黒幕が仕掛ける3度目の妨害は……?
第22話です、どうぞ!
明久side
召喚大会1日目の全試合を終えた僕たちは、再び中華喫茶へと戻って来た。お客さんがたくさん入ったり、妨害されたり、そしてまた増えたりと中々忙しい1日のこの日。また客足が緩やかになる時間が来たときのことだった。
渚「ねぇねぇ雄二。ぼく、また面白いこと思いついたけど、いいかな?」
雄二「ほぅ、それはなんだ?」
渚「ぼくたちはAクラスと合同出展でしょ? だから、FクラスとAクラスのメイドを入れ替えしてみてもいいかなって思うんだ☆」
渚が雄二に、メイド入れ替えの提案をしている。ちなみに、常夏先輩たちを追い払ったときのメイド服はまだ着けたままだ。案外評判が良かったのか、今日のラストまではこれで通すつもりらしい。
雄二「そうだな……。お前たちはどうだ?」
明久「良いと思う。Fクラスのみんなが喜ぶよ」
省太「アイツらがやる気になるなら、俺も同意見だ」
サヨ「サヨも! 和風の服、もう一度着けたいな♪」
瑞希「Aクラスのメイド喫茶を見てたら、着けてみたくなりました」
美波「ウチも! 中華喫茶とはまた違う感じで、楽しそうだし!」
秀吉「ふむ。みんなが良いなら、わしも賛成するかの」
康太「……(グッ)」
せっかくの合同出展だ、これくらいはやっておきたいとみんなが思っていたようだ。
雄二「よし、じゃあこれからAクラスに行くが……」
鈴音「えっと……、坂本くん」
雄二「ん? どうした、朝木?」
鈴音「もし良かったらだけど、私たちも手伝っていいかな?」
Aクラスに向かおうとした僕たちを、鈴音ちゃんが呼び止める。
明久「私『たち』?」
鈴音「そうだよ。ね、葉月ちゃん?」
葉月「はい! 葉月も、お兄ちゃんたちのお手伝いをするです!」
鈴音ちゃんと葉月ちゃんが助っ人を名乗り出た。気持ちはとても嬉しいのだけど……。
明久「ゴメンね。鈴音ちゃんは何とかなりそうだけど、葉月ちゃんの分がないんだよ……」
康太「……任せろ」
明久「康太!?」
僕が言ったのと同時に、ものすごい勢いで葉月ちゃんの分の衣装を仕立てていく。なんて早さだ。
康太「……できたぞ」
葉月「ありがとうです! エッチなお兄ちゃん♪」
康太「……礼には及ばない(キリッ)」
普通ならカッコイイハズなのに、締まらないと思うのは気のせいかな。
雄二「じゃあ、Aクラスに行くか」
Fクラスのみんなにこの場を任せて、僕たちはAクラスに向かった。ちょうどいいタイミングでAクラスも客足が緩やかだったので、渚の提案を霧島さんたちに話した。
翔子「……その提案、乗ってもいい」
真夏「せやな、こんくらいやってもバチは当たらんやろ。ウチも賛成したる、みんなもそれでええか?」
『『『『異議なーし!!』』』』
Aクラスのみんなとも了解は得られた。こう言っちゃ何だけど、より合同っぽくなったと思う。
真夏「ほんなら、早よ着替え行こか。サヨちゃん、美波ちゃん、瑞希ちゃん、鈴音ちゃん、葉月ちゃん、行くで♪」
サ・美・瑞・鈴・葉『『『『『(うんッ!) (はいッ!) (はいですッ!)』』』』』
リオ「じゃ、アンタたちは先に戻って待ってなさい」
こうして女子勢はAクラスの控え室へと向かって行った。
渚「秀吉、Fクラスのみんなが待ちくたびれてそうだから早く戻ろうか?」
秀吉「うむ。むさ苦しい環境じゃ、あやつらもやる気は出んじゃろ」
渚「そういうこと♪ すぐに戻ってやる気を戻してあげないとね」
秀吉「明久、省太、雄二、康太よ。わしらは先に行くからの」
そう言って秀吉と渚はFクラスへ戻って行った。
康太「……明久、省太」
明久「どうしたの、康太?」
康太「……渚のメイド服姿、写真に収めたい」
康太がこんなことを聞いて来た。噂によると、『中々姿を見せない謎の美少女』として話題になっているとか。それ程までに、渚の女装は完成度は高い。
省太「まぁ、OKしてくれるとは思うけど一声かけておけよ」
康太「……安心しろ。その辺の抜かりはない」
そして康太も教室へ戻って行く。この場にいるのは、僕と省太と雄二だけだ。
雄二「俺たちも戻るぞ」
明久「(コクッ) 今日1日色々あったけど、ラストスパートかけて頑張ろう」
省太「おう、そうだな」
雄二に促されて教室へと急ぐ。でも僕たちは知らなかった。この日最大の苦難が待ち受けていたことを……。
明久side out
優子side
明久くんたちと別れたアタシたちは、Aクラスの控え室で衣装チェンジをしていた。で、今回入れ替わることになったのは、Aクラスはアタシとリオで、Fクラスはサヨちゃんと姫路さんだった。衣装の入れ替えにみんなで盛り上がり、そろそろ行こうと扉を開けようとした瞬間……。
“ガチャ”
???「おッ。いっぱいいるじゃねぇか」
1人の不良が入って来た。見覚えのない人だったので思わず身構えてしまったが、毅然とした態度で話しかける。
優子「そこのアナタ? ここは関係者以外立ち入り禁止なんですけど、一体何の用ですか?」
不良A「なに、俺たちは君たちに用があるから来たんだよなぁ。おい、お前ら!!」
一斉に入って来た不良の仲間たちに、アタシたちはみんな取り押さえられてしまった。
不良A「良くやった、お前ら。さぁ、今から君たちは俺たちと一緒に来てもらうよ」
リオ「へぇ……。そう言われて、はいそうですかって聞くと思っているのかしら?」
不良A「まぁ、そう言うと思ったよ。ならこうしようか……、やれ」
“グッ”
奈子「くッ!」
このみ「奈子ちゃん!!」
リーダー格の男の指示で、奈子を押さえていた男がナイフを突きつけている。刃が肌に当たるギリギリのところだ。
不良D「できれば傷付けたくねーんだ。だからアニキの言うことは聞いた方がケンメイだぜ?」
優子「(明久くん……!)」
アタシたちは最大のピンチを迎えていた。
優子side out
リオside
私たちは不良に取り押さえられて、身動きが取れない状態にあった。全員が逃げられないなら、誰かにこのことを伝えてもらおうと思い、周囲を見回す。
リオ「(1番逃げられる可能性があるのは、真夏ちゃんと愛子ちゃんか。流石に私だけじゃ厳しいかも。……ねぇ奈子)」
奈子「(何、リオ?)」
不良たちに気付かれないように奈子を呼ぶ。
リオ「(ちょっと私に協力してくれないかしら?)」
奈子「(……わかったわ)」
言葉数は多くなかったが、奈子も私がやることを理解したようだ。不良たちが私たちへの注意をそらす瞬間を待った。
リオ「(今ね。行くわよ、奈子!)」
奈子「(OKよ、リオ!)」
“ゴッ!!”
