お休みになったからには今日はのんびりタイムだ!!
「え~、折角なので改めて自己紹介を。」
「おいティファ、なんでそうなる。」
「だってポップ兄、一緒にいるんだからまずは名前知ってそこからでしょう。」
私と父さんと三人はお互い知ってても、ダイ兄達はそうもいかない。私の話か水晶の映像で-知っている-だけで実際には知らないんだからしょうがない。
チウ君とマァムさんなんて父さんに会ってすらいない、これから一緒に戦うのだから名前の紹介から入って仲良くして欲しい。
「そしたら先ずは・・・・父さん達から?」
「う・・・うむ・・・」
「ティファ~!父さん困ってるよ!俺達の名前知ってもらえればそれでいいでしょう!!」
「え~?・・・父さん達それでいい?」
ティファの無茶ぶりに固まったバランは、息子の言葉に縋りつき全力で首を縦に振る。自分達の立場をどう説明して名乗ってほしいのだティファは!!
優しいがもう少しこう・・・なんとも複雑な気分になり、ラーハルトたちも溜め息しかでない。矢張りティファの思考はどこかぶっ飛んでいる。大逆侵した自分達を許して受け入れ普通に自己紹介までしろって普通ない。
「えっとそしたら俺はダイだけど、父さんや・・・ラーハルトさん達はディーノでもいいよ。」
「・・・・良いのか?」
「うん・・・・父さんと母さんが付けてくれたんでしょう。そしたら俺はダイでもあって・・ディーノでもいいかなって。変かな?」
照れ臭そうに頭を掻きながらもごもごいうダイを、バランは素早く膝に乗せ抱きしめる。
「ありがとう・・・・ディーノよ・・」
「父さん・・・泣いてるのかい?」
自分の身勝手で子等と死闘し、その親友迄殺し掛けた自分を許してくれる。その上で名前まで許してくれるとは思ってもみなかったバランは、息子を抱きしめはらはらと涙をこぼす。
自分はこれ程迄弱かっただろうか?テラン戦から幾度自分は泣いたのか最早数えきれない・・・・涙など、妻を失ってから枯れ尽くしたと思っていたのに・・
「へへ・・・ダイの奴良いこと言うじゃねえかよ。俺はポップ、知っているだろうけど魔法使いだ。」
弟分の優しさに涙ぐみながらポップが名乗るのを皮切りに、一行全員が名乗り上げる。
元同僚のヒュンケルとクロコダインも改めて名乗り、よろしく頼むと笑みをもって。
チウの時はラーハルトがまず礼を述べる。
「チウと言うのか。我等をこの砦に連れて来てくれたこと感謝する。」
「そんな・・・僕はただティファさんがその・・・・喜ぶと思って・・・」
「世話になったなチウ、良かったら後でルードに乗せてやろうか?空飛ぶの気持ちいいぜ。」
「ありがとうございます。でもパピィ・・・僕の部下のパピラスがさっき一緒に空の哨戒に行く約束したので・・・」
「そっか、お!そしたら一緒に行くか。」
「それでしたら。」
ダイ一行のマスコット化しているチウは、直ぐに竜騎衆三人と打ち解け、本人はそのつもりはなくとも潤滑油となり自然に場を和ませてくれる。
いい雰囲気の中でマトリフも名乗り、残るはバウスンとノヴァだけ。
「私はバウスン・・・今更名乗る事はないな・・」
昨日治療を全て終えた後、バラン達は落ち着いた頃合いを見計らいバウスンのもとを訪れ直接詫びも受け取っているので略式で終える。
償う道を歩くのならば何も言わない事も伝えているのでそれ以上くどくどしくなるのを避けて。
だがノヴァは様々に忙しすぎて今ようやくバラン達と落ち着いて対面する。
「初めてお目に掛ります。ティファと仲良くさせていただいている騎士職をしているノヴァと言います。今後色々とよろしくお願いします。」
のんびりとした、身内だけに向ける心からの笑顔で名乗る。昨日のバラン・ラーハルト・ガルダンディーの働きを忙しいながらもつぶさに見ていたノヴァは、彼等の言葉に嘘偽りはないと判断し受け入れる。
もしも偽りがあったら?その時は凍らせて砕くので問題ない
温かい笑顔だが、元魔王軍の内部事情をヒュンケルとクロコダイン以上に精通しているバラン達は、魔王軍が怖れた殲滅の騎士団長の二つ名を知っているだけに背筋に冷や汗が流れる。
この子供が精霊王・ハイキングの愛し子・・・・・二日間あの精霊王の足止めなければ、下手したらバランが竜魔人化してドルオーラで突破しなければならない程の氷の魔術に長けた者にはとても見えない。
