(なにかは本編お読みください''`ィ(´∀`∩)
「ふっふっふふ、あはっはっはっはっは~。」
魔軍司令官ハドラーがいるはずの大広間にひとしきり笑いの声が響き渡る。
笑っているのはダイ達では無論ない、ハドラーでも決してない。
笑っているのは・・・
「死の大地地下入口が海底にあるですか。それって私達に言ってしまっていいんですかハドラー?」
こんな守備機密情報敵に渡しちゃって大丈夫かねこの人?
お茶淹れ終わったら後は父さんとおじさんに投げて私はさっさと兄達の側に行こうとしたら止められた。
「確約相手はお前だろう。詫びの件で持って来た重要情報をお前以外に渡す筋合いはない。」
ハドラーめ!人引っ張り出すのに無理筋の様な正論言ってきたよ!!
それ言われると弱いな、明日の決戦には相手の情報いくらあっても足らん。ヒム達がどの辺で待っているとか、地上戦は新鋭達全員か何人かはハドラーの付き添いかとか親衛隊達情報の前渡しかな~位の軽い気持ちで父さんとおじさんの間に座らせてもらったら、超重要機密情報きた!!!!
思わずハドラーの心配しちゃったよ
「それ言ってあなた消されません?」
「言っていい許可位取っておるわ。」
「・・・・魔影参謀ミストバーンがよく許しましたね。」
「あ奴ではない。バーン様に直接聞いて許可を得た。」
はい⁉この人何とんでも事さらっと言ってくれるかな!!!
ラスボスが自分の居城にウェルカムってどういう事⁉
「あのお方の度量は深く、お前でも驚くか?」
「・・・・・あっさり許可出たんですか?」
そんな情報ホイホイ上げていいって言うラスボスおるんかい?
「いや、流石にやり過ぎではないかと苦笑されたが粘ってみたら許可を下された。おかげでこの時間になったが、お前達が出かけていたのなら丁度良かったのだな。」
裏事情を話し終えたハドラーは、飲み頃になった紅茶に口を付ける。美味い、近頃弱り始めているこの肉体ににも沁みるような美味さだ。ここにいる間おかわりでも貰うか?
何かハドラー良い事言い終わって紅茶が美味いみたいに飲んでるけど、この時間まで粘られた大魔王が音を上げて許可下ろしたとしか思えんのだけど。
胡乱な瞳でハドラー見てたらおじさんがぼそりと呟いた。
「三流魔王がなんだってそこまで敵に義理尽くす。」
呟きであってもハドラーの届くのは承知しているだろうに、嫌味かな?
「言っただろう。確約破りの詫びだと・・・・・お前達にはきちんとしておきたいのだ・・」
どこか物悲しそうなハドラーの雰囲気に、さしものマトリフも口を噤む。散々三流魔王と馬鹿にしてきたが、今のハドラーにそのころの面影は皆無で、言っている自分こそが矮小に思わせられる。
あのアポロ迄もが魔王に対する嫌悪感が薄まりそうで、流されまいと睨んでいるが口を差し挟まない程ハドラーの言葉は真っ直ぐで、聞く者の心をうっている。
「ハドラー、その情報だけでしたらポーン・ヒムが来ればよかったのではありませんか?」
詫びならばやらかした当人であり、魔軍司令官が来るよりもここまでの騒ぎにならず、とはいえ使者として来れる格もそこそこあるヒムが妥当ではなかろうかとティファは情緒いらんとばかりにあっさりと言ってのける。
詫び自体にさして興味なさそうに。
本当の話、ヒムが謝るよりもクィーン・アルビナスの方がやらかしたのでそっちが来いと言いたいがそこは我慢。あれも格がありすぎるのと、ヒムのように自分と接点があるわけでもない。
来ても擁護するつもり零になるの目に見えているので、矢張りヒムが妥当ではなかろうか?