不良G・L「「ゔッ?!」」
私たちを押さえていた不良の腹に強烈な肘打ちを入れて解放させ、その勢いで真夏ちゃんと愛子ちゃんの周りにいた不良たちを倒していった。
リオ「真夏ちゃん! 愛子ちゃんを連れて早く逃げて!」
真夏「リオちゃん! せやけど……!」
奈子「私たちも長くは持たないわ! あなたたちだけでも早く……!」
愛子「……わかったよ2人とも。必ず助けを呼ぶからね! 行こう、真夏ちゃん!」
そう言って愛子ちゃんは、真夏ちゃんと共に逃げていった。あとは2人に任せよう……。
不良A「やってくれたな姉ちゃんたち。だがまぁいい。2人減ったが人質は大量に確保できたからな。でも君たち2人は、ちょっとお仕置きが必要だねぇ。……お前ら、やれ」
不良H「わかった、アニキ。オラァ!」
“ドスッ”
リ・奈「「うっ……、かはっ、かはっ……」」
不良の仲間から腹パンを喰らい、みんなの呼びかける声が聞こえる中、私と奈子は痛みと共に気を失ったのだった。
リオside out
明久side
省太「おかしい……」
僕たちが教室に戻ってから10分以上が経過したときだった。省太が時計を見ながら、こう呟いている。
明久「みんなが気になる? 考え過ぎだよ……って言いたいところだけど、流石にちょっと時間がかかり過ぎかなぁ……」
久保「あっ、吉井くん!」
明久「久保くん? 何かあったの?」
久保「霧島さんたちが戻って来てないんだ。吉井くんたちの方はどうなのかなって……」
渚「うーん、ぼくたちの方もみんなまだ戻って来ないんだよね……」
雄二「一体どうなってやがる……」
そのときだった。
真夏「省太ー、明久くーん!!」
真夏ちゃんと工藤さんが、息を切らしてこっちにへ向かってくる。
省太「真夏、工藤さん。みんなはどうしたんだ、一緒じゃないのか?」
愛子「それがね……、いきなりやって来た不良たちに拐われちゃったの……」
明・省・雄・渚・久「「「「「な、なんだって(だと)!?」」」」」
真夏「リオちゃんと奈子ちゃんのおかげで、ウチらだけが逃げられたんや……」
2人はここに来るまでの一部始終を話してくれた。そこには、自分たちだけが逃げられたことを悔やんで涙する姿があった。
明久「なるほど。話してくれてありがとう真夏ちゃん、工藤さん。渚は秀吉を呼んで来て、いいね?」
渚「うん、わかった」
明久「……省太」
省太「みなまで言うな、明久。俺たちで助けに行く」
明久「そうだね。次は犯人の居場所を割り出さないと……」
遥祐「知りたい?」
明・省「「遥祐?」」
そこに遥祐が通りかかって来る。
雄二「神代! お前、ヤツらがどこにいるか知ってるのか?」
遥祐「(コクッ) ここから歩いて10分くらいのカラオケボックス店だよ。行くなら早くした方がいい、連中は何をやり出すかわからないからさ」
明久「ありがとう遥祐」
遥祐「困ったときはお互い様だよ。AクラスとFクラスのみんなには、オレが何とか言っておくからね」
こうしてる間に渚が秀吉を連れて来た。
秀吉「明久よ。渚から大方話を聞かせてもらった、わしも行こう。姉上のみならず、このみ殿まで危険に晒されたとあっては、見過ごすことはできん」
明久「決まりだね。省太、渚、雄二、秀吉。……行こうか」
省太「ああ。あの
渚「ふふ、そうだね。ケンカを売る相手を間違えたらどうなるのか、思い知らせなきゃね」
雄二「……完全にキレてるな、コイツら。だが気持ちはわかるぜ」
秀吉「うむ。残念じゃが、犯人共の自業自得じゃ……」
雄二と秀吉の言葉を尻目に僕たちは、みんなを助け出す手立てを考えるのだった。
to be continued……
いかがだったでしょうか?
次回は、この不良たちへの制裁となります。
では、また次回にお会いしましょう!