ハドラー親衛隊の闘志が十二分にあっても矢張り先のダメージある限り自分達が勝つと思っていたのに
「おっら!!-ヒートシュート-!!」
「グッ!!」
片腕を喪ったヒムにすらダイは手を焼く。
それぞれの敵に狙いを定めポップがそれぞれの相手と自分達の特性と相性を見極め指示を出す前に、フェンブレンがダイ達の前で自身の最大の技ツインソードピニングで地中に潜り、すぐさまダイ一行の中央から姿を現した。
「全員散れ!!」
地中の振動からフェンブレンの進行方向を見極め、すぐさまフェンブレンの意図を察したヒュンケルはダイ達警告を発しすぐ様四散させ難を逃れた。
「ちぃ!勘の鋭いのがいるな。」
気付かれずに出られていれば、バギを纏った双剣で勇者達の身を切り刻めていたのだが。
「そいつで十分だよフェンブレン!!」
飛び退り避けたダイをヒムが追いすがり、着地前にメラゾーマのエネルギーを拳に上乗せたヒートナックルではなく、左足を軸に回し蹴りの右足にエネルギーを乗せた新たなる技ヒートシュートを即興で作りだし、腕をクロスして防ごうとしたダイの体を軽々と吹き飛ばし、容赦なく追撃する。
マァムにはシグマが追いすがりスピードでは勝てないと踏んだマァムは反撃に出るため構えるが、シグマはお構いなしに突撃をし速度から生まれる破壊力ある突きを高速で繰り出し見る見るうちにマァムの体に細かい傷が付いていく。
余人であればそれは一撃一撃が死の攻撃となる所だが、攻撃を即座に捨て防御に徹し相対するマァムは手の気配を読み切る事で躱している。だがいずれスタミナが切れる自分と、お構いなしな金属生命体シグマとやりあっていては分が悪いのは明白である。
ポップはフェンブレンに執拗に追いかけられ、クロコダインは同じ巨体のブロックと両手で組合そのまま拮抗して動けずにいる。フェンブレンに片膝のひびがなければポップは追い詰められ、ブロックの両足が無事であればクロコダインはすぐさま組み伏せられている力を感じ取り戦慄する。
ヒュンケルもオリハルコン製の親衛隊に魔法使いのポップは不利だと助けに行きたいが、アルビナスが含み針を駆使し妨害し、槍で倒そうにも全て躱され翻弄されている。
しかも一度手の甲に受けてしまった針から痺れを感じすぐさま抜いて口で血液まで吸い出し事なきを得たが、毒針があると分かり益々動きが限定的にされている。
強い・・・
ティファとノヴァがダメージを与えてくれていなかったら、自分達はもっと苦戦を最悪全滅とはいかないまでも大ダメージを負っていてもおかしくはないと、ダイ達の背中に冷や汗が流れるが、誰も絶望してはいない。
「鬱陶しいんだよ!!」
いい加減鬱陶しいとポップがトベルーラで上空に飛び出す。
「おっさん後ろに飛べ!」
ジャキン!
フェンブレンは上空までは追いかけてこれないと見定めたポップは、ティファが新調してくれた新品の杖を取り出し大地に向かって叩き付けるように一気に振り下ろす!
「ベタン!!」
確かにオリハルコンに通常の攻撃呪文は通じまい!だが、重力で押しつぶされるのでは話は別だ。
ポップの目論見通りブロックは押し潰され、狙った効果ではないがブロックのひびが増し巨体を支え切れずに地に膝をつく。
「ブ・・・ブロック・・・」
「今だおっさん!マァムの方に!!」
「承知!」
真空の斧を取り出し、クロコダインはその巨体に似合わず素早い動きでマァムとシグマの間に割って入り、シグマのランスを斧で受け止める。
「ほぅ・・・単なる力自慢ではないか・・」
シグマはクロコダインを侮らず一度距離を取る。クロコダインとしてはシグマがそのまま押し切ってこようとしていれば詠唱をして零距離で真空の斧でシグマの体を巻き上げ、無防備になったところを攻撃しようとしたのだが果たして。
「手強いな・・」
「そりゃそうだ。」
呟くクロコダインの横にポップが降り立ちその言葉を肯定する。
何せこいつらの強さはティファのお墨付きがある。
今のハドラーの生み出した親衛隊達は今までの敵の比ではなかろうと評していたのだから。
ダイの方も仲間の下に合流する事を優先し、パプニカのナイフを鞘に納めヒムに向かって無手で突っ込んでいく。
「はん!何のつもりか知らねえが・・・」
「おおお!ドラゴニックオーラ!!」
ヒィィィィン!!
「なん!」
「でぇぇぇぇい!」
無手となったと侮ったヒムのオーラシュートの射程圏内ギリギリの外でダイは紋章を全開にし、紋章発動時の光の奔流に目が眩んだヒムの胸部を殴打して殴り飛ばすと同時のそのままの勢いでアルビナスに阻まれているヒュンケルをトベルーラで攫いポップ達の側に降り立つ。
「・・・ティファ・・・あんなのよく一人で埋めたよね・・・」
慣れない動きを即興でしたツケでダイはスタミナを一気に減らすが、ポケットから小瓶を取り出し素早く口に含み飲み干す。
「マァムも傷薬飲んどけ。」
「分かってる。」
マァムも腰の巾着からダイと同じ小瓶を取り出し素早く飲み下すと血が直ぐに止まった。
戦いの合間にも薬を飲める訓練をしてきて正解だった。前回の鬼岩城戦ではチウがサポーターとして薬をくれていたが、単独戦の時でも飲めるようにマトリフとロン・ベルクに徹底的に鍛えられたダイ達は今その事に感謝してもしきれない思いでいる。
あの扱きに比べれば、今分が悪くとも突破口がない訳ではない!
