ドン!
「ティファ何処!!!」
ポップのルーラでマトリフの洞穴入口に到着したダイは、ヒュンケルとロン・ベルクを置いてきぼりにし、座っているマトリフに挨拶もせずに妹がいるであろう気配がする洞穴の奥へと突進していく。
妹がどこにいても自分なら分かる!
他人が聞いたらどん引き案件間違いなしの妹センサーを頼りに進んでいけば、手痛い目に遭うことになった。
「兄入るな!!」
洞穴の一番奥はマトリフの寝室で一応カーテンが取り付けてあり今は閉まっていて、そこから出てきたティファは暴走してる兄の肩口にラリアットをかまして押し止める。
「痛いティファ!でも元気だから許す!!」
「・・・・ありがとう・・・」
時々兄の愛が重く感じても私悪くないよね。ラリアットしたのに倒れないでそのままぎゅってされてびっくりだよ。
「二人とも会って早々ドタバタするなよ。」
「あ!御免なさいマトリフさん。」
「騒がせてごめんねおじさん。」
ダイとティファのじゃれあいにマトリフが物申し、基本は良い子兄妹はしっかり謝り、ティファは早々にダイから離れ洞穴入口にいるヒュンケルとロン・ベルクにひょこひょこ近づく。
「こんばんわロン・ベルクさん。」
「ああ、夕食会に呼んでくれんだって?」
「はい、たくさん用意しますので食べてください。ヒュンケルもその・・・・」
「ティファ・・・」
ロン・ベルクとは普通に挨拶をするが、矢張りヒュンケルにどう話し掛けていいのか分からず、ヒュンケルの方も手刀をした負い目でなんと言えばいいのか分からずぎこちなくなる空気をポップのお気楽声が打ち破る。
「ティファ、おっさんとチウとマァムとメルルは?」
「あ!ポップ兄ありがとね、三人呼んできてくれて。」
「いいって事よ。俺のルーラならどこでもひとっ飛びだからな。そんで四人は?」
「そうそう!クロコダインとチウ君は浜辺に薪設置してくれて、マァムさんとメルルさんはね・・・くふふ。」
ポップの問いに、ティファは怪しげに笑いながら洞穴の奥に消えていき、直ぐに女の子三人組で登場した。
「ティファ!やっぱりこれ恥ずかしいわよ!!」
「ええい!可愛いは正義です!!よく似合ってますから大丈夫ですよ二人とも!!」
「ティファさん!きゃっ!」
ティファに無理やり手を引っ張られてカーテンから姿を現したマァムとメルルは戻ろうとしたが、がっちりと手を握られ戻れずポップ達に気が付き顔を真っ赤にする。
「こいつは・・・」
男達、特にポップはメルルの可憐な姿に呆けた顔を晒し、言葉が上手く出てこない。
マァムは淡い白のロング丈リラックススウェットワンピースに薄絹で作られたショールで肩を包んでいる。
ワンピースは首筋はカットアウトが深めで常よりも肌が露出し袖もないのをショールが守っている。
靴も其れに合う柔らかめの白革のハーフブーツ。
実によく似合うとティファは大満足。
そしてメルルの方はもっと大胆であった。
いつも、それこそ真夏でも長袖のロングスカートな彼女は、生まれて初めて膝丈までのサンドレスを身に纏い恥ずかしそうに両手を前でもじもじさせて落ち着かない様子でポップの方を上目遣いでちらちらとみる。
色は水色で綺麗な薄紫の花があしらわれており普段から履いているサンダルと良く似合う。
「どうだポップ兄!可愛いでしょう!ロン・ベルクさんもヒュンケルも二人とも綺麗でしょう!」
「お・・ああ・・」
「ああ、まぁ・・」
「うむ・・」
ティファのどや顔二人は可愛いいでしょアピールに野郎三人は上手い事が言えずに四苦八苦。
確かに可愛い!似合うが、一人は多感なお年頃で好きな子を褒めちぎれず、一人は武器以外興味がない生活を長年していたせいでこういう場合の褒め方が分からず、もう一人も戦い以外習ってこなかったのでどういえばいいのか途方に暮れる。
だがそこをポップは頑張った!
