三船美優が隣にいる日常   作:グリーンやまこう

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アイドルと一般人

「おはようございます~」

「あっ、美優ちゃん。おはよう! 昨日は大丈夫だった?」

 

 

 まだ二日酔いで若干痛む頭を押さえながら事務所の扉を開けると、既に事務所に来ていた早苗さんから声がかかる。横には瑞樹さんも一緒だ。昨日はこの二人に加えて、楓さんと一緒に飲んでいたのである。

 ちなみに、あれから自分の部屋に戻ってシャワーを浴び、洗濯などを済ませてから事務所に来ていた。

 

 

「あっ、はい。まだ頭が痛いですけど大丈夫です。昨日は送ってもらってありがとうございました」

「いいのよ気にしなくて。あんな状態の美優ちゃんを放っておくほうが危なかったもの」

 

 

 やはり昨日の自分は、相当酔っぱらっていたらしい。苦笑いの瑞樹さんを見て改めて自覚する。だからこそ私は笹島さんに多大なるご迷惑を……。

 

 

「美優ちゃん? 本当に大丈夫?」

 

 

 少しだけ俯いてしまった私を見て瑞樹さんが心配そうに声をかけてくる。一瞬、「いえ、大丈夫です」と言いかけて、少し思い直す。

 昨日……正確に言えば今日の朝だが、その時に起きたことを二人に相談したいし、彼の事もきちんと話しておいた方がいいだろう。

 今後、笹島さんと会わないとも限らないし。ただ、本人は私と距離を置きたいみたいだけど。

 

 

「……実はですね、昨日少しだけ事件が起きまして」

「じ、事件? 昨日の夜、美優ちゃんに何があったの?」

「それが、自分の部屋に入ったと思ったら違う人の部屋に入ってしまったんですよ」

『えっ!?』

 

 

 驚きの声を上げる二人。とても理解できないといった表情だ。まぁ、違う部屋に入ったことを理解できる人なんて誰もいないだろう。

 

 

「……そ、それは本当の事なの?」

「はい、本当です」

「え、えっと、部屋に入ったっていうのはもちろん女の子の部屋だったのよね?」

「いえ、男性の部屋に入ってしまいました」

『っ!?』

 

 

 絶句する早苗さんと瑞樹さん。そりゃ、部屋に間違えて入っただけでなく、その部屋の主が男性だったと知れば驚くのも当然だろう。

 

 

「み、美優ちゃん、何もされてない!? お金とかキャッシュカードは大丈夫? そもそも弱みとかも握られたりしてない!? もし酷い事をされたなら警察に連絡を……」

 

 

 早苗さんが私の肩を掴み、焦ったような形相を浮かべている。元警察官の早苗さんからすると、気が気じゃないのだろう。最近は女性を狙った凶悪犯罪も増えていることだし、余計に心配してもしょうがない状況だ。

 しかし、私はゆっくりと首を横に振る。

 

 

「大丈夫ですよ、早苗さん。なにも盗られてませんし、弱みも握られていません。それどころか、二日酔いの私を気にして朝ご飯を出してくれました」

『……はっ? あ、朝ご飯?』

 

 

 再びシンクロする二人の声。

 

 

「朝ご飯ってあれよね、ブレックファストの事よね?」

「そうですよ。すごく美味しくてびっくりしました。お味噌汁も飲んだんですけど、二日酔いによく効いて……」

「いやいや、別に朝ご飯が美味しいとかどうかは聞いてないのよ! アタシは初対面の、しかも男の人の部屋で美優ちゃんが味噌汁を飲んでいることに驚いてるの!!」

「そ、それは気付いたらというか、流れでというか……」

 

 

 今思い返すと確かに自分でもびっくりだ。確かに流されやすい性格だとは思うけど、人見知りでもあるので今日の行動は普通考えられない。

 もしかすると、笹島さんの雰囲気が良かったのかも。

 

 

「ま、まぁ、朝ご飯の話はちょっと置いておきましょう。それで朝ご飯の後はどうなったの?」

「朝ご飯の後ですか……」

 

