バカとテストと僕たちの楽園   作:ウォーズ -IKUSA-

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こんにちは・こんばんは、エクシリオンです。

一騎討ちの中盤戦となります。
相変わらず戦闘描写が拙いですが、それでも読んで頂けると嬉しいです。

第8話です、どうぞ!


第8話 白熱する戦い 〜対Aクラス戦・中編〜

明久side

 

 

明久「お疲れ様、姫路さん。この一戦を勝てたのは大きいよ」

 

瑞希「ありがとうございます、吉井くん。ここから先の勝負は厳しそうですが、勝てるでしょうか……」

 

明久「勝てるさ。……きっとね」

 

フィールドから戻って来た姫路さんを出迎えた僕は、聞かれたことに対してこう答える。

とはいえ、残る相手はAクラス上位5名。そう易々とはいかないのも事実だ。

 

サヨ「ここはサヨが行くね」

 

省太「そうか。頑張れよ、サヨ!」

 

明久「ベストを尽くしてね、サヨちゃん」

 

サヨ「うん! サヨ、頑張るから!!」

 

僕たちがエールを送ると、サヨちゃんはフィールドへ向かって行く。Aクラスからは春風さんが出て来た。

 

サヨ「サヨの相手は、このみちゃんかぁ」

 

このみ「よろしくね、サヨちゃん」

 

サヨ「でも、これは勝負だから。本気でやらせてもらうよ!」

 

このみ「私も手加減しないからね!」

 

高橋「一騎討ちも5戦目です。科目は何にしますか?」

 

サヨ「家庭科でお願いします!」

 

高橋「春風さんもよろしいですね?」

 

このみ「はい、大丈夫です!」

 

高橋「第5戦は家庭科です。用意……、始めッ!!」

 

サ・こ『『試獣召喚(サモン)ッ!!』』

 

この一戦を皮切りに、戦いはより激しさを増して行くことになるのだった。

 

 

明久side out

 

 

 

 

 

 

 

 

サヨside

 

 

家庭科

 

Fクラス

 

池端 早代:498点

 

 

Aクラス

 

春風 このみ:487点

 

 

このみちゃんも家庭科が得意なんだね。点数にそこまで差がないなら、気力勝負になるかも。

 

サヨの召喚獣は、白とパステルピンクを基調とした魔法少女風の衣装に、ハルバードを装備していてリーチが長い。このみちゃんの召喚獣は、アイドル風の衣装にプロテクターを着けていて、剣に変形できるライフルを2丁装備している。

 

サヨ「……行くよ、このみちゃんッ!!」

 

このみ「ええ、サヨちゃんッ!!」

 

“キインッ!!”

 

お互いの召喚獣の武器が火花を散らす。

 

サヨ「えいッ!!」

 

このみ「たあッ!!」

 

“キインッ!!”

 

“キインッ!!”

 

“ガギィッ!!”

 

『『『『おお………ッ!!』』』』

 

観戦している生徒たちも息を飲んでいる。サヨが攻めて、このみちゃんはガードしていく。

 

サヨ「流石だね。このみちゃん」

 

このみ「サヨちゃんも、すごいよ」

 

サヨ「意外と難しいでしょ? 召喚獣動かすの」

 

このみ「うん。こんなに集中力を使うなんて、思わなかった」

 

サヨ「まだ終わりじゃないよね?」

 

このみ「当たり前だよ!!」

 

“シュッ!!”

 

再び斬り合うサヨたち。でもこれじゃさっきと状況が変わらない。勝負に出るなら…………。

 

サヨ「ここで仕掛けるよッ! “腕輪発動”!!」

 

サヨがハルバードをビリヤードのキューの様に構えると、先端から無数の光弾が放たれる。

 

サヨ「お願いッ!!」

 

このみ「くう……ッ!!」

 

このみちゃんも弾を避けたりソードライフルで弾いたりしていたけど、全ては捌けなかったようでダメージを負った。

 

 

 

 

 

Fクラス

 

池端 早代:283点

 

 

Aクラス

 

春風 このみ:262点

 

 

このみ「それがサヨちゃんの腕輪の能力なのね」

 

サヨ「うん……、“レイ・シュート”って言うの。今のは相手を追尾するモードで使ったんだよ」

 

このみ「そう……。確かに、今のモードを使われ続けると厄介だね」

 

サヨ「えへへ……」

 

少し考え込んで、このみちゃんが口を開く。

 

このみ「……ねぇ、サヨちゃん。次の攻撃で決着をつけない?」

 