それが手を携えていきましょうとほんわかと笑って言われ、何やら気を張るのが馬鹿らしく思えてしまう。
「そういえばティファ、昨日来たザムさんは?」
「うん・・ふぐふぐ・・昨夜の内に帰ったよ。あの人魔族でここで見つかると少し面倒な人だから。」
「あ!あいつ帰っちまったのかよ・・・師匠に引き合わせてやろうと思ったのによ・・師匠覚えてるかロモスの偽覇者の剣事件。」
「あん?ああ、お前とダイが引っ掛かった奴・・・・・まさかその罠張った奴か?」
「そ、あいつザボエラの息子とは思えねぇ良い奴でさ、俺とダイとマァムで助けようって決めて、ティファに渡されていた生命力底上げする薬飲ませたら全部直してくれてよ。ダイがたまたまポケットにしまって忘れてた筒に入れてティファの所に送ったんだよ。」
「ポップ・・・・お前な、嬢ちゃんは医者じゃねぇんだぞ?」
「いや、結果オーライだしいいじゃんかよ師匠。」
いい事したろうとどや顔してるけど、おじさんの言う通りだ。その件一言ものもうそう
「あのねポップ兄、あの時私も父さんもびっくりだよ!助けてやってくれの一言文で知らない人送られる身にもなってよね!!」
本当にあの時は驚いたんだから!
「わりぃわりぃ。」
「・・・反省する気ゼロか・・・まぁいいや、ザムさん助けてよかったみたいだし。」
「あの青年には世話になったしな。」
「そうだね~・・・・あ~、時にね父さん。どうしてこのタイミングで私に会いに来ようと思ったの?」
もののついでの様にティファは出来るだけ自然に聞いてみる。このタイミングできたからには重要情報あるはずだ。皆と打ち解けたみたいだしとんでもない事聞いても受け入れてくれよう。
タイミングを見計らい聞いてみるティファに、其れ迄柔らかい笑みでダイを撫でていたバランの体が瞬時に強張る。
「どうしたの父さん?」
「ディーノ、ティファ、そして皆も聞いて欲しい。私は大魔王バーンの恐ろしい企みを知ったのだ。」
明かされる大魔王バーンの最終目標を聞いたダイ達の表情も一変し、血の気が引く。
ハドラーの様に地上を征服するのではない、地上そのものを消す気でいたとは!!
「そんな事って・・・そんなのって・・・」
ダイの体がカタカタ震える。仲良くなったロモスの人達が、パプニカの人が、ポップの両親がいる村も・・・・マァムの村も・・世界全て消されようとしていただなんて!!
ポロン~
お休みね~夢を見ましょう~ 夢を見ましょうまた会う日まで~
震えているのはダイだけではなく、ポップやマァム、チウとメルルも震えが止まらない。歴戦の強者のヒュンケル達も、大魔王バーンの途方もない企みに青褪める中、不意に優しい歌声が耳朶をうつ。
兄達の震えを見たティファは素早く竪琴を取り出し床に座り兄達の好きな歌、アルキードの子守唄を歌い上げる。
ティファの歌が優しく心に染み入り、聞き終えた時には心の中が温まり震えが止まっていた。
「勝てばいいんだよダイ兄。」
歌い終わったティファは楽器を仕舞い、にこりと微笑む。
どんな事を相手が企もうと、こちらが勝てば問題ないではないかと笑う妹に、ダイは父の膝から降りて抱きしめる。
「そうだね、そうだよ。俺達が勝てばいいんだよ。」
「ティファの言う通りだ!相手の企みに飲まれてる場合じゃねえ。」
「ありがとうティファ、落ち着いたわ。」
「ふふ、どういたしまして。」
「ティファ、もうちょっと一緒にいたい。」
元気になったダイは、どさくさ紛れにティファを自分の膝に乗せてまた食べ始める。
「もうダイ兄たら!!」
「ほらほら、ティファも食べようよ。パン取ってあげようか?」
「う~・・・その前に父さん、その情報どうやって知ったの?」
「あ、そういえば・・・・あのさ・・・まさか単騎で死の大地の大魔王に会ったとか・・」
「ディーノよ、流石にそれでは今私はここにはいないぞ。」
息子の思いっきり的外れな言葉にバランは苦笑しながらなでて爆弾発言を投下した。
「キルバーンが私を殺しに来た時、問いただしたら素直に話したのだ。」
「・・・・・え?」
「余程私を殺せる自信があったのだろうが返り討ちにした。」
「・・・・・ええええええ!!!!!」
今日一番・・・・・否!一行にとっての大朗報が今聞けた!!!