「メルル・・・そのよ・・・綺麗だ。」
上手く言えない部分はメルルの両手を取り、瞳をしっかりと見つめてカバーする。
本当に綺麗だと、何度も繰り返して。
「あれティファが買ったの?」
「そうだよダイ兄。マァムさんも綺麗でしょう。」
「うん、とっても似合うよマァム。」
「ありがとうダイ。」
服のことで盛り上がったところでティファは再びヒュンケルにアタックを掛ける。
「ヒュンケルこんばんわです。心配かけました。」
「ティファ・・・」
アタックを掛けてみたが不発で終わり。ヒュンケル私に手刀した事物凄く気に病んでる。理由おじさんから聞いた時私を止めてくれた感謝こそすれ恨んでないのに・・
「ヒュンケル、これからお酒を取りに行きますが一緒にお願いします。」
「・・・買っていないのか?」
「はい、天然の氷室に長年集めていたのがあるのでガルーダで取りに行きます。一緒にお願いできますか?」
「・・・・分かった。」
「はい、おじさん、皆行ってきます。」
「おう、ヒュンケル嬢ちゃん頼んだぞ。」
「え~!俺も行く!!」
「ダイ兄、行ってくるね。あ、御免、べほちゃんもお留守番してて。」
「・・・・いってらっしゃい。」
「-二人とも行ってらっしゃい-」
ヒュンケルと二人きりにさせてねのアイコンタクトに負けたダイはティファからべほを受け取り渋々二人を見送り、マァムとまだイチャアマしているポップとメルルにも声を掛けて砂浜に宴会準備に行くように促す。
ティファが戻ってきた時すぐに食べさせてあげられるように。
声を掛けられたポップとメルルは赤くなりながらもしっかりと手を繋いでダイとマァムの後を追い、洞穴にはロン・ベルクとマトリフだけが残った。
「良い奴らだなあいつらは。」
「ああ、若いってのは眩しいもんだ。」
一行の保護者的位置に居ると言ってもいいロン・ベルクとマトリフはダイ達の明るさと素直さにしみじみと感想を述べた後互いに礼儀だのは面倒なタイプなので簡素に名乗りあう。
「夕食会に呼んでもらって感謝する、ロン・ベルクだ。」
「こっちこそ一昨日の夜は嬢ちゃん守ってくれて感謝する。マトリフだ。」
「一昨日のな・・・守れたかどうか怪しいもんだが、一応は礼を受け取っておくぜ。」
ロン・ベルクは夕食会の礼を述べ、マトリフは一昨日の真夜中にティファを守り抜いてくれたロン・ベルクに感謝を述べたが、ロン・ベルクは素直に礼を受け取れないと苦い顔をする。
自分が行った時にはティファの心は傷だらけにされて、きちん守り抜いたとは言えないからだ。
その事を告げてもマトリフの返答に変わりはなかった。
「それでも、お前さんが間に合わなかったら嬢ちゃんはキルバーンに連れて行かれていたよ。それを阻止してくれただけでも良かったよ。」
ロン・ベルクが間に合わなければティファは本当に連れ去られ、ダイ達の精神的ダメージは計り知れず、下手をしたら一行全員の心は折れていたかもしれないとマトリフは危惧している。
力、技術は最早ダイ達が上であっても、この一行の精神的支柱はティファだからだ。
「そうか、そういってもらえるとありがたい。掛けてもいいか?」
「好きにしてくれ。時にだ、嬢ちゃん連れて行こうとしたキルバーンは嬢ちゃんに何言いやがったんだ?」
「・・・・聞くだけでも気色悪いぞ。」
「ああ、全部頼む。」
ティファの疲れの一端をきちんと把握しておきたいマトリフは些細な事でも知っておきたいとロン・ベルクが見聞きしたことを余すことなく聞いた。
・・・・・確かにダイ達がやっこさんを変態だと評する理由がよっく分かった。
だが、昨日のあいつの様子じゃそんなこと嬢ちゃんに言いそうになかったが、わざと心を壊すために言ったのか?
