勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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・・・・こんな長文になろうとは・・・

いつもと違毛色の文になりました


幕間-ノヴァ-

僕はいつか勇者になる

 

二歳くらいから物心つき、そして世界を知った。

 

一つはとても美しく楽しい世界

ふわふわと浮く小さい人達にこんにちわと言ってから世界が彩られた。精霊と名乗った小さい人達は皆優しくて楽しくて、いつも僕と遊んでくれてスライムやホーンラビット達と僕の間をつないでくれて遊び友達が増えていった。

-彼等-と遊ぶのはとても楽しい。

 

もう一つの世界は美しくない

大きい人達は皆笑っているのにどこか嘘くさくて油の中に入れられたみたいな不快感しか感じない。彼等が連れてくる僕と同い年位の男の子も女の子もどこか嘘くさくて嫌いだ。

 

勉学や訓練を教えてくれる大きい人達はそうでもない。だけどこの言葉を言う大きい人達は嫌いだ。

 

御父上はお元気ですか?

いずれ御父君の後をお継ぎになられましょう。

我が家の娘などは将来のノヴァ様のお役に・・・

 

五月蠅い

 

ノヴァ様、お友達になってあげますよ。

御1人では寂しいでしょう?

 

僕にはたくさんお友達がいる

 

五歳くらいから分かり始めた。

 

父さんの事を言いだす奴等は僕ではなく父さんと繋がりたいだけの、ただそれだけの者達。

その子息や息女も将来将軍職になる僕と繋がりたいだけの、ただそれだけの者達。

 

いつからか僕は人を避けるようになった。乳母や古くからいる家に仕えている者達を除いては、父さんが信頼して僕に付けてくれた勉学や戦いを教えてくれる人達以外の知り合いを作らず、人を寄せ付けない冷たい子供だと評判が立っても其れは変わらなかった。

 

父と家族同然の使用人達と師達がいて、大勢の精霊と小型モンスターの友達が大勢いればそれでいいではないか。

 

とても世界狭い自分の力を疑わずに僕は父の跡を継ぐに足る男になると張り切っていた十歳のある日、僕の狭い世界を壊してくれた女の子に会った。

 

 

友達の精霊にとてもそそっかしい子がいて、リンガイアにしかないMP回復の泉に堕ちたと他の子から聞いて急いで言ってみれば、とても可愛い・・・ふんわりとしたお日様の様な笑みを柔らかく浮かべた女の子が、泉に落ちた子を助けてくれていて怪我の手当てまでしてくれていた。

 

僕とおんなじ子だ・・・

 

初めてだった。精霊が見えてきちんとお話が出来る子は。

 

「こんにちわ。」

 

僕達に気が付いたその子は笑顔と同じくらい暖かい声で挨拶してきた。

 

「こんにちわ・・・・僕はノヴァと言います・・」

 

向こうは名乗っていないのに僕は自分から名を教えた。リンガイアに住んでいる子ならバウスン将軍の子だって分かると何かしら嘘くさい笑みになるけど、どうしても相手の女の子の名前を知りたくて。

 

「私はティファ。」

 

ティファ、優しい響きで、とってもこの女の子にぴったりの名前だ!

 

「その・・・・ティファは見えるの?その・・」

「ん?精霊達の事?見えるし話せるよ。ノヴァ君・・・」

「ノヴァでいい!」

「・・いいの?」

「いい!僕も見えるしお友達なんだ。」

「そうなんだ!私もね、沢山の精霊のお友達がいるよ。」

「ティファは・・・・・その・・モンスターは‥嫌い?」

 

僕の周りの友達は精霊以外にもいる。それを隠したくなくって言ってみたけど、女の子だったらショックで嫌いになられるかな・・・

 

勢いで聞いてみてすぐ後悔した、モンスターとも友達は流石に・・

 