バン!
ポップは机を叩きながら立ち上がり、バランに真剣な瞳で問いただす。その威圧は尋常ではなく、バランすら飲み込まれかける。
「バラン!あんたあの疫病神倒したのかよ!!!」
「疫・・・」
「言い方どうでもいい!!キルバーン倒したのかよ!!」
「んむ・・・胴を真っ二つに・・・」
「・・・・・・いっやほう!!!全員聞いたか!聞いたな!!今日はお祝いすんぞ!!!飲んで騒いでの無礼講だ!」
「父さん!凄いや!!あいつ倒すなんて本当に凄い!!」
「バランさんありがとう!本当にありがとう!!!」
「あんた流石だぜバランさんよ!今日は飲んで祝うぞ!!お前達も飲んでいいぞポップ!!」
「見事だ!流石わ竜の騎士!!」
「見事なりバラン!!!」
・・・・・・・・・・・・何なのだ一体・・・
ポップの狂乱めいた喜びのガッツポーズをしてお祝い宣言を高らかに言い、息子に礼を言われ、マァムという娘に手を握りしめられぶんぶん振られながらお礼を言われ・・・・マトリフ殿も沸き立って・・・ヒュンケルとクロコダインにまであそこまで礼言われるとは・・・
まるでたった今世界を救ったかの如く称賛されるとは思わなかったバランはぽかんとし、竜騎衆三人も死神の恐ろしさは承知しているが、倒しただけでここまで喜ばれるとはどうした事かと唖然とする。
「・・・・ティファさん・・これ僕達ついていけない・・」
「何もここまで言わなくとも・・」
「・・・少しそっとしておこう・。」
例によってキルバーンそこまで悪く言えない極少数派はティファの下に集い膝を屈してこっそりお話をする。
折角のムードを壊すのは忍びない。
ああ、でもこれ聞いておかないと・・・
「父さん、その・・・遺体はそのままにしたの?」
「ん?いや、魔界の者は時折胴を斬った後でも動く者がいる。暫く見ていたが動かず助けも来なかったのでそのままにした。」
・・・・ピロロこなかった?・・・そういえば私一度もあいつ見かけてない。この世界のピロロと仲悪くて見捨てられてコアだけ回収されたのかな・・・
それは見捨てられたみたいで・・・悲しいな
回収してあげて・・・せめて埋めて上げたいけどダイ兄達が許すまい・・・・賭けは・・答えは見つからなかった・・・これでよかったのかもしれない・・
言い知れぬ悲しさを振り切るようにティファは一度目を閉じバランにもう一つ尋ねる。
「真魔剛竜剣で斬ったの?」
「ああ、こちらはかすり傷一つ追わなかったぞ。」
「・・・・・今すぐ剣抜いて貰ってい良い?」
「ん?後ででは・・」
「今お願い。」
娘の真剣な様子に食事中ではあるが、机に立てかけていた剣を手に取りすらりと抜き放つ。
ティファの様子にダイ達も剣を見れば、剣の中ほどが腐食している!!
「・・・これは・・・何故このような。」
愛剣の痛ましい姿にバランは絶句する。今まで数多くの死闘を共に潜り抜けて来た剣の異変に。
「父さん、オートドールって知ってる?」
「オート・・・ヴェルザー陣営に数体いたが・・」
「キルバーンはそのオートドールなんだよ。もしかしたら倒された時用の報復の罠が体内に仕掛けられていると思って見て貰ったんだよ。」
「あれが・・・そうか、このまま気が付かなければ大事な戦いの場面で役に立たないところであった。助かったぞティファ。」
魔界のマグマ設定は案の定あったか。これを治せる人と言えば・・・
「魔界の名工、ロン・ベルクさんの下に行きましょう。」
今宵ここまで
次のお出かけ先が決まりました