勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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この物語がシリアスだと誰が言った


決戦前の夜の過ごし方・前編

ありがとうって伝えたくて~

 

ええ、ただいま私ティファは皆様の前で歌っています。伴奏はノヴァのピアノで、食事広間の机を全て片付けて。

 

明日の決戦の士気を高める為にってバウスン小父様に頼まれてだけど。

 

 

 

・・・・・なんでみんな怒ってないんだろう?

 

 

食事の支度全部整って、おばちゃんに言われて皆呼びに行く時は物凄く緊張した!!

全員、それこそおじさん含めて物凄い非難の嵐と説教で遂に私はダイ兄に監禁されるの覚悟して、逃亡する気満々だったのに

 

怒っている人が誰もいなかった!!

 

 

 

「ティファこれも食べて。」

「えっとダイ兄・・・いただきます。」

「ティファよ、このデザートもどうだ?」

「父さん・・・・うん、食べる。」

 

どうして誰も怒っていないのか混乱しながらも、兄達に優しく給仕され次第に緊張を解きパクパクと食べ始める。

 

「・・・あ~ガキンチョ、これも試してみっか?」

「あっと、ガルダンディーもお肉沢山食べた方がいいよ?明日決戦だし・・・父さん、ガルダンディーとボラホーンとラーハルトは明日どうするの?」

「ん!・・・まだ何とも・・」

「そうなの?」

 

ティファの問いに、バランは冷や汗を流すのを辛うじて押し止める。まさか娘を見張るために残すとは言えない!!

 

「ティファ~、食べ終わったら久しぶりに歌おう。僕あれからピアノずっと続けてたんだよ。」

「続けてたんだ!ノヴァって凄いね。文武両道だ。」

「お?ノヴァって楽器弄れんのか?」

「ああ、昔嬢ちゃんと坊やの家で一度だけ泊まった時に二人で披露してくれたっけか。懐かしいな~。一丁聞かせてくれよ嬢ちゃん。」

 

「私からも頼めるかなティファ。」

 

周囲からの聞きたいリクエストに、受けるかどうか悩んでいるティファにバウスンも頼み始める。

 

「明日は大事な決戦だ。皆が無事に帰れるように歌ってくれまいか。」

 

戦勝祈願の奉納の舞や歌があるけれど、私の歌で・・・・

 

「ノヴァ!-アレー歌おう!!」

「僕と昔作ったやつ・・・いいね、それにしよう。」

 

私とノヴァの完全オリジナル・・・・とは言えないけど。出だしと内容は某曲を使わせていただきました。

 

砦にあるピアノを食堂に持って来た時には、机やいすは完全に取り外されてみんなが直に座って待っている。

 

ノヴァが旋律を鳴らし、ティファも石畳に胡坐をかいて座り二胡を鳴らし歌が始まる。

 

 

 

ありがとうって伝えたくて~

 

真っ青な空を、見上げながら~僕等は願う~

まだ来ない未来は~ 今日と同じく暖かい日が来ないかと~

 

悲しみ辛い事で~ 俯く事もあるだろう

転んで躓き立ち上がれなくとも 大丈夫 その手を引き上げて 共にまた 立ち上がっていこう

 

ありがとうって伝えながら~ 貴方と~歩いて行こう~

繋ぎ合ったこの手を~ 握りしめ合い~ ゆうっくりと歩いて行こう~

 

いつまでも~いつの日までも~ 貴方と~笑っていたいから~

 

繋がったこの道を~ゆうくりと歩いて~ 今~伝えに行くよ~ ありがとうって

 

 

誰かとの縁があって今がある。それを歌にしたいとノヴァが願って作った歌は、今初めて私とノヴァ以外に披露された。

 

出会って手を繋いで、皆が笑う明日への道が開ける事を願って。

 

 

 

 

その歌は優しく、歌の通り愛しい者達と歩く願いを引き起こさせるものであり、万雷の拍手と共に戦意と士気が跳ね上がった。

 

明日勝ち、温かい未来を紡いでいこう。

 

 

 

 

・・・・・・・それで終われば感動的な一夜になったであろう

 

事の発端は-風呂-を用意したというバウスンからのねぎらいから始まった。

 

決戦前に身綺麗にするのと、リラックスの為に浴場に湯を流し整えたと。

 

