今回は、弁当回となります。
タイトル考えるの難しい……。たまにタイトル詐欺になってないか不安になります。タイトル考えられる他の作者の皆様がすごいと思います……。
第16話です。どうぞ!
明久side
明久「優子さん、秀吉、みんなーッ!!」
省太「くそ、こんなことになるなんてよ……!!」
渚「何もできずに見ているだけだなんて……」
どこかの暗い空間。僕と省太と渚は十字状に拘束されて、黒ずくめ集団に囲まれている。仲間たちはみんなやられてしまい、残ったのは僕たちだけだ。
黒ずくめA「我らの勝ちだ吉井明久、反田省太、上運天渚。大人しく降参しろ」
省太「ふ。降参しろと言われて、はいそうですかって俺たちが従うと思っているのか」
渚「君たちの思い通りにはならないよ!」
明久「そういう訳だ。だから僕たちは屈しない!!」
黒ずくめH「流石は御三家。期待を裏切らんな」
黒ずくめB「だが貴様らは嫌でも我らに従うことになる。おい、例のモノを」
黒ずくめC「了解でございます!」
黒ずくめの手下が何かを持ってくる。それは……。
明久「うっ……。何? この匂いは!?」
黒ずくめA「これが貴様らの仲間に引導を渡したポイズン・クッキングだ!」
渚「……明久。ぼくもうヤバイ、これ想像以上だよ……」
省太「ああ、俺もだ……。意識が遠のいていく……」
明久「気をしっかり持つんだ、2人共! ここで僕たちが倒れたら……!!」
黒ずくめA「どんなに強がろうとも、この状況は覆せまい。己の無力さに打ち震えるのだ! ……やれ!!」
『『『『ハッ!!』』』』
抵抗も虚しく、物体Xが僕たちに迫ってくる。
明久「よ、よせ! やめろぉぉぉぉぉ……!!」
ここで僕の意識は途切れた。
“ガバッ!!”
明久「うわぁぁぁぁぁッ!! ……はぁ、夢か……」
夢だったことに一先ず安心するけど、妙にリアルだったので我ながら嫌な目覚めだった。支度を済ませ、朝食を摂って登校する。
省太「よう、明久……」
渚「……おはよ」
途中でいつものメンバーになったけど、今朝は2人もテンションが低い。
明久「おはよう省太、渚……。今日テンション低いね……」
渚「明久もでしょ……。一体どしたのさ……?」
こう聞かれたので、今朝の夢のことを話した。
省太「マジか……。俺もそんな感じの夢で目が覚めたぞ」
渚「……ぼくもだよ……」
明久「嫌なシチュエーションだったけど、夢で良かったね……」
省・渚「「(コクッ)」」
とはいえ何かの予兆のようにも思えてきたので、一応警戒しようということになった。
何事も無く午前中の授業が終わり、昼休みになった。
雄二「さて、昼飯にするか」
雄二がそう言って立ち上がると、みんなも後に続こうとすると、
瑞希「あ……あの、みなさん。私、お弁当作って来たんです。よかったら食べて頂けませんか?」
そう言って姫路さんが重箱を取り出した。
雄二「これ、食ってもいいのか?」
瑞希「はい。沢山作りましたから……」
雄二「それじゃあ屋上で食おうぜ。お前たちもいいよな?」
渚「いいよ♪」
省太「それなら、このみちゃんたちも呼んでいいだろ?」
雄二「構わない」
明久「じゃあ、早いとこ移動しようか?」
康太「(コクッ)」
この後、このみちゃんたちと合流して屋上へ移動した。
そして現在。屋上に到着し、ブルーシートを敷いて場所を確保した。幸いにも屋上にいるのは僕たちだけだ。
サヨ「準備できたから早く食べよー☆」
このみ「うん。私も楽しみだよ♪」
瑞希「では開けますね」
“パカッ”
男子勢「「「おおーッ!」」」
女子勢「「すごーいッ!」」」
姫路さんが重箱の蓋を開けると、中には唐揚げやフライドポテト、ベーコンアスパラ巻きにブロッコリー、エビフライやおにぎりが所狭しと並んでいる。
真夏「ウチより上手いやん……」
リオ「ホントね……」
真夏ちゃんとリオちゃん(名前でいいわよ♪ byリオ)が中身を見て感心している。
こうして見ると確かに美味しそうだ。……なのに……。
渚「(明久)」
明久「(渚。……言いたいことはわかるよ)」
渚「(うん。これはまるで……)」
省太「(今朝の夢に出てきたヤツか)」
明久「(多分。でもこの状況じゃ……)」
なぜだろう。この弁当からは得体の知れない何かを感じる。でも……、
瑞希「……? どうかしましたか?」
明久「姫路さん? ……いや、何でもないよ」
確証がないのでどうしようもない。とりあえずは全員分を取り寄せようとしたときだった。
“パクッ”
雄二「あっ、康太。フライングか?」
康太が唐揚げをつまみ食いした瞬間、
康太「ッ!!??」
“ガタッ”
その場で倒れた。顔まで青くなっている。
女子勢「「「「きゃああああッ!!!!」」」」
秀吉「康太! しっかりせいッ!!」
渚「(やっぱりアレは只の夢じゃなかったんだよ!)」