「おっさん・・・あの技でシグマの左腕落とせねぇか?」
「・・その後は?」
「やっこさん達は仲間意識が俺達と同じで強いようだ。負傷した仲間を放ってはおかねぇだろう。」
何せティファ並みに滅茶苦茶な事を言ったクィーン・アルビナスの言動を呆れるどころか後押しする始末だ。
今も彼等を支えているのはアルビナスをティファの下に送り出し、その思いを存分にぶつけさせるのが狙いだろう・・・・・・ハドラーの篩はいいのかよ・・・とは突っ込んだらなんか可哀そうだから言わんでおくが
自分達も可愛いティファが滅茶苦茶でも何かお願いしてきたら天地ひっくり返してでもお願いは叶える!!そこに善悪の余地はいらん!正しい・間違いではない、最早理屈など無用、ある意味人間臭いのだこいつらは。
その特性利用しようってんだから俺も悪党になっちまったな
「おっさん、頼めるか?」
自分は納得して考察した結果の作戦をしようと思うのだが、武人たるクロコダインが弱った仲間を助けようとするところを一網打尽にしようというこの作戦に乗ってくれるか・・・
バン!!
「・・・ってえなおっさん!!」
憂えてたらなんかおっさんに思いっきり背中どつかれた!!
「ポップ!ここは戦場だ!!敵を倒すのに方法などで躊躇するな!そもそんな生半可が通じる相手ではないのは全員分かっている事だろう!」
抗議しようと振り返ったポップが見たのは、かつてなく厳しい顔をしたクロコダインであった。
「ティファの言葉と同じだ、負ければ意味がない。卑劣な手を使わぬ限り俺はお前の作戦に反対する事は決してない。」
そこにあるのはポップの清廉さと勇気と仲間を思う優しいさに信を置く言葉のみ。
その何処までも、愚直とまでも言えそうな信頼にポップはほんの少しでも仲間を疑った自分を恥じ入り、それでもすぐさま切り替える。
「そしたら頼んだぜ!」
「任せておけ。」
頼もしい返答ににやりと笑ったポップは、動きがとりずらいブロックの周りに集結したヒム達に向き直る。
「そちらさんの作戦は決まったのかよ。」
「ああ、待たせちまって悪かったな!!!」
答えと同時にポップはイオラを二発、親衛隊目掛けて打ち出す。メドローアの特訓は量の手から魔法を複数出せる副産物が付いてきた。だが
「俺達に魔法が効くかよ!シグマ!!」
「おう!!」
シャハルの鏡の威力を忘れたかと、親衛隊はポップが勝負を焦ったと見たがポップはまたもや口角を上げて笑って言い放つ。狙い通り、シグマが釣れた!魔法を使えば必ず前衛に出てくると踏んでたぜ。
「誰がお前さん達に当てるって言ったよ。」
そのイオラニ発の軌道は直線ではなく斜め下を進み、シグマの足元で炸裂し爆風で前衛にいたシグマは吹き上げられた直後、闘気の渦に包まれる。
これが情報にあった獣王クロコダインの技か・・・
技を喰らいながらもどこかシグマはまだ余裕があった。二度もの逆方向回転の闘気の渦を喰らうまでは!
「獣王激烈掌!!!!」
バルジ島の二つの逆方向の渦を消すことに成功した自身の生涯で一番の大技が、一行の魔法使いの頼み通りシグマの腕を、両腕をねじり切った!!
「シグマ!!!」
空中で両腕をねじり切られたシグマを、ヒムは片手で支え仲間の下にすぐさま降り立つ。普通であればオリハルコンのヒム達が固まるだけで鉄壁の防御足りえる、はずだった。
悪いな・・・恨みはねぇんだがよ!!
「メドローア!!!」
ポップは内心で詫びつつも、必殺の技を親衛隊に容赦なく放つ。
・・・・これは・・・間に合わない・・
迫りくるポップの魔法に防ぐ術がないと思考が止まったアルビナスを容赦のない光が飲み込む。
メドローアが通った後には、地面が抉られた跡と海を割った軌跡だけが残り、余りの威力に味方のダイ達の呆然とした視線に、海が割れたのを思い出したかのように波を寄せ元の姿に戻っていく。
向いの岬を抉り取り、通った後の海の水すら消滅せしめたメドローアをヒム達は真正面から受け姿が見えない。
「勝ったな。」
今宵はここまで
せ、戦闘描写は本当に難しいです!主人公単独か二人まではすいすい行けても複数描写は本当に!!(単独もきちんとかけているとは言っていない)
ですがどうにか目途が立ち此処で一度切らせていただきます。
勝つためとはいえ相手の情を利用する事に躊躇いを覚えるポップの一瞬の葛藤や、クロコダインの精神的な援護が書き切れていれば幸いです。
筆者としては主人公のみならずダイ一行全員にも、力・技・心が強くなっても相手を思いやる心、敵だから倒すという割り切ることがない心をそのまま残しつつも成長させられればと思います。