勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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短めですが、よろしくお願いします。


予期せぬ客はいつもの事だけど・・・・

暖かいな~

 

 

ガルーダを伴い、浜辺の岩に身を持たれかけて座っているティファは何もせず意識をさまよわせる。

 

ガルーダもティファが沈黙を望んでいるのを察して黙って側に居る。

 

日の光を浴びるだけでも体にはよかろう、ゆっくりと休むがいいティファ

 

ガルーダも、ずっとティファを休ませてやりたかった。幼き頃から世界を飛び回り、大戦時はずっと気を張って過ごしてきたティファが今ようやく心の底から休めている。

 

このまま・・・戦いの世界から身を引きダイ達だけに任せて欲しいのが本音だが、ティファ自身が承知すまい。

守れる力があるのに何もしないのは嫌だと、頑固者だ本当に。

その性質を変えられないのであれば、今は今だけは静寂ので微睡み休むがいいと心の底から願う。

 

「・・・ガルーダ、なにか気配する。」

「-・・・どこからだティファ-」

「右の岩場の水の中ににひっそりと隠れてるのがいる。」

「-分かった、ティファはここを動くな-」

「うん。」

 

ティファは時折自分よりも気配を鋭く感じる時がある。

少し離れた岩場の陰に、背びれが傷ついたマーマンがいた。

 

「-ティファ、怪我を負ったマーマンだ-」

「・・・連れてきてガルーダ。」

 

疲れているのに治したいのかティファは。

 

ガルーダは溜め息をつきながらも気配の重圧でマーマンを圧して気絶させ、ティファの下に咥えていきそっと浜辺に降ろす。

 

「怪我痛そう、えっと、薬と包帯は・・・薬だけの方がいいか。」

 

ゆっくりと体を起こしたティファは、のんびりとした様子でマーマンを診察し的確に薬を塗っていく。その気配は何処か嬉しそうだ。

 

矢張りティファは優しい。生来このように誰かを何かを助けるのが性に合っている・・・戦いに出るのが間違っているのだ。

 

「ガルーダ、手当て終わったよ。イルイル~。」

 

手当てを終えたマーマンをティファはモンスター筒に入れガルーダに差し出す。

 

「ガルーダ、この子を島にお願い。」

「-・・・・ティファ・・-」

「邪気にあてられたらこの子がしたくない悪い事させられる。あそこなら島の内湾にいれば破邪の結界が効いているから。」

「-ではティファも一緒に-」

「私はいかない・・・行ったら、出たくなくなる。この子のためにお願いガルーダ。じいちゃんの様子も見て来てほしいの。」

「-・・・・分かった、その代わりここを動くなよティファ、それか洞穴に戻っていろ。-」

「ここで待ってる。」

「-そうか、行ってくる-」

 

モンスター筒を口に咥え、ガルーダは一路デルムリン島を目指す。

早く行ってきてティファの側に居なければ、変態的な敵が来た時バラバラに引き裂くために。

 

行ってくれた、ガルーダは優しいな。

 

ガルーダを見送ったティファは、また岩にもたれて沈思する。一人になると、塔でのモンスター達の声が忘れられない・・・生きているのを喜んでも、嬉々として魔界に帰っ行ったたわけではない。

半分ほどのモンスター達が、地上にいる事を望んだのだ。

 

あの明るいものをずっと浴びていたい

暗き地に帰るのは嫌だ

何故この地はこれ程までに恵まれているのか

 

最後の言葉は怨嗟のように、どろどろとした情念を感じさせるほど

 

モンスターの言葉が分かるティファはモンスター達の近くにいたためにその声を拾ってしまった。だがどうする事も出来ない、残っていいとは言って上げられるはずもなく、どうしようもない。

 

己の奥底に隠している悲しみの悲鳴に耐え切れず、ティファは両手で顔を覆いすすり泣く。

 

暫くして、何やら大勢の気配を感じ顔を上げてみれば、大勢の小型モンスター達に囲まれていた。

その周りをマリンスライムやキメラ達がわさわさと取り囲む。

ガルーダがいたので遠慮して出てこれなかったが、ティファの優しい気配に魅かれて様子を窺っていたのだ。

洞穴の裏手の森から出て来たのかドラキーマやホイミスライムもいて、中には傷を負っている仔達もいる。

 

みんな、私を心配して来てくれたのかな?

 

小さい頃から野宿先でよく知らないモンスターと直ぐに仲良くなり一緒に寝ていたのはしょっちゅうだ。

モンスターは基本優しい、弱った自分を心配してくれる。

一昨日の鬼岩城戦で怪我した仔もまだいたんだ。

 

救護所にいる仔達みたいに手当てしてあげたい。

 

「傷のある子はこっちにおいで、手当てして上げる。」

 

両手を広げ来るように促し、マジックリングからあるだけの薬と包帯を出しのんびりと手当てをする。

 

「この薬は沁みるからね。」

「我慢出来てえらいね。」

「もう大丈夫だよ。」

 

優しい言葉を掛けられ手当てされ、寄ってきた子達はますますティファにべったりとする。

手当てをしていてもスライム達は肩に乗ろうとし、一角ウサギはちゃっかり膝に乗っている。

 

温かい温もりにティファがふと微笑むと、自分の背後から影が伸びた。

影はモンスターの物ではない、長身の人型であった。

 

誰?キル・・・ならどうしたらいいんだろう?

 

誰が来たのか分からないティファは不安で心音が高まるのを感じる。

 

ともかくも見て確かめようと後ろを振り返るとそこに居たのは

 

「・・・・・神様?」

 

呆けた声で思わずついて出た言葉に自分で驚いたけど、言われた相手も同じくらい驚いてる。だけど、白くて長い髪に白磁のを思わせる肌、年輪のように深く掘り込まれた皺は却って威厳をこの人物に持たせ、思った事が口をついて出ちゃったんだもん。

普段の自分なら物凄く驚き取り乱しているかもしれないけど、今は疲労感で頭にもやがかかった状態なのか、手当て以外の事したいと思えない。

 

-きぃ-

 

「あ、ごめんね。前足に包帯巻いたら終わりだからね。」

 

ティファ背後に立っている人物を一旦放っておく事にし、モンスター達の手当ての続きを再開する。攻撃してくる気ならとっくにしている、してこなかったのならいいだろう。

 

その様子を神様と呼ばれた者は興味深げに見下ろす。

どう見ても自分はそこらにいる魔族に見えないだろうに、神様と驚いた後は特に何も言ってこず、あまつ放っておかれる経験は初めてで新鮮味を感じる。大抵の者は自分に媚びへつらうか忠義心を示すか、敵対者でありば自分を見ただけで絶望するのが普通で、このような扱い生まれて初めてかもしれない。面白みを感じたのでしばらく様子を見よう。

 

 

全ての怪我を手当てしおえたティファはもう一度首を後ろに向ければ、矢張りまだいた。影があるから当然そうだろうが、なぜ今この人物がこんなところにいるのだろうか思わず首を傾げてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大魔王バーンの出番はもう少し後だろうに




やっとようやく書けました。
短文ではありますが、主人公の心の描写と、大魔王バーンが自然にすっと出てくる場面を書くのに難産し何度も書き直してようやくお届けできました。


部下の大半が目を付けた料理人の下にとうとう上司自らが出向いてきました。
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