バカとテストと僕たちの楽園   作:ウォーズ -IKUSA-

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こんにちは・こんばんは、エクシリオンです。

今回でBクラス戦に決着が着きます。
あと、省太視点がメインです。

第5話です、どうぞ!


第5話 制裁と安らぎと 〜対Bクラス後半戦〜

省太side

 

 

次の朝。登校した俺たちは、対Bクラス戦の準備を進めていた。

でも、今朝からサヨの様子がおかしい。教室に入るなり、何かを探しているようだが見つからないようだ。終始顔を曇らせていたので、何があったのか聞いたが、「何でもないよ」と言うだけだった。

昨日の康太の言葉を思い出した俺は、雄二に頼んでサヨのフォローに回ることを了承してもらい、開戦に備えることにした。

 

 

 

 

 

そして午前9時。Bクラス後半戦開始と同時に、俺たちは進軍開始した。

 

雄二『Bクラス陣営を本陣まで押し込む。そして、押し込んだところを省太と池端が攻略する』

 

これが今回の作戦。要は、態勢を整える前に陥落させろということだ。

 

明久「目標に対しては各個撃破を心掛けて! 戦死しそうになったら、無理をせずに後退すること!」

 

明久が前線で指揮を執っており、渚が副官を務めている。

みんな2人の指示に従って、効果的に戦闘を進めていたのだが……。

 

渚「……マズイね……」

 

省太「どうした、渚?」

 

渚「サヨちゃんの様子がおかしいんだ。Bクラスに突入しようとすると、立ち止まるんだよ。何かを探しているみたいだけど……」

 

省太「何かを……、探す?」

 

サヨの視線の先を見ると、Bクラス代表の遥祐を護衛している生徒の中に………、根本恭二がいた。

手に何かを持っているようだが、距離があるのでよく見えない。

 

省太「サヨ、本当に大丈夫か?」

 

サヨ「サヨは大丈夫だから……。省太くん、行こ?」

 

無理して笑顔を作ってまで、再度Bクラスに突入しようとするが、根本が手をチラつかせると、また立ち止まってしまった。

 

明久「マズイ! 突破される!!」

 

須川「俺に任せろ! ここは通さない!!」

 

須川の機転のお陰で突破は免れたが、このままじゃ埒があかない。

 

明久「サヨちゃん、根本くんに何かされたの!」

 

サヨ「明久くん……。ほ、本当に何でもないの……」

 

サヨはそう答えるものの、うっすらと泣いている。

やはり視線は根本の手元に注がれていた為、もう一度よく観察してみると……。

 

省太「……見つけた」

 

漸くわかった。ヤツが手にしていたものの正体を。

それは俺が小学生の頃、サヨにプレゼントした髪飾りだった。

 

省太「そうか……。そういうことだったのか……!!」

 

昨日の妨害工作。そして、交渉材料……。

昨日からの疑念が確信に変わった。根本。お前の取った方法は、実に有効的だよ。やり方は好きじゃないが、その作戦を実行に移したことは評価する。

だが………。

 

 

 

 

省太「明久。ちょっといいか?」

 

明久「どうしたの、省太?」

 

省太「総指揮を渚に執らせてくれ」

 

明久「別にいいけど……、僕は?」

 

省太「俺のフォローをして欲しい。……頼めるか?」

 

明久「戦況は不利って訳じゃないし……。いいよ、任せて!」

 

省太「サンキュ、明久」

 

そして俺と明久は、渚の元に向かった。

 

明久「渚、今から君が指揮を執って。副官は姫路さんに任せるから」

 

渚「急なお願いだね。どうしたの?」

 

明久「僕と省太は今からBクラス本陣に強襲を掛ける。その間、渚は今展開している部隊を纏めて前線部隊を足止めさせて欲しいんだ」

 

渚「明久がサヨちゃんの代わりに、省太と攻めるってことだね?」

 

明久「そう。サヨちゃんはあんな状態だから、今回は後退させてあげて。いいね?」

 

渚「2人だけで大丈夫なの?」

 

省太「遥祐がいるのが厄介だが……、やってみせるさ」

 

渚「……わかったよ明久、省太。ぼくに任せてッ!!」

 

省太「ああ、頼んだぞ……!!」

 

この場を渚に任せて、俺たちは雄二の元へ向かった。

 

省太「だがな、お前は選んじゃいけないモノを選んだ。それも俺とサヨの思い出の品を……。サヨにあんな顔をさせるなんて……。死ぬほど後悔させてやるぞ……、根本恭二……!!」

 

 

省太side out

 

 

 

 

 

渚side

 

 

明久から指揮権を交代されたときは驚いたけど……、話を聞いたら納得したよ。あれなら、サヨちゃんの異変も理解できる。

 

美波「で、話って何よ? 渚」

 

秀吉、姫路さん、美波を呼び出すと、美波にこう言われた為、ぼくは明久に指示された内容を伝えた。

 

美波「む、無茶よ! アキも省太もいないのに、ウチらだけじゃ厳しいわよ!!」

 