省太「(予知夢なんてフィクションの中だけだと思ってたけど、マジで見るなんて思わなかったぞ……)」
明久「(そんなことよりも、早く助けなきゃ!) 渚、AEDを持って来て。あと、工藤さんも呼んであげて!!」
渚「OKだよ、明久!」
工藤さんも連れてきて、すぐに康太の蘇生が始まる。目が醒めるまでは、工藤さんに康太の手を握ってもらった。そして……。
康太「う……。お、俺は一体……?」
康太が復活した。
愛子「康太くん!」
康太「愛子!? なぜここに!?」
愛子「なぜじゃないよ! ボク、すっごく心配したんだからね!!」
康太「……た、頼む。泣かないでくれ……」
工藤さんが泣きながら、康太に抱きついていた。本当に心配していたのがよく伝わる。
奈子「土屋くん、ちゃんと愛子にお礼を言ってね。目が醒めるまで君の手をずっと握っていたから」
康太「……そうだったのか。……すまない愛子、お前を悲しませてしまった」
愛子「康太くん……」
康太「……だが目が醒めたとき、最初に見たのがお前で良かった。側に居てくれてありがとう、愛子」
愛子「うん……ッ!」
漸く工藤さんが笑顔になった。やっぱり泣き顔じゃなくて笑顔なのが工藤さんらしい。
愛子「ところで、なんで康太くんは死線を彷徨っていたの?」
真夏「あのなー愛子ちゃん。原因はコレや」
工藤さんの疑問に、真夏ちゃんは重箱を指してこう言った。
愛子「コレが? 見た感じ、美味しそうな唐揚げだよ?」
渚「それを口にしちゃダメだ!!」
手を伸ばしそうになったのを渚が制止する。
明久「(……2人とも。もしかしなくても、コレはヤバイやつだよね)」
省・渚「「(コクッ)」」
明久「……姫路さん」
瑞希「はい! なんでしょうか?」
明久「コレに何を入れたのかな?」
できれば思い過ごしであって欲しい。そう願いながら聞いてみた。
瑞希「えっと、隠し味に……」
明久「隠し味に?」
瑞希「王水を入れてみました♪」
『『『『!!??』』』』
返ってきた言葉は、想像以上のモノだった。調味料を間違えたとかいう可愛いモンじゃない。
渚「味見はしたの……?」
僕が聞く前に渚が聞いてきたが、声のトーンが低い。顔は笑っているが、多分怒ってる。
瑞希「いえ、味見をすると太っちゃうので☆」
“カチンッ!!”
渚「ほほう……、つまりはアレか。自分で味見もせずに、生命の保証ができない食べ物と呼べないナニカを他人に食わせようとした……。その解釈でいいのかなぁ……?」
瑞希「渚くん……? 顔が怖いですよ……?」
渚「姫路さん、カモーン♪ 明久と省太も一緒に来て」
省太「お、おう……」
明久「やっぱり怒ってる……」
渚「みんなはここで待っててね♪」
そう言うと、姫路さんを連れて扉の向こう側へ行った。僕と省太も後に続く。
“パタンッ”
渚『姫路さんッ!! 君はここにいる全員を殺す気かぁッ?!!!』
瑞希『ご、ごめんなさいぃぃぃぃっ!!!!』
『『『『…………』』』』
※しばらくお待ちください。
あれからしばらくの間話を聞いてみると、料理が美味しくなるかもしれないと思ってやったのであり、悪気はなかったことがわかった。
省太「でも、流石に化学薬品は論外だぞ」
明久「そうそう。実際、康太が三途の川渡りかけたし」
渚「あとでみんなに謝ってね」
瑞希「はい……」
それから姫路さんはみんなに今回のことを謝罪した。悪気はなかったこと、見た目はバッチリなので普通に作れば美味しくなる余地はあることで許してもらえた。
明久「姫路さん、良かったら僕たちが料理を教えるよ。鍛え甲斐がありそうだからね」
渚「ぼくも協力するよ。せっかく形がしっかりしているんだからさ☆」
『『『ええっ!!??』』』
渚「なんだよそのリアクションは!! ちゃんと料理くらいするわ!!」
美波「渚って料理できたんだーって思ったから……ね」
優子「アタシも同じこと思ってたわよ……」
渚「君たちはぼくをなんだと思っているのさ?! チクショー!!」
省太「ゴメンゴメン渚、そう怒るなよ」
明久「僕たちが悪かったからさ」
憤慨していた渚を宥めてあれこれしている内にお昼時間も過ぎていった。姫路さんにも苦手なモノがあることがわかったのは収穫だったな。
ちなみに弁当だけど、予知夢(?)の影響で沢山作っていたから食べることはできたよ。
姫路さんの重箱? アレはFFF団が美味しくいただきました。その代わり、午後はダウンしていたけどね(笑)
to be continued……
はい、いかがだったでしょうか?
原作では料理の腕にもう改善の見込みがない瑞希に、今作では改善の余地アリという改変をしてみました。
さて次回から、清涼祭を開始します(予定)。
また遅くなるかもですが、気長にお待ちくださいませ。
では、次回にお会いしましょう!