「うん?私モンスターとも話せてお友達になった子沢山いるよ。」

「本当!あの子たちの言っている事分かるの⁉僕も友達に沢山いるけど言葉までは・・・」

 

僕がティファと仲良くなるのに時間はいらなかった。直ぐに沢山話して、精霊に使っていた薬が何か聞いたら、今までにない新薬作りの一環で出来た回復薬だって言っていた。

 

「回復呪文で治せないものも治す?」

「そうだよ。ベホマの使い手なんて国に十人いるかいないか、そんな奇跡的な物に頼らなくても、ベホイミだけでも治せる補助薬や、回復の底上げや体力回復、後はこのMP回復の泉みたいな効能を薬として作って持ち歩けるようにしたいんだよ。」

 

・・・・行っている事のスケールが大きすぎて付いて行けないけど、皆の役に立つ薬という事だけは分かった。

 

「・・・・僕も作ってみたい・・」

 

父さん達は騎士として凶暴なモンスターや野盗と戦って怪我をする。時に怪我の跡が残る時や、後遺症もある。それがなくなるお薬を僕も作ってみたい。

 

「いいの!あのね、一人じゃそろそろ限界だったんだよ!よろしくねノヴァ。」

「うん!こちらこそよろしくねティファ!」

 

その日から僕の世界は見る見るうちに広がった

 

「ノヴァ!薬草園に行こう!」

 

リンガイアにある薬草園の管理をしている修道士さんは親切でいろいろな効能を教えてくれて、帰りに余り物だと乾燥した薬草まで持たせてくれた。

 

「いいお薬が出来ると良いね。」

 

優しく僕とティファの頭を交互に撫でて、温かい言葉までくれた。

 

「今日は村に行ってみよう!ちょっと遠いけどいいかな?」

 

睡眠を誘うムーラン草、火傷・麻痺・凍傷に効く薬草の群生地に行く時、村の子供達が案内してくれた。

 

「そこ足場悪いから気を付けてよ。」

「もう少しだから頑張って。」

「見えた!よかった、まだ残ってら~。」

 

頼んだだけでお金も払っていないのに村の子供達は楽しそうに案内してくれた。

途中でティファが持っていたクッキーを上げただけで、後は別れた際にお礼の言葉を深々と言ってさよならした。

 

「ティファ・・・なにも払ってないのにいいのかな?」

「ノヴァ、あの子たちの親切をお金に変えるのは間違いだよ。良い薬作りたいっていう私達の夢を応援してくれたんだよ。」

 

・・・・見返りを求めない優しさ・・・・いつ以来だろう?僕が大切だと思っている人達以外からそんな優しさを貰ったのは・・・

 

 

人の醜さをずっと見てきた

 

媚びへつらい、下の人達に横暴で、弱くて酷い人達を

 

そんな人達が嫌いでいつしか僕は閉じこもった。周りは大半の人間は弱くて相手にしなくていい、僕はこの強さと精霊とモンスターの友達と家族だけがを守れればいいと・・・・そんな酷く歪んだ世界を、ティファは優しく壊していく。

 

新しいところに行く度に、沢山の人達と触れ合い僕ももう少ししたら嫌っていた醜い者達と同じになる所だったのだと思い知る。

 

勝手に知らない人達を声もかけず知ろうともせず、自分の価値観だけで決めつけ貶める最低な人間に。

 

きっと泉でティファと会わなければ、僕は酷く傲慢で驕り高ぶった人間になって、いつかそんな僕に嫌気がさして精霊もモンスターの友達も離れていったかもしれない。

 

ティファは僕にとって光のような存在だ

 

暗い道に落ちかけていた僕を明るい道を指し示してくれた人。

 

そんな僕の前にとても眩しくて凄い人が来た。魔法力に溢れたその人は、勇者アバン様のお仲間マトリフ様。

 