サヨ「いいの? このみちゃん、まだ腕輪使ってないよね?」

 

このみ「この攻撃で私も使うから、本気で撃って来て!」

 

サヨ「……わかった。全力で行くからねッ!」

 

お互い、次の攻撃に全力を注ぎ込むことになった。

 

このみ「チェンジ、ライフルモード!!」

 

サヨ「……行くよ、このみちゃん……!!」

 

このみ「ええ……!!」

 

サ・こ『『“腕輪発動”ッ!!』』

 

サヨがレイ・シュートを、このみちゃんが腕輪の力によるビームを発射した。両者共フルパワーで撃っていて、ビーム同士がぶつかり合う。

 

ぶつかり合っている間あることを考えた。そう言えば、このみちゃんの腕輪の能力って何だろう? ただビームを撃つだけだと思えないし……。

 

このみ「何を考えているの、サヨちゃん?」

 

サヨ「このみちゃんッ?!」

 

このみ「もしかして、私の腕輪のことかな? ……確かに、今撃っているビームは腕輪によるものだけど、本当の能力は別にあるよ!」

 

サヨ「まさか……ッ!!」

 

このみ「それを今見せてあげる! ……“フリージング”!!」

 

このみちゃんがそう言った瞬間、ビームが氷のエネルギー波に変化してサヨの召喚獣は氷漬けになった。

 

このみ「これが私の腕輪の力だよ、サヨちゃん。それに最大消費点数で撃ったから、しばらくは動けないよ」

 

ライフルモードから、ソードモードに変化した。最大効果である以上、もう逃げ場がない。

 

サヨ「くう……ッ!!」

 

このみ「これで……、おしまいッ!!」

 

このみちゃんの召喚獣がサヨの召喚獣を斬り捨てて、勝負がついた。

 

 

 

 

 

 

Fクラス

 

池端 早代:0点

 

 

Aクラス

 

春風 このみ:162点

 

 

高橋『それまで! 勝者、Aクラス・春風このみ!!』

 

サヨ「あー、負けちゃった……。もうちょっとだったのにね……」

 

このみ「そんなことないよ、サヨちゃん。今回は運が良かっただけだから。どっちが勝ってもおかしくなかったよ」

 

サヨ「うん。……ねぇ、このみちゃん」

 

このみ「何? サヨちゃん……」

 

サヨ「どうしても気になるから聞いてみるけど……。省太くんのこと、今でも好き……?」

 

ずっと気になっていたこと。小学生の頃はこのみちゃんが、省太くんの一番だったから。今はサヨに気持ちは向けられているけど……、自信がないから……。

 

このみ「うん、好きだよ。でも安心して? それは友達としての好きだから。あの頃の初恋は……、終わっているの」

 

サヨ「このみちゃん……」

 

このみ「省太くんも気持ちは固まっていると思う。だからサヨちゃん、自信を持って! 私、省太くんとサヨちゃんのこと応援してるから!」

 

サヨ「……ありがと、このみちゃん! 次戦うときは、負けないよ!!」

 

このみ「私もッ!!」

 

手を取り合って健闘を讃え合う。勝負には負けたけど、とても清々しい気持ちでいっぱいになった。

 

 

サヨside out

 

 

 

 

 

 

明久side

 

 

省太「このみちゃんが相手だったのか。厳しいとはいえ、勝ちたかったところだな……」

 

明久「省太、とても複雑そうな顔してたね。こうなることが予想できたから?」

 

省太「ああ……。俺としては同じFクラスのサヨを応援するところだが、このみちゃんもいるんじゃあな……」

 

雄二「だが、勝負は勝負だ。仕方ねぇだろうさ」

 

明久「そうだね。……次は誰が行くの?」

 

渚「なら、出番かな」

 

そう言って渚が名乗りをあげる。

 

省太「渚、本気で行けよ?」

 

渚「お遊びができる相手じゃないことはわかってるさ。大丈夫だよ」

 

明久「油断は禁物だからね?」

 

渚「りょーかいッ! 行ってくる!」

 

そう言って渚はフィールドへと向かって行った。入れ違いでサヨちゃんが戻って来るが、涙目になっている。

 

サヨ「ごめんね省太くん、みんな。負けちゃった……(ひっく)」

 

省太「おいおい、泣くなよサヨ。全力を出し切ったいい試合だったぞ」

 

サヨ「……本当(ひっく)?」

 

省太「ああ、本当だ」

 

サヨ「省太くん……。ありがと……」

 

