勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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よろしくお願いします。


休憩と・・お話合い

今日は私は何もしていない。

普段ならば洞窟にて技の練習、新技開発に余念がないのに・・ドクターストップならぬ、神様ストップ入りました。

 

「君は修行のし過ぎ、オーバーワークだよ」

「近頃の若いもんは健康管理がなっとらん」

「無理をして体を壊してしまえば元も子もなかろうに・・。」

 

三神様達にそろって嘆かれました・・。

 

だって・・前世の私はほぼ病院住まいで、健康管理なんてみ~んな病院の人達任せ

健康的な日常なんて初めてで、さじ加減なんてしたことが無いので分かりません!

・・言ってて悲しくなってきた・・でも近頃疲れが取れない理由は分かりました。

 

今日はそんな私を見兼ねた三神様達が修行休むようにとのお達しで、洞窟の真ん中に

テーブルと椅子が一つある。

テーブルの上にはクッキーと焼き菓子、果物と紅茶が用意をされていた。

―五日に一度は休むこと―を言い渡された。

三神様達は本当に優しい。

世界の危機が迫っているのに、私の体も気遣ってくれる。

 

神様達の行為を受けとる事にして、早速お茶をいただく。

ダージリンとは違う・・もっと素朴な優しい味がする。

一人お茶はつまらないので三神様達とたくさんのお話もした。

この世界の昔話、伝承の元になったお話、伝説の真実と後日談。

話が面白くてついつい食べるのを忘れて夢中で聞き入った。

 

特に魔界が十万年前は地上にあったことを聞いた後は・・・私はなぜか泣いていた。

事の発端は地上に住んでいた魔族と魔族よりの竜族が、モンスターよりも脆弱な人間なぞ存在する価値が無いのではないかとの過激な思想が生まれたことから発したようだ。

当時の人間は魔法契約できる者は稀であり、闘気も身体能力も、何もかもが弱かった。

そんな輩と地上の物を分配するんは勿体ないという選民思想が当時の魔族社会に

野火の如く広まり、あわや人間絶滅まで行きそうになったのを当時の神が許さず、

天界と地上の力を総動員して魔界を地下空間に押し込めたと・・。

 

・・当時の人達はもう誰もいない・・なのに・・子孫たちには覚えのない罪の罰だけが残って・・今も地下にて住むことを強要されている。

      

      -魔界に太陽を・・それが余の戦う理由よ―

 

原作ではバーンがそう話していた。太陽が欲しいと・・。

もしも当時の魔族たちがそんなことを考えなければ・・今も魔界は地上に・・。

それでも戦は無数に起こる事は容易に想像できる。

他種族どころか同族同士でも争うのが生き物の背負いし業だから・・。

バーンだって同族の為という綺麗ごとではなく、魔界の神にこそ太陽がふさわしいという

自己顕示欲で言ったのかもしれない・・そう分かっていても・・涙が止まらない。

なんでなんだろう・・まだあったことも無い敵の事で悲しくなるなんておかしいい・・。

 

気持ちを持て余していると、ポツリと声が聞こえた。

 

「・・まことに・・」

「・・あの者たちも・・」

「うん・・幸せになってほしい・・」

「神様達・・あの人達って誰の事?」

 

涙をぬぐって聞いた三神様達は・・悩みながらもとてつもない事を打ち明けてくれた。

 

長い長いお話で壮大で、はっきり言ってしまえば夢物語だ。

まっとうな人なら―そんなバカげたことを考えていないで、魔王軍を倒すことを考えろ―

とか一蹴されてしまうお話だよ。

話し終えた後には長い沈黙が洞窟内を支配した。

話した三神様は私の反応を静かに見守っている。。

聞いた私は情報処理で手いっぱいで反応できないのを、急かさずに待っていてくれている

 

 

「・・可能性がわずかでもあるのならば同時進行でやってみましょう・・。」

 

様々な事を考えて、一時間近く悩み倒して、三神様達の―本当にやりたい事―も聞くことにした。

バーンを倒して世界を救ってほしいと願ったのも三神様達の本心からの願いでも、

心の奥に閉じ込めていた願いも本当の願いだ。

先代の神様が魔界を地下に押し込めた後、力をつけた魔族たちが天界に復讐しに来る事を恐れて、天界全土を覆って強制鎖国になって・・今にいたってしまって。

 

「ティファ、・・ごめんね・・でもね・・ありがとう・・」

「すまぬ・・険しき道を・・」

「感謝の念に堪えぬ・・すまぬ・・すまぬ・・」

 

力が足りず、私を頼る事を・・涙声で何度も謝って・・願いを実行する方法に話が

移り・・その日は終わりになった。

 

「じいちゃん、ダイ兄~、ただいま~。」

 

休めたんだか分らない休日になったけれども、大好きな二人の顔を見れば疲れは吹き飛ぶ

みんな・・こんな風に単純な幸せを感じてほしい・・世界中の皆が・・。

 

後日洞窟内にて、三神様達の引き合わせで―とんでもない方々―に引き合わせられた。

こっちも驚いたが、向こうも壮大な・・荒唐無稽な夢物語に近い神々の悲願を、

こんな小さな子供に託したのかと驚愕をしていた。

けれども私もその人たちも神様達を心の底から敬愛しているのが分かり、協力をしあうことにした。

 

・・こんな凄い人達が地上で活動できるなら、この人達と眷属だけでどうにか出来そうだと、またもや思った事を言ってみれば無理だと即答された。

―この者達と眷属は、世界に干渉する出来事を始めることはできない―と。

種族問わず、誰かが行動を起こし、努力をしてはじめて力を貸す事で発揮できると。

 

この世界では天界の他にも神やそれに類する者たちが存在をして、力の発揮のルールは別の神々の管轄で、お互いに不可侵がさだめられている・・。

三神様達は天界・魔界・地上界の土地とそこに住まう種族の管理と、加護を授ける事が範囲内で他は出来ない事も教えてくれた。

 

神とは決して万能ではなく悩み苦しみもすることがよく分かった。

私は・・当初の予定通り突っ走る!!

-助ける人達-が増えたとしても!




天界の鎖国理由がようやく書けました。
オリジナル設定で多分にこじつけた内容でしたが書けて良かったです。
三神の願い主人公がであった―とんでもない人達―はネタばらしに繋がる恐れがあるので
ぼかしました。
主人公を気遣いつつも、どうしても叶えたい願いが三神にはあるのです。
次回はお出かけ前のやりたいことチェックです。

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