マトリフの考え込む様子に気が付かず、ロン・ベルクは溜め息を吐きながら話を続ける。
「お嬢さんにも困ったもんだ、そんなに大変な目に遭ったのに仲間に心配かける事ばかりして。もっと周りを頼らないと駄目だ。」
「・・・周りにか。」
「ああ、昨日ヒュンケルがお嬢さんのした事全部話してくれてな。敵との交渉・判断を全部一人で抱えちまってる。それじゃあお嬢さんが疲れきるのは当たり前だろう。」
「その通りだな。」
「だろう?その事をお嬢さんと話し合いたいんだがいいか?」
「・・・・なんで俺に聞くんだ?」
「あ?ヒュンケルが今のお嬢さんを守ってるのはお前さんだって言っていたからな。話すにしてもあんたに筋通しておきたいだけだ。」
「そうか。」
ロン・ベルクの言い分に、マトリフは目を少しつむり思案する。
この男の言い分は正しい。嬢ちゃんは今まで何もかもを背負い込んでとうとう抱えきれずに昨日の大惨事を引き起こしたことに間違いはない。
だがそれでも、許可は出来ねえな。
「ロン・ベルクさんよ、その話待ってくんねえか?」
「何故だ、お嬢さん自身がチウに仲間を頼ってくれと言っているのを聞いていい事を言うもんだと感心したが、お嬢さん自身が出来てねえんだぞ。」
「それでも待って欲しい。」
「・・・ヒュンケルに聞いていたよりも甘い男だな。お嬢さん自身の為にもきっちし話しておいた方がいいだろうに。」
「嬢ちゃんが今まで彼奴等に頼らなかったのには訳があんだよ。」
「訳?」
「その話の前に、嬢ちゃんの事を話させてもらうぞ。」
ロン・ベルクの説得のために、マトリフは七つの頃からのティファの話しを始めた。
幼き頃より戦う力も知識も桁外れにあり、ガルーダ連れとは言えたった一人で世を回り世間の大人以上であったティファの話を。
「・・・・あのお嬢さんはそんな頃から・・」
話を聞いたロン・ベルクは驚きを隠せず絶句する。
確かにダイも強いが、幼い子供が単騎でモンスターを易々と倒すなどとはこの地上では聞いたことがない。竜の騎士の子供だから才に溢れできたのだろうか?
そんな子供がたゆまずに努力を怠らずに成長すれば・・
「お嬢さんが戦い慣れしてるわけだ。」
「お前さん嬢ちゃんが実際に戦った姿見た事あんのか?」
「いや・・・・投げ飛ばされた・・」
「・・なにやってんだ。」
「いや・・・・ともかく実際はないがダイやヒュンケル達から聞いた程度だ。それにキルバーンの奴がオリハルコン製の敵の胸に風穴開けたとは言ってたが・・・最初会った時はとてもそんな事できるような者には見えなかったんで話聞けば聞くほど驚いてる。」
「そうか。話の通り嬢ちゃんは確かに強いけどな、単純な力・技ならもうダイ達の方が上だろうよ。」
マトリフはティファの実力の天井はまだ知らないが、バラン戦や鬼岩城での戦い方をダイ達の話を聞いていて冷静に判断をしてそう評価した。
ティファにはダイのように鬼岩城を真っ二つに出来る大技はなく、ポップが身に付けたような消滅呪文もない。
膂力も体格からしてヒュンケルやクロコダイン、格闘専門のマァムに軍配が上がるだろう。
「だったら尚の事何故お嬢さんは仲間を、ダイ達を頼らねえんだ。」
マトリフの話と評価を聞けば聞くほど、ティファが仲間を頼らない理由が分からないと苛立つ。自分よりも強いものを頼らない理由は何だとマトリフに続きを促せば、とんでもない返答が返ってきた。
「ダイ達は今まで-料理人ティファ-の預かりものだったからだ。」
「預かりものって・・・・あのお嬢さんは随分と傲慢な考えを考えを持っているんだな。」
聞いたロン・ベルクはかなり不快な気持ちになった。
他者を預かるとは容易な事ではなく、如何に知識実力があろうとも十二歳の子供がして良い事だとはとても思えない。ましてダイとチウ以外はティファよりも年が上であり、なおさらして良い事ではないだろうと。