「その事だがな、ヒムからお前に伝言がある。」
「おや、こちら全員ではなく私だけとはこちらの事舐めてます?」
「そう言われるとそこまでだが・・」
「まぁいいでしょう、一応伺いましょう。」
私とハドラーだけなら今の詫びの伝言素直に受けれるけど、周りには被害受けた多数の人がいる。
その人達に詫びなしとはと、一言入れないといけないのが・・・・・・疲れると言ってはいかんか。
「ヒムがな、お前に会わす顔がないと言っていた。」
「おや。」
「あれは篩の時お前を倒すと張り切っていたのだがな。戦場でも会わんと言っていた。」
「ヒムにお伝えください。戦場での借りはきっちり熨斗つけてボコって倒して返します。」
「ボコって・・・」
「はい。戦士気取りたいなら甘ったれたこと言ってないで、親衛隊としての責務全うして戦場で散れともお願いします。」
紅茶啜りながら臆面もなくさらさらと怖ろしい事を何気なく言うティファを、ハドラーは苦笑するだけで終わらせる。
「相も変わらずお前は手厳しいな。」
「相手を甘やかしてもいい事ないでしょう。生まれたての赤ん坊にしては彼は大きすぎますしね。知識も能力もあるなら甘ったれないで欲しいものです。」
「確かに伝えよう。責務果たして戦場で勝てと。」
「お好きにどうぞ。」
ティファも言いたい事を言ったと一息ついた時、ハドラーが再び口を開く。
「実はな、ここに来たのは詫びだけではないのだ。」
「ほぅ?矢張りですか。」
「なんだ、見越していたのか?」
「はい、ヒムの伝言は言わなくても済む事で、詫びの件も鏡文字で事足りますからね。言葉と座標を送れば済む話です。なのに貴方のような大物が来た。その理由さっさとお話なさい。勿体ぶる阿呆は嫌いです。」
「・・・・お前本当に俺には容赦ないな・・」
「鼻水たらしそうな顔してないでとっとと言いなさい。」
何処までも尊大なティファに、ハドラーは溜め息をつきながら首筋をガリガリと搔きながら周りを見渡す。
昔とんでもない娘に会ったというバランとその配下は今のティファの態度に驚いておらず、殲滅の騎士団長とその一派もしかりで、驚いているのがダイ一行全員というのはどういう訳か。
確かバルジ島ではポップ・マァム・ヒュンケルは、ティファを人格者の様に言い募っていたな。
どうやらティファにとって、一行はこの本性を見せる相手ではなく優しく包むように庇護しているようだ。
こいつ本当に俺には容赦ないんだが、今から言う事を聞いてくれるだろうか?
ティファと周りの関係を観察して何か納得がいったハドラーは、意を決してティファに話す。
「今回毒消しに使った薬の成分表をこちらに書いてくれないか?」
・・・・・はい?
ガタン!!
「こんの三流魔王!!ダイ達が嘘吐いたって言いてぇのか!!!!」
瞬時にハドラーの言った言葉の真意を察したマトリフが激怒した!
