今回で漸く、省太とサヨちゃん以外の無邪気の楽園キャラが登場します。
この小説も、UAが1000を突破しました。こんな駄文でも読んでくださる、読者の皆さまに感謝です。
ドラグ様、サクヤ姫様、Leccee様、P・N《灰紫》様、檮原様、お気に入り登録ありがとうございます。
至らない点もありますが、これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします。
第6話です、どうぞ!
明久side
Bクラス戦の勝利から数日後。僕、省太、渚は、Aクラス戦のことを話し合う為、早めに登校していた。
教室に入ってしばらくすると、Bクラス代表の遥祐がやって来た。
遥祐「おはよう。明久、省太、渚。この間の試召戦争のときはありがとね」
明久「設備交換のことならいいよ。僕たちの目標はAクラスだからさ」
遥祐「そうだったね。でもまぁ、恭二も今回のことで反省して、もう卑怯なことはしないと約束したからね。結果的にはよかったよ」
省太「今根本のことを名前で呼んだけど、知り合いなのか?」
遥祐「(コクッ) 中学の頃からの友人で腐れ縁。でも、あんな性格だったからね……。しばらくの間は伏せていたんだよ」
あの根本くんに友達がいたことにびっくりしたよ。遥祐って心が広いのかな。
遥祐「オレだって鬼じゃないし、恭二が反省して頑張るって誓ったから、もう一度信じてみる気になったんだ。これを機にBクラスも変わっていけると思うよ」
渚「でも、根本くんだよ? そう変われるものなのかなぁ?」
遥祐「心配はいらないよ。何せBクラス全員の前で誓わせたからね。まだ疑っている子もいるけど、行動で示していくさ。いざって時は、オレと友香さんがいるから大丈夫(グッ)」
遥祐は笑顔でそう言った。何だかんだ言っても、根本くんは仲間であり友人なのだろう。
遥祐「だからまた戦争するときは、今度こそオレたちが勝つよ」
明久「僕たちも負けるつもりはないからね」
互いにグータッチをして、再戦を誓い合った。
遥祐「あ、そうだ。次はAクラスと戦うんだろう?」
明久「うん、そのつもりだよ」
遥祐「なら、“ノイン・マイスターズ”には気を付けるんだ」
省太「“ノイン・マイスターズ”?」
遥祐「Aクラスの代表も含めた、9人の成績上位者の通称だよ。彼らがいる以上、勝利は遠い」
明・省・渚「「「(ゴクリ……)」」」
遥祐「でも君たちなら……、勝てる……かもしれない。応援してるよ、じゃあね」
そう言って、遥祐はBクラスへ戻って行った。
明久「“ノイン・マイスターズ”……か」
渚「強い人たちってことでしょ? 寧ろ、ぼくはワクワクするなー☆」
省太「渚の気持ちはわかるけど……。これは、対策を考えなきゃいけないな」
明久「うん……。そうだね……」
未だ見ぬ強敵のことを考えながら、僕たちはAクラス戦のことを思案するのだった。
その日の授業を終えた放課後、僕たちFクラスはAクラス戦へ向けてのミーティングを行うことになった。
雄二「みんな、この間のBクラス戦はご苦労だった。ここまで勝利することができたのも、みんなの協力なしにはあり得なかったことだ。感謝している」
ミーティングを前に、雄二が感謝の言葉を述べる。
省太「どうした、雄二? お前が素直に礼を言うなんて、らしくないぞ?」
渚「そうそう。まだAクラス戦が残ってるのに、気が早いよー?」
雄二「まぁ、そう言うな。これでも、心からそう思っているんだぜ?」
明久「そんな風に言ってくれると嬉しいな。力を尽くす甲斐があるからね」
雄二にどんな想いがあるにせよ、そう言ってくれるのは嬉しいことに変わりない。
雄二「さて、残るAクラス戦だが……。9対9の一騎討ちを考えている」
FクラスH「一騎討ちだって?」
FクラスA「通常の戦争じゃないのか?」
雄二「お前たちが言いたいことはわかる。何故一騎討ちなのか? ……考えてみろ、これまで俺たちはどうやって勝利して来たのか……」
みんな雄二の言葉を聞いて思い出す。Dクラス戦もBクラス戦も、相手の油断と隙を突くのと、経験不足なことも合わさったことで生じた勝利だった。
