送られて来たオリキャラをどうやってストーリーに組み込むのか考えていたら、執筆が遅れていました……。お待たせして申し訳ありません(汗)
今回は容疑者・山田健二さん、XD002さんのオリキャラが1人ずつ、檮原さんのオリキャラが2人、新たに登場します!
初めての方も待っていた方も、是非見てくださいませ!
第31話です、どうぞ!
第31話 想定外の出会い
明久side
明久「ヤバイ、遅刻する!」
ある朝、僕は走って学校へと向かっていた。普段なら早起きしてとっくに着いているものだが、この日に限って寝坊をしてしまい、現在に至る。ちなみに省太と渚には、遅くなるかもしれないと連絡してある。
目の前の曲がり角に差し掛かる。ここを曲がれば、あとは真っ直ぐの道を駆け抜ければ良い。……そう思っていたときだった。
“ゴンッ!”
明久「うわッ!?」
???「あうッ……」
曲がった直後に、艶のある長い黒髪をポニーテールに纏めた少女……のような少年にぶつかった。ぶつかった衝撃で、お互い地面にへたり込む。
明久「ゴメンね、急いでて前を見てなかったんだ……」
???「気にしないで、わたしは大丈夫だから。それよりも、キミは吉井……明久くんだっけ。キミも大丈夫だった?」
ぶつかったことを謝ると、彼は僕を気遣ってくれた。でもなんで名前を知っているんだろう? 僕、名乗ってないハズだけど……。
???「なぜ、名前を知ってるのかって顔をしてるね。キミは文月学園の生徒の中でも、有名人だからね。知らない人なんていないよ」
明久「そ、そうなんだ? それで、君は……」
彼も僕と同じ文月学園の制服を着用しているので、話を聞こうとすると、こう答える。
???「時間がない。早くしないと遅刻しちゃうよ」
明久「あ! そうだった!」
???「秘密の抜け道を知ってるよ。わたしと一緒に行こう」
明久「う、うん」
半信半疑だったけどこのままだと遅刻するので、言われるがままについて行った。
???「不安なの? 大丈夫、ちゃんと着くからね」
僕が考えていることを見透かすかのように、彼はこう答える。それからしばらく進んで行くと、文月学園の校門にたどり着いた。
???「ね? わたしの言った通りでしょう?」
明久「本当だ。ありがとね、君のおかげで間に合ったよ」
???「ふふっ、どういたしまして(ニコッ)」
そう言って彼は優しく微笑んだ。正直、彼が女の子だったら速攻で落ちてたと思う。……でもダメだ、僕は優子さんが好きなんだ! そう自分に言い聞かせた。
???「早く教室に行って。キミの友達が待ってるよ」
明久「君は行かなくて良いの?」
???「わたしは後から行く。……安心して? また会えるから」
明久「う、うん。じゃあまた」
ここで彼とは別れる。校舎に入るまで、彼は僕を見送っていた。……まだ名前聞いてなかったな……、でも会えるって言ってたから良いか。そう考えながら教室へ向かった。
省太「よっ明久。珍しいな、お前がギリギリだなんてよ」
渚「うんうん、でも間に合って良かったよ☆ あ! そういえば今日、転入生が来るんだってさ」
明久「転入生が?」
この間鈴音ちゃんが転校して来たばかりなのに、一体どうなっているのだろう。それよりもあの子はちゃんと自分のクラスに着いたのか? 会えるっては言ってたけど、HRが始まるまで僕は彼のことを考えるのだった。
西村「おはよう、お前ら。さて、話を聞いたヤツもいると思うがこのクラスに転入生が来る。朝木のときもそうだったが、これから共に学ぶ級友だ。仲良くするように」
『『『『『はーい』』』』』
西村「では、入って良いぞ」
“ガラッ”
???「失礼します」
入って来た生徒を見て僕はハッとする。それは一緒に登校したあの少年だったからだ。
レイ「今日からFクラスで学ぶことになりました。藤堂レイと申します、これからよろしくお願いします」
藤堂……、思い出した。確か学園長の孫が文月学園の生徒だと聞いていたけど、目の前にいる彼がそうだったのか。
「「「「「よろしくぅぅぅッ!!!」」」」」
そんなことを知ってか知らずか、(一部を除く)Fクラスの生徒たちは鈴音ちゃんのときのように、野太い歓声を上げる。
一応彼は男子なのだが、コイツらは容姿が可愛ければたとえ男子であっても受け入れるようだ。
レイ「……また会えたね、吉井くん」
明久「う、うん。僕も会えて嬉しいよ」
僕の存在に気付いた藤堂くんが、近づいて挨拶して来る。
FクラスD「吉井ぃぃぃ! キサマぁぁぁッ!!」
FクラスG「この可愛い子ちゃんと知り合いなどとぉぉぉッ!!」
須川「よし、とりあえず死刑ッ!!」
その様子を見た須川くん率いるFFF団が、襲って来ようとする。ちょっと話しただけでここまでするかなぁ?
