勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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ハドラーの思いに対し、主人公の裏側の様なお話し

己のの思いを偽る為の理論武装で塗り固めようとしますが果たして・・


決戦行かずに突然の休日⑪

ハドラーの内に秘めていたティファとの戦いへの渇望は凄まじく、ダイ達はハドラーの思いに吞まれ沈黙する中、幽かな声が場に落ちた。

 

 

「ハドラー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ナタリーおばちゃんに沢山泣かれてしまった・・・もう危ない事しないで欲しいって。あんなとんでもない事は大人か男に任せる事だって沢山泣かれた。

 

・・・ハドラーと戦いたい宣言は最初は私の打算だった。

 

三流魔王を一流魔王へと早くから覚醒させて、原作にあるテラン戦後の策略や他にも考えうる小物が策を弄しそうな事を防ぐ為の・・・ただそれだけの筈だった。

 

デルムリン島で一流魔王とはを言ってみたらどうなるか試してみれば、予想以上に食いついて島での段階で原作と違う事が起きた。

 

アバン先生に勝ったと高笑いせず、どこか苦々し気で数瞬前の小物感が薄れていた。

 

学習能力が早いのか、他者からの影響を受けやすいのかどっちかは知らないが、私の方に多少目が行ってくれたのであれば、二度目に会った時宣戦布告をすれば戦士への覚醒が早まるのではないかと考えた。

 

二度目に会えたのは地底魔城、先代勇者に討たれた因縁の地において私がなした約束は、した直後には私自身の中ではさして重きを置いていなかった。

 

これでテラン戦後の策略の心配が減ればいいと思ったくらいで。

 

その直後に私は打ちのめされた

 

捕虜としてモルグさんに連れられて行かれる時、ハドラーの真価を偶然見てしまったから。

 

あ奴はまだ傷が治りきっていない。何故飛び出していったかは知らんが放っておいたら野垂れ死にするだろう

 

敗れたクロコダインが離反したとは全く疑っておらず、しょうがない奴だとぼやいていたハドラーが美しく見えた。

 

武人たるクロコダインを疑わずにその身を心配して探しに来たハドラーに対し、打算に塗れた宣戦布告をした自分のさもしさが恥ずかしく消し去りたいとさえ思わせられた・・・・あれをして禁呪生命体の騎士・バルトスさんが生まれたのだと。

 

高潔な騎士を生みだすからには、その者の中に同じく高潔な魂がなければ生じないのが禁呪生命であり、まさしくあの瞬間ハドラーの内に秘められていた高潔で情に厚い魂が浮かび上がった瞬間だったのであろう。

 

あぁ、こんな高潔な人物になんとあさましい事をしたのか・・・ハドラーは愉快気に私のあさましい思いも知らずに純粋に宣戦布告を受けた・・・受けてくれてしまった。

 

子供の戯言だと笑わず本気に真摯で・・・・あの気持ちに見合える高潔な魂など私には存在しないというのに。

 

世界を裏から助ける為に多くの命が失われるのを承知で見捨てる最低な私と知ったら、あの人はきっと私を軽蔑して二度と目もくれまい。

 

それは兄達も一緒で・・・・それでも、どうしても私はあの時生じた思いを捨てられずに今日まで来てしまった。

 

あの高潔な戦士と本気で戦いたい。戦ってお互いの命を削り合いながらも全てをぶつけあって・・・・そして倒したいと

 

愚かな子供が見た瞬きの夢・・・・

 

だけどそんな夢ももう終わっているだろう

 

ハドラーは最早誰もが認める超一流魔王。彼が本気で戦いたいと望めば竜の騎士・勇者・戦士が彼の思いに応えよう。

 

私の周りには本物の高潔な志に溢れた勇者・騎士・戦士がいるのだから、篩の塔で無様な事をし、その後の騒動もキルから聞いていて知れているだろうから、メッキの剝がれた私と戦おうとは思うまい。

 

たださっきは面白いから話し相手にしていたにすぎなかろう。

 

私の出番はこの辺りだ。多少知識が飛びぬけ難なく会話が出来れば茶飲みの余興くらいには使えようし、それ以上でもそれ以下でもないだろう。

 

明日の決戦には来いと兄達に宣戦布告をして今頃は死の大地に帰っている頃合いか。

 

彼の中の黒の核晶は、ダイ兄か父さんが戦って露呈した時か、彼がどちらかに敗れた時に対処すればいい。

 

真魔剛竜剣は復活し、今の兄と父さんならきちんとタッグで戦ってくれるだろうから敗れる事もな心配はない。

 

百万が一敗れそうか黒の核晶の露呈で本気が出せない時の事も考えていればいい。

倒せるならそれが一番だけど・・・・もしもそれが無理なら・・・・それをした時は本気であの人は私を軽蔑し、恨み憎むだろうがその時はその時。

 

 

私の戦いたいという思いも、近頃ハドラーに抱くよく分からない思いも所詮は夢物語、私には私の-役目-がある。

 

好きな人全員の幸せ

 

それ以外を望んでいい筈が無かった。大好きなあの人達が笑ってくれる世界を作れる大切な役割が私にはあるのだから。

 

物別れのまま終わるはずだった父さんと家族になれて、ラーハルト以外は死別する筈だったガルダンディーとボラホーンが蘇ってくれて、ロカさんも生きていてくれているこの世界を。

 

オーザム以外はほぼ無傷でいてくれているこの世界を。

 

 

誰が知らなくとも三神様達と精霊王達が知ってくれている。これ程大切な事はない・・・ない筈だ

 

 

 

「ナタリーさん、心配かけて御免なさい。()()()()鹿()()()言わないから安心して。」

「ティファちゃん・・・あんた・・・」

「もう魔王も帰ったと思います。茶渋付く前に茶器洗いたいから下げてくるね。」

「ティファちゃん・・・・あいよ・・」

 

おかしいな、もうしないって言ったのに、ナタリーさんはどうして泣きそうな顔したんだろう?

 

やっぱり私には本当の意味で誰かを理解する事は出来ないのだろうか?泣かせて困らせて振り回して・・・・近頃自分の事すら上手くいかないな。

 

-余計な思い-など抱かず、役目をしていれば・・・・・あれ?

 

 

「ハドラー?」

 

 

 

 

どうして居るの?一目見てしまえば消しかけた思いがまたゆらゆらと浮かんでしまう・・・・あの約束を果たすと言ってくれるのではないかと期待してしまう・・・

 

 

 

 

 

 

何故・・・自分で戦いたいという夢を捨てさせてくれないのだろう、また胸が苦しくなる。

 

 

 

大勢の敵に囲まれても泰然自若としたその様は本当に美しく、役割を負って生まれた私の心を捉えて離してくれない貴方はとても素敵で、同時に残酷な魔王陛下だ




今宵ここまで

主人公がどうして本来の役割を反れてまでハドラーと戦いたいか。

その思いに至る道のりが書き切れていればと思います


この場をお借りして、訂正とお詫びがあります。

筆者はずっと黒のコアを漢字表記で黒の核としていましたが、

ウィキペディアで調べた結果、黒の核晶が正しい表記でした。

設定ミスを極力避けようと思いますが、大切なキーアイテムを間違えてしまい申し訳ありませんでした。
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