「師匠・・・どういう・・」
「いいかポップ!ダイ達もよく聞け!!成分表がないとなれば、毒云々の話は無いだろうってこいつらいちゃもんつけに来たんだよ!!何が詫びに来ただ!!命要らねぇなら・・・」
くっくっくく・・・
昨日から今日の未明にかけて必死に薬を作り看病してきた自分達を踏みにじる言葉を言ったハドラーに激怒するマトリフの言葉や、理解した大広間全員の怒気の間を縫うように、不意に笑い声がした。
「嬢ちゃん・・お前さん何がおかしい!!」
「だって・・・もう駄目です!!」
マトリフの怒りも何のその、ティファはコロコロとひとしきり笑い転げ、かと思えば一つ深呼吸をしてうっすらと微笑み、優しい瞳で砦の外に目を向ける。
その視線の先にあるのは死の大地
貴方は心配なのですねミスト
「ハドラー、あててみましょうか。成分表を欲した人物を。」
「分かるのか?」
「はい、大魔王バーンの右腕にして魔王軍の料理人、魔影参謀ミストバーンでしょう。」
「・・・・正解だ。」
ああ、矢張りそうか。
「何故分かった?」
「ある意味彼と私が似ているからですよ。おじさん怒ると体に悪いから落ち着いてね。」
「あんな嬢ちゃん!これが怒られずにはいられるかってんだよ。」
「でもおじさんも本当は分かっているんでしょう?疑いもたれる理由が。」
「・・だからってそれとこれとは話が別だ。」
マトリフはティファの言葉で落ち着いたが、ティファがどうして嘘をついたと疑われても怒らないのか不思議な全員を代表して父バランが尋ねた。
「ティファよ、何故お前達の懸命な努力を疑われても怒らんのだ。マトリフ師の言う通り、これは・・」
「父さん。」
父の疑問に、ティファはぴしりとした声で答える。
「今この砦にいる戦力は、はっきり言えば地上最強なんだよ。私が相手だったらいちゃもんつけて突破口出来たら、非を大々的に鳴らして夜襲掛けて倒したい位だよ。」
「まさか!そんな大袈裟な・・。」
「竜の騎士!」
「⁉」
「当代の竜の騎士の配下竜騎衆・竜の騎士にして勇者ダイが率いるその一行、そして氷の精霊王ハイキングの加護を持つリンガイアの氷の勇者ノヴァ。」
「ほう・・・・あの騎士団長はそんなすごい加護持ちであったか・・」
「まだまだいますよハドラー。支援サポートには王女レオナと三賢者筆頭、大魔導士マトリフ・戦略に精通しているリンガイアの猛将・バウスン将軍がこの砦に集っている・・・・よくもまぁ大魔王は今ここを攻め落とせと貴方に命を下しませんね。」
少しでも焦りや功名心がある者ならば、どんな手段使ってでもここ攻め落とそうとするだろう。
はっきり言えば、今ここに超兵器ピラァ・オブ・バーンが一本振ってくればあちらの勝ちで終わっている・・とは内緒だか。
「お前ならするのか?」
「私はしませんが、ミストバーンの本心そこら辺りでしょう。なにせ彼は大魔王を勝たせたいのではなく、万難を排した勝利を献上したいでしょから。路傍の石ころとて見逃したくない彼の心情は分かりますよ。」
自分もそうだから
小石に躓く事無く、何か不足して困ることなく常に周りを見て備え準備した道を歩いて欲しい。
愛しい彼らが笑っていられるように。
前世の中国では、-宰相-とは、宰は料理人、相は歩行を助ける、共に天子の家内的使用人をさしていたとか。
身の回りから戦場までの指揮をする彼にふさわしい地位だと納得する。
私もかくありたいと、勇者一行の料理人を名乗ったのだから。
つまるところ私は本当にミストと立ち位置が似ている。
共に謎に包まれ真の力を未だ誰にも知られる事無く、常に裏から守りたい者達を守るために暗躍し、いざとなれば表に出て敵を制圧する。
それもこれも守りたい者を守るために。
あの孤高の影は、主の為ならどのような事も厭うまい。私達に疑う猜疑心強き卑小な者と思われても痛痒を感じず、ハドラーに成分表を差し出させるように指示したか。少しその辺聞いてみるか。
「私が言わなくても自分の名前を出していいとミストバーンは言っていませんでしたか?」
「その通りだが・・本当にお前は何故あれの思考が分かる?そこそこ共にいた俺にも分からんのに。」
「彼は寡黙なだけで、私からすれば分かりやすいですよ。何物にも惑わされずぶれず、ひたすら主と自軍を勝たせる事に邁進するだけではなく優しい人ですよ。」
は⁉
その言葉は誰が発したか、寡黙で冷徹な参謀を見て来た元同僚バラン・クロコダインか、死ぬ寸前まで鍛えられた元弟子のヒュンケルか、冷酷な味方殺しを見たダイ・ポップ・マァムか、それとも味方のハドラーか?
