勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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影と死神大活躍?
⁻彼⁻の出番あり


影と変態に氷の雨を

只今めっちゃ敵より猛攻の嵐です!

 

地上はシャドー・ゴースト君達をポップ兄の火力呪文で凌いで鎧達はヒュンケル達が物理的攻撃でぶっ壊しています。

疲れて闘気がなくなったらチウ君がすかさず駆け寄り闘気回復万能薬でサポートしております。

そこは武神の弟子で、素早く味方の疲労を見抜いてすぐに対処してくれるので大助かり。

手が空いたらポップ兄の魔力回復も行ってくれて、パーティー戦がうまく機能してくれているので長期戦もどんとこい!

 

で、私はというと?

本来この一行の回復役は僧侶ではなく料理人のはずではと言われると痛いのですが、ミスト相手しているので無理です!!

 

この人何をこんなに怒ってるの⁉

闘気とまぁ殺気も分からんでもないけど、なにか滅茶苦茶怒ってる。

上空からいきなり暗黒闘陣を投網のように投げられて、一行がばらけたところに私に突っ込んできたし!

ヒュンケル目当てはどこ行った!

 

この小娘は必ず殺す!!

 

叫びあげた後すぐに冷静になってしまったミストは、叫んだ内容に恥辱を覚えた。

まさか自分が大魔王とヒュンケルの料理を作っていたのが自分だと自ら言ってしまうとは!

このことを知っているのはあれと魔界に置いてきた双子の姉妹たちのみであったのに!

選りにもよってヒュンケルに知られるとは!

 

この小娘はなぜこうも他者の心をかき乱す、本来ならば言うことは決してなかった言葉を表に出させる!

冗談でない!心をかき乱す元凶なぞ今すぐに消してくれる!!

 

ああもう!空飛ぶ靴での空中戦はかなりキツイ。

足場がないから腕に込める闘気の扱いがいつもよりも繊細さが必要で、かつ倍以上使わないといけないんだから。

 

それが嫌でほぼ逃げ回ってます。

諸手を剣にして打ち込んでくるのを受け流して離脱して、自分の手の内晒さないようにしています。

 

序盤では力を見せず、中盤の今も本気出さない。

元々の予定で通常運転ではあるけれど、ハイ・エントの結界術でも解禁になってくれないかな?

 

何でか授けられた後に、消滅呪文ガン・フレア使わないと対人では使用できない仕様にされてしまってる。

周りに人がいないと使えるのに不便だ。

使えれば結界術のジ・アザーズ使って空中戦での足がかりが出来て楽できるのに。

 

ティファがつらつら考えて逃げ回り、ちょろちょろ逃げるミストがぶちぎれながらの空中での追いかけっこはほどなく幕を閉じた。

 

鬼岩城の埋もれている辺りから膨大な闘気と金色の柱が上がったことによって。

 

「全員集まれ!!」

何が起こったのかを正確に理解したヒュンケルが一向集合を掛けた。

自分の考えが正しければ恐らくは、

「ダイ兄がやってくれましたね。」

 

隣に降り立ったティファが晴れやかに笑っている。

「ダイがやってくれたのね。」

「あのデカブツぶった斬ったか。」

「本当に強くなった。」

 

ダイを知らないチウ以外が、ダイの実力を信じて疑わずに心よりの称賛を口にする。

ダイの力とティファの優しさが一行の支柱となり、そのような困難な場も乗り越えられると信じている。

 

馬鹿な・・バーン様より任されし鬼岩城が・・あの小娘に目を向けすぎた!

何故ティファがいる時点でダイの存在も考慮に入れなかったのか!!

 

どのような後悔も後の祭りであり、地上のティファ達は喜びつつもミストへの警戒を解かずにいる。

鬼岩城が倒れたからと言って、目の前の脅威がなくなったわけではないからだ。

 

ガッ!

 

「貴様らは、今この場で息の根を止める!!」

 

あ~ミスト切れて衣に手を掛けちゃった。

封印無断で解いたら怒られるよ?

主のバーンとか、ガシャン

「ハイ、ストップミスト♪」

親友の死神とかに。

 

それは気配なく突然に表れた。

赤と黒を基調とした仮面と服を着こんだ魔王軍の死神キルバーンが、参謀ミストバーンの首に大鎌を突き付けて。

 

「そう短気を起こすものじゃ~ないよミスト~。

バーン様にとってはあんな玩具の動く城よりも、君の方が大切なんだから怒られないよ。

だから無理して挽回しようとしないで僕と帰ろう?

その衣、バーン様の許可なくとったら僕が怒らないといけなくなっちゃうから、そうなる前に、ね♪」

 

ミストの衣よりわずかに漏れた闘気にもポップ達は圧倒されたというのに、それをものともせずに歌うように話をしている敵に戦慄が走る。

ふざけた格好をしているが強敵だと直ぐに分からせられた。

 

「・・・・分かった。」

「うん、いい子♪」

 

キルの止めによりミストは衣より手を放して激情を抑え込む。

この戦場をただ見物していたであろうキルが出てきたという事は、衣に手を掛けた自分を止めるようにと主から直接命じられたのだろう。

主の命は絶対だ、どのような状況であっても。

 

「さ~てと、久しぶりだねお嬢ちゃん。」

ミスト止めた後は好きにして良いってバーン様許可くれたから好きにしよ~っと。

ミスト拗ねて当分口きいてくれないから愛しのお嬢ちゃんとお話楽しんでいってもばち当たらないよね~。

 

「は!えっと・・あ!!今‥日は?」

なに!なんで急に私に話しかけてくるのあの人!!