僕が精霊と話せると言った事に父さんが心配して、同じく精霊と話せるマトリフ様を呼んだらしい。

僕の友達に悪い子はいないかと確かめる為にと言っていたけど、大きくなった僕はその時の事を笑って思い出す。

 

マトリフ様の付いた優しい嘘

 

きっと精霊と話せるっていう僕の事を心配した父さんが真偽を確かめたかったんだろうけど、まさか本人に嘘を言っているのか疑っていると言う訳にもいかない、咄嗟に出た言葉。

 

けどそんな話は直ぐに隅に追いやられた。ネイと偽名を名乗ったティファと僕が話していたホイミに対する話を聞いて、自分も薬作りの仲間に入れろと言ってきた。

 

こんな凄い人と薬作りが出来る!嬉しくなってその日は眠れなくて、次の日まだリンガイアにいたマトリフ様にくっついて行ってあちこちの薬草群生地や、ティファと書き溜めていた資料をお見せしたらうなりながら凄いを沢山言ってくれた。

 

薬の効能と混ぜ方も直ぐに覚えられ、試薬品も作られ精霊達もすごい人間だと称賛して、そんな凄い人と入れて僕は楽しい日々を過ごしていた時に転機が訪れた。

 

友達がバシリスクの群れに襲われているのを助けて、無我夢中で逃げたけどお腹に熱い衝撃を受けて真っ暗になった。

 

・・・死なないでよ・・・馬鹿・・・ノヴァ・・・

 

温かい涙が僕の頬にかかる。ティファ・・・泣いているの?ティファは笑った顔が一番好きなのに・・・

 

「馬鹿は酷いな・・・」

 

抗議しながら目を開けたらティファにとても叱られた。

 

「馬鹿だよ!それも大馬鹿!なんで逃げる時!ヒャド唱えなかったの⁉」

 

そうだった、僕の友達は氷系の子が多くて・・・何かあれば弱いヒャドにもヒャダルコ並みの力かしてくれるって言っていたのを忘れてた。

 

「死にたくなかったら頭使いなさいよ!!使えるものなんでも使って・・次は私とマトリフおじさんがいるとは限らないんだからね!!!」

「・・・・ごめん・・・・」

 

本当にティファの言う通りだ。僕は弱い、ただ同い年よりも少し強いだけの子供だと思い知らされた。

 

ただ逃げる事も儘ならない・・・弱い子供だった。

 

そんな弱さを僕は変えたいと強く願った

 

ティファの強さを知って。

 

僕はバシリスクはマトリフ様が倒したのだと思ったが違うと言われ-本当の事-を教えられた。ティファが一刀のもとにバシリスクの群れを惨殺したのだと。

切り口から怒気が伝わる程の怒りに任せて殺したのだと。

 

殺す・・・あの優しいティファにふさわしくない・・・・それは、その役は・・

 

「僕は勇者になります!今度は僕が大切な人達を守れる強き勇者になります!!」

 

マトリフ様に誓いを立てる

 

ティファの手が汚れないように敵は全て僕が滅する強さを持った勇者になると、心の中で自分と、自分の中にあるティファの血に誓いながら。

 

その日を境にティファは来なくなったが手紙と心で繋がりは絶えず、それを励みに僕は自分を鍛えた。文武両道を目指し、討伐に積極的に混じり、目指す道を歩いていたらある日突然、本当に何の前触れもなく、氷の精霊王ハイキング様が僕の前に現れた。

 

「優しい子のようだが、なぜそれほど強さを目指す。」

 

近頃僕の鍛錬の多さに心配した精霊達の声を拾い上げたようで、僕に興味があったので見に来たらしい。

 

精霊王ハイキング様に嘘をつくのは嫌で、僕はマトリフ様と自分に誓った強さを目指している事を全て話した。

 

綺麗な方達は、血生臭い道を行こうとしている僕に失望しただろうか?

