勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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アバンの次に別キャラがゲスト出演をします。
よろしくお願いします。



一年目は・・うまくいってるのかな・・

お出掛け一年目は、朝早く起きて畑の面倒を見てその日の勉強を終えてからお出掛けだ。

あまり出掛け過ぎると疲れるのとじいちゃん達が心配するので十日に一回にしている。

年月経てば大きくなって出掛ける範囲を広げていく予定なので焦らずに行こう。

毎回のお土産は二人にとても喜ばれた。

飴はあまり手に入らないのでダイ兄には他のお菓子とおもちゃを買っていく。

じいちゃんには古書や民芸品が喜ばれている。

狭い家なら置き場はないが、今三人で住んでいる―広い家―なら大丈夫だ。

私が出掛ける一年前に、ウォーリア船長が大工さんと建具屋さん達を連れて来て、

私達の家を建ててほしいと依頼をしてくれた。・・私とダイ兄へのプレゼントだって・・      

       ―二人が健やかに育ってくれるのが条件だよ―

 

断ろうとしたじいちゃんに言った事・・頼もしい海の男スマイルで・・。

それを聞いたじいちゃんはウォーリア船長さん達に涙を流して感謝をして受け取った。

お礼の品物を渡そうとしても受け取らないウォーリアさん達は本当にかっこいい。

島に来てくれた大工さん達も、島の皆を怖がらずに楽しそうに家を作ってくれた。

―あの男からの依頼なら大丈夫だと信じてますよ―依頼主ウォーリアさんを信じてと・・。

 

半年で家は出来た。材料は島の木で、家具やベッド日常品の物は少しずつウォーリアさん達が持ってきてくれた。

さすがにその時の支払いはじいちゃんが出した。島の薬草・キメラの翼・海の底にある真珠は半魚人たちが採ってきて費用にした。

作り終わった後、記念に丸一日どんちゃん騒ぎの宴会を島の皆と関係者一同で開いて、

次の日の朝大工さん達は船長さん達と島を離れた。

 

ネイル村の平屋を二階建てにしたバンガローのような素敵なおうち。

お土産を沢山買っても大丈夫だ。

 

帰る度に島の外の話を二人に沢山した。

買い物でオマケをしてくれる人、迷子で困れば助けてくれる人、時折見かける島の子以外のモンスター達の事を話す。・・むろん人は親切な人だけじゃない・・。

時折私の財布を盗ろうと脅かしてくる大人や、キメラの翼を高値で引き取ると騙す人もいた。

でもそれは内緒。

             「親切な人達ばかりだね」

 

 

そう言ってニコニコとお外の話を聞いてくれているダイ兄にはまだ聞かせたくない。

それはじいちゃんも分かってくれているみたいだ。楽しい話をしている時の、いつものニコニコ顔と少し違うもん。

 

全く‥ティファは・・しょうがないの~。ダイに人間の怖い面を教えるにはまだ早いかの~。

 

ウォーリア達のおかげで世界の広さと人の良い面を学んでいる最中のダイには、人の悪しき面を教えて水を差すには忍びない。

もう少し大きくなってからでも大丈夫じゃろう。

 

かくして私とじいちゃんの間に暗黙の了解が出来た。

この先嫌でも人間の狡さ醜さを知る羽目になる。

でもその頃にはウォーリアさん達を通して人の良さを学んでくれているはずだ。

知るのはそれからの方がいい。

今はそれよりも伸び伸びと育ってほしい。

このデルムリン島の大自然の中、じいちゃんや島の皆、ウォーリアさん達の愛情を全身で感じて元気いっぱいに。

 

私の方はそこそこうまくいっていると思う。

船を降りた後は式神で―私―を作って買い物やなんかをさせて、本当の私はダッシュで

港町の周辺の森や川、行ける範囲での村々の周りや井戸の中に―破魔の石―を置いてく。

一度はネイル村に行って無茶をした。

その日は式神に夕方乗船してもらい、空飛ぶ靴で船に近づいてこっそりとまた入れ替わるという荒業をして・・船員さん達に見つかりやしないかと心臓バクバクした。

一応習得をした―ジ・アザーズ―で視覚結界はしたけれども怖かった。

・・でも・・そこまでしてもネイル村は不首尾で終わった。

・・だってちょうど村にマトリフさんが居たんだもん‼しょうが無いじゃない!!!

 

ネイル村にはロカさん家族が住んでいる。

ロカさんが病床で動けないにしても、奥さんのレイラさん、娘のマァムさん、・・また

アバンさんに会ったらとってもまずい‼アウトだ‼

なので慎重に行ったら・・案の定マトリフさんいた・・。

しかも‼遠くの茂みから見ていたのに・・振り返ってバッチリこっち見てきたし!

なんなのあの人!本当に百歳近くなの⁉

見つからないように茂みに伏せてくれてテンパっていたら、

―どうかなさいましたかマトリフ様―・・女の人の微かな声と、

―いや・なんか気配感じて・・気のせい・・俺もボケ・・-しわがれたおじいちゃん声が

風に乗って聞こえてきた。

これ以上は近づけないと判断をして、その日はそこまでにして尻尾を巻いて逃げ帰った。

今の私じゃ見つかるのがおちだ。

 

・・なんて諦めませんとも‼

筋トレ、瞑想自主鍛錬の中で、気配消す修行の事を忘れてた・・ならば‼今すぐやろう‼

超ポジティブな思考に君って前向きだね~って、普段暢気な人の神様からそうのたまわれた・・

でもいいもん!!やってできてなんぼだ!!!ファイトだ私!

 

気配を消す練習と、普段の気配をきちんと出す二種類の修行が必要だ。

いざという時以外、そこらの子供から気配を感じられないのは超怪しい。

なので修行第一段階はダイ兄と島の皆との鬼ごっこ。

野生児のダイ兄と島の皆は気配を読むのがうまい。

見つからないように気配を隠す方を先に習得をして、十中八九出来るようになったら、

見つかるように気配をわざと出す方を身に着けた。

気配の出し入れのコツをつかんだら次は―動いていても完璧に気配を消す方法―の修行を海の中でした。

最初の修行は五日間で習得できたけれども、こっちにはひと月を要した。

近づこうとすれば水の流れの動きや呼吸、気配ですぐにばれてしまった。

(私は石だ岩だ海草だ)

 

心の中で無生物をイメージして極最小の動きを無呼吸でしていき

一月後にようやく成功できて嬉しかった。

 

修行の間はネイル村以外に石をばら撒いていたが、ようやく目標の一つに落としに行ける。

早速行こう!




ウォーリアさん達の男ぶりがどんどん上がっていきます。
ここまで島に人が頻繁に入れば島の事が外部に漏れてしまいますが、
島のモンスター達や、主人公達の平穏な日常を守るため、
ウォーリアさん達は外部には一切漏らしていないので、
世間からは―凶悪なモンスターの島―と思われたままなので、偽勇者もやってきます

この世界のマトリフさんは九十歳前半で設定をしました。
マトリフさんとのあわや遭遇の危機で主人公のレベル上げが出来ました
次回はネイル村のミッション後、―とある人の落とし物―を拾いますので
よろしくお願いします。

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