バカとテストと僕たちの楽園   作:ウォーズ -IKUSA-

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こんにちは・こんばんは、エクシリオンです。

大変お待たせいたしました、申し訳ありません。
タイトルの通り、Aクラス戦に決着が着きます。
明久たちは勝つことができるのか。是非見てください。

第10話です、どうぞ!


第10話 新たな好敵手(とも)と大金星 〜対Aクラス戦・決着編〜

省太side

 

 

『『『な……。何だぁ、ありゃあ!!??』』』

 

『『『神谷さんも凄いけど、吉井のアレって……』』』

 

『『『首席並みの点数……?!!』』』

 

『『『し、信じられない……』』』

 

表示された点数を見た(一部を除く)生徒たちが、次々と驚きの声をあげる。

 

省太「フン、当たり前だ。俺たちは西村先生に、直々にしごかれていたからな……」

 

雄二「なぁ省太、渚。お前たちと明久は、いつから鉄人の指導を受けていたんだ?」

 

渚「観察処分者に任命されると同時に……かな? いやーアレはキツかったよね、省太?」

 

省太「ああ。教師陣の了解の下とはいえ、容赦なかったからな……。最初の内は死ぬかと思ったぞ」

 

渚「本当にそうだよねー☆ でもずっとやってたら、慣れるっていうか……。そのおかげで全科目の成績が、今まで以上に上がったよね♪」

 

省太「(コクッ) 中でも明久は、俺たちの更に上を行っているぜ……」

 

雄二「お、お前たちすげぇな……」

 

雄二が若干引き気味になりながら、感心している。

 

省太「とは言っても、真夏も天才肌の上に負けず嫌いだ。どっちが勝つかは神のみぞ……だろうな」

 

雄二「なら、俺たちは明久の勝利を信じてやるか」

 

対峙する明久と真夏を眺めながら、俺たちはこの戦いを見守ることにした。

 

 

省太side out

 

 

 

 

 

明久side

 

 

改めて僕は、神谷さんの召喚獣を確認する。

真紅の戦闘服に身を包み、主武装にツインブレードともう一つ、キャノン砲を装備した支援メカを従えている。

木刀を装備している僕の召喚獣とは、対照的だ。

 

真夏「吉井くんの召喚獣って、点数と装備が反比例しとるなぁ。調整、間に合わなかったん?」

 

明久「そうなんだ。振り分け試験で途中退出したからね。調整の前に試召戦争が先になった……ってとこかな」

 

真夏「そうなんや。その装備でよう今までやってこれたなぁ? 尊敬するわぁ」

 

神谷さんの質問にこう答える。途中退出しなかったらまた違っていただろうが、後悔はしてない。

 

明久「ありがとう」

 

真夏「ひとつ聞かせてぇな、吉井くん。みんな噂しとったけど、なんで途中退出したん? それだけの点数やったら次席、もしかしたら代表にだってなれたのに……」

 

明久「本当はAクラスに行くつもりだったよ。……でも、姫路さんが隣で苦しそうにしてたからね……、放って置けなかったんだ」

 

真夏「……省太から君の話聞いとったけど、やっぱ省太に似とるな、吉井くん!」

 

明久「ぼ、僕が省太と?」

 

真夏「せや。お人好しなとこと、誰かの為に一生懸命になれるところがな」

 

そう言われて少し驚いた。僕はそんなに省太に似てるのかな?

 

真夏「そんな省太にウチはもちろん、このみちゃんも、サヨちゃんも、リオちゃんも、奈子ちゃんも、みーんな助けられてんで」

 

明久「そ、そうだったんだ……」

 

真夏「文月学園で初めてできた男友達が君だって言うとった。省太のダチになってくれて、ホンマおおきにな。これからも仲良うしたってな」

 

明久「う、うん。これから先もずっと、省太は親友だよ」

 

神谷さんに感謝された。そう言われるととても嬉しくなるな。

 

真夏「せやけど、この勝負は別や。確かに君はウチよりも強いかもしれんけど、次席として引くわけにはいかへん!!」

 

明久「なら僕も全力でやらせてもらうよッ!!」

 

 

 

“バッ!!”

