王様の寝所なのに賑やかにしてていいのかな?
「ポップ君!是非しましょうね合同結婚式!」
「姫さんまでなんてこと言うんだよ!つうか俺らと姫さんじゃあ結婚式の意味合いがだな・・」
「救国の勇者とお姫様の結婚はある意味御約束なのよ!其れ反対する人いないから安心して頂戴だい。」
「そっちじゃねえ!王族と庶民が合同でなんてな!」
ダイ兄が夢一杯の結婚式プラン王様に話したらがぜん姫様の心に火がついて、王様も二次会はデルムリン島でするれば良いかなんて言い出しちゃったよ。
「ああもう分かった!!」
レオナの執拗攻撃にとうとうポップが音を上げた。先程の褒め殺しでポップにまで弄られたレオナは、復讐するは我にありを標語にポップとメルルもその時合同でするのだと迫ってとうとうポップの決意を固めさせた。
「メルル!今からフォルケン様に俺とメルルの結婚許可とご招待しに行くぞ!!」
・・・・ホワッツ!!
「ポップさん⁉」
メルルさんが裏声出して絶句した・・言い出して騒いでた姫様も固まっちゃたよ。
「ポップ君・・・何でフォルケン様?」
「あん!メルルにナバラさん以外の家族いないのかって聞いたら、小さい頃から城に出入りしてフォルケン様がお父さんみたいだって言ってたんだよ。娘さん貰うのには父親の許可要るだろうが!!ロムスさん、さっきティファが言っていた体にいい事のメモ貸してください、フォルケン様にも当てはまること沢山あったんで今から国に戻ってから実行してもらって、フォルケン様にも長生きしてもらうんで。
行くぞメルル。」
パタン
ロムスからメモを受け取ったポップは、固まってしまったメルルの手を握りしめ一緒に連れて行ってしまった。
「ふむ、合同結婚式の前例はあったかな・・・司祭たちに調べさせるか。」
いきなりの急展開の中、唖然茫然の一同の中でレオール王だけが合同式を具体的にしようといち早く算段に入る。
「あの王様・・・・許可成されるんですか?」
「良い事は皆で祝うのが一番であろう?それも楽しみの一つにさせてもらおう・・・・ドレスはこちらとテランとどちらで用意すべきだと思う?」
「花嫁衣装は国ではなく・・・祖母さんのナバラさんが用意して、花婿衣装もポップ兄のご家族が用意するかと。」
「そうか、ならばレオナはこちらでそなたの兄は・・」
「はい、手筈は何とでも。」
意外な程許可がサクサクと出ちゃうけど・・・
「王様・・・そろそろ私降りた方が・・・」
さっきから私王様に抱っこされたまんまなんだけど
「重くないぞ。」
・・・ずれてる、王様どこかずれてる
「あんなレオール王、ポップもだがこいつらは特訓が待ってんだ。そろそろお開きにしてくんねぇか?」
「おやマトリフ様、それ程早くティファを手元に取り戻したいのですかな?」
ビキ
「・・・嬢ちゃんはな!弱っている奴には誰にでも優しいんだよ!!そこんとこ勘違いすんじゃねえ!!!!」
レオールのお茶目な挑発ともいえない言葉に、百戦錬磨のマトリフが感情をあらわにし、ダイ達は目が点になりついで大爆笑の渦になる。
「はっはっは・・・マトリフさんのこんな顔初めて見た!」
「だ・・ダイ・・マトリフおじさんに・・失礼よ・・」
「マァムだって・・・もう駄目!マトリフ様可愛い!!」
お子様組はけらけらと笑い、ヒュンケルとクロコダイン、ロムスは静かに笑って憮然としながらお子様組に抗議しているマトリフと笑い転げるダイ達を温かい笑みで見る。
敵だ味方だと暗い影なく笑っている光景は、まさしくティファが居なければ生涯見る事はなかっただろうと思う。
一人の少女が笑って話すだけ、たったそれだけでこれほど幸せな光景が繰り広げられる様を見る度に、ヒュンケルは常々考えている。
誰もがティファに会えば何かしらの影響を受けずにはいられない。それは味方だけではなく敵にも影響を及ぼしてしまい、良くも悪くもなのが困りごとだが、それでもこの優しい世界を守りたい。その為にも
「レオール王、マトリフ導師の言う通り、俺もダイも剣の訓練をする時間なので失礼する。」
