とりあえず自分の席を探して、何故か俺よりも後から来た鉄人が教卓にいた。やっぱあいつ人間じゃねー。
周りを見ているち、隣に姫路さん、秀吉。前に雄二。その隣がムッツリーニ。そして後ろが美波だ。
「おお、やっと来たか、初日早々遅刻をするのなんて、お前くらいだぞ、泰亮。」
「いや、今日は、たまたま赤信号が続いてたまたま道路工事で遠回りになっただけだ。」
「どう考えても嘘だろ・・・。」
「・・・・・そろそろ泰亮の番。」
雄二と話していると、ムッツリーニが俺に声をかけてきた。
どうやら出席確認がいつの間にか自分の前まで来ていた。
名前、学園生活の心構え、好きな何かを言うらしい。定番だな。
「俺の名前は田中侑一。学校では、できるだけリアルに充実している奴らを撲滅していきたい。好きな女子は秀吉。よろしくお願いします。」
なるほど。このクラスの男子とほぼ同じことを言ってるな。周りから「同志よ!」や、「秀吉は俺のものだ!」などの、訳の分からない言葉を発している奴らがいる。
秀吉は「ワシは男じゃ!」と、弁解しているが、この分じゃ、男子には届かないだろう。
お、俺の番が来たか。
「俺の名前は柳瀬泰亮。学校ではなるべくばれないようにゲームをしていきたい。趣味はゲーム。よろしく。」
多分このクラスで一番平和な自己紹介だと自負している。
一通り自己紹介が終わると、鉄人はみんなの中を深めるために、1時間目は出ていってしまった。
すると、周りは一斉に動き出した。友達と駄弁ったり、寝てたり。勉強なんかしている奴はこのクラスにはいない。
よし、俺もゲームをしよう。と思って3DSを開こうとしたが、
「こら、泰亮。ゲームなんかしないで一緒になんかやりましょうよ。」
美波に取り上げられてしまった。
「そうじゃぞ、泰亮。ゲームのやりすぎは、目に毒じゃ。」
「そんなこと言われてもな、ゲームは俺の命なんだ。」
「・・・でも少しは休憩が必要。」
「それはわかるけどさ~。」
だって姫路さんはなんか上の空だし、ムッツリーニはカメラの手入れ、雄二は何か考えているし、暇すぎる。
それから何やら周りの男子が俺たちの所へ集まりだしてきている。まぁFクラスで女子は2人(3人?)しかいない。
それが一か所に集まっていると自然と周りも集まってくる。
そして今度は調子に乗って声をかけだす。
「ね、ねぇ、姫路さん。今日、一緒に昼ご飯食わない?」
「すみません、お昼は違う人と食べる約束が入っていて・・・すみません。」
すると、男子は一気に調子が落ちていった。そして今度は秀吉にアタックを。
「おい、木下。お前のことが好きだ。付き合ってくれ。」
「いや、まずワシは男子じゃよ?」
「いや、お前の性別は男でも、俺の中では女子だ。それでもだめか?」
いや唐突すぎるだろ!初日で告白とかこいつバカか!
「いやじゃ!ワシは男じゃ!付き合えないのじゃ!」
「いや、周りの皆もお前のことは女としてみている。さあ、付き合おう。」
いやこいつホント頭大丈夫か。いきなり周りも同じ気持ちだから付き合おうだなんて。
「っーーー!泰亮。ちょっと来てくれんか。」
「?」
なんで呼ばれたか知らんが、一応秀吉の隣まで来た。
「よし、手を貸してくれ。」
「ほいよ。」
そうして手を貸すと、秀吉はその手をつかみ・・・・・自分の胸元にくっつけた。
・・・・・・・・・・・今俺は、秀吉の胸を触っていることになる。
そして周りから出る殺気。美波もなぜか、俺の腕をつかもうとしている。
ムッツリーニは写真を撮ろうとしていたが、それよりも早く、ムッツリーニの周りに赤い池ができて、倒れてしまった。ただ、顔には、悔いなし!という言葉が見えるほどの笑顔になっている。
そして秀吉は、俺の方を向いて、
「ほれ、泰亮。わしは男じゃよな?男じゃよな?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「なぜそこで黙るのじゃ!」
いや、これはもう女になっているのではないか。
と考え始めた矢先、後ろから美波が、前からカッターや、ちゃぶ台が飛んでくる。
・・・・・・・・・・・・・・・とりあえず。
「逃げよう!」
扉を開けて廊下を走りだした。後ろからは、亡者のうめき声などが聞こえる。
やっぱりもっと勉強して、違うクラスに入りればよかった。