 

 瑞樹さんの質問に私は少しだけ渋い表情を浮かべる。ここからが一番の問題なのだ。

 

 

「……朝ご飯の後、お礼をしたいって言ったんです」

「まぁ、普通はそうなるわよね。今回の件で美優ちゃんがかなり迷惑をかけたわけだから」

「そしたら、お礼はいらないって言われました。それどころか、これから目があっても他人のフリをすると言われました」

「……ちょっと何を言ってるのか全然分からないわ」

 

 

 私の言葉を聞いた瑞樹さんが頭を抱えている。しかし、頭を抱えたいのはこっちも一緒だ。

 

 

「どうしてそんな事を言われたのよ? こういっちゃなんだけど普通、美優ちゃんみたいに美人な女性に頼まれたら喜んでお礼を受けると思うんだけど」

「び、美人だなんてとんでもないです……ただ、どうにもお礼を受け取ってくれないのは私のファンだからみたいなんです」

「……謎がさらに深まったわ」

 

 

 再び頭を抱える瑞樹さんと首を傾げる早苗さんに、私は今朝起こったこと、特に朝ご飯を食べる前からの事を説明し始める。

 ついでに他人のフリをすると言う彼の言葉の意味についても……。

 

 

 

 

☆ ★ ☆

 

 

 

 

 取り敢えずお互いの部屋を確認した後、私はアイドルとはいえ挨拶できなかったことに対してもう一度頭を下げる

 

 

「本当はご挨拶に伺うべきだったと思うんですけど、アイドルはやっぱり色々制約も多いので。ただ、今回に関しては挨拶に伺っておけばと」

「まぁまぁ、三船さんも芸能人なわけですし、今回の事は仕方ないですよ。俺が仮に芸能人ならきっと、三船さんと同じ行動をとると思いますしね」

 

 

 気にしなくても大丈夫という笹島さんの笑顔に私は少しだけ安心する。しかし、安心して頭をあげたところで

 

 

「痛っ!?」

 

 

 二日酔い特有の頭の痛みが私を襲った。思わず顔をしかめると、笹島さんが心配そうな表情を向けてくる。

 

 

「二日酔いですか?」

「お、お恥ずかしい限りです……」

 

 

 私はまたとんだ醜態を……。顔を赤くして俯いていると、

 

 

「三船さん、今日お仕事は?」

「え、えっと、午後からです」

「それなら時間は大丈夫ですね。朝ご飯を作ったのでどうですか?」

「あ、朝ご飯!?」

 

 

 よく見ると笹島さんはラフな格好の上に、男性用のエプロンを着用している。しかもキッチンのテーブルの上には美味しそうな朝食が並んでいた。

 

 

「こ、これは笹島さんが?」

「一応、簡単なものではあるんですけど。席は適当に座ってもらって構わないんで」

 

 

 促されるままに着席する私。それにしても、煮物やら焼き魚やら、ほうれん草のおひたしやら、とても簡単に出来るものとは思えないんだけど……。

 更に温め直したお味噌汁までついてきた。とてもいい匂いがする。

 

 

「それじゃあ、どうぞ。お口に合うか分かりませんが。あっ、もちろんまずければ残していただいて構いませんから」

 

 

 謙遜しているものの、匂いだけで美味しいと分かる。お味噌汁も二日酔いの頭にはよく聞きそうだ。

 もしかして、結構な頻度で自炊していたりするのだろうか? 