「元気そうで何より、今度-僕たちの城-でお茶でもしない?」

はぁ⁉

 

キルの常識無視な発言に一行どころか味方のミストも氷りつき、言われた当人の思考もフリーズを起こした。

あの人いったい何言っちゃってるの?私勇者一行の料理人で、貴方大魔王軍の大幹部様でヴェルザーの配下の暗躍人でしょう!

 

「お嬢ちゃん可愛いから綺麗なドレス似合うだろうな~。」

・・可愛いって私が?散々力振るって敵を殺して、お友達になった人も手にかけたのを知っているだろうに可愛いって・・。

「そこの人達じゃ~プレゼントなんて気の利いたことしてくれないだろう?

君にとっておきのドレスを用意したからプレゼントさせてもらうよ。」

そのセリフと共に、ティファの目の前に小包が出現をした。

「サイズはピッタリのはずだよ、ロモスの森で君の背後取った時にばっちりと君のサイズ見てるから。」

・・なんか贈り物もらちゃった・・大人の人から・・

「メッラゾーマー!!!!」ゴォォォウ!!

 

「てんめえ!俺の妹分に妙な粉かけてんじゃねえ!

てめえだろう!テランでティファを攫いやがったのは!!」

歌うような、あざ笑うような気持ちの悪い甘ったるい声で、大事な妹におかしなことを言うな!!

「おやおや、子供が邪魔をするもんじゃ・・」

ブラディースクライド!!

獣王会心撃!!

せりゃぁぁぁ!!

 

ポップの会心のメラゾーマに続き、ヒュンケル達は必殺技をマァムは巨大な瓦礫をキルに立て続けに放ち、憤怒の形相をキルに向ける。

 

テランでの一件はクロコダインは当事者であり、ヒュンケルとマァムはポップから詳しい話を聞いている。

希望的観測でしかないが、もしかしたらあの時点でティファが攫われなければバランたちと大激突するにしても、ティファと交流が出来ていた竜騎衆達をティファ自身が殺さずに済んだのではないかと。

 

ティファが隠し通せたと思い込んでいるが、戦いの後にガルダンディー・ボラホーンを手にかけた罪悪感に苛まれたのをポップ達は知っている。

だからこそ小屋を出ようとしたティファをレオナは頑強に反対をしたのだ。

そんな傷ついた心で出掛けようというのかと。

しかし言葉にはできなかった、言えばティファが無理をして明るく振舞おうとするのが目に見えていたので快く送り出すことしかできなかった。

 

その原因を作った奴がお茶会だプレゼントだなぞと!寝言は永眠してから言いやがれ!!

「あの~・・もらってしまっていいのでしょうか?」・・・は?

「いいも悪いも、それは君にしか着られない仕様の特別性だよ。」は⁉

「それは可愛い君の為だけに誂えた君だけのものだよ。」

 

可愛い人へのプレゼントに君だけの特別な物。

それは古今東西の少女たちにとっては魔法の言葉。

可愛いとは周りの大人たちに子供のころから言われていたが、あれは娘・姪に可愛いという身内への言葉。

しかしキルが言っているのは完全にティファへの口説き文句。

数百年を生きているオート・ドールのキルが、本気で十二歳のティファを口説いているのだ。

 

免疫の全くないティファは顔を赤らめて止まってしまい、ティファを守ると決めたポップ達はひとみに怒りの炎を込めてキルをどう消そうかと算段した

 

「何?何か文句があるのかな~君達。」

目障りだから今潰すかな。

鎧を使ってミストと共にティファ以外を。

 

ヒュオォォォ~

 

キルがあくどい事を目論んだその時、あたりの気温が一気に下がり、ポップ達やキル達が警戒をし始めた時、それは上空から降ってきた。

大量の氷の粒が五月雨の如くキル達めがけて降り注ぎ、ポップ達の周囲の鎧達をいとも簡単に引き裂き、ミストの軍団をも蹂躙をしつくした。

 

ポップ達以外は何が起きたのか分からずに呆然としてしまった。

まるで自分達だけをよけるように氷が降ってきたのだから無理はない。ティファ以外は

 

-彼-が来ている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティファが見上げている上空は、

「騎士団長殿!これ以上はここには留まるのは・・」

「分かっています、無理を言って申し訳ない。

あそこまで敵の数を減らせばもう大丈夫でしょう。」

「しかし団長殿はすごいですな、遠くのこの地の異変を察知されて救援に来られるとは!」

「団長殿には精霊様たちのご加護がおありなのだ。」

 

本当に精霊たちに助けられた。

今回の一件も、ティファがその件に絡んでくるのも精霊達のおかげだ。

「みんなありがとう」

「-いいのよ~、貴方とあの子のためだもの-」

「-ついでにあの変態男があの子に渡した包みも壊す?-」

「・・・あれはティファに任せるよ。帰りましょう本国へ。」

 

今回の一件で、王と将軍不在の所を無理を言って魔法団からトベルーラを使えて氷の呪文が出来るものを借り受けて来たのだから大急ぎで帰らねば。

魔王軍がパプニカに集中をしているとはいえ、本国を手薄したままには出来ない。

「いつか会えるよねティファ。」近いうちに会える予感があり、そのたぐいの予感を自分は外したことはない。

出来ればあの変態に認定した敵を壊してからの再会の方が望ましいのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「元気そうだねノヴァ。」

 




やっと出ました主人公の親友殿。

出すごとにキルの変態が表に出て主人公たちとミストを振り回します。

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