では、Aクラスはどうだろうか? 前にも言ったことだが、点数の高さが召喚獣の強さに直結する以上、今までのようにはいかない。圧倒的な点数差を以ってして、9人の成績上位者たちに悉く蹂躙されてしまうだろう。
雄二「だからこそ、少しでも勝利の可能性がある一騎討ちで決着をつけるのが最適だと思っている」
この言葉にはみんな納得した。となると、誰が一騎討ちの代表として戦うのか……ということになる。
雄二「で、一騎討ちに出るメンバーだが……。黒板に名前を書かれた生徒が代表だ」
坂本 雄二
吉井 明久
反田 省太
上運天 渚
姫路 瑞希
池端 早代
木下 秀吉
土屋 康太
島田 美波
雄二は黒板に、自分も含めた9人の名前を書き出した。ここに書かれたメンバーは皆Aクラスとも互角に渡り合えるであろう、猛者ばかりである。
雄二「相手は確実に“ノイン・マイスターズ”をぶつけて来るだろう。俺も含めたこの9人で一騎討ちを戦おうと考えているが、異論はあるか?」
これに反論する生徒はいなかった。この方法でなければ、自分たちの勝利はないことを理解しているのだろう。
雄二「……ないようだな。今名前を書かれたメンバーは、点数の補給をして一騎討ちに備えてくれ。宣戦布告は3日後に行うが……」
“バッ!!”(全員渚を見る)
渚「な、なんでぼくを見るの?!」
雄二「いや……。今回も行きたいのかなって、思ったからな……」
渚「むー! 流石に今回は、自重するよッ!!」
Dクラス戦のときも、Bクラス戦のときも行っていた為、今回も宣戦布告するものだと勝手に思われて、渚は憤慨していた。
気の毒だとは思うけど、みんながそう思う気持ちも理解できる。
省太「あまり言ってくれるなよ、雄二。Aクラスの宣戦布告は俺が行くよ。その方が都合がいい」
雄二「それは良いが……、どうした急に?」
省太「Aクラスには友達がいるからな。心配掛けさせてるから、顔出ししておきたくてさ」
明久「ねぇ。Aクラスにいる省太の友達って、前に話した女の子たちだよね?」
省太「ああ。それも小学生の頃からの幼馴染だ」
その言葉を聞いた瞬間、一部を除いたFクラス男子たちが血走った目をして省太を睨みつける。
FクラスJ「異端者がいるぞぉぉぉッ!!」
FクラスK「な、なんと羨ましい……ッ!!」
FクラスE「殺せぇぇぇッ!!」
渚「はいはい、みんな静かにして。話が進まないでしょ!! それとも自己紹介のときに言ったこと、もう忘れたの……?」
「「「「め、滅相もございませんッ!!!」」」」
省太に襲い掛かろうとする、Fクラス男子たちを抑える渚。こうやって嫉妬するからいけないのに、まだ気付かないのかな?
省太「とにかく、俺は行くからな。……そうだ明久、お前も来るか? 優子さんに会いたいだろ?」
明久「え!? あ、ああ……そうだね。僕も行こうかな?」
FクラスB「ここにも異端者がいましたぞ!!」
FクラスH「吉井、反田。お前たちは死刑になりたいらしいな!!」
さっき言われたことをもう忘れて、再び襲い掛かるFFF団。
明久「仕方ないね……。省太」
省太「わかってるぜ、明久」
“ボカッ、バキッ、ズドッ”
「「「「ちーん………」」」」
秀吉「のう明久、省太よ。派手にやったようじゃが……、大丈夫かの?」
省太「大丈夫だ秀吉。ちゃんと手加減はしているし、この程度でやられる程、コイツらはヤワじゃない」
明久「それにこれくらいやらないと、静かにならないからね。多少の実力行使は必要ってことさ」
雄二「と、とにかく宣戦布告は、明久と省太に任せるからな? さっきも言ったが、一騎討ちに出るメンバーは点数の補給を忘れないようにしてくれ。今日はここまでだ」
気絶した連中の回復を待って、この日は解散となった。
明久side out
〜3日後〜
省太side
点数の補給を昨日までに済ませたこの日。俺と明久はAクラスに宣戦布告をする為に、Aクラスの教室に向かっていた。
明久「省太。Aクラスにいるのは聞いてるけど、誰がいるのかは把握してる?」
省太「いや……。Fクラスに振り分けられてからは、Aクラスに寄っていないから、誰がいるのかわからないんだ」
明久「なるほどね。……とりあえず、行こうか」
