ありふれたモブキャラで世界最強   作:高荒魔堂崎

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また安倍か....の第二話です


第二話 記憶 そして転生

【キシワニ牢獄】

 

【アンヌン大陸】にある五大迷宮の一つ。ここには神の光を浴びて、神と教会の怒りに触れてしまった錬金術師が逃げた場所として知られ、それ以来、凶悪な罪人を連れていく天然の処刑場として知られている。。ここだと通常の弱い魔物でも500倍の力を持っている上に“あの化け物”が住み着いたお陰で、今では挑戦する冒険者はいない。そのため、この迷宮の報酬を知る者はいない。

 

 

食道を落ちて行く中、清水は長らく止まっていた思考をまた働かせていた。

『なんで俺は生きたいと思っている?なんで俺はこんなことを言ったのだろうか?約束なんかしてないのに』

清水は、自分の心境に疑問を感じていた。しかしそれは、南雲ハジメとは何か違っていた。

『俺は一体なんなんだ?俺は一体何を望んでいるんだ?俺の夢は、約束はなんなんだ?』

清水の中でどんどん疑問が多くなる。しかし考えるのを止めなかった。止めたくなかった。でも、その時が終わるのは当たり前のこと。遂に謎の液体にぶつかった。すると周りから煙のようなのが見える。どうやら胃酸らしい。本来ならその痛さに叫び喚き散らすのだが、不思議と清水は落ち着いていた。

『ああ、また死ぬのか。またなんも爪痕を残せず、死んでる主人公になれず死んでしまうのか。でも、もうどうでもいい。死のう』

もはや考えることですら止めて、ゆっくりと目を閉じると、何かが見えた。桜並木にたたずむのが似合う、長い黒髪の女性である。

『・・・誰だっけ?覚えてないのに、見たことある』

そんな困惑する清水に向けて、

彼女は、微笑んだ。

その瞬間、身体全体に強い電流のようなのが流れる。そして、ずっと考えてた疑問が一気に解決する。

『そうだ!俺はあいつとの約束があったんだ!あいつのために、俺が叶えないといけないんだ!』

そして、すべてを思い出す。彼女との出会い、笑い、怒り、悲しみ、絆、願い、そして“死”。

そしてすべてを思い出した清水は、

「・・・ははは」

笑う

「ははははははは」

理不尽に笑う

「アーハッハッハッハッハッハッハッハ」

自分に、すべてに、夢に、希望に、絶望に跳ね返すように笑う

「ハハハハハハ・・・・・」

そして、一通り笑った後、

「・・・・・・いいだろう。俺が、この世界の主人公になってやるよ」

この表情は、魔人族の時とは違い、誰がどう見ても“主な役”という称号に相応しい、狂喜ながらも“主人公が持つ目”をしていた。そして、清水の身体は溶け出し、ゆっくりと沈んでいった。

 

 

【賢狼】

賢狼とは、【アンヌン大陸】にいる魔物の中でも5本の指に入る最強の魔物の一つである。人間と同格の頭脳、ずば抜けてる気配操作、超感覚、俊敏力を上手く使ったハンティング能力、そして神から譲り受けた加護もあり、冒険者でもそんな魔物を単独で倒せるのはほんの一握りである。だが、そんな魔物はもう一体しかいない。急に消えたのだ。それには大陸全体が騒然となったが、すぐに答えが出た。それは、一体の賢狼が“他の賢狼をすべて喰らった”のだ。全ての賢狼の力を奪った賢狼は目撃した冒険者を一気に皆殺しにし、大陸全体に恐怖を与えた。それ以来、その賢狼を相手にすることはなくなり、いつしか【七つの大罪】の一つ、【暴食】の代名詞となった。

 

 

そんな賢狼は、喰らった獲物のことなど忘れ睡眠をとっている。元々、“食べる”ことに強い快楽を持っていた賢狼は、獲物の少なさについ、共食いをしてしまったのだ。それ以来、通常の賢狼より遥かに強くなってしまった賢狼はいつしか、痛みですら忘れ、今までの人生を“喰べる”に使っていた。今日もそんな風に過ごして、ゆっくりしていると、

“激痛が、走った”

「!?!?!」

訳もわからず、長年経験しなかった痛み苦しみながら、身体を見てみるも、傷も、攻撃している魔物もいない(痛みを与える魔物はこの迷宮には一体しかいないが)『どういうことだ?!一体なんだこの痛みは?!』

頭の中が疑問でいっぱいになり、パニックになる中、

『えっ・・・』

後ろの左足が動かなくなった。

『どういうこ・・・まさか、“わしの魂を喰らっているのか?!』

全ての疑問の答えが解決したとき、

『正解』

声が聞こえた。

『貴様、まさか!』

『あぁ、あんたが喰った人間、清水幸利だよぉ!!』

『貴様、何故ここにいる?!魂はわしのところには行けんはずだ!!』

喰らった者の魂は暴走しないよう、出た瞬間身体の外に出て、成仏させるようにしてある。なので、賢狼本体の魂に行き着くのは不可能にしているのだ。

『あぁ、そんなもん軽く避けたわ』

『何ィィ!!』

自分のシステムの弱さに驚いてる間にも、身体はどんどん喰われ、いつしか頭しか機能しなくなった。そしてその頭も五感が喰われている。

『ありがとな、この肉体を差し出してくれて。後は俺が上手く使ってやるよ』

『貴様ぁぁぁぁぁ!!』

怨念の声が響く中、

『じゃあな』

『止めろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!』

最後の魂を口の中に入れるのだった。

 

 

全ての魂を腹の中に入れた頃、清水の魂、賢狼の身体に異変が起こり始めた。

『な、なんだ?!』

まず、清水の魂が変形し始めた。自分が自分ではなくなる。これは間違っている。全てがあるべきことに変えられる。そんな感覚だった。

『どういうことだ!?早く収まれ!』

次に賢狼の身体も変形し始めた。10メートルあった身体は小さくなり、徐々に人間の形になっていく。

『な、何かが離れて行く!?も、戻らないとぉ!!』

いつしか自分はどんな感覚なのかも分からなくなる。自分は何なのか、その概念が薄くなっていく。

『お、収まれぇぇぇぇェェェェeeeeeee....』

そして、意識は暗転した。

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