タイトルの通り、救出(とお仕置き)回となります。
あと、今更ですがお気に入りが20を超えていました。お気に入り登録してくださった読者の皆様、ありがとうございます。期待に応えているか不安ですが、頑張っていきます。
第23話です、どうぞ!
明久side
康太「……待て明久、省太」
康太が出発しようとした僕たちを呼び止める。
明久「康太?」
康太「……これを使え、中の様子がわかる。省太、お前ならやり方を知ってるハズだ」
渡されたのは盗聴器とノートPCだった。
明久「待って康太、それって犯罪にならないかな?」
康太「……手段を選んでいられないだろう。今は一刻も早く助けることを考えろ」
省太「……サンキュ。ありがたく使わせてもらうぜ」
康太「……大事に扱え。そして、彼女たちを無傷で救い出せ」
明久「わかったよ、康太」
康太「……証拠隠滅も忘れるなよ」
省太「(コクッ)」
雄二「んじゃ、行くか。お姫様たちを助けに……な」
そして僕たちは、目的地であるカラオケボックス店へ向かって行った。
明久「省太、中の様子はどうなってるの?」
省太「もう繋いであるから、見れるぞ」
カラオケボックス店に着いた僕たちは、連中がいる大部屋の隣の部屋で状況の確認をしていた。康太から教えてもらったことが、ここで役に立つのは皮肉だろうか。
明久「
省太「盗聴器を仕掛ける必要があるけど、できなくはないぜ」
渚「ならその役目、ぼくに任せて」
雄二「渚、大丈夫か?」
渚「大丈夫。こういうのは、ぼくが1番やりやすいからね」
明久「そう。じゃあお願いね、渚」
省太「無理するなよ」
渚「(コクッ)」
準備を済ませた渚は、連中がいる大部屋へ入って行った。それからしばらくして、
???『失礼します、灰皿を取り替えますね』
不良A『ありがとよ』
ウェイトレスが灰皿を取り替えたところから聞こえたので、それが渚だとわかった。
渚「お待たせ、ちゃんと仕掛けたよ」
明久「ありがとう渚。じゃあ聞いてみようか」
渚も戻って来たので、連中の会話を聞くことになった。
不良E『さて……、吉井と反田だったな? この娘たちを人質に呼び出すか?』
不良J『待て。2人のことは知らないが、ヤツらの仲間の坂本まで連れて来られたらマズイ。中学時代は有名だったからな』
不良N『あと、上運天とか言うチビもな』
不良J『ああ。ソイツらまで来てほしくないぜ』
不良A『まぁ、気持ちはわかるがそうもいかないだろ? 依頼はその2人を乱すことだからよ』
不良H『そ、そうだなアニキ』
間違いない。
雄二「明久、省太。お前たちならすぐにでも行くかと思ったが、結構落ち着いているな」
明久「本当はそうしたいけど、連中の意識がみんなに向くのを待っているのさ」
省太「中途半端に殴り込みをかけたら、逆にみんなを危険に晒す。だから冷静になっているだけだ……」
秀吉「なるほどの……」
実際そうだ。拐われたって聞かされた時点でボコボコにしたいってのが本音だけど、タイミングがあるからね。
サヨ『お願い、奈子ちゃんとリオちゃんの縄を解いて!』
不良B『んー、それはできない相談だな。この2人に暴れてもらっちゃ俺たちが困るからねぇ』
鈴音『そんな……ッ』
不良K『なぁアニキ。この嬢ちゃんたち、ヤっちゃっていいのか?』
不良A『それなら俺が先だ。この黒髪の娘からな』
不良C『じゃあ俺は、ショートヘアの方ね!』
奈子ちゃんとリオちゃんは縛られて、霧島さんとこのみちゃんが狙われているのを見て、僕たちは激しい怒りの表情になる。コイツら、みんなに傷をつけたらマジで許さない!!