秀吉「流石に無理難題ではなかろうか……?」

 

瑞希「私たちで抑えられるでしょうか……」

 

渚「無茶なのはわかってるよ!! でもね、明久はぼくを信じてこの場を任せてくれたんだ! ぼくはそれに応えたい!! だからお願いだ、君たちの力を貸してくれッ!!」

 

美波「……わかったわ。そこまで言うのなら付き合うわよ、渚ッ!!」

 

秀吉「わしも全力で手助けをさせてもらうッ!!」

 

瑞希「精一杯、頑張ります……ッ!!」

 

渚「ありがとう。……さぁ、みんな!! ぼくたちでこの場食い止めるよッ!!!」

 

秀・瑞・美『『『了解(なのじゃ) (です) (よ)!!!』』』

 

ぼくたちもできることを全力でする。頑張ってね明久、省太……!!!

 

 

渚side out

 

 

 

 

 

 

省太side

 

 

明・省『『雄二ッ!!』』

 

雄二「明久と省太か。持ち場を離れてどうした?」

 

教室に戻った俺と明久は雄二の元に来ていた。少し驚いたようだが、冷静に対処している。

 

省太「話がある」

 

雄二「聞くだけは聞こう。なんだ?」

 

省太「サヨを後退させてくれ。代わりは俺がやる」

 

雄二「理由は?」

 

省太「根本のヤツが俺を怒らせた」

 

雄二「そうか……」

 

雄二はそれ以上は聞かずに、少し間を置いてこう告げる。

 

雄二「池端がやるハズだった役割をお前に任せる。絶対に成功させろ」

 

省太「任せてくれ……!!」

 

雄二「それから、室外機のことだが……」

 

明久「雄二、それは僕がやるよ。Dクラスに指示したら、省太と合流するから」

 

雄二「わかった、それはお前に一任しよう」

 

明久「ありがとう。康太は屋上から奇襲させることに変更はないよね?」

 

雄二「(コクッ) この戦争に勝つには、お前たちの行動に掛かっている。しくじるなよ……」

 

明・省「「了解だ、雄二」」

 

根本に制裁……もとい、勝利に向けて俺たちは行動を開始した。

 

 

そして今、俺はBクラスの入り口で明久を待っていた。合流でき次第、攻め込む為である。

 

渚『よしみんな! 前線部隊の戦力を削った今、ぼくたちが有利だよ!! 敵軍の行動に警戒しつつ、迎撃して! 不要な突出はしないでね!!』

 

『『『『了解ッ!!!』』』』

 

渚も上手いことみんなを指揮してる。これなら安心だろう。

 

明久「お待たせ、省太。Dクラスに指示した通り、室外機を止めることに成功したよ」

 

そう言って、明久が戻って来た。

 

省太「よし……。用意はいいか、明久。合図をしたら、一気にBクラス本陣に攻め込むぞ」

 

明久「OKだよ……」

 

省太「………今だッ!!」

 

明久「任せて、省太ッ!!」

 

合図と共にBクラスの扉を勢いよく開けた。

 

遥祐「来たか。明久、省太……!!」

 

省太「根本恭二! お前はここで終わりだ、覚悟しろッ!!」

 

根本「は、反田省太、吉井明久……! いつの間に……?!」

 

省太「それとサヨから奪ったモノ、返してもらうぞ……!!」

 

BクラスK「ここは俺たちが!」

 

英語の遠藤先生がフィールドを展開する。Bクラスの近衛部隊が立ち塞がったが、

 

 

 

 

英語

 

Fクラス

 

反田 省太:435点

 

吉井 明久:447点

 

 

Bクラス

 

近衛部隊×15:平均224点

 

 

 

 

 

 

 

省太「邪魔をするなッ!!」

 

明久「君たちでは相手にならないよッ!!」

 

一気に殲滅させて、根本に視線を移した。

 

根本「ひ、ひいッ!!」

 

省太「逃がさんぞ根本。……康太、やれぇーーーーッ!!!」

 

康太「……Fクラス、土屋康太。Bクラス根本恭二に、保健体育勝負を申し込む……!!」

 

 

 

 

保健体育

 

 

Fクラス

 

土屋 康太:596点

 

 

Bクラス

 

 

根本 恭二:287点

 

 

 

 

根本「バ、バカなぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

敵前逃亡を図ろうとした根本を康太が仕留めて、残るは遥祐だけになった。

 

省太「遥祐、あとはお前だけだぞ」

 

明久「代表として、最後まで戦う?」

 

遥祐「もちろん……! ……と言いたいところだけど、ここからじゃ逆転は厳しそうだから降参するよ」

 

省太「お前が腕輪を使ってもか?」

 

遥祐「オレの腕輪を以ってしても、君たちがいるんじゃ勝算は薄いからね……。状況は理解してるつもりさ……」

 

『それまで! 勝者・Fクラス!!』

 

