勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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意外にお金持ちな主人公でした・・・


ベンガーナデパート①

ベンガーナのデパートにマァムさんとメルルさん入れた私達三人で出かけることになって、ポップ兄がメルルさん迎えに行っている間に夕食会の注文とっておいた。

 

「僕はその・・・色とりどりの野菜のピクルス美味しかったです。」

「あの瓶詰めは売っていた物だからまた買ってくるねチウ君。おじさんは?」

「酒飲めればそれでいいよ嬢ちゃん。あ、つまみに青カビ付いたチーズ買って来てくれ。」

「う!・・・マジックリングに入れれば匂いは平気か・・・」

「なんだ、嬢ちゃんには大人のチーズはまだはえぇか?」

「・・・・デザートチーズで一生いいもん!!次クロコダイン!!」

「俺は・・・ベーコンステーキにそれをサンドしたあれか。」

「お肉多めと・・・」

 

ワイワイと買い物メモを書き終えた直後に少々ティファが説教され、真っ当にメルルがマァムとキメラの翼で、ティファがガルーダで行くことになって無事出発が出来た。

 

街中ではガルーダが目立ちすぎ、ドラゴン騒ぎも新しくまた魔獣の襲撃かと騒ぎになっては困るので街よりも大分離れたところにティファとガルーダは降り立ち、ガルーダは留守番をすると言って大木に寄り添い昼寝を始める。

 

ここまで元気になっているティファならば、変態が来ても遅れは取らないのを知っているので安心して待っていられる。

幼い頃からずっとここに通っている、二人にとってはなれた遣り取りをしてマァム達と合流をした。

 

ドラゴン騒ぎがあっても、そもそも大戦最中であってもベンガーナの町は商人たちの活気で熱気に満ちている。その中でもデパートは一際賑やかで初デパートのマァムは気後れして入口に入ってから何度も人にぶつかって謝って早々に疲れてしまった。メルルもティファも平気な様子で人を避けているのに、これでは特訓・修行の方が楽ではなかろうかとか、乙女にあるまじき思考の海に逃げ出し掛けた時、小さな手が自分の手を握って人気が少しでも少ない所迄引いてくれた。

 

「ティファ、ごめんなさいデパート初めてで。」

「こちらこそすみませんマァムさん。考えてみればロモス育ちのマァムさんがこのデパートに来る機会ありませんでした。」

「少し休みますか?」

「ううん、買い物優先しましょう二人とも。」

 

まいったな、マァムさんデパート初なのに思い至らなかったよ。

しょうがない、今日は寄る積りなかったけど、あそこの力借りるか。

 

「マァムさん、メルルさん、楽して買い物できる方法があるのでそちらに移動しましょう。」

「そんなところあるのメルル?」

「さぁ、私も聞いたことがありません。」

「ふふ、大丈夫ですよ。何とかしますので安心してください。」

 

ティファは二人を安心させるようににっこりと笑う。

今ティファは眼鏡をしていない。料理人はしばらく休めとのお達しが下り、であるならば職業アイテムにも等しいアバン先生眼鏡にも休んでもらっている。

だが、眼鏡がなくともティファの中身は変わらない。

 

優しく世慣れたティファである事に

 

エレベーターに乗った三人は最上階まで行き扉が開くと、数歩先にパプニカ城でも見たような豪華で重厚感溢れたオーク製の扉があった。

そのフロアーに降りてみればふかりとした感触が足裏から伝わり、見回せばフロアー全てに深紅の毛長絨毯で敷きつめられている。

 

ここって、いつの間にエレベーターと御城がつながったのかとマァムとメルルが思う程に下のフロアーと違いすぎる雰囲気に飲まれかけたが、ティファは慣れた様子で目の前の扉を数度ノックし、返事も待たずに開け放つ。

 

「お二人ともこちらですよ。」

「でもティファ!中の人の返事して貰ってないわよ。」

 

慌てるマァムをまぁまぁと笑って宥め、メルルも伴い三人で中に入るとそこは矢張りお城の一室の様であった。

 

ティファが手近なソファに座って二人にもおいでおいでしようとした時、黒のお仕着せを着た男がゆったりと近づいてきた。

 

「これはティファ様。出迎えが遅くなって申し訳ありません。おや?珍しくお連れ様が。」

「こんにちわアクバルさん。実は普通に買い物をしようしたのですが思った以上の混雑ぶりに疲れましてね。各フロアーを回りたいのですが売り場を見回って買うのも億劫で。久しぶりですが-ガイド-を貸してください。」

「そうですかかしこまりました。誰か指名したい者は?」

「ロシナンテさんを。」

「彼・・ですか。仕事ぶりは最近目を見張る程の上級職になりつつありますが。」

「彼の素直さと仕事熱心さは好ましいですよ。空いているのであれば彼でお願いします。こちらのお嬢さん方はデパート慣れしていないので彼の気さくさも欲しいのですよ。」

「分かりました、初めましてお嬢様方。ご挨拶が遅れて申し訳ありません。

私は当デパートのコンシェルジュ部門で長をさせていただいているアクバルと申します。ベンガーナデパートにようこそおいで下さいました。」

「あ!はい、初めまして私はマァムです。」

「初めまして、私はメルルです。」

「お嬢様方、どうか硬くならずに。デパートは皆様の買い物の場を提供する場であり便利で楽しさも売りにしているのです。少々お待ちを、今飲み物をお持ちしますのでお二人もティファ様同様そちらのソファー開始におくつろぎを。では。」

 

優雅にお辞儀しアクバルは足早に奥に引っ込んだ。

長年ベンガーナデパートで働き、酸いも甘いも噛み分けた大人の渋みを称えた雰囲気に加え、少々彫りの深い顔に程よい皺が更に年輪を感じさせ、黒髪をオールバックできっちりと整えた美中年に初めて遭遇したマァムとメルルはアクバルの言葉に従いストンとティファの両脇に腰を落とした。

