決勝トーナメント第2戦の話ですが、少し短めとなります。
久々に平賀くんの登場回。
第25.5話です、どうぞ!
平賀side
すみれ『決勝トーナメント第2試合の準備をいたします。選手のみなさんは今しばらくお待ちください』
平賀「ついにここまで来たのか……」
俺は玉野さんと一緒に控え室で待機していた。今の実力を試す為ではあったが、ここまで勝ち進むんだのは自分が1番驚いている。
玉野「緊張してますか、代表?」
平賀「ああ、大舞台まで進んだんだ。緊張くらいするさ」
そもそも試験召喚大会に出場した理由はFクラスとの敗戦がキッカケだ。設備は奪われなかったとはいえ、俺の失態でみんなに迷惑をかけた。このままでは代表として示しがつかない。
そう考えた俺は今まで以上に勉強に打ち込んだ。Fクラスの彼らだってできたのなら、俺にだってできるハズだ。
すみれ『では続きまして、決勝トーナメント第2試合を開始いたします! 選手のみなさんは入場してください!!』
選手入場のアナウンスが流れる。ここまで来たら全力でやるだけだ。
西村『西side。2年Dクラス、平賀源二! 玉野美紀!』
平賀「良し……。行くぞ、玉野さん!」
玉野「お供しますよ、代表!」
俺たちはバトルフィールドに立つ。観客席から大きな声援が響いているのを肌で感じ取る。対戦相手は誰なのか……。
西村『続いて東side。2年Aクラス、佐々木奈子! 2年Fクラス、上運天渚!』
立ちはだかったのは、今の俺にはとても大きな壁だった……。
平賀side out
渚side
西村『東side。2年Aクラス、佐々木奈子! 2年Fクラス、上運天渚!』
渚「行こう奈子ちゃん。どんな相手でも全力で!!」
奈子「ええ、もちろん!!」
ぼくたちの対戦相手は平賀くんと……、玉野さんだった。マジかよ、今の姿玉野さんに見せたくなかったのに。
玉野「あ、ナギちゃんだ! やっと私の想いに気付いてくれたのね!」
渚「玉野さん、なんか勘違いしてない? この格好は宣伝の為にやってるのであって、断じて君の為ではないよ」
和風メイド服に身を包むぼくを見るなり、テンション高めで話しかけて来る。
玉野「どんな理由でも、可愛い服着てるだけで私にとってはご褒美なの! 私が勝ったらナギちゃんに新しい服着せてあげる♪」
ダメだこりゃ。この様子だと、ぼくの言うこと聞きそうにない。絶対後から着せ替え人形にする気満々だ。
平賀「あぁ……。なんかゴメン、渚」
渚「良いよ。気にしないで、平賀くん」
玉野さんの暴走を平賀くんが詫びた。別に彼が悪い訳じゃないのに、こっちが申し訳ない気持ちだ。
奈子「大変そうなのははわかるけど、集中してね渚くん。油断が1番の敵だからね」
渚「ありがとう奈子ちゃん。少し冷静になれたよ」
奈子「どういたしまして(ニコッ)」
西村「対戦科目は地理。用意……始めッ!!」
渚・奈・平・玉「「「「
地理
Aクラス
佐々木 奈子:586点
Fクラス
上運天 渚:539点
Dクラス
平賀 源二:283点
玉野 美紀:197点
ぼくたちは召喚獣を呼び寄せた。平賀くんの召喚獣は王道の勇者と言った姿で、玉野さんは弓道着と弓矢を装備した遠距離型だ。奈子ちゃんはこれまで通りで、ぼくはいつもの装備に肘当てと膝当て、2丁のサブマシンガンを腰にマウントしている。ついでに言うと、メイド服を着ているのでぼくの召喚獣は、所謂男の娘と言った姿だ。
渚「奈子ちゃん、玉野さんをお願い。ぼくは平賀くんと戦う」
奈子「わかったわ。玉野さん、悪いけど決めさせてもらうわよ」
玉野「くッ……。容赦ないね、佐々木さん」
連携を取られる前に、玉野さんを封じた。さてと……。
“バッ!!”
“ガギンッ!!”
渚「始めるよ平賀くん、ぼくが相手だ!!」
平賀「やるしかないか……! 行くぞ渚!!」
平賀くんのバスタードソードと、ぼくのブレードトンファーがぶつかり合う。どちらも闘志全開だ。
渚「たあああッ!!」
平賀「でええいッ!!」
“キンッキンッキィンッ!!”
渚「やるね平賀くん。何が君をそこまで強くしたのかな?」
平賀「お前たちFクラスに敗北したからだ。あの敗北から俺は自分を見つめ直すべく頑張って来た。代表として強くある為に」
平賀くんの目は活気に満ちていた。それは正に覚悟を決めた男の顔と言えた。
平賀「だから負けるとわかっていても、無様な戦い方はしたくない! 渚、刺し違えてでもお前を倒す!!」
渚「……わかった。それなら来てごらん」
平賀「(コクッ)」
距離を取ったぼくと平賀くんは、得物にありったけのエネルギーを込めて構える。
“ギュンッ!!”
渚・平「「うおおおおおおッ!!!!」」
“ドォォォォォォンッ!!”
そして最後に立っていたのは………。
渚「ぼくの勝ちだね」
平賀「くそ……ッ」
地理
Aクラス
佐々木 奈子:561点
Fクラス
上運天 渚:428点
Dクラス
平賀 源二:0点
玉野 美紀:0点
ぼくの召喚獣だった。
渚side out
平賀side
西村『それまで! 勝者、2年Aクラス佐々木奈子! 2年Fクラス上運天渚!』
『『『『『うおおおおおおおおおおおッ!!!』』』』』
すみれ『第2試合の勝者は佐々木選手、上運天選手のペアでした』
遥祐『実力で劣っていても、気持ちは負けないように立ち向かう姿は立派だと思いますよ』
勝敗が決まって、渚と佐々木さんが近くに来た。
平賀「わかっていたが、敵わないな……」
渚「そうかもしれないね。でも平賀くん、君がぼくに敵わないと思ったように、ぼくも敵わない人がいるんだよ」
平賀「そ、そうなのか?」
渚「(コクッ) 例えば、パートナーを組んでる奈子ちゃんがね」
奈子「渚くん……」
渚「悔しかったら、もっと実力を磨いて。ぼくはいつでも相手になるから」
平賀「……わかった、今日からお前は俺の目標だ。いつか勝ってみせる」
渚「その意気だよ。もちろん、ぼくもタダで勝たせる気はないから覚悟してね」
“グッ”
俺と渚は握手して、この先も互いに切磋琢磨することを誓い合う。この後玉野さんがちょっと暴走していたが、どうにか落ち着かせた。渚も苦労してるんだな。
この日、俺に新たな目標ができた。
to be continued……
いかがだったでしょうか?
平賀くんの登場回数が少ないので、急遽書いた回です。
渚という目標ができた平賀くんは、この先代表として相応しくなれるかどうか……。それは彼次第ですね。
さらに加熱していく試験召喚大会。次は準決勝を予定しています。
では、また次回にお会いしましょう!