遥祐の降参宣言と共に戦争終結のアナウンスが流れて、Fクラスの勝利が確定したのだった。

 

 

 

 

それから、戦後対談の時間となった。

 

遥祐「負けは負けだからね。君たちに設備を明け渡すよ……」

 

雄二「いや、設備は明け渡さなくていい」

 

そんな雄二の発言にFクラスの男子共は騒ぎ出すが、

 

雄二「落ち着け。前にも言ったが、俺たちの目標はAクラスだ。忘れるな」

 

と一喝すると、みんな静かになった。

 

遥祐「そ、そうなんだ……。でもいいのかい?」

 

雄二「ああ。だが、条件がある。……それはお前だ、根本」

 

根本「俺が……か?」

 

雄二「女装してAクラスに、試召戦争の準備ができていると宣言して来い。それができれば、設備交換は見逃してやろう」

 

根本「ふ、ふざけるな! この俺がそんなことを……!!」

 

BクラスH「OK、絶対やらせるよ!」

 

BクラスD「それだけでいいなら、喜んでやるわ!」

 

根本「そりゃないだろ! 頼む代表、助けてくれ!!」

 

雄二が出した条件に次々と賛成の声があがる中、根本が遥祐に助けを求めた。

 

遥祐「……“仏の顔も三度まで”って知ってる?」

 

根本「……へ?」

 

遥祐「オレは今まで君がどんなことをしても、代表として庇ってきた。こんなヤツでも仲間だし、いつかはその性根が改善されるのを信じていた」

 

根本「…………」

 

遥祐「なのに、君はオレの想いを平気で裏切り続けて来たよね……? もう今回ばかりは庇えないよ。諦めるんだ……」

 

根本「代表ぉ〜……」

 

遥祐「でもまぁ……、“彼女”なら助けてくれるかもしれないよ?」

 

遥祐がそう言うと、Cクラス代表の小山さんがBクラスに入って来た。

 

根本「友香、助けてくれ! 今までのこと全部謝るから、頼む……!!」

 

友香「ごめんなさい、恭二。いえ、根本くん。私ではあなたを助けられないわ……」

 

根本「友香ぁぁぁ〜……ッ!!」

 

遥祐「すまないね、友香さん。態々来てくれてありがとう」

 

友香「ええ。礼には及ばないわ、遥祐くん」

 

根本「そんなぁ〜……」

 

2人のやり取りを見て、根本は泣き出してしまった。

だが同情はしない。アレを返してもらう為に、根本に話し掛ける。

 

省太「おい根本。サヨの髪飾り、返してもらうぞ……」

 

根本「は、はひ……ッ(グスッ)」

 

省太「それでいい。後は……、眠れ」

 

“ドスッ”

 

根本「ごふッ……(ガクッ)」

 

髪飾りを返してもらった後、腹パンして気絶させた。

 

 

 

 

 

 

その後根本は、女装姿でAクラスに戦争準備の宣言、撮影会までやらされることになったそうだ。

ヤツにとっては恐ろしい思い出になるだろうが、サヨの悲しみに比べたら軽いモンだと思う。因みに後で聞いた話だが、根本がAクラスに来た翌日、遥祐が直接謝罪に行ったそうだ。

 

 

 

省太「サヨッ!」

 

サヨ「省太くん……」

 

省太「ほらっ。髪飾り、取り返したぜ」

 

先程根本から取り返した髪飾りをサヨに渡した。

 

サヨ「ありがとう……。取り返してくれて……」

 

省太「その髪飾り、大切に持ってくれてたんだな……。もう着けてくれないかと思ってたよ……」

 

“ギュッ”

 

省太「サヨ?」

 

サヨ「ごめんね、省太くん……。サヨ、あのときどうしていいかわからなくて、省太くんから初めてもらったプレゼントなのに、無くしちゃったらどうしようって………」

 

また泣きそうになるサヨを、俺からも抱きしめる。

 

省太「でも、ちゃんと手元に戻ってきただろ? だからもう泣かないで、いつものように笑って?」

 

サヨ「うん……、うん……ッ!!」

 

まだ涙目ではあったが、朝とは違ってサヨは笑顔だった。

今日一番見たかった顔だ。

 

サヨ「ねぇ、省太くん……」

 

省太「なんだ? サヨ……」

 

サヨ「今日は付けられなかったけどこの髪飾り、また今度着けてあげるね……ッ!!」

 

省太「ああ、期待してるよ」

 

髪飾りをプレゼントしたあのときのように、笑顔を見せてくれるサヨを見て思った。

 

やっぱり俺は、サヨのことが大好きだ。できれば、サヨにはずっと笑顔でいて欲しい。

 

そして改めて決意する。サヨの笑顔を守る為に、俺自身が頑張ろうと。

 

 

to be continued……




これでBクラス戦は終わりです。

原作では明久と姫路さんでしたが、今作では省太とサヨにスポットを当てました。いかがだったでしょうか?

次はいよいよAクラス戦です。どんな展開にしようか……。
ではまた次回、お会いしましょう。

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