勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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楽しいことも、主人公が絡めば・・・


真夜中の使者たち⑥昼食会の大賑わい

ポップと母スティーヌの手伝いもあって思ったよりも昼食が早くできた。

 

一行のお子様に圧倒的に人気のあるベーコンステーキ、野菜は前日からスティック状にして酢漬けにしておいたものを、今日もパンではなく皆で大量に作ったサンドイッチ。

中身はハム・サラダレタスに塩で味つけたマッシュポテト・道々摘んできたアップルのジャムなどが所狭しと置かれている。

 

「子供はジュースで、後はお酒もあります。」

 

食べるものだけではなく飲み物もばっちりと用意してあり、無論取り皿・マグカップ・ゴブレットも持参してある。

一行にはそれぞれのパーソナルカラーでばっちりと用意済み。

 

ダイは無論青いマグカップを、ポップは緑でマァムは桃色、ヒュンケルは紫でメルルはイメージでポップよりも色の濃い深緑でチウは明るい子なのでオレンジ色を用意した。

大人は飲むだろうとゴブレットを五つ用意したが、もしかしたら飲まないかもしれないので無難な薄い緑のマグも二つ用意してある。

 

これらすべてはティファが出かけるたびにベンガーナのデパートに足繁く通い、少しづつ用意したもの。

マグ・ゴブレットだけではなく皿もフォークも全て選び抜かれたものだ。

 

皆にそれぞれあったものを用意できてよかった。

 

「では改めて、ロン・ベルクさん、ジャンクさん、スティーヌさん、大変お世話になりました!カンパーイ。」

 

全員が座り飲み物が行き渡ったところを見計らいティファが乾杯の音頭を取って昼食会がようやくスタートを切った。

 

「うんめぇ!焼きたてのベーコン最高!!」

「あ!ポップ食べすぎだよ!」

「こっちのハムサンドもおいしいわよ。」

「ジャムのリンゴは角切りでシャリシャリしたのも入っているのですね。」

「こっちのノブドウも粒粒していていいですね~。」

「あら、この野菜よく漬かっていていいわね。うちの人もこれならお酒のつまみにするかしら。」

「後で作り方お教えしますね。」

 

ダイ達お子様と女性陣はもっぱら食べるのを楽しみ、ヒュンケルを入れた大人の男組は酒を飲んで楽しむ方向で行っている。

 

何か少しでも食べるようにと、ティファはサンドイッチを一口サイズにしたり、野菜の酢漬けを皿の上に出して手でつまんで食べられるようにとちまちまと男性陣の面倒も見て、時折自分の作った物をちびちびと食べている。

 

ロン・ベルクさんて結構笑うんだな。ジャンクさんと酌をしながら出会った時の話もしてる。

クロコダイン・・お願いだからお肉だけでも食べてほしい。ヒュンケルは飲むのも食べるのもゆっくりと味わってる。

 

普段は見られない仲間とその周りの人たちの意外な一面を、ティファはニコニコ笑って眺めていれば、クイクイと袖を引かれた。

見てみればスライム等の小さいモンスター達が敷物の上には乗らないがティファの後ろに集まっていた。

 

「はりゃ~君達も食べたいの?」

「-うん・・美味しそうなの・・-」

「そうか~・・ちょっと待っててね~。ダイ兄、ちょっと料理作るけれど気にしないでね~。」

 

モンスター達はどうやら大勢いるようで、森の木々の間に隠れている。

ティファは可愛いな~と目を細めながら、火を落とした竈に薪と携帯火種を入れて火をつけてフライパンを出し、熱している間に小麦粉と砂糖に飲み物で用意した牛乳を入れてかき混ぜる。

本当は卵もあればいいのだがあいにくないのが残念だ。それでも膨らまなくとも、甘いパンケーキもどきにはなった。

大量に焼いて行き、程の良い大きさに切った上にジャムを乗せていく。

ベーコンステーキが乗っていた一際大きいお皿が空いたので盥にはっていた洗いようの水で軽く濯いで水気を布巾でふき取り沢山のジャムパンを乗せて出来上がり。

 

「皆おいで、足りなかったらもっと焼くから。」

地面にぺたりと座り込み、皿を持ったまま森の中にいる子たちにも呼び掛けるティファの下にはあっという間にモンスター達が集まりパンの争奪戦が始まった。

「こらこら、みんな仲良く。」

ティファは決して大きな声ではないが、注意をされた者たちは皆しゅんとしてしまい、パンに手を伸ばさずじっとティファを見つめてきた。

「大丈夫だよ。」

しょげる子たちの頭をティファは優しく撫でてもっと作るねと立ち上がり、食べる子はおいでと声を掛ける。

モンスター達は邪険にされなかったと喜び、もっともらえると更に大喜びをして竈の近くが一番賑やかになる。

 

「おいダイ、ティファってあんなにモンスター達に好かれてたっけ?」

「・・・どうなんだろう?」

さっきも手当てをした後のモンスター達に埋もれてニコニコしていたし、敵方のスカイドラゴンもティファに甘えていた。

考えてみればティファの周りはガルーダをはじめ多くのモンスター達が沢山いる。

けれど、昔っからああだったかと言われれば、ダイとしても首をかしげるほど妹は-魔物-に好かれやすくなっているのはなんでだろう?

その-理由-を知っているのは今ティファと全くつながれない三神ともう一人だけ。

そして三神達は、いつか-理由-を話さなければならないと心を痛めている。

叶うならば、理由を生涯ティファに知られたくはないと願って。

 

 

 

 

う~ん、思ったよりもご飯の減りが早い、もうそろそろデザートだすか。

この季節は果物沢山なってて助かるな。

 

竈の横で果物を切り分けようとリングを探すとポーチの中にはなく、小屋の中の置かせてもらったリュックの中に入れたのを思い出し取りに行く。

やっぱり同じところに入れておかないと駄目だな。

近頃は薬と薬草と食器といろいろとリングを使い分けすぎて、食材はリュックの中に入れておいたのだが、他に分ける方法ないかなと考えていると思いっきり大きな声が飛び込んできた。

 

「なんだと!そんなすごいものをあのお嬢さんが持っているのか!!」

「うん・・そうだけど・・」

「見たい・・」

 

ロン・ベルクのすごい剣幕と押され気味のダイの声にびっくりしたティファだったが、いきなり小屋の扉が凄い勢いで開いて、ずかずかと入ってきたロン・ベルクの方にもっと驚いた。

「えっと・・ロン・ベルクさん?」

「どれだ・・」

「あの~・・」

 

入ってきたロン・ベルクは必死の形相でティファをじっと見つめ、何事かとティファが聞いても答えない。

 

見つけた!あの鎖の先にリングが付いてんのか?

 

か細い首周りにわずかに見える鎖を見つけたロン・ベルクは何も言わずに近づき、-無言-でティファの首元に指を這わせて鎖を持ち上げる。その先にはダイの言った通り、金と銀のマジックリングが掛けてあった。

 

これが、神の最高傑作と謳われた真魔護竜剣と互角の打ち合いをして折れなかったという武器だと?

「おいお嬢さん!今すぐこいつを・・・」

「こんっのおおおおおお!!!!」

 

ドガーン!!!

 

「いきなりなり何をするんですかぁ!!」

 

信じらんない何なのあの人!

確かに私は子供かもしれないけれど!いきなり人の胸元に指突っ込むってどういうつもりよ!!




・・・今夜はここまで。

真夜中の使者なのにちっとも夜が来ない件について・・
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