カールも自然豊かで結構あちこちに温泉があったりする。

この近くにも源泉があり、それも程よい湯音の源泉で見つけた兵には特別褒賞を与えて船の建設と砦の修復と同時並行して今日やっと完成したとか。

 

 

「温泉・・・風呂・・・ノヴァ!背中流しっこしようよ!!昔は小父様に丸洗いされたけど今日はゆっくりと入ろう''`ィ(´∀`∩」

 

 

・・・・・・北の氷の勇者の葬列カウントダウンが始まった・・

 

「いいねティファ。何ならダイ君や・・・・ポップはどうする?」

「俺も入りた~い!お風呂なんて物凄い久しぶりだ!ポップも入るでしょ?」

「あ~・・・デルムリン島以来まともな風呂入ってね~しな。」

「そしたらみんなで・・・あ!-女性-先の方がいいかな?」

 

・・・・なにかお子様組がとんでも発言してる!!

 

デルムリン島滞在時、ポップはダイとティファの三人で島の天然露天風呂に入っている。

ポップもポップで、妹でツンツルテンのまだまだ子供体形のティファだしと安直に考えて三人で遊びながら入ったのが懐かしい。

今回は大浴場のようだからお湯のかけっこは止めておいて、背中の流しっこにするか。

何だったらバラン誘って親睦深めるのもありで、師匠も入るかな?

 

ヒュンケル達?

赤の他人の男は駄目に決まってんだろう!

 

 

「ちょっと待ちなさい貴方達!!」

 

お子様組のとんでも考えでありとあらゆる暴動が起こる前に、制止の声で周りを牽制しつつ待ったをかけたのはパプニカの賢王女と名高くなっているレオナ姫その人であった!

 

「何考えてるのよ!ダイ君、ポップ、それにノヴァ貴方迄!!」

 

いくらティファが幼女で・・・言ってはなんだが年よりもあれな体形だが十二の女の子と兄以外の男どもと共に入っていい筈がない!!

 

その言葉に感銘を受けたバランは、即座にレオナの下に行き両手を握りしめ滂沱の涙を流す。

 

「ティファ!この姫君の言う通り!!慎みを持ちなさい!」

「ポップ手前何考えてやがんだ!!嬢ちゃん嫁入り前の娘だって分かってるのかお前は!!」

 

大魔導士マトリフの言葉はともかく、バランは涙流して言っているので説得力に欠ける事甚だしい

 

「え~・・だって父さん、ノヴァと久しぶりに一緒風呂入りたい。デルムリン島でだってポップ兄とダイ兄と入ってるからいいでしょう?父さんも一緒に入る?洞窟のお風呂以来だね~。」

 

いいわけあるか!!

 

その言葉に主を敬愛してやまない竜騎衆三人組も凍り付く。確かにティファとバランは親子だが!やむおえずとは言え半月前まで繋がりのなかったほぼ他人の女の子といきなり風呂に入ったのかこの人は!!

 

バランは父親だからぎりセーフだが!ポップは見逃される道理はなかった。

 

 

「ちょとポップ!さっき言った一緒にお風呂って本当なの!!」

「くるじぃ・・」

 

マァムの怪力で締めあげられ尋問を受けるポップの顔は土気色になり次第に口から泡吹くが、どう聞いてもギルディーなので誰も止めようとはしない。竜騎衆などはそれぞれの得物を出し掛けて、流石にそれはとマトリフに止められるが矢張りマァムの制裁は止めていない。

 

「・・・・分かったわ、私達と一緒に入りましょうティファ。」

「そうですよティファさん!!ティファさんは女の子・・・」

「嫌です!!!」

 

レオナとエイミ、それに続こうとするメルルの言葉を聞く前にティファが珍しく声を荒げて嫌だという!

 

私達の計画もしかしなくともばれて嫌われた⁉

 

この御風呂計画のそもそもリラックスして欲しい対象はティファ一人。お風呂でリラックスと軽い疲れで朝までぐっすり寝ている所をマトリフがラリホーマかける予定なのだ!!

 

大好きなおじさんの気配ならば万が一ティファの目が覚め掛けても、まだ早いだとかなんとかあやしてもらって寝て貰おう作戦!!

 

作戦がばれたのだろうかと周囲は固唾をのんで見守る。もし万一逃げようとしたら、バランとダイは紋章全開で止める打ち合わせもすでにできている!!