泣きそうになるサヨちゃんを、省太が慰める。なんだか暖かくなる光景だ。

 

サヨ「省太くん、あのね……」

 

省太「この戦争が終わってからな、サヨ? それにみんなが見てる」

 

『『『…………』』』

 

サヨ「わっ!? ……う、うん。わかったよ省太くん」

 

サヨちゃんも落ち着いたところでフィールドに視線を移す。渚と対峙しているのは……。

 

明久「省太。渚と戦うのは……、佐々木さんなんだね?」

 

省太「奈子だって? これはもうわからねぇな……」

 

雄二「勝てると思うか?」

 

省太「どうだかな……。俺たちにできることは、渚を信じてやることぐらいだ」

 

高橋「第6戦を始めます。出場者は前へ!」

 

僕たちは改めて、フィールドに視線を移す。省太の言葉通り、ここは渚を信じるしかないだろう。

 

 

明久side out

 

 

 

 

 

 

渚side

 

 

渚「君が佐々木奈子さんかぁ……。省太の友達って聞いているけど、手加減できそうにないよ」

 

奈子「気遣いありがとね。でもその必要はないから安心して、上運天渚くん!」

 

高橋「科目は何にしますか?」

 

奈子「地理でお願いします!」

 

佐々木さんが地理を選択する。理系を選ばれたらどうしようかヒヤヒヤしたけど、何とか行けそうだ。

 

高橋「第6戦は地理です。用意……、始めッ!!」

 

渚・奈『『試獣召喚(サモン)ッ!!』』

 

 

 

 

 

地理

 

Fクラス

 

上運天 渚:523点

 

 

Aクラス

 

佐々木 奈子:548点

 

 

 

 

渚「500点を超えられたけど、ぼくよりも点数が高い……。上には上がいるね……」

 

奈子「でも、操作技術は君の方が上って聞いたよ。だから、勝負は最後までわからない」

 

渚「……かもね」

 

佐々木さんの召喚獣は巫女服を身に纏い、方天画戟を装備していた。対するぼくはこれまで通り。リーチはあっちが上で、こっちは手数……ってところか。

 

渚「始めるよ……!!」

 

奈子「かかって来なさい……!!」

 

“シュッ!!”

 

“キインッ!!”

 

ぼくのブレードトンファーと、佐々木さんの方天画戟がぶつかり、鍔迫り合いが起こる。

 

渚「てやぁッ!!」

 

奈子「たぁッ!!」

 

それからは、互いに武器の打ち合いになった。ぼくが攻めようとするところに合わせて、佐々木さんが受け流す。フェイントをかけたり、死角に回り込んで撃ち込もうとしても、それを見切っているかの様に全て合わせて来た。

 

渚「(この動き。佐々木さん、ひょっとして……)」

 

奈子「……?」

 

“シュタッ!”

 

渚「ねぇ! 佐々木さんって何か格闘技でもしてるのかな?」

 

奈子「ええ、合気道を習っているわ。それがどうかしたの?」

 

渚「召喚獣の操作ってすごく難しくてさ。今まで戦って来た相手って動きが単調になる傾向があったんだ。でも君は初めて試召戦争を経験するハズなのに、繊細な動きができてる。こんな風に動かせる生徒は、とても貴重だよ」

 

奈子「………」

 

渚「ちなみにぼくは空手を習ってる。だから、一つ提案させて欲しい」

 

“バッ!!”

 

奈子「な、何をしているの……!?」

 

渚「君と格闘技勝負がしたい。受けてくれるね?」

 

ブレードトンファーを投げ捨てて構えを取るぼくに、観客は騒然となった。

 

渚「信じられないなら、この場で終わらせても構わない。でも、これだけは言わせてくれ。ぼくは……、本気だ」

 

奈子「……まったく、君ってよくわからないね。自分から丸腰になるなんて、正気とは思えないよ」

 

渚「やっぱそうか……」

 

奈子「でもその潔さ、私は好きだよ。……君の挑戦、受けてあげる!」

 

そう言うと、佐々木さんも方天画戟を手放す。おそらく滅多に見られないであろう、召喚獣による異種格闘技戦が繰り広げられることになった。

 

ぼくは正拳、裏拳突き、蹴り技と多彩に攻めて行き、それを佐々木さんが全て受け流して行く。

 

渚「これじゃ、ジリ貧だね。一気に決めるよ!」

 

奈子「無駄だよ、それはもう見切っているの!」

 

ぼくの動きから、捌きの体勢を取る佐々木さん。

 

渚「いや、本命はここだよ! “腕輪発動”ッ!!」

 

奈子「くっ、間に合わない……!?」

 

渚「せいやぁぁぁぁぁッ!!!」

 

“ドォォォォォン!!”