 

“キン、キン、キンッ!!”

 

“キン、キン、キンッ!!”

 

“ガギィッ!!”

 

 

お互いの武器が火花を散らす。神谷さんがツインブレードを連結状態と二刀流状態を交互に切り替えて攻めて行く。

僕はその攻撃を全て弾いた。……が、だからこそ失念していたんだと思う。

 

真夏「攻めるのはウチだけやないで! ……フレアッ!!」

 

“ドウッ、ドウッ!!”

 

明久「しまったッ!?」

 

“ドォンッ!!”

 

 

 

 

総合科目

 

Fクラス

 

吉井 明久:6476点

 

 

Aクラス

 

神谷 真夏:6398点

 

 

砲撃を喰らって、400点近く削られた。

 

明久「やるね、神谷さん。支援メカの攻撃も織り交ぜるなんて、大したものだよ」

 

真夏「おおきに♪ せやけど、まだまだこんなもんやない! 今からウチのとっとき、見したるで!!」

 

 

 

 

“キィィッ……”

 

“ガシャガシャガシャッ……”

 

明久「……!!」

 

真夏「“武装”!!」

 

“ガシュ、ガギッ、ガシャンッ!!”

 

真夏「装着完了ッ!!」

 

神谷さんが腕輪を発動させると、支援メカがパーツ状に分離して、神谷さんの召喚獣の全身を覆った。さっきの金子さんとは正反対の姿だ。

 

明久「神谷さんのソレって、強化アーマーだったんだね」

 

真夏「せや、普段はさっきみたいに連携して使うのが基本やからな。ほんで、これがウチの腕輪の能力や!」

 

明久「一筋縄ではいかなそうだね……」

 

真夏「ほな、行くでー!!」

 

“シュッ!!”

 

“キン、キン、ガギンッ!!”

 

 

 

 

 

総合科目

 

Fクラス

 

吉井 明久:3145点

 

 

Aクラス

 

神谷 真夏:3712点

 

 

再び斬り合う僕たち。重武装だけど見た目以上に機動力はあるし、運動性自体はアーマー装着前よりも低いけど、それ以外の能力は全て上がっている。点数の減りも僕の方が激しいから、長期戦は僕が不利だな……。

 

 

“ピタッ”

 

明久「………」

 

真夏「どないしたん、吉井くん? 打つ手なしって感じ?」

 

明久「そうじゃないよ。この場を切り抜ける方法を考えていたところさ」

 

動きを止めた僕に神谷さんがそう尋ねた。さりげなく溜めの動作をしたが、どうやら気付かれてはいないようだ。

 

真夏「せやけどこれも戦争や。決めさせてもらうで!!」

 

神谷さんが強襲を仕掛ける。使うとしたら……、ここだね。

 

明久「行くよ、“腕輪発動”!!」

 

真夏「どしたん? なんも起こらんよ?」

 

明久「ちゃんと発動させてるよ。神谷さん、自分の状態を確認してみて?」

 

真夏「あ、武装解除されとる。もう一度や、“武装”!」

 

シン……

 

真夏「なんや? 腕輪が発動できひん……!!」

 

明久「これが僕の腕輪の能力、“キャンセラー”だよ。発動させている間は腕輪を使うことはできない。こうなったら、僕が有利かな?」

 

神谷さんにそう告げる。しばらくは静かになっていたけど……。

 

真夏「へぇ……、おもろいやん。ウチはタダで負ける気はないで!」

 

明久「言うと思ったよ。それは僕も同じ……!!」

 

ここからは純粋な実力勝負だった。僕も神谷さんも激しい攻めの応酬を繰り広げて行く。気付けば互いの点数も残りわずかになっていた。

 

 

 

 

 

総合科目

 

Fクラス

 

吉井 明久:21点

 

 

Aクラス

 

神谷 真夏:34点

 

 

明久「次の一撃で……(ハァ、ハァ)、決まりだね……」

 

真夏「(ハァ)せやな……。吉井……くん」

 

明久「……行くよ」

 

“シュッ!!”

 

真夏「そんなわかりやすい攻撃ッ!!」

 

僕が特攻すると神谷さんがガードの構えを取る。

 

明久「いや、これでいいんだ……!」

 

“ガギンッ!!”