 

「ティファ・・・ここ何?」

 

先程の遣り取りの間、ティファは一度も立ち上がることなく座ったまま話を進めていた。

いつものティファならば相手が立っている時は自分も立つはずなのに、ここではこれが当たり前のようだ。

 

「私結構デパートに買い物に来ているので、一般の方よりも少々特別な優遇が出来る会員に入れまして、ここもそのうちの一つです。」

「ティファさんそんなにしょっちゅうデパートに?」

「はい、この前パプニカ城で渡した服装・整える品一式は全部ここです。普段使用している食器類もですよ。」

「・・・・そんなに・・」

「はい、ティファ様にはいつもご贔屓にしていただいています。」

「え!・・・・・いつの間に・・」

 

三人で話し込もうとした矢先に、足音どころか気配も消して近づいてきたアクバルに、メルルはともかく武闘家として大成してきたマァムも気が付けづ思わず驚きの声を上げてしまって赤面をする。

 

「驚かせて申し訳ございません。マァム様・メルル様とお呼びしてもよろしいでしょうか。」

「二人は許可しないと思いますので私が許可しますねアクバルさん。これは彼の仕事だと思ってお願いします。」

「様って・・・ティファ、ここ本当になんなの?」

 

冷たいジュースを出され、二人は気後れするが慣れた手つきでティファはコップを持ちの一口飲んでからアクバルにお願いしますと丸投げをする。ここでの仕事は全部彼の領分だ、自分はジュース堪能させてもらう。

 

「こちらはコンシェルジュ部門と言いまして、お客様が欲しい商品の説明と、売り場までご案内をさせていただく所です。お客様に付き添うコンシェルジュをガイドと呼び、その者が各フロアーの案内から商品の説明をし、ドレスや大型の物なのどはその者がフロアーからこちらの待合室でお持ちし、その間にお客様には飲み物のサービスを提供してお待ちいただきます。」

「はぁ・・・」

「そんなすごいサービスが・・」

「ようするに、デパートの便利屋でございます。」

 

 

普段の買い物と全く違いすぎて理解が少々追いつかないメルルとマァムにアクバルは気さくに笑って話しかけ、かみ砕いて話しているのに気が付かせない話術を駆使して二人の緊張をほぐしていく。

二人は本当にデパート慣れしていないようなので、ロシナンテにその事を肝に銘じておくように伝える事を頭の片隅で算段を付けながら。

 

程なくして扉が叩かれ入ってきたのは、アクバルの半分くらいの年齢の茶髪を短く刈った青年が入ってきた。

 

「これはティファ様、お久しぶりです。」

「お久しぶりですロシナンテさん。今日は貴方にガイドを頼みたい。」

「僕ですか!かしこまりました!!精一杯務めさせていただきます。」

「はい、とはいえ私ではなくこちらのお嬢様達のガイドを。」

「これは挨拶もせず失礼を。ロシナンテと申します。本日はガイド役を精一杯務めさせていただきます。」

「ロシナンテ、ガイドに入る前に伝えたいことがある。ティファ様・マァム様・メルル様少々失礼を。」

「大丈夫です。その間にマァムさん、メルルさんもジュース飲みましょう。このデパートの目玉商品・フレッシュジュース美味しいでしょう。」

「あら本当美味しい!」

「柑橘なのにとがった味がしなくて・・・」

 

アクバルの話術とティファのいつも通りの態度に二人は緊張が大分ほぐれ、いつしか夕食会にも出そうかと話が盛り上がっていく中、裏手でアクバルがロシナンテに様々な助言をする。

 

マァムとメルルはティファと違いデパート初心者である事、今日の買い物リストを先程渡されたのでこれを主軸にしてもよいが、二人の要望を引き出し最優先にする事。

そしてここが一番肝心な事で、二人に値段を一切知らせないことをティファの要望である。

 

ティファはこのデパートの数十人しかいないVIP会員であり、滅多に来ない客ではなく常連である。

そういったVIPは支払う額が半端ではないのでこのデパートに数万ゴールドを預けている。

 

「支払いはもうティファ様が支払ったように伝えればよろしいのですね?」

「ああ、このコンシェルジュ部門からもう通達が来て支払いは滞りなく終わったと。リスト以外の品物の時はティファ様から預かった中から払ったとお伝えするように。」

 

本来は各フロアーの売り上げ帳簿が上がってきてそこから預かり金から引いて行くのだが、その事を二人に伝える必要は全くない。気兼ねなく楽しい買い物をしてほしいと言うのがティファの願いだから。

 

「分かりました、ティファ様の時の様な失態は二度としません。」

「頼んだぞロシナンテ。普段通りにやれればそれでいい。」

「はい!」

 

様々な注意を受けたロシナンテは待合室に戻り、マァムとメルルに気さくに笑いかけ、行ってみたいところや欲しいものはないか物柔らかに尋ね買い物経路地図を頭の中に作成していく。

 

その様子をティファとアクバルは楽しそうに眺める。

 

ここのVIPになっておいて良かった。二人が買い物している間にわたしもいってくるか。




ベンガーナデパートは主人公ご用達です。

ベンガーナデパートのオリジナルを書いていたら思いのほか楽しく、二話分になりそうなのでいったん切ります。

実際のデパートのコンシェルジュ部門はもっと凄い専門職なところなのでしょうが、
作者の力ではこの程度しか書けませんので、実際にコンシェルジュさんを使っている方々には不満があると思いますがご容赦を(;^_^A

若い娘さん達に楽しい買い物の時間をもう少し過ごしていただきます''`ィ(´∀`∩
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