この状況どうすればいいんだろう!
死の大地に戻ってきた私ティファはとっても悩んでます!ダイ兄を説得して薬作りの拠点になっている秘密の部屋に帰る途中で落とし物に気が付いた。金のマジックリングがない!
あの中には万能薬のレシピが入ってる。きちんと私以外が使えないようには施しているけれど、あれがないと困る。
一応なくても作れるけれど、ほんの少しの配合を間違えただけで万能薬は猛毒として牙をむいてくる繊細なお薬だ。
コピーなんてとってるわけないので取りにいかないと・・勿論ダイ兄には内緒で!!
知られたら今度こそ軟禁されかねない状況なのよ私って。
ガルーダにも黙っているように拝み倒したし、死の大地に音速クラスの落下を決行してもらいました。
死の大地の海上付近には何故か飛行モンスターが山ほどいるようなので迂回ではなく超超高度からの急速接近!
知識通りならザボエラが・・いた――――!!!
「ガルーダ!周りのモンスター達は風で吹き飛ばして!!」
「-承知!-」
神獣ガルーダの真骨頂、バギクロスの嵐の連発!おかげでザボエラ以外のモンスター達吹っ飛んだ。
流石ガルーダ、
「行ってきます!」空から女の子が降っていきますよザボエラ!
何じゃあの者どもは!儂がせっかく配置したモンスター達を無視して上空から突っ込んでくるとはどういう神経をしておるんじゃ!大地にたたきつけられるという恐怖心はないのか⁉
まぁ良い!儂の周りには上級デビルなどの精鋭を配しておるのじゃ、辿り着くころにはスタミナは・・・・一瞬で吹き飛ばされたじゃと?それもまともや空から降ってきおった!
何なのじゃこの敵は!
空飛ぶ靴を履いていたティファは、高度からのダイブをしてもブレーキを掛けながらゆっくりと降りつつザボエラを観察をする。
こいつがクロコダインに策略を使わせて、じいちゃん危険な目に合わせてダイ兄の心を苦しめた奴。
知識通りならハドラーはもう超魔生物に魔改造され終わったはずだ。つまりこいつは用済みで殺してもいい奴だ。
「止まれ!取りに来たという事はこのリングは余程大事な物じゃろう?壊されたくなければ大人しく・・」
「妖魔司教ザボエラですね?」屑が何か喚いてきた。
「初めまして、私は勇者一行の料理人をしているティファといいます。」
そしてさようならだ!!
ティファのいきなりの挨拶に恫喝など様々な事を忘れたザボエラであったが、殺気を放ちながら手刀を構えて迫るティファに圧され無様な悲鳴を上げながら、リングを放り出して蹲る。
何なのじゃ、あれと自分は直接には会っていない!其れなのに何故あれほどの殺意を自分に持っている!訳が分からん!
ティファの考えはザボエラのような策略家には一生縁がなく理解できないものであり、理解できない上に圧倒的な力を叩きつけられたザボエラは命乞いのように蹲る。
最早自分には戦う力はないのだと。
誰がそんな無様な命乞いを受けるか!
勇者一行の者ならば許すかどうか迷うべきなのだろうが、私に躊躇いはない!
シィ―――!-バキン!!-へ?
「っそだろう!俺の体はオリハルコン製だぞ⁉それを貫くなんてどんだけだよお前!!」
ハドラー親衛隊のポーン・ヒム⁉
嘘だろう⁉こんなちび助の体の何処にオリハルコン貫く力があんだよ!
生まれ落ちた早々にポーン・ヒムは指令を与えられた。
妖魔司教ザボエラを生きたまま連れ帰ること。手足がなくなっていようがどのような状態になっていも生きていればよいという簡単なものだった。
自分の主に何の断りもなく勝手をしての事らしいので、捕らえた後は牢に入れておけと言われた。
「ザボエラを捕らえた後は何もせずに戻って来い。」
どうやら捕獲よりもそちらの方がメインらしい。敵が目の前にいても戻ることを第一とする事。
「こちらに戦う意思がない事を伝えればあ奴は引く。」
ザボエラ捕獲よりもその後の指示の方が細かく伝えられたのは解せないが、行ってくるかと死の大地の地上部に出て驚いた!
敵は鳥類モンスター一匹とちびな子供一人だと!げ!!あのじじい殺されそうなのに何蹲ってるんだよ!間に合え!!
殺気の塊のようなティファとビビこいて蹲ったザボエラとの間に割って入り、結果自分の正面でティファの手刀を受ける羽目になり左胸を貫かれた!・・あぶねー、後五㎝左に貫かれていたら俺は生まれて早々に死んでんじゃねえかよ!
なんだこいつは一体・・どんな面した・・あれ?
「御免なさ―――――い!!!!!」
いっやぁ!私一体何しちゃってるの?え!ザボエラ殺そうとしたことじゃないよ、あのダニ野郎は今すぐ殺してやりたい奴だよ。
それじゃなくてヒムを人違いで危うく殺しかけたよ!あともう少しで心臓位置にある核を壊すとこだったよ!よそ様巻き込むなんて最低だ!!
土下座しそうな勢いで謝るティファに、ヒムは面食らう。
これだけの実力の持ち主が半泣きしながら得体のしれないのこのこ出てきた自分に謝るなんてどういう事だ?
「落ち着け!俺は大丈夫だからとにかく落ち着け!!」
ハドラー様!こういう時はどうすりゃいいんすか⁉敵の倒し方の知識ならばあるが!敵を攻撃して動揺するものを宥める知識なんぞありゃしねえぞ!一体どうしろってんだよ!
死の大地に主人公の絶叫が響き渡りました。