省太たちは「また始まった……」って顔してるし、渚とかむいちゃんは紅いオーラを放っている。
渚「かむいちゃん。
かむい「ええ渚くん。
『『『『『やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!!』』』』』
“バキッ、ドガッ、ボコッ”
「「「「「ちーん……」」」」」
渚とかむいちゃんがあっという間に制圧する。かむいちゃんが気持ち派手にやっていたが、ちゃんと生きているようで少し安心した。
渚「西村先生。
西村「ふむ……、これでは授業にならんからな。俺はコイツらを補習室に連れて行くから、お前たちは自習だ。それから上運天、織幡妹」
渚・か「「はい、西村先生」」
西村「お前たちが友人思いなのはわかるが、ほどほどに頼むな?」
渚・か「「善処します」」
そう言って西村先生は、僕たち以外のクラスメイトを担いで補習室へと向かって行く。この状況を見た藤堂くんは唖然としている。
レイ「ねぇ、今のは……」
省太「気にしなくていい。
レイ「そ、そう……」
Fクラスの悪い部分を見せたことに、省太が申し訳なさそうな表情でこう言った。
瑞希「あ、あの……。レイちゃん……、ですか?」
レイ「そうだよ、みーちゃん。Fクラスに行ったって聞いたけど、元気そうで良かった」
瑞希「はい、皆さん良い人たちですよ♪」
明久「藤堂くんって、姫路さんと知り合いなの?」
レイ「うん、小学生の頃からだよ」
話を聞いたところ姫路さんとは幼馴染で、Fクラスの中では唯一付き合いがあるそうだ。で、改めて彼の口から自分が学園長の孫だと言うことを教えてくれた。
渚「そういえばAクラスの一騎討ちのときに、姫路さんを応援するかのように見ていた子がいたけど、それが藤堂くんだったのか」
サヨ「でも本当はAクラスにいたんだよね? どうしてFクラスになっちゃったの?」
学園長「それはアタシが教えてやるさね」
『『『『『学園(ババァ)長(おばあちゃん)?』』』』』
サヨちゃんの疑問に答えるかのように、学園長が教室にやって来る。藤堂くんがおばあちゃんと呼んでいたが、それはもう周知の事実なのでみんな驚かなかったようだ。
学園長「レイちゃんには、アタシの助手たちに混じって試験召喚システムの調整と、メンテナンスの手伝いをしてもらっていたのさ。今年は近年でも稀に見る高得点者……隠れAクラスの生徒が多いからねぇ」
レイ「それでシステムの過負荷を防ぐ為に、わたしが全生徒の召喚獣の調整を担当していたの。ちなみに、吉井くんと反田くんと上運天くんの召喚獣を再調整したのもわたしだよ」
省太「そ、そうだったのか……」
明久「ありがとう、藤堂くん」
レイ「どういたしまして(ニコッ)」
またあの笑顔だ。男なのに反則だよ、アレは。
学園長「数日前もシステムメンテナンス中に原因不明のバグが起きてね、レイちゃんのデータがFクラスに書き換わってしまったんだよ。どうにか修正を試みたけど、上手くいかなかったのさ」
学園長の言葉を聞いて、みんなが複雑な表情を見せる。
雄二「ったく、それでFクラスになっちまうなんてな。ババァ長、自分の孫が大切ならそんなことやらせるなよ」
レイ「やめて坂本くん! これはわたしが自分で進んでやったことだから。おばあちゃんを責めないで、お願い……」
雄二「おう……。何も知らずにそんなこと言ってすまなかったな、藤堂」
レイ「大丈夫だよ、坂本くん」
学園長「そう言う訳だから、アンタたちにはアタシの孫をFクラスの生徒として、仲良くしてやってもらいたいんさね」
『『『『『もちろんです、ちゃんとやりますよ』』』』』
学園長「良い返事だ。じゃあレイちゃんのこと、よろしく頼んだよ」
学園長はそう言うと、Fクラスの教室を後にした。
その後みんなと自己紹介をし合って、これから共にする
美波「それにしても災難だったわね、レイ。こんなクラスに来ちゃうなんてね」
