勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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主人公の沸点は結構低いです。
よろしくお願いします。


変わった人の子と子守唄

「ガルダンディー、ボラホーン、何をしていた。ラーハルトとともに探したぞ。

・・それに何だその人間の子供は!今は目立つなと言っておいたはずだぞ。」

・・どうやら父さん・・私が二人に誘拐されてきた子供に映ったらしい。

全然違うけれどもこのままバレない様にやり過ごしちゃえ。父さん来たからにはこの三人も立ち去るはずだ。ぽつんと無視してほしい。

それにしても六・七年ぶりの父さんの声は・・カッコいい!!超渋い声!!!

騎竜姿もラーハルトなんて目じゃない!ソアラ母さんが一目惚れするわけだ。

 

(・・何なのだこの小娘は・・)

バランが来たことでティファはボラホーンの後ろに隠れてバランからは顔がはっきりとは

見えないが、竜から降りたラーハルトからはバッチリと見えている。

(俺の時もだが・・バラン様のお顔をにやついて見ているこいつは何なのだ・・。)

気味の悪い・・さっさとボラホーンに仔細を聞いてバラン様に報告をして終わらせよう。

小娘一人、置き去りにしてそれまでだ。

「おい!!、ボラホーン!!」「・・ああ・・実はな・・」 

・・ラ―ハルトとボラホーンのやり取り聞いてたら眠くなってきた・・父さんこっちに興味なさそう。この人達行ったら「ふあ~~ぁ~・・」また寝よう・・。眠い・・。

伸びて欠伸してたら・・「・・おい、ガキ。」・・ヤンキー鳥が話しかけてきた。

「・・何鳥のお兄さん。」うるさいな。

「お前どういう神経してんだ?

お前今死んじまうかもしれねんだぞ。命いらんのか?」・・はい~?

・・こっのヤンキー鳥!!もうぶちぎった!!!!もう限界!!!!!!

 

          「ふざっけるなー!!!!!!!」

 

洞窟修行以外で初に闘気が溢れるのを感じる・・・腹の底から本気で怒っぞ!!!

「こっちは昼寝の邪魔されて!眠いのにそこのルード君が気になったから文句言わずに

診察して治療して!!処方箋書いてもこっちが勝手に押し掛け医師やったからお礼の方法任せるって言ったんだぞ!!!!

子竜のルード君ですらきちんとお礼言えたってのに!!

誠意の欠片も見せずに命いらんのかだ⁉

たわ言いうのもいい加減にしろ!!こんの年だけくったバカガキ鳥が!!!!!!」

ぜい・はあ・・。あ~言いたい事言ったらすっきりしたけど・・周りはしんとしちゃた。

(・・なんだこのちびガキ・・どっからこんな気迫が・・)

(・・何という闘気だ・・これは・・)

(先ほどまでの小娘とまるで違う・・まるで・・)

 

      (((バラン様を怒らせてしまった時のようだ・・・)))

 

・・あ~・・やりすぎた。三人とも青くなってる・・父さんもめっちゃこっち見てる・・

ティファだって気が付かれたらどうしよう⁉

(こんな小さな娘のどこからこれほどの闘気が・・。)

自分たちを怖れるどころかガルダンディーの物言いに腹を立てて一喝をする・・。

自分のいる魔王軍の中でもそんな者とは出会ったことが無い。

この娘は・・「変わった人間の子だな。」ボラホーンの報告も含めるとそう感じる。

 

・・変わった人間の子だなって・・私に対する第一声がそれ⁉超ショックです父さん‼

ソアラ母さんの激似の私見て―・・もしや!-・・とかになったらなったで超困るけど、

だからってその評価もどうなの⁉グレテやりたい!!そんで将来困らせてやったら・・じいちゃんが泣くから止そう。

しょうがないか・・頭冷たら私も相当口が悪すぎた。

ソアラ母さんは間違ってもこんなこと言わんだろうし印象悪しか。

はあ~気を取り直して持っぺんきちんと話そう。何で私が怒ったのかを。

「あのさ、鳥のお兄さん。」

「・・んだよ・・」おっ少しは大人しくなってくれた。

「さっき私が言ったお礼って、別にお金でもものでなくても・・・って~ルード君!!」

何かルード君の気配が沈んだと思ってそっち見たら・・ボロボロ泣いてるー!!

「-・・ごめんなさい・・ぼく・・せい・・ケンカ・・-」

しまった!!ルード君の名前出したから自分のせいで喧嘩してるように見えたの⁉

ガルダンディーのせいなのに!!

「ルード君!!君のせいじゃないよ!大丈夫だから泣き止んで!!」

「-ご・・めん・なさい・・-」

「ああもう・・違うんだから!」泣き止んでくんない・・こうなったら・・。

 

(本当に変わった人間の子だ・・しかもルードの言っている事が分かるのか?

マジックリングから・・あれはシターン・・この旋律は・・まさか!!)

 

ルード君を泣き止ますために、いつもダイ兄に使っている手を使うことにした。

シターンという和琴とハープを組み合わせたような竪琴を取り出し、

ルード君の前に陣取って・・。

「お休みね~・夢を見ましょう・また会う日まで~。

 風が遠く~梢揺らし・おやす~みの歌をうたう。

 星が~光~・月は笑う。まるで~見守るように~。

 お休みね~・夢を見ましょう。また明日の朝に~・また会う日まで~」

ダイ兄も時々悪い夢見て泣いて・・泣き止ます時の歌。

・・ルード君は・・効いてくれて泣き止んでくれた!

「・・い」よかった~。「おいてっめえ!!何しやがった⁉」って、痛い!!

ガルダンディーに襟首掴まれた!!

「痛い!!何ってルード君泣き止ますために歌っただけでしょう!・・歌嫌いだった?」

「ふざけんなこのガキ!!あれ見ろ!!!!」・・あれって父さんの・・ほ・・う・・

「うわ!!」・・思わず叫んじゃったけど・・どうしよう!!今度は・・父さんが!!

「どうしたんですか!!私の歌泣くほど酷かったかお嫌でしたか⁉」

 

(・・この娘は・・私を見て何を言っているのだ?誰が泣いて・・

む・・ガルダンディー・ボラホーン、それに珍しくラーハルトもポカンとした顔で私を見てなんだと・・泣いているのは私か⁉)

バランは自分で泣いているのにも気が付かない程の衝撃を心に受けたのだ。

変わった人間の子が歌ったのは・・かつて最愛の妻が子供たちと自分によく歌ってくれた

―アルキードの子守歌―だったのだ。

(ソアラよ・・私はこの歌を・・久方ぶりに聞いたぞ・・。)

慌てて涙を拭い、心の中に住まう亡き妻に話しかけつつ目の前の人の子を見る。

先ほど怒っていたのに、自分が泣いたのを見てとてもオロオロとしている。

滑稽で気の毒で・・なぜか可笑しみが湧くのを感じる。

「娘・・その歌何処で覚えた。」(なんとも心に響く・・気持ちの良い歌声だった・・)

 




オリジナルの―アルキードの子守歌―でした。
作者の拙い文才の歌なのでたいした歌詞にはなっていませんが、物語の所々で出していきます。
主人公の口の悪さで実の娘だとは全く気が付かれずに済みましたが、いつもの癖でうっかりとアルキードに繋がる歌を歌ってしまいどこで覚えたのかを聞かれました。
まさか―ソアラ母さん―とはいえません。次項は如何に!


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