「なんでティファがいねえんだよ!ダイ!!」
「そうよ!連れて帰るってあれ程!!」
「ダイ、今ティファはどこにいる。」
騒乱が一応収まったパプニカの王城の一室では、混んでは別の騒ぎが勃発している。
なにせダイが、一人で戻ってきたからだ。
ガルーダに乗ってティファを迎えに行き、帰ってきたときはティファはおろかガルーダもおらずにキメラの翼で帰ってきたってなんじゃそりゃ!
必ず連れて帰ると意気込み・・いやあれは殺気むき出しだったのがなんという体たらくか。
ポップとマァムはダイに詰め寄り、ヒュンケルが冷静にダイに尋ねた。
二人は気が付いていないのだろう、ダイの胸中が今大荒れしているのを。
瞳なぞ、まるで噴火する寸前のマグマのように煮えたぎっているのを。
そこをなるべく刺激しないようにと、ヒュンケルは綱渡りをするような冷や汗を内心で掻きながら尋ねるのだった。
色々とできる長兄は辛い・・
「・・・・・・ティファは万能薬の追加調合をしに道具が安置してある場所に向かうって。
明日の朝には絶対に戻ってくる、その前にこの薬入りのリングを医療関係者に渡してほしいって。」
ポップ達が自分に怒る以上に、自分はティファに怒っている。
あの妹はどれだけ危機感ないんだ?
あんな輩に目をつけられたというのに!
「だって大規模な襲撃の後だからそう何度も敵は動かないでしょう。」
自分に構いつけている暇ないし、料理人に手を出しても向こうのメリットないからね、なんて!
損得勘定で自分が狙われているとは考えていないってどうなの⁉
あの変態死神は間違いなく妹に目をつけた。
それも勇者側とかではなくティファの可愛さに!
ティファは可愛らしい。
黒く艶やかな長くふんわりとしてたっぷりとした美しい髪に、少し吊り上がり気味の煌めく黒い瞳は仔猫を思わせる。
ぷっくりとした桜色の唇に、薔薇のように匂い立つような血色のいい頬がまたティファを愛らしく見せる。
誰にでもすぐに懐いてあの魅力的な眩しい笑顔を振りまいてしまう。
そして笑顔を向けられた相手は直ぐに勘違いをする。
ティファは自分に好意があるのだと。
過去何度もそういった者達の邪魔を、島のみんなで散々してきた。
ウォーリアーさんは大好きだけれども、自分達に歳の近い船員たちが何人も挑んできては撃沈させてきたのに!
選りにもよってあんな変なのが現れるだなんて想定外だ!
ハドラーも、早々に討ち果たさないといけない。
ティファに触る敵なんて討ち果たさなければ。
これ以上最愛の妹にまとわりつく輩が増える前に!
魔王軍は殲滅しないといけない!!
チ「クロコダインさん。」
ク「どうしたチウよ。」
チ「皆さん大丈夫でしょうか?」
ク「・・・・ティファが戻りさえすれば・・」
チ「分かりました、僕口挟まないでおきます。」
ク「それが賢明だ。」
以上勇者たちの騒動を部屋の隅でポツンと見ていた二人でした。
世界の危機はどこに行ったのでしょう。