「間違いありません、これはフォルケン王様の直筆です・・・フォルケン様・・ご無事で。」
ティファにシバかれたキルバーンは、様々な衝撃に呆然としながら辛うじて懐から手紙を取り出しティファに手渡した。
魔王軍の重要書類にも匹敵し、もしかしたらこの場の状況を改善してくれるという観点からすれば、自分にとっては滅多に受け取らないバーン直接の命令書と同等の価値がある物を忘れるはずもなかったが、ティファに手渡す際若干震えてしまったのが情けない。
(どうしよう!僕の昨日の態度のせいでお嬢ちゃんぐれちゃったよ!!!!)
自分が脱出不可能で勇者一行全員に取り囲まれてピンチだとか、そもそも空間を閉ざせる聖水なぞが存在しているとかと言う問題などミジンコ分もキルバーンの頭には湧かず、ティファがぐれてしまったとただただひたすらに嘆いている。
昨日のあれは、疲れがたまっているティファの心をいったん壊してリセットしてリフレッシュさせてあげたいだけだったのに!中途半端な邪魔が入って結果が大惨事になっちゃったよ~!!
責任取って死ね鍛冶屋!!
・・・この人何をしくしくしたり、いきなり切れた気配出してんだろ?
ティファは別にぐれて態度が急変したわけではない。たんに疲れているのでぶっちゃけ素の怒りをキルバーンにぶつけただけである。
怒りをぶつけた後渡されたフォルケン王からの手紙というものはさっさと受け取り、フォルケン王から占い旅の労いの手紙を幾度かもらったことのあるメルルに真贋を見極めてもらい、結果書は確かに本物のフォルケン王の筆跡でありしっかりとした字から健康状態も良好であると安堵して、手紙を胸元に抱きしめて涙ぐみながら座り込んでしまったメルルをポップと共に落ち着かせている最中、ふと見た先に少し離れた壁によりかかりながら百面相をしているキルバーンを見てしまった。
まったく、邪を通さない聖水だなんて大嘘信じるなんてこの人大丈夫なのかな?
自分でやらかしたパフォーマンスではあるが、まさかこれ程までに信じられてキルバーンが空間を通れない聖水とはすさまじいと絶賛の嵐が吹くとは思わなかった。
キルバーンが空間を開けられない仕掛けは簡単。私の能力な~んだ?
1・式神
2・聖炎
3・ハイ・エントだよ~。
ぶっちゃけ人前で三つともダイ兄達や人前で使ってないからみんな知らないけれど、3つ目のハイエントの結界術ジ・アザーズをこの部屋全体に張り巡らしただけ。
キルバーンはかつて私に、自分以上の空間能力者でない限り亜空間の脱出は無理とか言ってきたけど、ハイエントのジ・アザーズはその亜空間をも封鎖できる謂わばキルバーンの空間能力の上位互換なんだよね~。
でも私がハイエントを使えるのは何故か知られたら駄目だって神様たちにきつ~く言われているから派手なパフォーマンスで耳目を集めて大音響に紛れて小声で呪文を発していっちょ上がり。
そして捕らわれの身となったキルバーンは、自分の心配全くしてなさそうでいろんな意味でこの人本当に大丈夫と聞きたくなる。
なのにだ!フォルケン王様の手紙にはキルバーンは敵ながらも信用に値する者だとか、今回の件に限ってはこの人のせいじゃないとか擁護してるの何でよ!!!
かっこーん!
「いい加減気配がうっとおしいですよキルバーン!今回の事は貴方が悪い訳ではないのは
とうとうキルバーンの気配の百面相にティファは切れ、人質取られている状況でまさか敵の大幹部に武器の類をぶつけて落ち着かせるわけにもいかないので、長年旅の苦楽を共にしてきたひとつの木から彫って作った湯桶をマジックリングから取り出してキルバーンの頭にぶつけて、どこぞの温泉街で響きそうな音と共にティファの怒声も部屋中に轟いた。
そして部屋は一切の音がしなくなった・・あれ?なんでみんな固まっているんだろ?
物凄く久しぶりの投稿なので、リハビリがてらで短い文となりました。
今回の振り鵜の落としどころは決まっていたのですが、進行状況を複数のパターンで考えてどれが一番本作に合っているのか検討しすぎて遅くなり申し訳ありませんでした。
あらかた決まりましたので少しずつでもお届けできればと思います。