「あ!そうだね、ロン・ベルクさん待たせてるんだ。王様、レオナ姫様御免さない。」
「チウ、我等もだな。」
「そうですね、王様、姫様も失礼します。」
「私もね。レオナ姫、またゆっくりできる時に・・」
「ええ、分かってるわマァム。みんなも無茶しないでね。」
「レオナの言う通り、戦いに赴けばそうも言っていられないだろうが命を大切にしてほしい。」
レオールの優しくも力強い言葉に、ダイ達は明るく笑い辞去の挨拶をして部屋を出る。
部屋は一気に静かになり、少々寂しく思ってしまうのが不思議だ。
今までこの静寂こそが安らぎであったのに、そういえばダイ達が来てから一度も咳が出ておらず、体のだるさも感じられない。
「あの王様・・・降りてもいいですか?」
膝に乗せている温もりが無くなるのはやはり寂しく感じるが、いつまでもいてもらうわけにはいかない。
ティファの脇に手を入れそっと寝台から降ろすも、頭や顔を撫でる手は止められない。
不思議な子だ。これほど人の心にするりと入り込み温めてくれるものを自分は知らない。レオナは最愛の妻の忘れ形見で愛娘であるので当然だが、この子はまるで・・そう・・
「そなたは太陽の温もりのようだ。」
あの力強い太陽そのものではなく、冬の寒い時にも温めてくれる暖かさを具現化し女の子にしたのがティファではないか。
レオールの言葉に、物怖じしないティファがはにかみ俯く。
母は父に太陽のようだと言われていた。その娘の自分が同じような事を言って貰っている。それはとても嬉しいが恥ずかしくもなる。
「そなたも決戦に赴くのか?」
「はい、勇者一行の料理人は最後の決戦まで付いて行きます。」
「そうか・・・そうなのだな・・・」
娘も戦い、同い年の兄も戦っている中でティファだけを特別に戦線離脱させて良い時期はとうに過ぎていると各国の王との協議で最早決まっているとはいえ、出したくないとこの期に及んで考えてしまうのは戦に対する覚悟が足りていないのだろうか?
悲しいレオンの気配にティファが心配そうに見つめ、すぐさまレオールは笑みを浮かべる。
「勝つのであろう?こちらが。」
「はい、そう信じてます」
ならばそれを信じて無事を祈ろう
「嬢ちゃん、俺もレオール王に試してみてぇ薬があるんだよ。昔フォルケン王に作ってやった滋養強壮の薬なんだが、ロムスも交えて話してえから先に帰ってな。」
「・・・・待ってちゃ駄目?」
「待つってどこで・・」
「えっと・・・・・」
「マトリフ様。」
マトリフの提案に渋るティファの援護をすべく、レオナが口を開く。
「私とエイミとティファの三人でお茶会をしてもよろしいでしょうか?」
「お姫さんと・・・その三人だけならいいぞ。」
他は入れるなとティファには気づかれないように言外に釘を刺し、レオナもエイミも心得ていると頷きティファを連れ出す。
「私もティファのお茶飲んでみたかったの。」
「んむ・・・クッキーも何も持ってきてないですよ?」
「ティファさんのお茶はそれだけで十分ですよ。」
「ティファ。」
部屋の出口で挨拶をされる前に、レオールはダイ達に言った事と同じ言葉をティファにも送った。
「戦いに行く事になろうとも、命を大切にしなさい。」
っ!!
それは・・・その言葉には・・・・
ティファは言葉に詰まり、笑みをもってレオールの言葉に応え一礼をして先を歩いているレオナとエイミに追いすがる。
あの言葉に、自分は頷くことが出来ない・・・・
「マトリフ様・・・・今ティファは・・」
「ああ、お前さんの言葉に返答しなかったな。」
ティファならば、今の言葉に飛び切りの笑顔で元気よく返事をしてくれるものだとばかり思ったのだが・・・返ってきたのは柔らかく透明な笑みだった
それはマトリフの洞穴で、ノヴァと将来結ばれてはどうかというロン・ベルクの問い掛けに対しての時と同じ、向けられた者が不安になる笑みであった
他者の命は己の全てを掛けても守り通そうとするも、自分の命を大切にする約束をすることが出来なかった主人公でした。
転生者としての異物感からではなく、この後主人公が成そうとしている事が理由です。