く切り裂くように真っ直ぐに。
ある程度距離を詰めたら今度は海面ギリギリまで頭を下げ、出来るだけ視認されるのが遅くなるように身体を、音を、存在を消す。
戦況はどうなってる?
卯月が引き撃ちしながら島とは別の方向に逃げ込もうとしているようだ。やはり4対1は分が悪いと思っているらしい。
実際、状況はかなりまずかった。卯月は敵の攻撃を避けるためにS字回避運動をしなくちゃいけない分、真っ直ぐ進んでくる敵に追い付かれつつある。
…敵が一斉射撃で一気に倒そうとしてくるならまだ良かった。だが散発的に撃ってくるためにリロードの隙を突いて逃げたり反撃することが出来ない。
これでは、いつか追い付かれて殺されてしまうだろう。だから急いでいるんだが、厄介なことに敵のスピードが速い。背中をこっちに向けてるから気付かれはしないようだが、走る方向が同じなせいでなかなか追い付けそうにねぇ。
いっそ全力ダッシュして向かおうか悩む。だがそれをすれば俺は奴等に気付かれて囲まれて袋叩きの状態になるかもしれない。
卯月が援護してくれるという確証があればやってもいいが、俺は他人に期待出来ない。クズい話、そこまで助ける必要があるのかという思いもまたある。
…冒険者を長いことやってると、他人が敵かどうか判断しなくちゃいけないときがよくある。これが出来なきゃ裏切られて殺されるからだ。
だが、俺はあんまり頭を使って話すのは得意ではない。したがって、俺が人を助けるときというのは、裏切られても一人でもなんとか生きて帰れるという確信がなきゃ助けないことにしている。
あの馬鹿がいたらまた話は違うんだが…。
やばい。卯月のS字運動のキレが落ち始めてる。恐らく集中力がなくなったか、スタミナ切れだ。あの距離でそれはかなり不味い。
だが、これはチャンスかもしれん。あの人型の奴舌舐めずりなんてして油断してやがる。
それに速度も若干落ちて動きが鈍くなった。
この間合いなら狙える。行ける!
俺は意識をトップギアに入れて、加速した。
全力疾走。一心不乱に背後から襲わんと殺気を振り撒いて敵目掛けて駆け抜ける。
卯月に狙いを定めていたそいつが背後からの異音に気付き、後ろを振り向くももう遅い。
俺は最後の一足で海面を爆発させ、十手を敵の顔面へと振り抜いた。
情け容赦のないその一撃は何万回何十万回と十手を振っていた俺が手に残る感触だけで分かるほどクリーンヒットしていた。
一言で言えば、一撃で沈黙した。奇襲は見事成功し、何故か呆けていたもう一体の黒い生き物もそのままの勢いで顎を破壊して沈めた。
何ともあっさりした最後だった。
これならまだ最初に出会ったあいつの方が強かった気がする。というか油断しすぎだろ。なんだこいつら、戦場始めての初心者か何かですかコノヤロー。
とはいえ、まだ2体残ってる。ボーナスタイムは三体目を倒す前に終わったが、距離もあっさり詰めれたので、実質奇襲で三体倒せたも同然。さっくり頭かち割ったところで、最後の一匹が焦って一発近辺に放ってきた。
だが、そんな苦し紛れの一発など当たらん。
俺がぬめりと接近してきたところで、さらに焦りもう一発。
思いの外正確な一発だったが、十手でガードし、その場をくるりと急旋回するだけで衝撃を逃すことに成功。
慌てて後ろを向いて逃げようとしてももう遅い。
全力疾走で、一気に詰め寄った俺がその無防備な土手っ腹へとフルスイングを決め込み、バキッという明らかに骨が砕けたような音ともにぶっ飛んでいった。
「…あー、うん。思ったより弱かったな」
最初の奴はマジで主だったんじゃないかと思うくらい明らかに実力に差があった。砲の威力もさることながら、気迫も強敵のそれのようなものがあり、咄嗟とは言え俺が放った技を一度は受けきった頑強さもあった。あれはまさしく黒き主だったのかもしれない。そんなもんに始めに出会った俺の運の無さと言ったら…はぁ。
「鋼さんが…やったぴょん?」
振り向くと卯月がいた。驚いている様子から未だ信じられないらしい。
この世界でどのくらいの実力が俺にはあるのか分からんが、弱い訳ではないということだけは分かった。
「ああ、俺がやった」
「すごいぴょん。鋼さんも艦娘だったんだぴょん!?」
「カンムス…?」
称号か何かだろうか。俺には検討も付かない。
だが、何故だろう。若干不本意な名前な気がする。
「仲間のことだぴょん!」
「む? よく分からんな…」
「細かいことは気にするなっ!ぴょん!」
カンムスなるものが何なのか俺にはよく理解が出来ないが……なんとなく目の前の少女が嬉しそうにはしゃいでいるのを見て、水を差すのは止めようと思った。
それにどうせ最後には一人になるとは言え、まだ彼女とは一緒にいることになるだろうしな。
それまでは遠回りしてみるのも悪くはないか。
太陽が照りつけ風が少し強い昼間の中、俺は卯月に話しかけられながら、これからのことを考えるのだった。
作者は口調が崩壊するくらいに小説のあらすじを作ってたのだよ。大体の設定、世界観、登場人物は書けた……あとはもうある程度のところまで書くだけとなった…なったはずなんだ!
もう狂ってしまったんだ…だからお願いだからこれが最後の「ヤルキデマセンワーブランク」であることを祈る。