なんじゃそりゃ案件だよこれって!!
普通異世界転生者って、神様の手違いで<トラックにはねられて死亡させてごめんなさい>
とかのパターンでしょう?
今まで病院生活歴しか送ってこなかった私が何の因果で‐ダイの大冒険‐に転生する羽目になったってのよ!!
「・・困ったの~。驚いて固まってしまったぞ?」
「無理もなかろう」
「この子にリラックスしてもらう為に、僕たちの自己紹介をしてあげようよ。」
「それは妙案じゃの人の。これ娘よ、儂は神の一人、竜の神じゃ。」
・・・おじいちゃんが・・竜神様・・
「私は精霊と天族の神をしている。」
おじさんが・・・天の神様・・
「僕は人族の神様。この三人で天・地・魔界を切り盛りしているんだよ」
・・若いのが人の神様・・
自己紹介聞いて少しは頭冷えた・・・・冷えたけど頭痛いのには変わんないけどね。
「三人の神様で三神様でいいですよね。ものすごく偉い様な人達が、何故に平凡人間の私に声をかけにきたんですか?」
「・・お主はダイの大冒険をすべて読んだかの~」
「一番のお気に入りで全巻コンプリートしました。」
「この世界は漫画とやらと違うのじゃ」
「はぁ~、違いますか?」
おそるおそる話し出す竜神様から詳しく話を聞いてみた。
私達が読んでいる書籍全般は、‐誰か‐が物語を書くと、世界として-原作-とは違う複数の世界を伴って生まれるらしい。
そしてこの世界の大魔王バーンは、本体と融合してない老人姿であっても出鱈目なくらい強いらしい。
いやいや、それってほぼ反則じゃないのよ!
魔法使いポップの本気メラゾーマをメラでかき消していたバーンなんて、出る作品間違っていませんかと思ったくらいなのに、ここのバーンは若い肉体に戻れば一人で天界をも制圧できてしまえるくらいの強さだって・・。
「この世界終わってる気が・・・」
なんでそんな原作開始前から詰んでる世界に私呼ばれちゃったの!?何かの罰ゲームじゃないよね!
「じゃからこそ‐ダイの大冒険‐の知識を持ち、我らと接触できるタイミングで寿命を終えたお主の力を借りたいのじゃ!!」
はい~⁉
「バランとソアラの子として、ダイの双子の妹としてともに世界を救ってほしい!!」
・・え~・・・・
「頼むよ!ほかにもう手立てがないんだよ!!」
これは何か、相当切羽詰まった状況っぽい・・。
なんで私?世界どころか人助けを一度もせずに人生終わったのに・・
でも、あれって思いながらも私の心は嫌だって言ってない。ダイの妹になって他の世界を変える事を嫌だって心が言ってない。
なら・・・・いいかなやってみても。一度は死んだ身だ。
「やってもいいですけれども責任持てませんよ?」
やれるところまっで突っ走ってみたい!
「元々何もしなければ滅ぶ可能性が高いのじゃ。止むを得まい。」
ああそんなにしょげた声出さなくていいよ竜神様。投げやりでは決してないんだよ。
「やれることは全部やりつくします!」
やるからには知識総動員してやりつくすから!
「この世界は私の知っている知識で概ねあっていますか?」
「そうじゃ。大魔王バーンの強さ以外はほぼあっておる。」
「成る程、その規格外のバーンをクリアできればいいんですね。分かりました!」
「頼んだぞ、我等もできうる限りの支援を惜しまん!」
「一緒に頑張ろう!!」
少し話しただけでも三神様達の必死さが分かる。私からすれば三人はこの上なく怪しい人だけど、きっとそれは向こうも同じくだろうに死んだ頼りない娘相手でも、誠心誠意をもって話そうとしているのが分かる良い神様達だ。
「頑張りますので、行ってきます!」
「うむ、気をつけよ。儂等とはいつでも念話で話ができる。」
「何かあればすぐに頼るがよい。」
「気をつけて生きるんだよ!!!」
それぞれにエールを送られて直後、-ほぎゃ~おんぎゃ~‼-
産声を上げながら赤ん坊として生まれ変わった。
「ソアラ!男の子の次は女の子だ!!」
「そう・・元気な声・男の子かと・・」
「いや!そなたに似た可愛い子だ‼名は・・そう!ティファだ!!兄はディーノ。妹はティファとしよう。」
ディーノは‐古アルキード語‐で強き竜、ティファは美しい竜であると、-バラン-は双子の誕生に感極まり、叫びながら名付けをし、双子を産湯に付け産着を着せこの日の為に用意していたベッドに双子を寝かせつける。
双子は先程の元気な声が嘘のようにすやすやの寝入り始める。二人共に親指をしゃぶりながら・・・・その様があどけなく、愛おしさが付き上げるままに、出産で疲れている妻の-ソアラ-を、労り乍ら可愛い子を産んでくれた事を感謝する。
「ソアラよ、素晴らしき宝物を生んでくれて・・。」
「貴方、私も、こんなにいい子たちを授けてくれた貴方に感謝します。」
双子の誕生に、夫婦は互いに喜び合い感謝をしあい幸せの笑みを浮かべる。
こうして転生者は‐ダイの大冒険‐の世界に無事生まれ、この世界を一変させる舞台の幕が上がった瞬間であった。
今宵ここまで