レイ「そうでもないよ、美波ちゃん。西村先生に連れて行かれた人たちは知らないけど、ここにいるみんなは良い人だし、何よりみーちゃんがいるから不満はないよ」
瑞希「レイちゃん……」
レイ「みーちゃん……」
2人が見つめ合ってすごく良い雰囲気になっていた。当然だ、幼馴染が再び一緒になれたというのはやはりロマンがある。
雄二「……すまんレイ、姫路。その桃色空間、閉まってくれないか?」
レイと姫路さん以外のみんなが「お前が言ってどうするの」という反応だったが、流石にいつまでもこの状況はいけないので、現実に戻ってもらった。
レイ「おっと! ごめんね、みんな。何はともあれ、これからよろしくね♪」
それから僕たちは軽く雑談を交えつつ、自習に励むのだった。
〜放課後〜
1日の自習を終えて帰り仕度をしていた頃、4人の男女がFクラスへやって来た。
???「よう、レイ! 元気か?」
???「心配だったけど、大丈夫そうね」
レイ「あっ! 剣聖くん、楓ちゃん!」
かむい「楓姉様!」
声を掛けて来た男子生徒は、
横溝「ウッヒョー、楓ちゃんと真愛ちゃんキター!!」
『『『『『イェェェーイ!!!!』』』』』
楓・???「「きゃっ!?」」
???「真愛ッ!」
かむい「また
剣聖「待てかむい、七島。ここは俺に任せろ」
かむい「剣聖くん……。……わかったわ」
???「(コクッ)」
楓ちゃんともう1人の女子生徒が視界に入ってテンションが上がるFFF団を、かむいちゃんが粛正しようとしたのを剣聖が止める。今度は彼が相手をするようだ。
須川「おのれ、御剣剣聖! 我らの邪魔をするな!!」
FクラスM「邪魔するならば、キサマから処刑してやる!!」
『『『『『サーチアンド・デース!!!』』』』』
剣聖「流石に数が多いな」
省太「
剣聖とFFF団が対峙する中、省太がフィールドを展開させる。模擬試召戦争を仕掛けるつもりらしい。
省太「剣聖、力貸すぜ!」
剣聖「ああ。よろしく頼むな、省太!」
FクラスD「反田、キサマ邪魔する気か!」
省太「どう考えても
省・剣「「
『『『『『チクショー、
情報
Fクラス
反田 省太:879点
Aクラス
御剣 剣聖:562点
Fクラス
須川率いるFFF団×40:平均97点
展開していたフィールドは情報で、魔法陣から召喚獣が呼び寄せられる。
剣聖の召喚獣はゴー◯イジャーのマー◯ラスに似ていて、服装もそれに準じている。……本人が似ているからそうなんだけど。武器は右手にゴー◯イサーベル、左手にゴー◯イガンを装備していた。
省太「剣聖、その点数どうしたんだ? お前の実力ならもっと取れるだろ?」
剣聖「あんま目立ちたくないからな。まぁでも、
省太「かもな。でもいつかは本気出せよ? まともに戦える生徒が少ないからさ」
剣聖「わかってるぜ」
須川「何をゴチャゴチャと……。行くぞ我が同志よ!!」
『『『『『おぉーッ!!!』』』』』
数に任せて特攻を掛けるFFF団。この2人には無駄だけど。
剣聖「さっさと終わらせるか、省太」
省太「良いぜ……」
剣聖「“ゴーカイブラスト”!!」
省太「“メガ・ブラスター”!!」
「「「「「うわぁぁぁッ!!!」」」」」
剣聖と省太が腕輪を発動し、高出力ビームと炎のエネルギー弾を浴びせて、FFF団の召喚獣を全員戦死させた。あ、これは多分……。
西村「戦死者は補習ぅぅぅぅッ!!」
「「「「「また補習かよォォォォォッ!!!!!」」」」」
またこのパターンだった。西村先生が本日2度目の補習室へと連行して行くのを見て、そろそろ学習して欲しいとみんなが思った。
“コンッ”
省・剣「「上出来ッ!」」
???「ありがとうございます……」
楓「助かったわ。剣聖くん、省太くん」
???「相変わらずの強さだね、2人共」
省太「お前は?」
真郷「おっと、自己紹介がまだだったね。僕は
真愛「お、
残る男子生徒の七島真郷くんと、女子生徒の奥宮真愛ちゃんがそれぞれ自己紹介をする。その流れで僕たちも自己紹介をしていった。