Aクラスの扉を開け、中へと入って行く。
明久「失礼します。Fクラスの吉井明久です。Aクラスの代表はいらっしゃいますか?」
???「代表なら席外しとるで。何の用や?」
茶髪のツインテールの女の子が応対していた。でもこの娘はひょっとして……。
省太「よう、真夏。お前Aクラスなんだな」
明久が用件を言う前に声を掛けると、
真夏「省太? サヨちゃんと一緒にFクラスに行ったって聞いて、心配したんやで! おーいみんなー、省太が来たでー!!」
関西弁で話す少女……神谷真夏が俺を見るなり話し掛け、その勢いで懐かしの仲間たちを呼んでくる。
このみ「省太くん! 会いたかった……」
奈子「久しぶりだね、省太」
リオ「……久しぶり」
省太「おう。そうだな……」
明久「えっと……、この娘たちが省太とサヨちゃんの小学校時代からの友達なんだね?」
省太「ああ。合ってるぜ、明久」
置いていかれないように、明久も話し掛けてくる。
明久「多分知ってると思うけど、自己紹介するね。僕はFクラスの吉井明久。省太は僕の親友だよ」
このみ「君が噂の吉井くんだね? 私は春風このみ。よろしくね!」
真夏「ウチは神谷真夏や。よろしゅうな!」
奈子「佐々木奈子よ。よろしく」
リオ「金子理央。省太とは……、腐れ縁よ」
それぞれの自己紹介をする友人……、俺の初恋である春風このみちゃん。俺を子分扱いする相棒の神谷真夏。何かと助けてもらった佐々木奈子。俺のライバルで天敵……、金子理央。
予想はしていたが……、みんなAクラスになれたんだな。できれば、俺とサヨもここにいれたらよかっただろうな。
優子「賑やかね。一体どうしたの?」
明久「あ、優子さん!」
そうこうしていると、秀吉の姉……木下優子さんもやって来た。
優子「明久くん? ……Fクラスに振り分けられたって聞いて、ずっと気になってたの。大丈夫だった?」
明久「うん、秀吉も雄二もいるからね。何とか上手くやっているよ」
省太「……明久。俺もそうだけど、本来の目的忘れるなよ」
明久「あ! そうだったね。危うく脱線しそうになったよ、ありがとう省太」
そう、俺たちの目的は宣戦布告。友達との再会はオマケでしかない。
明久「話を戻すけど……、代表はいるかな?」
翔子「……代表は私。何か用?」
そう言って近づいて来たのは、Aクラス代表の霧島翔子さん。成績も学年首席とさることながら、整った顔立ちと艶やかな黒髪を併せ持つ、正に才色兼備という言葉が似合う女子生徒だ。
明久「あ、霧島さん。早速なんだけど、僕たちFクラスと試召戦争をして欲しい」
翔子「……きっと来ると思ってた」
明久「それで、9対9の一騎討ちで勝負したいんだ。お互いが勝負して勝った方が残る負け抜け方式を考えているけど……、どうかな?」
翔子「……でもそれだと、Fクラスにメリットが多い。私たちAクラスでは条件が不利」
明久の提案に対して、Aクラス側の問題点を指摘する霧島さん。少しでも対等な条件に持って行くには、妥当な主張だ。
そこで俺は提案する。
省太「なら、こうしよう。Aクラス側には、教科選択権を4つ。俺たちFクラスには5つ。そして勝負に勝った方は、負けた方に何でも1つ命令できる。……これならどうだ?」
翔子「……受けるわ、その内容で」
明久「交渉成立だね。それじゃ、また午後1時にAクラスで」
翔子「……ええ、待ってる。……吉井、私たちは負けるつもりはない」
明久「僕たちもやるからには勝つよ、霧島さん。じゃあまた後でね、優子さん!」
優子「わかったわ、明久くん。今度は戦場で……!」
省太「誰かは俺と戦うことになると思う。楽しみにしているぞ、みんな!」
こ・真・奈「「「うんッ!!」」」
リオ「…………」
こうして俺と明久はAクラスを後にした。リオの反応が少し薄かったことが気になるが……、考えても仕方ない。この先に控えている一騎討ちのイメトレでもしておこう……。
to be continued……
やっとこさ、無邪気勢のキャラ出せましたよ……。
と言っても今回は顔見せですが。
次はいよいよ、Aクラス戦です。
執筆に四苦八苦はするかもしれませんが……、何とか書いていきます。
では、次回にお会いしましょう。