 

真夏「な……ッ!!」

 

明久「決めるよッ!!」

 

“ズドォッ!!”

 

ツインブレードを弾き飛ばして、丸腰になった神谷さんの召喚獣を木刀で貫く。

 

 

 

 

 

総合科目

 

Fクラス

 

吉井 明久:8点

 

 

Aクラス

 

神谷 真夏:0点

 

 

 

 

 

高橋「それまで! 勝者、Fクラス・吉井明久!!」

 

試合終了を告げる高橋先生も、自然と熱が入る。何せAクラスにFクラスがここまで渡り合えているのだ。そうなるのも当然だろう。

 

真夏「ウチの負けかぁ。いけると思ったんやけどなぁ……」

 

明久「そんなことない、神谷さんも強かったよ。腕輪を使わせずに攻め続けていたら、僕が負けていただろうからね」

 

真夏「せやな……。……なぁ吉井くん。ウチと友達んなってーな」

 

神谷さんが笑顔でそう尋ねる。

 

真夏「負けはしたけど、気持ちいい負け方やったからな。君とは仲良うなれそうやし!」

 

明久「うん、僕でいいなら」

 

真夏「よっしゃ! 今日から君はウチのダチで……、ライバルや!! よろしゅうな、明久!」

 

明久「か、神谷さん?」

 

真夏「あ、ウチのことは名前で呼んでほしいわぁ。頼むで!」

 

明久「うん。こっちこそよろしくね、真夏ちゃん!」

 

真夏「それでええよ♪」

 

観客の歓声の中、真夏ちゃんと握手を交わす。ライバル認定されちゃったけど……、まぁいいか。こうして生まれる友情も悪くないかな♪

 

 

 

 

雄二「お疲れ明久。ちゃんと勝てたようで、よかったぜ」

 

フィールドから戻ると雄二が声を掛ける。みんなが勝利を喜んでくれていた。

 

明久「ありがとう雄二。正直危なかったけど、ちゃんと繋げることができたよ」

 

雄二「礼を言うぜ。お前たちの頑張りで俺にも火が点いた。ここで無様な姿は見せられないな」

 

高橋「一騎討ち最終戦を行います。出場者は前へ!」

 

高橋先生が最終戦のアナウンスをする。ついにここまで来た。

 

省太「みんなお前を信じてここまで来たんだ。どんな結果になっても、最後まで戦い抜くんだぞ!」

 

渚「そういえば君が戦うところ、初めて観るかも。代表に相応しい戦いを見せてね!」

 

明久「雄二、あとはお願いするよ!」

 

雄二「任せてくれ。代表に恥じない戦い、見せてやるからな(グッ)」

 

僕たちがエールを送ると、雄二はサムズアップを返してフィールドへ向かって行った。

 

翔子「……正直最終戦までもつれ込むなんて、思わなかった」

 

雄二「俺も驚いているぜ。“ノイン・マイスターズ”にここまで渡り合うなんて予想以上だったからな」

 

翔子「……私もAクラス代表としての意地がある。だから、相手が雄二でも負ける訳にはいかない……!」

 

雄二「それは俺も同じだ、翔子!」

 

高橋「最終戦の科目は何にしますか?」

 

雄二「日本史でお願いします!」

 

雄二は日本史を選択した。これに全てが委ねられる。

 

高橋「最終戦は日本史です。用意……、始めッ!!」

 

雄・翔『『試獣召喚(サモン)ッ!!』』

 

 

 

 

日本史

 

Fクラス

 

坂本 雄二:515点

 

 

Aクラス

 

霧島 翔子:497点

 

 

泣いても笑っても、これが最後の一戦。頑張ってね、雄二!!