 

「険しく、汚れた道だな。」

「構いません。あの光を守る為なら僕は何でもします。」

「なんでもか?」

「はい。」

「くっくっく、潔い事だ。惚れた女の為か?」

「惚れ・・・違います・・・・・ティファはそんなんじゃありません。」

 

自分はティファが好きだ。でも惚れたとは違う、家族とは違う・・・もっと身近な・・・身近じゃない・・

 

「あの子は僕の半身です。」

 

ティファがいなければ、きっと今の僕はいなかった。

暗い道を引き返させてくれた、今の僕を作り上げてくれた僕の半身・・・・表の世界を知れたけど、僕は暗い道を歩くのも厭わない。ちゃんと表の道も歩きながら、裏の道で僕はティファが憂う事全てを消してあげたい。

 

「なんとも欲深な・・・・この身は数万年の時を渡ってきたが、これ程献身的で欲深く血生臭い思いを知らぬ。それ程の思いをその身に宿してもかほどに美しい魂を持った者も・・・・ノヴァ、我の加護を受けよ。さすればその身に宿る-血-の力が活性化し、今の自分が弱いと思う程の力が目覚めよう。」

「加護・・・それに血とは・・・」

 

ハイキング様の言葉に困惑した。血生臭い思いを抱く僕の魂は真っ黒だと思っていた。みんなは優しいから我慢していてくれたんだと思っていたから・・・

 

僕の魂は煌めく氷と同じ色だと教えてくれても、血とはどういうことかは教えてくれなかった。

けれど何となく分かった。それは僕とティファの心を繋げてくれたティファの血だと。

 

あの子の事を僕は詳しく知らない。本当の名前とモンスター島・デルムリン島に兄と鬼面道士の三人で住んでいる女の子以外の事を。

 

それでも構わない、優しいティファは血も特別なんだ。

 

マトリフ様に相談して、父さんの了承を得て僕はハイキング様の加護を受けてすぐに力が溢れた。

 

それは熱くて・・・とても甘美だった

 

頭の先から足のつま先、指先までに溢れた力は暖かい。まるでティファの笑みを見た時と同じ温かさが僕の全てを満たして、そして僕を強くしてくれる。

 

「その力を更なる高みに昇すも腐らせるも其方次第、好きにするがいい。」

「はい、ありがとうございますハイキング様。」

 

僕は益々鍛錬し、時に未踏の迷宮にハイキング様が連れて行ってくれた。

 

「神子がされた事の焼き直しだが・・・」

 

一度ぽつりと言われていたが、どういう意味かは教えてくれず忘れろと言われたので追及しなかった。

 

それよりも強くなることが肝要で、いつしか王国内で僕に勝てる人がいなくなった時僕は騎士団長を拝命した。

 

それから程なくして夢で告げられた悪夢を回避すべく、周りも備えて切り抜けることが出来た。

 

敵は須らく滅する

 

あの誓いを僕は果たしたい

 

ティファの敵・障害は僕が滅する。あの光がどこまでも伸びていかれる様に




今宵ここまで


え~・・・精霊王ハイキング様でピンと来られた方からの感想で気が付いたのですが、うちのノヴァ君そのまんまバス〇ードのカ〇=ス様にそっくりな子になっていました!(;^_^A

筆者としてはバス全巻所持して上記の御人も好きで影響を受け、ダークな設定もしていたら丸被りな事に読み返して初めて気が付きました。

・二人共片親に育てられる
・人間の子供や周りと馴染めない
・氷の魔力に特化している
・共に童顔
・人間以外とは馴染みやすい

・・・・・・まんまカル=〇様の境遇をマイルドにした感じ!!(カル様の呪い?啓示?)

ええ、そんなノヴァ君が道を踏み外さず天才が高みを目指した結果、今やダイ君より少し上で、前回の宣言通り命使い切ってでもやりあえばハドラーとも相打ちになれるレベルです。

この強さを持ったまま闇落ちしないようにしながら物語を紡いでいきます。

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