優・サ『『やめなさい(やめて)! 2人に手を出さないで!!』』
翔・こ『『優子(サヨちゃん)!!』』
優子さんとサヨちゃんが霧島さんとこのみちゃんを庇うように前へ出た。不良たちの注目がそっちへ向く。
不良I『お友達を庇っているのかい? いいね〜、美しい友情だよ』
不良A『じゃあ、君たちが代わりにやってくれるんだな?』
優子『そ、それは……』
不良A『まさか、できないっては言わないよね〜? ……お前ら!』
不良たち『『『『わかったぜ、アニキ!!』』』』
“ガシッ”
優・サ『『や、やめて! 離してよ!』』
翔・こ『『優子(ちゃん)!!』』
鈴・瑞・美・葉『『『『サヨ(ちゃん) (お姉ちゃんたち)!!』』』』
不良A『おっと、下手に動かない方がいい。ケガするよ?』
優子さんとサヨちゃんが何人かに押さえられた。正直、僕と省太はもう限界だ。
優子『い、いや……』
サヨ『助けて……』
優・サ『『明久(省太)くん……!!』』
この言葉を聞いた瞬間すぐに、僕と省太は大部屋に突入していた。
“バァンッ!!”
「「「「「な、なんだお前らは?!」」」」」
明・省「「オラァァァッ!!」」
“ドガァッ!!”
不良J・F・D・I「「「「ごぺッ?!!」」」」
優子「明久くん……!」
サヨ「来てくれたんだね……!」
突入と同時に押さえていたヤツらを殴り倒す。とりあえず2人にケガがなかったのは良かったけど、ぶっ飛ばすことに変わりはない。
明久「僕たちが来たから、もう大丈夫だよ……」
省太「さて……。随分と好き勝手やってくれたな、テメェら!!」
明久「タダで済むとは思わないことだね。覚悟してもらおうか!!」
不良H「アニキ、コイツらだ! この2人が吉井と反田だぜ!!」
不良A「怯むな、たかだか2人だけだ! 大したことはない!」
省太「は、2人? 違げぇよ、バカ!!」
“バキャッ!!”
不良B・G・E「「「おごッ!!」」」
雄二「……ったく! 勝手に突っ込むなよ明久、省太!!」
渚「仕方ないよ、あんな風にされたら黙ってられないよね!!」
秀吉「当然じゃ!!」
省太の言葉と共に、雄二と渚と秀吉も不良を殴り飛ばしながら入って来た。これで多少なりともやりやすくなる。
翔子「雄二!」
このみ「秀吉くんと渚くんも!」
雄二「すまねぇ翔子! 来るのが遅くなった!」
秀吉「姉上とこのみ殿、みんなにケガがなくて良かったのじゃ!」
渚「ぼくたちが来た以上、勝手なことはさせないから!」
不良C「さ、坂本だ! 悪鬼羅刹の坂本が来やがった!!」
不良M「もう1人は知らねえが、上運天までいやがる!」
明久「みんな揃ったね。さぁ、始めようか」
省・雄・渚・秀「「「「ああ(うん) (うむ)」」」」
“ドガッ、バキッ、ボコッ!!”
僕たちは残った不良たちを倒していく。ソイツらが少なくなったのを見計らって、秀吉が奈子ちゃんとリオちゃんの縄を解いた。もう一度確認してもらったが、ケガはなかったようだ。
明久「残りは君だけだ、大将さん」
省太「俺たちにケンカを売った時点で、アンタの負けは決まっていたんだよ」
不良A「ク、クソッ! こうなったら……! おい、そこの嬢ちゃん!!」
このみ「きゃッ!」
不良A「この娘を返して欲しかったら、おとなしくしていろ。さもないと痛い目に……」
秀吉「遭うのは貴様じゃ、愚か者め!!」
“バキィッ!!”