 

 

「えっと、じゃあいただきます」

 

 

 手を合わせて取り敢えずお味噌汁を一口すする。びっくりするくらい美味しかった。

 

 

「お、美味しい……」

「よかった。お世辞でも嬉しいですよ」

「冗談抜きで本当に美味しいです! 笹島さんは自炊をなさるんですか?」

「……実は会社の健康診断で少し引っかかりまして、それ以来揚げ物は出来るだけ控えて、時間がある時は自炊をするようにしてるんです」

 

 

 自分の分を食べながら、恥ずかし気に頬をかく笹島さん。さっきまで真面目な表情をしていた分、なんだか可愛く感じる。

 

 

「お酒も結構好きなんですけど、健康診断後は休みの日にだけって決めてます」

「確かに私も、もう26歳ですから気を付けないといけませんね」

「いやいや、三船さんは全く気にしなくても大丈夫だと思いますよ。とても俺と同じ年に見えないですもん」

「あっ、同い年だったんですか?」

「はい、俺も26歳です。ほんと三船さんは俺と同い年に見えませんよね。今こうしてみても、実年齢より若く見えますから」

「そ、そんなことないですよ……」

 

 

 年齢は近いかなと思っていたけど、まさか同い年とは思わなかった。それに若さだけで見たら笹島さんも年齢以上に若く見える。

 

 

「ところで、これを全部作るのには結構時間がかかると思いますけど?」

「今日は少しだけ早く起きてしまったので。それにおひたしとかは冷蔵庫に材料が余っていたのでたまたまです。いつもは味噌汁に目玉焼きとご飯くらいですよ」

「いえいえ、一人暮らしの私も見習わなきゃって思います! 時間がないときは食パン一枚とかで済ませちゃうときもあるので」

 

 

 いくらアイドルの活動で忙しいとはいえ、もう少し私も頑張らないと。

 このお味噌汁の味付けとか見習いたいくらい。どこのお味噌や出汁を使っているのかしら? ……というか、自分よりも女子力が高かったので、ちょっとだけへこんだ。これからはもう少し頑張らなくちゃ。

 

 その後は他愛のない話をしているうちに朝食も終わってしまった。

 

 

「どうぞ、三船さん」

 

 

 一息つく私の前にお茶の入った湯飲みが差し出される。ほんと、気の利く人だ。私は慌てて頭を下げる。

 

 

「あっ、すいません、何から何まで……」

「いいんですよ。こうなってしまうと三船さんもただのお客さんですから」

 

 

 そう言って笑う笹島さんに私もつられて笑顔になってしまう。どうしてだか分からないけど、この人は結構話しやすいかも……。

 元々話すのが、特に男性と話すのが苦手な私にしてみると本当に驚きだ。どうしてだろう? 雰囲気がいいのかな? 

 首を傾げつつお茶を飲み干す私。

 

 

「お代わりはいかがですか?」

「い、いえ、大丈夫です。本当にありがとうございます」

 

 

 そこで時計を確認すると、そこそこの時間が経過していることに気が付いた。

 

 

「あっ、もうこんな時間……」

「本当ですね。すいません、長居をさせてしまったみたいで」

「そんなことないですよ! こちらこそ醜態をさらしたあげく、朝ご飯まで……そうだ、是非今日のお礼をさせてください。えっと、私の都合の付く日を教えますので――」

 

 

 私が鞄の中から手帳を取り出したところで……一話の最後に戻るというわけである。

 

 

 

 

☆ ★ ☆

 

 

 

 

「えっ、お、お礼もいらないってどういう意味ですか!? それに私を目にしても無視するって?」

「言葉の通りの意味ですよ。今回の事はお互いに原因があります。だから、お礼なんてもってのほかです」

「で、ですが……お互いにしたって私のかけた迷惑の方が大きすぎます。だからこそお礼は必要だと思うんです」

 

 

 ここはいつも流されやすい私も流石に食い下がる。散々迷惑をかけておいて、お礼の一つもできないなんて申し訳ない。

 それに会っても無視はいくらなんでも悲しすぎる。食い下がる私を見て笹島さんが再び頭を下げてきた。

 

 

「な、なんですか?」

「すいません三船さん。実を言うと俺……あなたの大ファンなんです」

「はぇっ!?」

 

 

 唐突過ぎる大ファン宣言に変な声が出た。びっくりする私を他所に笹島さんは立ち上がり、本棚からとある雑誌を持ってくる。

 それは紛れもない、最近発売された私の写真集だった。

 

 

「この本を見てわかる通り、三船さんのファンになってからは雑誌とか写真集もよく見ています。今回のも三船さんの魅力が最大限引き出されていて、写真集を買って本当によかったと思いました」

「はわわっ!?」

 

 

 写真を撮られている時はそうでもなかったけど、改めて他人に見せられると非常に恥ずかしい。しかも魅力が最大限とか、買って本当によかったとか言われて正気を保っていられる方が難しいと思う。

 私はまだ、そう言った褒め言葉になれていないのでなおさらだ。しかし、なぜファンだから私を無視するということに繋がるのだろう?

