勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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もう少し戦いがあります


王城決戦⁉最終章①

望みが叶ってそれはとっても嬉しい。

これで大戦終了後でも二人の身の安全が保障されたら万々歳だ。使い捨てでポイされたらぶちぎれるよ?

 

でもなんで私がかかわると騒ぎ起きんだろ?

 

騒ぎその一・

 

「ティファちゃんや、そち個人に褒賞があるのじゃが受けてくれんかの?」

 

書類書き終わったシナナ王が勇者一行の他に、ティファ個人への褒賞があると言われたので驚きだ。

 

私なんかしたっけかな?

聞いてみればなんとロモス王城決戦後に、治療手伝ってくれた侍医長さんに渡した火傷用の万能薬のメモ書きについてらしい・・マジですかい。

あれは着替えたいから邪魔に感じた侍医長さんに、追い出したいからさらさらと書いたメモですよ?

その雑メモになんと!

 

「百万ゴールドじゃがいいかの~?」

 

なんつうハンマープライス!!

たかだか端書メモになんつう高値ついちゃったの!!

 

「あの王様!俺達毎回その薬使ってますが、そんなに出鱈目に高価なものなんすか・・」

 

いつもじゃかすか使ってる薬のメモにそんな高値が付いたと驚いたのはなのもティファだけではなくダイ達も同じであり、気持ちを代弁したポップも言葉もしりすぼみになる。

そんな天文学的に高価なもん湯水の如く使ってたのか俺達は!

 

「その褒賞は続きがあっての、あれはメモ書きだけでは作れない・・万能薬じゃと侍医長が言っておっての、ティファちゃんの講義料も含まれておるのじゃよ。」

 

あ!しまった!!

 

今世に出回っている万能薬は骨折か斬撃の軽いようのもので、火傷・雷撃・凍傷なんて高度なもの出回ってなかった!

しかもだ、過程・精製法も既存の物では作れずになんちゃってもできない代物で・・普段作り続けてたから一般普及との兼ね合い忘れてた・・やっちった。

どうしよう・・百万ゴールドなんてお金、今貰っても使い道ないし。あ!そうだ!!

 

「シナナ王様、その褒賞確かに受けさせていただきます。」

 

お金とさっぱりと縁がなさそうなティファが、ルンルン顔で受けたことにダイたちはあれっと思ったが次の言葉で納得した。

 

「レオナ姫、一行よりこの度の復興費として百万ゴールド寄付させていただきます。

シナナ王様、手続きが良く分からないので報奨金をそのままパプニカにお渡しいただけますか?」

 

誰も損をせず、面目も潰されない方法を一瞬ではじき出す。

その手腕も含め!もう我慢できん!!

「其方大戦の後に我がベンガーナで働かんか!!」

「はい?」

 

騒ぎその二、ベンガーナに勧誘された!

 

一連のティファの全てを見聞きしたクルドマッカはもう抑えがきかなかった。

一行の為に官僚顔負けの策を張り巡らせる知略、世に-奇跡の薬-と呼ばれる薬を作り出せる知識、そして何が起きても動じることなく瞬時に解決策をはじき出す才覚!

この者はまさしく宝石の原石!磨けばどれ程の・・史上初の女性宰相も夢ではない!ぜひ自分の手元に置いて磨きたい!!

 

「お断りします。」

 

一瞬で断られた!

 

「料理人よ!我が国は才あれば女性でも登用しておるのだぞ!今はまだ始めたばかりの制度で高い地位におらずともそなたならば・・」

「クルテマッカ王様・・」

 

机から身を乗り出しなんとしても勧誘しようとする王を止めようとしたその時、扉付近が騒がしくなった。

 

「困ります!今は許可されたもの以外は・・」

「許可は自分で取る!押し通るぞ!!」

 

不許可のまま、力づくで衛兵を脇にどかして入ってきたのはベンガーナの隊長、スキンヘッドのアキームだった。

 

「アキーム!この場をなんと心得る!!」

 

厳つく居丈高で誤解をされやすいが、クルテマッカは礼儀を重んじ序列やしきたりをだれよりも重んじている。

その為に元敵であり軍を離反をしたヒュンケル達を苦々しく思い、今また謁見許可を出されていない押し入ってきたアキームを叱責して追い出しにかかる。

自国の重用しているものであっても甘い顔を見せる気は毛頭ない。

 

アキームとて、王の公明正大さを誰よりも知っている。

その厳しいともいわれている頑なさも、自分が忠誠を誓うに値する方だと喜びを感じて日々使えているのだから。

それでも今回はそこを曲げてでも会わなければいけない方がいる!

 

「料理人のティファ殿は何処に!」どうしてもお会いせねば

 

あんれ?あれって戦車隊を率いてたアキームさんだよね。なんで私探してるの?

 

「私です・・どこかでお会いしましたか?」会ってないよね・・次々になんで騒がしくなる?

 

あの方が・・黒縁眼鏡に青い服、間違いない、報告通りの方だ。

 

すぐさまアキームはティファの横まで来て片膝をつき、王達に謁見願を申し出た。

 

「王達よ!私はベンガーナにて隊長職を拝命しているアキームと申します!

今この場にて、昨日の鬼岩城戦での礼を勇者一行の方々達に述べることをお許しください。」

 

アキームは自国のみならず、他国にも響いている武人の鑑で礼節を重んじている。

そのアキームの鬼気迫る顔に王達は顔を見合わせ瞬時に了承の許可を出した。

昨日の戦火で最前線で戦っていた隊長に敬意の気持ちも込めて。

 

許可を出されたアキームはダイ達に礼を述べ、更にクロコダインには昨日放った悪口雑言の非礼の数々を、クロコダインの近くまで行き深々と頭を下げて詫びた。

クロコダインもアキームの奮闘を間近で見ており、同じ武人として大いに感じるものがあったのでもうわだかまりは感じておらず直ぐに打ち解けあい互いに笑い顔を向けあえた。

 

うんうん!いい感じだ!!

乱入者にびっくりしたけど、周りとみんながいい感じに打ち解けあって嬉しい。

 

ニコニコ顔で見ていたティファの下に、アキームが真剣な顔で近づく。

ダイ達にお礼を言い、いよいよティファに礼が言える。

 

「料理人殿、昨日医師たちに大量の万能薬をお届け下さり、誠にありがたく!

あれがなければどれほどの死者が出ていた事か!」

 




アキームの登場でいったん切ります。



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