 

強烈な正拳突きを叩き込まれ、佐々木さんの召喚獣が吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

Fクラス

 

上運天 渚:263点

 

 

Aクラス

 

佐々木 奈子:178点

 

 

 

 

奈子「はぁ……、はぁ……」

 

渚「終わらせるつもりでやったんだけど……、ギリギリで直撃を避けるなんてすごいや」

 

奈子「今の攻撃……、腕輪の力を使ったのね」

 

渚「その通りだよ」

 

ぼくの腕輪の能力は、“スマッシュ・ヒット”。与ダメージを一度の発動で最大3倍まで上昇させ、相手の攻撃やガードを一方的に破る効果も持つ。ちなみに佐々木さんに撃った一撃は、2倍に引き上げたものだ。

 

渚「次で……、仕留めるよッ!」

 

奈子「……ッ!!」

 

渚「これで終わりッ!!」

 

腕輪を最大効果で発動させ、構えを緩めた佐々木さんを捉えて一撃を放った……、はずだった。

 

奈子「……“腕輪発動”」

 

“ガシッ!!”

 

渚「……なッ!?」

 

一撃を放とうとしたぼくの腕を、佐々木さんが捕まえた。

 

奈子「形成逆転ね。私に捕まった以上、君の負けだよ」

 

渚「万事休すか……ッ!」

 

奈子「てぇぇぇいッ!!」

 

 

 

“ズダァァァンッ!!”

 

 

 

 

 

Fクラス

 

上運天 渚:0点

 

 

Aクラス

 

佐々木 奈子:78点

 

 

高橋『それまで! 勝者、Aクラス・佐々木奈子!!』

 

佐々木さんに投げ飛ばされて、高橋先生が試合終了を告げた。それにしても………。

 

渚「痛い……。3割程度なのはわかってるけど、……すごく痛い……」

 

奈子「ご、ごめんね上運天くん。つい本気でやっちゃって……、大丈夫……?」

 

渚「だ、大丈夫だよ、これはぼくが望んだことだし。それに佐々木さんは勝つ為に本気出したんでしょ? だったら勝ったことを素直に喜んでいいと思うよ」

 

正直本当は痛いんだけど、佐々木さんが悲しまない様にこう答える。

 

奈子「ありがとう……。上運天くんって能天気だと思ってたけど、優しいね」

 

渚「能天気なのは否定しないけど、そう言ってくれて嬉しいよ。それから、ぼくのこと名前で呼んで欲しいな。省太の友達だもん、君ともきっと仲良くなれると思うんだ。よろしく、奈子ちゃん」

 

奈子「もう、本当いきなりだね。でも……、私の方こそよろしくね、……渚くん」

 

観客の歓声が鳴り響く。勝負には勝てなかったけど、この瞬間新しい友達ができました。

 

 

渚side out

 

 

 

 

 

 

省太side

 

 

明久「渚お疲れ。……派手に投げられてたね」

 

省太「ああ、キレイに決まってたな……」

 

渚「う、うん……。奈子ちゃんの手前、強がってみたけど、シャレにならないくらい痛いよ……」

 

省太「渚。奈子のこと名前で呼んでるけど、何かあったのか?」

 

渚「んー、勝負の後に仲良くなった……。こんな感じだよ(ニコッ)」

 

省太「そっか。よかったな」

 

負けたことに変わりはないが渚が嬉しそうだったので、それはそれでよかったと思う。

 

雄二「だが、これで2勝4敗。後がなくなったな……」

 

明久「雄二、緊張してる?」

 

雄二「まさか。寧ろ燃えて来たくらいだぜ、この劣勢を覆そうと思うとな」

 

省太「気が合うな。俺も同じこと考えてるぞ……」

 

明久「みんなに見せてあげよう、ここから僕たちが巻き返すところを……!!」

 

そう、本当にもう後がない。だがこの状況を楽しんでいる。引き分けすら許されない中、俺たちは闘志を激しく燃やすのだった。

 

 

to be continued……




一騎討ち中盤戦が終了しました。

後半戦、明久たちはこの土壇場でどう立ち向かうのか。
それから、渚と奈子をくっつけてみました。この2人はこれから絆を紡いでいくことでしょう。

では、また次回にお会いしましょう!

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