 

 

「でも、だからこそお礼も受け取るべきではないですし、今後かかわりを持たないべきなんです。最近はニュースでもよく芸能人を狙ったストーカー事件とかが報道されてますし、恥ずかしい話自分がそうならないとも限りません」

「そ、そうでしょうか? 別に笹島さんなら――」

「そうなんです! 男は誰でも危険分子になりうるんです!」

「そ、そうなんですね……」

 

 

 力強く熱弁する笹島さん。そんな彼に相槌をうつ私だったのだが、内心では笹島さんがストーカーになんて絶対ありえないんじゃ? と考えてしまいました。

 だって、ストーカーは自らストーカーになりそうだなんて言わないし、笹島さんのようなタイプの人が私と知り合ったからって、勘違いしてストーカーになるとも考えられない。

 

 

「で、ですが、お礼くらいなら別に構わないと思います!」

「甘いですよ三船さん。男は少しでも優しくされたらつけあがるんです。勘違いする生き物なんですよ! それも、三船さんのような美しい方にされればなおさらです」

 

 

 ここが勝負どころだと思ったのか、笹島さんは更に畳みかけてくる。

 

 

「そもそもファンである以上、三船さんとプライベートな付き合いはするべきじゃないんです。三船さんはアイドルであり、全国にたくさんのファンの方がいます。そんな人たちを差し置いて、自分一人がお礼を貰うことなんてできません。個人的に付き合うわけにはいきません。もちろん、連絡先も同じです。今回は不慮の事故みたいな感じで色々知ってしまいましたけど、これから自分が気を付ければ何も問題はありません」

「…………た、確かにそうですけど」

 

 

 これは明らかに私の方が旗色が悪い。

 笹島さんの言う通り、アイドルである私とそのファンである笹島さんの付き合いは、他のファンからすると御法度ものだろう。正論であるがゆえに、反論の余地が見当たらない。

 プロデューサーさんにも、ファンとは個人的な付き合いを持たないほうがいいと言われている。

 頷きたくはなかったけど、ここまで言われると仕方がない。私は渋々彼の言うことを認めることにした。

 

 

「分かりました。笹島さんがそこまでおっしゃるのならお礼は諦めることにします」

 

 

 私がそう言うと、笹島さんはホッとしたように胸をなでおろしている。

 

 

「すいません、偉そうなことを言ってしまって。でも、今日三船さんとお話できたことは本当に嬉しかったです。これからも応援してるので頑張ってください」

 

 

 笹島さんはそう言って笑っていたけど、私は少しだけモヤモヤした気分のまま部屋を後にしたのだった。

 

 

 

 

☆ ★ ☆

 

 

 

 

「……なるほど。美優ちゃんが紛れ込んだのは、たまたまいい人の部屋だったのね」

「しかも、大ファンだからこそ、これからはもう他人のフリをすると……何というか予想外に誠実な人だったわね。むしろ、ファンの鑑たる人じゃない?」

 

 

 私からの報告に二人は驚きつつも、笹島さんの事を好意的に捉えてくれた。

 

 

「はい。私も本当にそう思いました。ここはやっぱり笹島さんの言う通りにするべきなんでしょうけど……でも、やっぱりお礼は受け取ってほしいですし、お隣同士なので別に少しくらいかかわりを持ってもいいと思うんです」

 

 

 多分、今の私はむすっとした表情を浮かべていると思う。頑なな笹島さんの態度もそうだけど、もうかかわりが持てないのかなと少し寂しいと感じる自分もいる。

 どうしてそんな風に感じるのかは分からないんだけど……。

 そんな私の気持ちを知ってか知らずか、早苗さんと瑞樹さんがニヤッと笑みを浮かべた。

 