 

 

「だって・・・・レオナ姫もマァムさんもメルルさんもエイミさんもナイスバディなんですもん!!」

 

 

・・・・・はい⁉

 

「そんな超凄い人達の中になんて入りたくない!!つるつるぺったんの私が惨めだよ!!!」

 

ノヴァ一緒に入ろうよ~と最後は泣きついてる。

 

 

どうやらティファも慎み恥じらいはあまり育ってなくとも、発育不良(?)な自分の体にはそれなりにコンプレックスがあったらしい。

 

確かに今ティファが挙げた人物達の体は・・・・・

 

「何処見てんのよ!!」

「最低です!!」

「これだから男というものは!」

「皆一体全体何考えてるの!!明日は決戦なのよ!!!」

 

瞬時に集まった野郎どもからの視線に抗議するレオナ達のの大絶叫が砦に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わって死の大地のハドラー居室は静寂に包まれている。

 

先程親衛隊全員に、明日の決戦はの段取りをし終えたばかり。

親衛隊全員は死の大地の地上に来るであろう勇者達以外の相手をさせる。

 

ティファなればダイとバランを連れても一対一で向かってこよう。自分が勝った時に、二人を相手に出来るかと言われれば無理だと断じられる。

 

ティファを喪った怒りと悲しみを力にした二人を相手にする時、おそらく自分の体もティファの攻撃ダメージで動けまい。

 

仮にティファに敗れたその時も、自分の死で親衛隊全員が即座に共に逝く。

ならばどこで戦わせようと同じ事。ヒム達もポップ・ヒュンケル・マァム・クロコダイン達にしてやられているのでリベンジマッチを望んでいた。

 

存分に戦うがいい、可愛い俺様の親衛隊達

 

感慨に耽り、ワインを啜ろうとしたその時、扉が勢いよく開くと同時に怒号も入ってきた!

 

「ハドラー!!!貴様あの小娘になんと言って成分表を書かせた!!!!!」

 

部屋に押し入り怒号を発したのはなんと寡黙で冷静沈着なミストだった!!

 

 

「何事だミストバーン!成分表とは・・・偽りでも書かれたか?」

 

成分表と言われ、即座にティファがまた何か仕出かしたかとピンときた・・・・あの悪辣顔は

矢張り気のせいでは無かったか!

 

 

 

「あ奴はお前が-どんな文章-でも読めるかと聞いてきたので俺は読めると答えたまでだ。読めない代物か偽りかどちらだ?生憎俺はお前にそのまま渡したので目を通しておらんぞ。」

「・・・・成分表自体は本物だ・・・」

「ん?ならば何をそこまで怒っている?」

 

そもそもミストバーンがここ迄感情を露にすること自体が珍しいが・・・

 

「・・・・ハドラー、お前は-アナグラム-は知っているか?」

「あの人間も魔族も使う・・・・まさか!」

「そうだ!あの小娘は死滅寸前の古代魔族文字で!超上級難解なハイフォン式アナグラムで寄越してきたのだ!!!」

 

その難解性は他の追随を許さない程で!これを解くためにこんな夜中まで掛かってしまった!!しかも死の大地に埋めている-バーンパレス-の都市構成部分のライブラリーの資料奥から解読表を引っ張り出してようやくだ!!

 

何なのだあの小娘は本当に!!人間界で生きてきたくせして、魔界の者でも解読が難しい、それこそザボエラであっても使えるかどうか分からない超高度な文字とアナグラムを活用できる!!

最早突っ込みどころ満載な生き物だろうあの小娘は!!

 

しかも内容がきちんとしているから質が悪い!!

 

今回は父とその竜騎衆の事で騒がせて申し訳ありませんとか・・・こちらの意図丸見えですと挑発しているんだか謝罪を本気でしているんだか分からない珍妙な言葉で始まり、

明日はよろしくお願いしますで締めているとはどういう神経しているのだあれは!!

 

これがでたらめに書かれたものであれば、成分表はなく体調不良も偽りであったかと非を鳴らして討ちいるのに!合っているうえに微妙に礼儀正しい事がなお腹ただしいことこの上ない!!

 

無理して、アナグラムなど寄越したことが敵対行為だとこじつけで行けなくもないがその場合

 

 

「なんですか?あの程度のアナグラムも解けませんでしたか。今すぐ教えて差し上げますので少しお待ちなさい!!」

 

とか両手に腰を当てて上から目線のティファが想像できてしまい行きたくもない!!

