勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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とんだ見舞客の乱入です


見舞客は死神⁉

ダイ達の剣となり盾となる、それを託したのはほかならぬ先代勇者アバン

 

あいつは何子供に甘ったれてやがると-料理人のティファ-の立ち位置を推測して憤慨したものだが・・

 

「俺は嬢ちゃんを大切にしているつもりでも、嬢ちゃんの優しさに甘えていたのかもしれねえな。」

 

アバンを責める資格は自分にないと、心底自分が耄碌したもんだとうんざりとする。

 

「嬢ちゃんが疲れていると知った時、さっさとここに来させればよかった・・」

 

強い後悔の念がマトリフを責め立てる。何故、そうしなかったのか?

大切な宝物を他人に知られたくなかった?なんと子供じみた愚かな妄執に囚われていたのだろう。大切な嬢ちゃんを下らない思いで放っておくなぞ何と愚かで・・・ハドラーに言われた通り、ただの役にも立たない爺になり下がった事か!

 

マトリフは身を切るように呻き泣き、わななく両手でティファの寝顔を包み込む。

 

許してくれと、請い願うように

 

「師匠・・そんなこと言ってもあの時ティファの居所分からなかったんだ!師匠のせいじゃ・・」

「そいつは甘えだポップ!」

 

-ビク!-

 

「嬢ちゃんは毎日鳩を送ってくれていた。その鳩をお前にトベルーラで追わせる手段があったんだよ・・・魔法使いはいつでも冷静に・・あらゆる手段を考えろ。」

 

ティファに会う手段を分かっていながら怠ったツケを、ティファに負わせてしまったのだから最悪もいいところだ。

だからこそ、ポップが自分を庇おうと、慰めようとしてくれる言葉を拒絶する。そんな資格は自分にはまったくないからだ。

 

「俺も耄碌したもんだ。」

 

自嘲するマトリフを、跳ねのけられても言葉を出そうとしたポップの声よりも先に、深みのある声が洞穴に響き渡る。

 

「本当だよ。なんだってお嬢ちゃんの周りに居る者達は役立たず揃いばかりなのかな~。しかもお嬢ちゃんはそんな役立たずばかりを大切にして自分を削っていく。

見ていられないよ本当に。」

 

洞穴の入り口に腕を組んで肩を持たれかけさせたキルバーンが悠然と立っていた。

 

「グットアフタヌーン役立たずの勇者諸君。さっきぶりだね。」

 

ダイ達の小馬鹿にしたような笑みを瞳に乗せて

 

「お嬢ちゃんの見舞いに来させてもらったよ。」

 

 

 

 

少し遡った死の大地のハドラー執務室

 

あやつめ・・俺を庇いおって

 

あの時攻撃されても片手で受け止め鼻で笑って済ませる気でいたのだが、まさかティファが身を挺するとは。

 

あれはどちらを庇ったのか・・あの男か、それとも?

 

・・・馬鹿馬鹿しい、無論味方を庇っての事だろう。

 

背に庇われた情況も読めない役にも立たない男は、ただ味方だというだけでティファに庇われた。

その様を見た瞬間愚かな男をずたずたにしたくなった。

だがそれをすれば、ティファの行為が無に帰す。それに、敵でティファを倒したいと願う自分がこんな事を思うなぞ間違っている。

 

さっさとティファと戦い決着を付けたい。

そうすればこんな不可解な思いなど浮かばずにに済むものを・・

 

-トントン-

 

「ハロ~ハドラー君・・・何で今書類仕事しているのさ?」

「・・・何の用だキルバーン。見ての通り俺は忙しいぞ。」

構ってほしければミストバーンの所に行け。

 

ティファと先程話した通り、許された者達が迫害されないようにバーンに上奏すべく、早急に具体案を書類にお越し提出しようと奮闘中に変態死神を相手にしている暇はない。

 

「カリカリしているね~。」

「絡むな!うせ・・・」

 

-バン!!!-

 

「怒っているのは君だけじゃあ~ないんだよハドラー君。」

 

キルはハドラーの執務机に左手を叩きつけ、右手の人差し指をハドラーの喉元にあて、冷たい瞳でハドラーのダークルビーの双眸を覗き込む。

 

「最後の最後でお嬢ちゃんをぼろぼろにしたでしょう。」

「何故それを・・」

 

ハドラーの問いにキルは右手を腰に下げているポーチに入れ水晶玉を取り出す。

 

「お嬢ちゃんが暴れて悪魔の目玉はいなくなったけど、僕自前の水晶で一人で続きを見ていたんだよ。」

それこそ最後まで

 

ひそりと冷たい声をハドラーの耳に落とし左耳を千切り取る。

 

「つ!」

「ふふ、痛いかい?あの子はもっと痛かっただろうね。」

「・・・・かもしれんな・・」

「おや潔いね。これからあの子の所にお見舞いに行くから見舞い品にしようかな。」

 

机に浅く座り、千切りとったハドラーの耳を弄りながらハドラーを嬲る。

確かに近頃のハドラーは自分も気に入って好きになっているが、お嬢ちゃんと天秤にかけるまでもない。

 

「見舞いというが、あやつのいる所を知っているのか?」

 

耳を千切られても顔色一つ変えずにハドラーは平然とキルに質問をする。

耳一つ、確かにティファの痛みに比べればどうという事もあるまい。

 

「あ~ふふふ、良いね君は。どんどん成長していく、実に素晴らしいよ。」

 

ハドラーから感じる気高さを感じ取ったキルは嬉しそうににんまりと笑う。この顔をした時は、向けられた相手は碌な目に遭わないとミストがいたらうんざりとするだろう。

 

「いいもの見れたご褒美に耳返してあげるよ。」

「・・・いらん!物凄くお前を殴りたくなってきた!!」

「つれないな~、お嬢ちゃんに慰めてもらうよ~。」

 

悪寒が奔ったハドラーにシ~ユ~と手を振り、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の会話から分かった居場所に空間を開け、愚かな勇者たちに挨拶をしたのだ。




長くなりそうなので短めですが今夜はここまでです。

作中のキルバーンは、好きになった相手にこそ変態的にふるまうことが多々あります・・・哀れハドラーも標的と相成りました。

魔王軍も味方も巻き込み振り回す料理人は安息の休みが取れるのか
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