第一話 始まりとその絶望
「・・・は!!」
次に言うことを言い当てられた後の反応のような声を上げながら、清水幸利は目を覚まし立ち上がった。周りを見渡すと森だと分かる。その中清水幸利は朧気な記憶を思い出そうとした。
『確か、俺は異世界に飛ばされて、主人公になろうとしたんだよな。その後・・・「あっ!!」』
そこで思い出した。自分が何をして、その結果どうなってしまったと。
『そうだった。いつもあいつばかりに女が寄ってくるから思い道理に上手くいかなくて活躍する筈だった迷宮も結果的にトラウマを植えつけてしまっただけだったんだよな。このあと、闇術師の力を鍛えて魔物の洗脳支配に成功したんだよな。どうせ出来るんだったら強い魔物がいいと畑山先生の護衛についていったらちょうど良いところについてそこで洗脳していったら魔人族の協力とドラゴンの洗脳に成功して舞い上がっていたんだよな。このあと満を持して攻めこんだら・・・やれやれ、俺はなにやってたんだよ』
と、自嘲しながら思い出している。
『あんな目を見たときはショックだったな。あの厨二野郎が主人公なんだなと思ってしまったし。まっ、そんなことより』
「ここ、どこだ?」
と、困惑しながら呟く。心が落ち着いたのでどうにか森の中にいることはわかるのだが、詳しい所は分からない。
『そうだ、ステータスプレート』
そして、右ポケットから取り出し、見てみると
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????
??歳
?
レベル:???
天職:???
筋力:???
体力:???
耐性:???
敏捷:???
魔力:???
魔耐:???
技能:???
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「・・・なんでやねん」
思わず関西弁でツッコミを入れる清水。ステータスや技能はともかく、名前や性別、年齢までもが非表示なのだ。とりあえず手で自分の身体を叩いたり、近くに水溜まりがあるので顔を覗かせて見ても
「・・・俺、だよな」
どう見ても清水幸利である。試しに魔法を使ってみると反応する。魔法も使えるらしい。
「死んじまったからか?」
と自分の憶測を呟く。
『さて、どうするか』
清水幸利はそう考え、倒木に腰をおろした。
『もし、死んでるとすんならここは天国か地獄だ。そうなってくると足掻いても無理だな。でも、もしそこではないとするのなら森を抜けるのは可能だ。しかし、それがわからかない。』
そのようなことを考えながら今後のことも考え、
『とりあえず近くの町に行くか』
と決め、立ち上がり歩き始めたのだった。
しばらくすると、何メートルか先にスライムを見つけた。
『そいつなら、ノーマルだったらレベルが分からなくても洗脳できるな。』
魔物の中で一番自我が低いノーマルスライムは、清水の場合レベル1位で簡単に洗脳できたので、この先のことを考えて少しずつ近づこうと足を動かした瞬間、
右腕が切れた。
「・・・はっ?」
と落ちている右腕を見た後、スライムを見ると、脅威的なスピードでこっちに近づいていた。
「ひ、ひぃぃぃぃぃ!??!」
これを見た清水は情けない声を上げながら、必死に逃げる。何分か後、スライムが追っかけてこない。のを確認した後、
『なんだよこれ。スライムは最弱じゃねぇのかよ!?。どうなってんだ!』
と、脳内を混乱させていると、
「グルルルルルルル」
音がした。なんのことか怯えながら振り替えると、ばかでかい熊がいた。清水と熊はしばらくみつめあう。そして
「グラアアアアアアアアアア!!!!」
と熊が叫ぶと同時に、清水は逃げ出した。
どれぐらいしたのだろうか。清水はそんなことを考えながら、とぼとぼ歩く。右腕にプラスして左腕もなく、全身傷だらけで、もう死んでもおかしくない状況である。そんなとき、落ちてしまったステータスプレートを見てみると、
天職に“裁縫師”が書かれていた。
「・・・はは」
つい笑ってしまう。これで洗脳ができないわけだ。得意分野が違う。これで自分は自分ではないことに気付く。それに非戦闘職であるから、おそらくステータスも低いだろう。清水はこの先の行く末に絶望した。
『どう生きればいいんだよ。もう死んだほうがましのような気がする。』
そんなことを考えるも、ステータスプレートを口で拾い、いまだに歩みを止めない清水は洞窟を見つけた。考えることも嫌になってた清水の足は自然と中に入っていった。
もう、清水は例え魔物に襲われても、落石が起きても、地面の岩盤が崩れて落ちてしまっても、考えなかった。それでも、いまだに歩けるのが奇跡レベルの身体で歩き続けた。その理由は清水も分からない。だが、人間の身体も限界があり、遂に倒れた。そのままでいると、何が
近づいて、
『貴様、何者だ』
威厳ある念話で話しかけた。
「・・・」
『この様子だと自分の弱さに絶望しているようだな。弱い魔物のはずなのにあっさりと負け、格好悪く逃げまとい、それでも過去の強さにすがる。全く無様な姿だな。』
「・・・」
『過去にすがる愚かな者よ。“死にたいか”』
「・・・!?」
この瞬間、身体がビクッ!と動いた。
『死を拒絶するか。それでも生きたいのか。』
何かは、呆れと驚きをその言葉にのせた。
「・・・ああ」
『不思議な者だな。貴様はもう、数秒の命だ。もう長くは入れない。それでも何故、貴様は生きたいのか?』
「・・・俺は・・まだ・・死にたく・・・ないんだ・・・・ま・・だ“約・・そ・・く”を・・・守れて・・ない・・・破・・・る訳に・・は・・・い・・・けな・・いんだ・・・」
『・・・そうか。貴様の願い、よくわかった。』
何かは、腑に落ちたような口調で言い、
『だが、もう遅い。』
清水を口の中に入れるのだった。
不定期ですが、よろしくお願いいたします。