 

大魔王バーン様至上主義のミストをして相手したくないティファの影響力とは・・・

 

 

絶対に嫌がらせだから口実に攻め込めそうだとハドラーなどは思うが、何故あれはいらん騒動を起こそうとするのか頭痛くなる。

 

 

頭痛めている所に珍客もう一人!

 

「ミスト!!!此処にお嬢ちゃん直筆の成分表あるでしょ!!!!僕にも見せてよ!」

 

 

・・・・・こ奴ら人の私室を何だと思っておるのだ

 

押し入ってい来た其の二は変態死神キルだった。

ミスト同様ノックもせずに扉を左右の手で豪快に全開で開けてずかずか押し入り早速ミストにお強請りしている。

 

 

ミストは怒りを全てハドラーにぶちまけお疲れモードなのでキルの相手が面倒とばかりにティファからの成分表を放り投げた。

 

「おっとミスト、駄目だよ女の子からの手紙投げたら~。ふんふん、文字自体読めるけどアナグラムは僕無理だ。けどあの子の字は温かみを感じるね~。」

 

決して流暢な字体ではないが、相手の読みやすさを優先していて、それでいてどこか丸っこいあの子みたいな字だ。

 

「解析は出来たのかい?」

「・・・・・無論だ・・」

「ふ~ん・・・・あれ・・余白?ねぇミスト、この余白の先に何か書いてあるの?」

「・・・・・・読めばよかろう・・」

「どれどれ・・」

 

成分表は突然余白部分が出来ていて、だがその先も紙が続いている。

 

 

これは・・・・!

 

「ハドラー君!!君お嬢ちゃんの成分表読んだかい⁉」

「五月蠅いぞキルバーン!ミストバーンにも言ったが俺は目も通しておらん!!」

「なら今すぐこれ読んで!!」

 

最後の余白に辿り着き、書いてあった言葉は・・・

 

 

       キルバーンは読むな!成分表に触るな!!あっち行け!!!

 

 

とんでもない言葉で締めくくられていた!!

 

 

「・・クックックックック・・ダっハッハッハッハッハ!!!」

 

読んだ瞬間ハドラーは腹をよじりながら大爆笑した。読むなどころか触るなあっち行けとはなんと子供のしそうな悪態であるか!

あのティファから想像がつかず、ギャップでさらにおかしくなる!

 

「ちょっと酷いよハドラー君!!そこまで笑うだなんて!!!」

「あ奴からの手紙を貴様ならば読むのを見越して書いていたのであろうよ。良いではないか、お前の事をきちんと分かっていると言われたも同然ではないか。」

 

常日頃から味方からも疎まれているとは思えない程の死神の憮然とした様に、ハドラーはつい揶揄う。

 

ある意味言っている事は正しいのだが何か釈然としない!

 

「・・・・まさかハドラー君?お嬢ちゃんに僕の事をある事ない事吹き込んで、僕の評価下げるように仕向けたんじゃ~ないよね?」

 

なんだそれは!完全ないちゃもんだろう!!!

 

「お前の変態的な言動が真っ当に評価された結果だろう!!!俺を逆恨みするな!!それと明日の決戦の相手はあれで決まりだ!余計な邪魔立てと変態行動するなよキルバーン!!」

「失敬な!邪魔なんてしないし!そもそも変態行動ってなんなのさ!僕は-一度も-そんな変なことした事ないよ!!!」

 

・・・・・こいつ無自覚だったのか!!!!

 

ハドラーと、隣でもう嫌だあの小娘と匙投げていたミストが覚醒して二人の心の大絶叫が一致した!

 

自覚を持てこの変態死神!!!!

 

 

キルにトラップを仕掛けたティファは、父と兄との三人風呂に入りながらトラップの結果を待っている。

 

 

 

あの人原作通りピロロ来たのかそれとも見捨てられたのかいまいち分からんのよね。

生きてたらあの文章見たら流石に激怒してくれるだろうし待ってよ~。

 

 

だがそのトラップは不発で終わる

 

 

 

「止めないでよミスト!!ハドラー君もその手放して!!」

「誰が行かせるかこの戯け!!!」

「あの小娘に振り回されるのも大概しろ!!!」

 

ハドラーとミストの必死の阻止により、死神健在はダイ達の知らぬところとなった。




今宵ここまで

これもこの物語の形です(`・ω・´)
(・・・許してください)
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