 

 

明久side out

 

 

 

 

 

 

 

雄二side

 

 

『『『な、何ィィィィィッ!!??』』』

 

『『『首席の点数を上回ってるなんて……』』』

 

『『『一体どうなっているんだ……』』』

 

明久のときと同じ様に、周囲の生徒たちが驚きの声を上げる。当然だろう、最底辺クラスの代表の点数が、学年首席の点数を上回っているのだから。

 

雄二「久々に勉強したが、案外できるモンなんだな……」

 

翔子「……雄二、それは……」

 

雄二「翔子、ガキの頃はよく勉強を教えてたよな? なら、これくらいはできて当たり前だからな……」

 

俺の召喚獣の装備は、白い改造学ランに大型のガントレットと典型的なインファイターだ。翔子の召喚獣は、赤地の入った武者鎧に日本刀を装備している。

 

 

雄二「みんなが俺を信じて送り出してくれた。その想いに応える為にも、俺は勝つ!!」

 

翔子「……なら私も全力で……!!」

 

“シュッ!!”

 

“キン、キン、キィンッ!!”

 

俺から攻撃を仕掛ける。翔子もそれを日本刀で受け流していく。

 

翔子「……時間は掛けない。早めに決める……! “腕輪発動”!!」

 

“ボン、ボン、ボンッ!!”

 

翔子が腕輪を発動させると、本体も含めた7体の召喚獣に囲まれた。

 

雄二「くっ、それが翔子の腕輪の能力か」

 

翔子「……そう、私の能力は“ミラージュ”。分身を生み出すチカラ。本物を当ててみて……?」

 

雄二「また厄介な能力だな……! そこか!」

 

“ブンッ!!”

 

“スカッ……”

 

雄二「何ッ!?」

 

翔子「……残念」

 

“ズバッ!!”

 

雄二「チィッ!」

 

 

 

 

 

 

Fクラス

 

 

坂本 雄二:391点

 

 

Aクラス

 

霧島 翔子:403点

 

 

俺の攻撃が空振りした隙を突いて、翔子が斬り掛かった。直撃は避けたが、中々に重い一撃を喰らう。

 

雄二「どうする……? どれが本物だ……?」

 

翔子「……雄二、攻めないの? なら、私から行く」

 

“ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ!”

 

そう言って翔子が攻める。相変わらず、分身に翻弄されてこっちの攻撃を当てることもできない。

 

 

 

 

 

日本史

 

Fクラス

 

 

坂本 雄二:264点

 

 

Aクラス

 

霧島 翔子:403点

 

 

気付けば260点台まで減らされていた。依然として翔子が優勢だ。

 

雄二「あの分身さえなんとかできればなぁ……。……ちょっと待てよ。そういえば攻撃されるときは必ず一方向からだったよな? つまり分身には攻撃能力はないって訳だ。ならば……、“捨て身”」

 

もし分身にも攻撃能力があったら俺に勝ち目はない。だが違うのなら、まだ勝機はある。そう考えた俺は、腕輪を発動させた。

 

雄二「翔子、掛かって来い。次の一撃で勝負をつけようぜ……!」

 

翔子「……雄二!」

 

雄二「早めに決めるんじゃなかったのか? 俺は長期戦に持ち込んでいいんだぜ?」

 

翔子「……そこまで言うのなら、乗ってあげる……!!」

 

翔子が分身たちを従えて、攻めてくる。俺は目を閉じて集中力を高める。目で見分けられないなら、気の流れを感じ取るまでだ。俺は翔子が斬り掛かるギリギリまで引き付けた。

 

翔子「……これで終わり」

 

そう言って斬ろうとするまさにそのときだった。

 

雄二「……ここだぁッ!!」

 

“ドゴォォォォォッ!!!”

 

翔子が斬るよりも先に渾身の一撃を浴びせる。その反動で俺もダメージを受けたが、急所にクリーンヒットして翔子の召喚獣が吹き飛ばされた。

 

 

日本史

 

 

Fクラス

 

坂本 雄二:84点

 

 

Aクラス

 

霧島 翔子:0点

 

 

高橋「それまで! 勝者、Fクラス・坂本雄二!!」

 

高橋先生が試合終了を告げる。この瞬間、Fクラスの勝利が確定したのだった。

 

 

to be continued……




はい、Aクラスとの一騎討ちはFクラスの勝利となりました。

前回の省太VSリオに比べると、少し、ダイジェストっぽくなっていましたね(汗)

次回はAクラスとの戦後対談です。
それでは、また次回にお会いしましょう!

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