その様子にマトリフは嘆息をつきながら弁明する。
「今お前さんが何を思ったか大体予想できるがそうじゃねえんだよ。」
「何が違う?言っている事はそういう事だろう。」
「お前さん、ダイ達の師を知っているか?」
「ああ、確か先代の勇者でダイ・ポップ・マァム・ヒュンケルが同門だったな。」
「そうだ、嬢ちゃんはその先代勇者アバンから直接頼まれて預かったんだよ。-平和の芽-ってやつを。」
「平和の芽?」
「ああ、嬢ちゃんが眼鏡かけてるのは見た事はあるか?」
「最初会った時からずっとかけてるが、そういえば今掛けてなかったが。」
「ありゃ伊達眼鏡で嬢ちゃんが料理人のティファとして動く時のお守りだそうだ。」
昨日嬢ちゃんが話してくれたと前置きをし、先代勇者の思いも伝える。
伊達眼鏡はアバンの実力の高さを隠すための物であり、大戦時はカールのフローラ王女に預け、大戦後にまた再び掛け始め平和の芽を育てる為に教師となり世界中を回り、ヒュンケル・マァム・ポップを育て、最後のダイの時は修行三日の時に魔王ハドラーが来てしまい全てを教えきれなかった事を。
「だからか、アバンの奴は嬢ちゃんの実力の高さを看破して後を・・ダイ達を託してメガンテをしたんだと俺は考えてる。」
眼鏡と共に、育ち切れていない頼りない平和の芽を守るように託して。
島にハドラーが来た時アバンはダイとの修行の為に魔力の使い過ぎもあったが、実力差がありすぎ、ダイとポップも師を思い果敢に立ち向かいほんの少しだけ傷をつけることが出来たが焼け石に水であった。
しかしティファは、そんなハドラーの必殺ともいえるヘルズクローを無傷で躱し、全然魔王に見えない、中身が酒場で喧嘩しているおじさん達並ですと、怖れげもなく魔王相手に啖呵を切っていたという。
その実力と胆力を見込み、アバンは全てをティファに託してメガンテをしたのだろう。
「それ以降、嬢ちゃんは料理人のティファとしてあいつ等を力だけじゃなく心も育てようとしたんだ。」
それぞれに戦う理由と心構えを問うてきて話をし、遂にはダイ達全員の心は強く育ち、どこに出しても恥ずかしくない威風堂々とした立派な勇者一行に育った。アバンとティファの願い通りに。
「そんな・・・壮大な願いをあいつは果たしたってのか・・・」
たった十二の子供が、そんな途轍もない事を願い果たしたことに今度こそロン・ベルクは言葉を失う。
あいつは・・・一体何なのだ?望んだからと言って、人の心それも一人だけではなく幾人もの心を出会って数か月でその通りに導ける者なんて聞いたことがない!!
幽かな怖れをティファに抱き血の気が引く思いをロン・ベルクは味わう。
「・・・・嬢ちゃんが怖いと少しでも思ったんなら、あの子に関わらねえでくれ。」
黙り込んでしまったロン・ベルクに、マトリフは静かに告げる。
ティファが今も昔も怖れているのは、他者を守れないことと同じくらいに他者に怖がられる事なのだから。
「へっくしょん!て・・・誰か噂してる・・」
「大丈夫かティファ。」
「はい・・・・何やら噂されているようです。」
「そうか。時にティファ、氷室とはここでいいのか?」
ヒュンケルはティファの身を案じながら岩に埋まっている崖を指さし尋ねる。
「ここです。入口は毎回岩で埋めて防犯してるのです。どかしましょう。」
「ああ、なるほど。」
納得したヒュンケルはガルーダとティファに下がるように言ってすぐさま岩をどかしていく。
その速さはすさまじく、あっという間に入口が姿を現し大人二人が通れるほどになった。
「・・・凄いですね、私の倍の速さです。」
「-ティファもすごいと思ったが、この男も中々のものだな-」
ティファと、言葉は分からないが雰囲気でガルーダに褒められているのが分かり、照れ隠しにコホンと一つ咳をして中に入る。
流石にガルーダは中に入らずヒュンケルとティファの二人だけで取りに行った。