不良A「うげッ!!」
追い詰められたリーダー格の不良は、このみちゃんを盾にしようとしていたが、秀吉が隙を突いて取り戻す。全員仕留めたから、これで一安心だ。
秀吉「大丈夫かの、このみ殿?」
このみ「うん。ありがとう、秀吉くん」
渚「奈子ちゃん、リオちゃん、良かったぁ……。ぼく、2人がキズモノにされたんじゃないかって、すごく心配だったよぉ〜……」
奈子「大丈夫よ、渚くん。私とリオはこう見えて、ヤワな鍛え方はしてないからね」
リオ「もう、大袈裟なんだから。でも、心配してくれたのは嬉しかったわよ」
雄二「翔子、お前を危険に晒してしまってすまねぇ。俺もまだまだだ」
翔子「……でも、来てくれるって信じてた」
雄二「ありがとう、翔子……」
渚たちがみんなに言葉をかけていく。そして僕たちも、優子さんとサヨちゃんの側に近寄る。
明久「拐われたって聞いたときはすごく焦ったけど、無事でいてくれて良かったよ」
省太「ああ。もしケガでもされていたら、俺たちは自分を許せなくなっていたからな」
声をかけると、2人が体を震わせているのに気付く。
明・省「「優子さん(サヨ)?」」
優・サ「「うわああん、明久(省太)くぅん!!」」
“ギュッ”
明・省「「うわッ?!」」
優子「明久くんがあのとき来てなかったらアタシ……、アタシ……ッ」
サヨ「(ぐすっ) 怖かったよぉ〜……」
今まで我慢していたのを吐き出すかのように、優子さんとサヨちゃんも僕たちに抱きついて来る。
明久「ゴメンね優子さん。怖かったよね……」
省太「もう大丈夫だからな? サヨ……」
鈴音「良かったわねサヨ。流石省太くん、私の“元”フィアンセね」
瑞希「吉井くんと木下さん、とてもお似合いな気がします……」
美波「なんか、妬けちゃうな……」
葉月「羨ましいです、お姉ちゃんたち……」
この光景を見た鈴音ちゃんたちがかけた言葉を耳に、優子さんとサヨちゃんが落ち着くまで、僕たちは2人を抱きしめていた。
〜10分後〜
雄二「そろそろ学園に戻るか。明久、省太、行くぞ」
明久「先に戻っていいよ、雄二。渚と秀吉も連れて行って」
省太「俺たちは
雄二「わかった。秀吉、渚、先に行くぞ」
渚「りょーかい」
秀吉「承知したのじゃ」
省太「みんなを頼む」
雄二「任せとけ(グッ)」
雄二がみんなを連れて、カラオケボックス店を出て行くのを確認する。さて、リーダー格の男には色々と聞かなきゃね。
省太「起きろ」
不良A「う……、なんだ……?」
省太がリーダーを叩き起こす。もちろん暴れてもらっては困るので、全員縄で縛っている。
明久「今から僕たちの言うことにちゃんと答えて。答えをはぐらかしたりしたら、君の傷が増えるからね」
不良A「わ、わかった……」
省太「まず1つ。あの娘たちを拐ったのはなぜだ?」
不良A「た、頼まれたからだ。お前たち2人と親しい女子生徒を拐えってな」
明久「拐ったあとのことは、何て言われたの?」
不良A「好きにしてくれても構わないと。拐ったあとは彼女たちがどうなろうと知ったことではない、とな」
この発言を聞いたときは心底怒りを覚えた。自分の野望の為に、生徒に危害が加わるのを厭わないなんて……。
明久「拐う理由は言ってた?」
不良A「詳しくは知らないが、学園長の座がどうこうとか言ってたと思う」
省太「これで最後だ。お前たちに依頼した人物の名前は?」
不良A「竹原という男だ」
省太と顔を見合わせる。今までは限りなく黒に近いグレーだったけど、これでほぼ確定だ。
明久「さあ、君たちの選択肢は2つ。このまま警察に突き出されるか、金輪際彼女たちに近づかないことと引き換えに、お咎めなしとするかだ」
不良A「……」
明久「報復しようと思っているのなら、その考えは今すぐに捨ててね。これまでの流れは全部録音済みだから」
省太「今度、彼女たちの前に姿を見せた時点で警察に突き出す。それか社会的に抹殺する」
明久「わかったのなら、もう僕たちの前にも姿を見せないでね。……次は命の保証はしないから」
不良A「わ、わかった……」
リーダーが自分で解けるくらいに縄を緩めて、僕たちもカラオケボックス店を後にする。
省太「明久。今回のことは学園長と話をするべきだと思うけど、どうだ?」
明久「そうだね、強硬手段使った訳だし。でも、とりあえずは中華喫茶だ。みんなが待ってる」
省太「ああ。早いとこ行こうか」
そして僕たちは学園に向けて走って行った。
to be continued……
いかがだったでしょうか?
できればでいいのですが、感想等も頂けると幸いです。どんなことでも構いません、読者の皆様の声を聞かせてください。
ではまた次回、お会いしましょう!