 

「ねぇ、美優ちゃんは別にその男の人とかかわりを無くすほどじゃないって思ってるのよね?」

「そうですね。お隣同士ですし、少なくとも私は引っ越しする予定はないので仲良くしたいなと」

「それなら……その男の人が断れない状況を作っちゃえばいいんじゃない?」

「こ、断れない状況?」

 

 

 早苗さんの提案に、瑞樹さんもうんうんと頷いている。

 

 

「別に向こうが断っているだけで、美優ちゃん自体はお礼に行きたいわけでしょ? だったらお料理をおすそ分けしたりして、まずは部屋から出てきてもらう。更に、タッパーに料理をつめていけば次にまた会うきっかけにもなる」

「た、確かに、タッパーに関して何も言わなければ笹島さんはきっと洗って返しに来てくれるでしょうし、また会うきっかけになりますね」

「それに大ファンなら、美優ちゃんのお願いもなんだかんだ無下にしないだろうしね」

「なんだか反則すれすれのような……でも、うーん」

 

 

 関係を断ちたいと言った笹島さんからすれば迷惑かもしれないけど、お礼をしたい私にとっては非常に良い作戦だ。

 それにお料理タッパー作戦なら今日の夜からでも実践できる。丁度、笹島さんも今日は休みだと言っていたのでよいタイミングだろう。

 

 

「で、ですがプロデューサーさんには個人的なかかわりを持つなと」

「美優ちゃんが関わりたいと思えば別に関係ないわよ。そもそも、プロデューサーの言葉も建前であって、強制するようなものじゃないと思うわ」

「そうでしょうか?」

「そうよ、美優ちゃん。社会人として筋を通すことは重要だと思うし、美優ちゃんの好きなようにやっちゃいなさい!」

「瑞樹さん……そうですね、やっぱり筋を通すことは大事ですから」

 

 

 あまりもたもたしていると本当に疎遠になってしまいそうだし、ここは二人の言う通り自分の気持ちに従うことにしましょう。

 

 

「……美優ちゃんはアタシたちの真の目的には気付いていないみたいね」

「ふふっ、気付くのには流石に無理があると思うわよ。多分、本人も無自覚だろうし。そもそも、ぶっちゃけそのお相手の方は今頃後悔してる気がするのよね」

「それはアタシも思ったわ。だって、美優ちゃんの大ファンでしょ? 付き合う付き合わないは別にして、これからも話したいなとは思ってるはずよ。でもカッコいいことを言った手前、引き下がられなくなってる。こんな所かしら?」

「きっとそうね。でも仕方ないわよ。美優ちゃんの大ファンなわけだし、色々な葛藤があったと思うわ。まぁ、その結論は結果として最良なものになったんだけどね。少なくとも誠実な人だってのは分かったわ」

「うんうん、あったことはないけど彼なら美優ちゃんを任せられるわ」

 

 

 二人して頷いたところで少しだけ遠い目をする。

 

 

「……私のマンションに部屋を間違えて入っても優しく介抱してくれて、朝ご飯を出してくれる男性の方っていないかしら?」

「それはとんでもない低確率だから諦めましょう瑞樹ちゃん。……まぁ、美優ちゃんを任せられる男の人が出てきてくれてよかった思いましょう。後は美優ちゃんが自覚するまで、優しく見守りましょう」

 

 

 何やら私に聞こえない声で二人がコソコソと話しているけど、多分関係ないことだろうし気にしなくても大丈夫ですよね? 

 それに私は、お料理タッパー作戦のきもとなる料理を何にするか考えないと……。やっぱり定番は肉じゃがかしら?

 

 

「おーい、早苗さんに瑞樹さんに美優さん。そろそろ時間になるんで移動する準備をしてください」

『わかりました』

 

 

 プロデューサーさんから声がかかり、私たちはひとまず今日の仕事場に向かうことになった。

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