中は確かにひんやりとし、下に続く道があり松明が置かれていた。
ティファが携帯の種火をリングから取り出し松明に火をつけヒュンケルが受け取り下に降りていけば沢山の樽が下に置かれ、棚がありそこにも密封された瓶が所狭しと置かれている。
「様々なお酒がありますが、クロコダインやロン・ベルクさんはどんなのがいいでしょうね?」
どんなお酒がいいか一昨日のお昼に一緒に飲んでいたヒュンケルに尋ねる。
「そうだな、持って行ったワインもいいがもっと強いのが良いと言っていたな。」
「そうすると・・・ああ、あれがあった。あ、ヒュンケル届かないので持ち上げてもらっていいですか?」
「ああ・・・」
いつもの自分ならば喜んでそうするが、今はティファに対して罪悪感が一杯で素直に喜べず、暗い表情でティファの背中を見ながら持ち上げた後俯けば、ティファの優しい声が降ってきた。
「ヒュンケル。止めてくれてありがとうございます。」
声を聞いてすぐに上を向けば、温かくて優しいティファの笑顔があった。
そんな笑顔を、自分は向けられる資格は自分は無い。荒れ狂ったティファ心を止めるのに力づくでしか止められなかった自分にふさわしいはずが無い!
「ティファ・・・俺は・・」
「私を止めて、助けてくれようとしたのでしょう。」
「それは・・・それでも・・・」
「嬉しく思いました、ありがとうヒュンケル。」
「あ・・・あっ!」
否定しようとしても、ティファの温かい言葉が冷え切った心に優しく染み入り、溶かされたヒュンケルは持ち上げたティファを振り向かせ掻き抱き咽ぶ様に泣き叫ぶ。
「ティファ!ティファ・・・俺は・・俺達はお前を・・・助けたかった、救いたかったんだ!!」
いつも自分達の心を慰め温めてくれるように、今度は自分が救いたかった。
だが、ティファの様にいかず力づくになってもそれでもと。
溢れるヒュンケルの涙と思いをティファは何も言わず、ゆっくりと頭を撫でながら受け止める。地底魔城戦のあの後のように、後悔と悲しみを全て受け止めたあの時と同じ様に。
氷室内は泣き声が響き、程なくして落ち着いてきたヒュンケルの頭をポンポンと叩く。
「ヒュンケル、お酒持って帰りましょう。」
「ああ、そうだな。」
結構な量のお酒をマジックリングにに入れ、氷室を出た二人は再び岩で入り口を塞ぎガルーダに乗って一路仲間の下へと飛び立つ。
ガルーダの背にいるヒュンケルの顔には悲しみは最早なく、晴れやかで力強い笑みが浮かべながら。
「おじさん!ロン・ベルクさん!!ただいまです。」
「酒を持って来たが、ダイ達は何処に?」
「お帰り二人とも、」
「あいつ等なら今頃浜にいるぞ。」
「ふ~ん、行ってくるね。」
挨拶もそこそこに、ティファはヒュンケルを置いて浜へと爆走していった。
「ったく嬢ちゃんは元気になると落ち着きのねぇ。」
「その元気さこそがティファでしょう。」
「まぁな。時にヒュンケルよ、随分と晴れやかな顔になってるじゃねえか。」
さっき見た時はこの世の終わりみたいな面してたのに。
「はい、ティファに止めてくれてありがとうと言われまして。」
面映ゆそうにマトリフの問いに答えるヒュンケルは年相応の青年に見える。
たった二言三言でヒュンケルの心を晴らしたのか嬢ちゃんは。酒云々は口実か。
マトリフ同様、昨日からヒュンケルの苦悩を見て知っているだけに、短時間でそれを取り除いたティファに驚きながらも、先程聞いた預かりものの話に心底納得をした。
確かに料理人ティファは勇者一行を預かり、力だけではなく心を守り育ててきたのだと。
難産でしたが、料理人と先代の願いが書き切れていれば幸いです。
この場をお借りして、この少し前の話にフラグ立ての為の加筆した事があります。
詳しくは目次概要に記載させていただきましたので、是非ご覧くださり感想を頂ければと思います。