真郷「実際に会ってみると、やっぱり違うものだね」
雄二「ん? どういうことだ?」
真郷「実は僕、
渚「そ、そうだったんだ……」
無理もない。理由があったとはいえ、試召戦争を何度も起こして良い印象を抱けと言うのは難しいだろう。でもこうして誤解を解かれるのは、やはり嬉しい。
真郷「中でも特に君に会ってみたかったんだよ、吉井くん」
明久「僕に?」
真郷「そう。『僕たちは目の前の友達を見捨ててまで試験を受けるつもりはありません』……君は振り分け試験の時にこう言ってたよね? その優しさは君の長所だと僕は思うよ。だけどこれから先、それが原因で誤った選択をしてしまうかもしれない。これだけは覚えていてね」
明久「……心に留めておくよ」
七島くんの真剣な眼差しに、僕はこう答えることしかできなかった。
真郷「君たちに会えて良かったよ、また明日学校でね。行くよ、真愛」
真愛「う、うん。真郷くん」
剣聖「どうした七島。せっかくだし、ゆっくりして行こうぜ?」
真郷「いや、真愛との時間を大切にしたいんだ。だからまた今度ね」
真愛「み、皆さん。また、会いましょう」
楓「ご機嫌よう真愛ちゃん、七島くん」
七島くんと奥宮さんはそう言って先に帰って行った。
しばらくして優子さんや真夏ちゃんたちも加わって、下校時間になるまで雑談で盛り上がった。
下校時間になりみんなと別れて、省太と一緒に下校していたときのこと。
明久「ハァ……」
省太「どうした明久?」
明久「省太。僕、ちょっと考えてたことがあるんだ」
省太「……七島が言ってたことか?」
明久「(コクッ)」
優しさが原因でいつか誤った選択をするかもしれない。……この言葉がどうしても頭から離れなかったのだ。
省太「あのな明久。前にも言ったと思うけど、誰が何を言おうとお前はお前だ。七島が言ってたことも正しいが、もしお前が間違えそうになったら俺が全力で止める。いや、俺だけじゃない。渚も雄二も秀吉も康太もみんなも、そして優子さんが支える。だから心配するな、お前らしくやれば良い」
明久「省太……。ありがとう」
省太「俺とお前の仲だろ? (ニッ)」
省太が親友で本当感謝だよ……。この言葉でとても救われた気がする。……良し決めた。
明久「ねぇ省太。如月グランドパークのペアチケットまだ持ってる?」
省太「持ってるぜ。それがどうかしたのか?」
明久「今日までずっと考えてたんだ、チケットの使い道を。だけどやっと決まったよ」
省太「明久?」
明久「省太、このプレミアムチケットあげる。サヨちゃんと一緒に楽しんで来て!」
意を決して、プレミアムチケットを省太に渡す。
省太「いや待て! それこそお前に必要だろ、明久! 優子さんと過ごせるチャンスなんだぞ!?」
明久「その言葉、省太に返すよ。将来サヨちゃんと結婚するんでしょ? 大人になって結婚式挙げられるかわからないなら、今やった方が良いよ!」
省太「だ、だけどよ……」
明久「それに、このチケットは省太の頑張りなしでは取れなかった。だから省太とサヨちゃんに、1番使って欲しいんだよ……」
省太「……わかった。そこまで言われたら突っぱねる訳には行かねぇからな。サンキュ、明久」
明久「うん。最高の1日にしてね♪」
最初は躊躇っていた省太も素直にチケットを受け取った。これで良かったと思う。
省太「また明日だ、明久!」
明久「じゃあね、省太! ……良し。2人のデートが素敵な1日になるように、全力でサポートしなくちゃね♪」
省太と別れた後、今度の休みに予定されるイベントを成功させるプランを考えながら家路へ急いだ……。
to be continued……
以上、第31話でした。
オリキャラは今回は顔見せでしたが、いかがだったでしょうか?
また登場してないキャラもいますが、キッチリと見せ場を作って行きたいですね。
次回は如月グランドパークのお話です。
ではまた次回に、お会いしましょう!