ミストバーンに殺されかけた当人が何を言っているのだ?
「ヒントはヒュンケルです。」
「俺⁉ティファ一体何を・・」
「貴方好き嫌いありませんでしょう。さらに言えば味覚がそれなりに肥えてますよ。」
「好き・・・何でも食わされればそうなると思うのだが・・・」
「・・・まだ分かりませんか。貴方を人としてではなく戦力の駒扱いしていたのであればあの台詞は出てきませんでしたよ。」
鬼岩城戦の折だった。包丁持ったことのない貴方には分からないでしょうと言った言葉に切れたミストが叫んでいた
-私がどれほど苦労してヒュンケルに食わせて来たと思っている!!-
-そいつが不死騎団に行くまで毎日食べさせたのは私だ!!-
「毎日どうでもいい相手を食べさせること程苦痛な事は、はっきりと言えば料理に携わっている者からしたらまっぴらごめんです。ミストバーンがヒュンケル拾った頃は、才能の片鱗あれど戦力になるかどうかなんて分かっていなかったでしょうに。それなのに苦労してでも拾ったからにはきちんと食べさせると面倒見の良さが伺えますよ。あの人にだって情はある、本当に面白い人だ。」
「そう・・・なのか・・」
「まぁ大魔王の裕福さで食料賄う事に苦労はなくとも、どうでもよく戦力駒扱いの相手なら栄養素だけ足らす薬草類や、軍の食堂に丸投げして終わりで、味付けに文句あるなら食わなくていいだろうと放っておいて終わりだと思いますよ?魔界の食糧事情は地上の様に裕福でもないでしょうからね。その辺どう思いますかハドラー?」
「んむ、まぁお前の言う通りだな。ヒュンケルの肉体はきちんと成長している。つまるところお前の考えた通り、あれにもそれなりに情がありお前をそこまで大きくしたのであろうよ。」
その言葉に当のヒュンケルは本気でどう考えればいいのか分からず、周りにも動揺がするが、ハドラーはティファの言わんとした事に納得した。
ハドラーも魔界育ち。食糧事情どころか辛酸を舐めきり、魔界の非情さをよく知っている。そこに育つ者も自然と非情になるのを。
だが確かに、自分も一昨日ミストバーンの手作り料理を振舞ってもらった。
ミストバーンは無言で渡してきたが、変態死神が言っていた。
「ミストの料理なんて超レアものだから味わって食べてあげてね~。」
言われた瞬間頭が真っ白になった。こいつが料理してしかも俺にくれるだと⁉
まじまじとミストバーンを見ていれば、なんだろう・・・あれは幽かな動揺と・・・恥じらいの気配か脱兎のごとく出ていってしまった・・・キルバーンの襟首ひっ捕まえて・・
「そうだな・・・あれは確かにお前と似ている部分があるのか・・」
「はい。」
ハドラーの言葉に微笑みで応えたティファは、おもむろに腰を上げレオナの下に行き突然片膝をつき臣下の礼を取る。
「ティファ?」
「パプニカ王女レオナ姫に、勇者一行の料理人ティファから願いがあります。聞き届けていただければこれまでの私の功績全てを報いてくれたものと思います。」
「・・・言ってみなさい料理人のティファ。」
「は。大魔王バーンの魔王軍・参謀ミストバーンがこちらに要請した毒物の解毒薬の成分表を渡すことをお許しいただきたく。」
倒す予定だが敬愛する者を持つ者同士、意図しなかったとはいえやきもきさせてしまった詫びはしたい。
果たして
「分かりました。その事を許可しましょう、料理人のティファ。」
「有難く。」
今宵ここまで
タイトルでもある勇者一行の料理人の、裏設定をようやく出しました。
身の回りのサポートをするものとしてポップに初めて説明してから長い事かかりましたがようやく出せて筆者は満足です''`ィ(´∀`∩