ティファが名付けた雪白は、実はその全容は三神達にも-知らされていない-機能が備わっている。
これをうった鍛冶屋は凄腕だが偏屈の極み物で、ロン・ベルクを百倍偏屈にしたと言えばわかってもらえる程に屈折していた。
自分の扱う武器の性能は自分で味わって体感して血肉にするものだ。何でもかんでも教えて貰えると思ったら大甘なんだよ、とは三神達に譲渡した時はそんな事は言わず、隠し機能も告げずにこの世を去った。
それ故にティファがデルムリン島で三神達が出現させた洞窟の地下五十階で、雷の竜を降して手に入れた刀の説明の時の性能に加え、機能は闘気をストックさせる事のみ。
ティファも其れは凄い事だと喜び、隠し機能があるのを今の今まで知らなかった。
バランは雪白の刀身が白くなると同時に-娘の容姿-までもが変わり果てた事に絶句し、反対にダイが叫び上げた。
「ティファ!!何があったの⁉それも雪白の力なの⁉」
「ん?どうかしたのダイ兄?雪白綺麗・・・」
「雪白じゃない!ティファの髪が・・・髪の色が白銀になってるよ!!!」
・・・・・・・・え?・・・え?・・・・えええええ!!!!
わ!横の一房見たら本当に白銀色だ!ん?何やら体に力が巡っているような・・・・心なしか皮膚の上も膜が一枚被さっている感覚がする。
これってもしかして・・・もしかしなくても雪白の追加効果だ。
自分の雪白ご披露だとテンションが上がっていたティファは、自分の外見が見えない事はともかくも、内部に溢れる力に気か付くべきであったのかもしれないと反省する。
浮かれて自分の今の状態を把握できないなんて決戦前にして良い事ではない。
把握できない=死に直結するのが戦いなのだから。
雪白のもう一つの機能は、刀自身が主の闘気をストックし、それを刀身と主自身に還元する事。
雪白は何度も全力の打ち込みを、主にはそれまで貯めていた闘気を開放して外部は薄い闘気の鎧を自動で張り巡らせ、体内のそれこそ毛筋一本にまで闘気を流し込む。
ティファの髪が白銀色になったのは、元の黒色に白い闘気が混じり完全に白にならなかった為にその色となった。
真っ白ではなく、それでいて力強い白の色は奇しくもティファそのものを体現する形となった。
純粋だがそれだけではない、なんともティファらしい色だとハドラーは見惚れていたが故に黙っていたが・・・
「美しい・・・」
感極まったように言葉を放つ。
ティファ達が自分の肉体を見て瞬時に分かったように、自分もティファの今の姿から途轍もない力の奔流を感じる!ティファの真正面にいるせいでとこで見ているダイ達以上に!!
力強く、そしてどこか神々しくあるあのティファの!何と美しい事か!!
「今のお前は!俺が見てきたどのような者達も敵わぬほど三界一美しい娘だティファよ!!!」
数百年生きて来た。魔族は総じて強いものほど美形が多く、其れなり以上の者達を自分も見てきたが、今のこのティファに敵うものなどいるはずもない!!
美しさの中にあれ程の力強さを感じたことがあったか?力強さの中に、無垢で純粋な光を宿し満天の星空の様に煌めかせる黒き瞳を瞬たかせ、頬を紅に染めるあの可憐な美しさを備えた者はいただろうか?
どちらも否だ!今まで自分が出会ってきた者達はどちらかしかなかった。
俺のこの悍ましい魔獣の肉体を恐れず綺麗だと言い放ち、戦う事を純粋に喜び力を露にしたティファと戦える自分はなんと幸運なものだろう。
偽りをもそれこそ世辞も言わないハドラーの真っ直ぐな言葉に、ティファの胸が今までになく高鳴る。
あれ程の凄き男から、超一流魔王のハドラーが自分を讃辞してくれたのだ!!
「ハドラー!!!!」
それが嬉しくて、ティファは叫び上げ、果たしてハドラーはそれに応じてくれた。
「おう!!」
ああ、この人に宣したい!!
「デルムリン島の長鬼面道士ブラスが孫娘!!」
む?
「龍の騎士バラン・アルキード王国王女ソアラが娘!!」
それはティファが尊敬し愛している者達の名が、次々と紡がれていく。
「勇者ダイの妹で一行の料理人を務めている-三界一とんでもない娘・ティファ-が!魔王ハドラー!!貴方に決闘を申し込みます!!受けますか!引きますか!!!」
雪白をハドラーに突きつけ、力強く戦うか否か問うた!
それは堂々たる宣戦布告
昨日なし崩し的に決まった戦いではなく、自分を今の自分たらしめてくれている全ての人達を織り込んだ自らの宣戦布告。
自分がこの世界に生まれたのは父さんと母さんが道ならぬ恋の果てに、其れでも私達を産んでくれたからだ!!
礼儀を優しさを教えてくれたのはじいちゃんだ!
ここまで自分が折れずに来れたのは、いつでも明るく強いダイ兄が、迷子になりそうな自分に本物の勇気を見せてくたからだ!
疲れた果てに壊れた自分がここ迄立っていられるようにしてくれたのは、ポップ兄・マァムさん・ヒュンケル・クロコダイン・チウ君・メルルさん・ベほちゃん・おじさんのおかげだ!
それに・・・・自分を強くしてくれたいったんは間違いなくハドラーも担ってくれている。
だからこそあれも入れたのだが・・・
今の自分を作ってくれた人たち全てに懸けて!私はハドラーと戦って勝ちたい!!
その言葉に出ない胸の中での思いを、ハドラーは何かを感じ取りにやりと笑う。
「そうか、ならば俺も返答せねばな。」
ジャキン
ハドラーは戦闘迄仕舞っておく積りだった覇者の剣を右腕から出現させティファに突きつけ返答する。
「大魔王バーン様の配下、魔軍司令官ハドラーが-ティファ-の決闘申し込みを受けよう!!」
ティファが自分を魔王と言ってくれるが、自分はまだ主からその許しを得ていない。勇者達全てを倒したあかつきに名乗るがいいと言われている。
ティファに背負うものがある様に、自分も尊敬する主が与えてくれた官職で受けさせてもらおう!!
だが、ここでもう一つ言っておかねばならないことがある!!
「これよりは俺とティファだけの戦い!!この決闘を邪魔する者は容赦せぬ!!!」
主とミストバーンはともかく、この美しいティファに矢張り欲しいとなったキルバーンへのけん制のつもりで言ったのだが、意外にもティファも其れに乗ってきた。
「私も宣言させていただきましょう!もしも横槍入れるものあらば!!塵も残さず消滅すると心得なさい!!!」
決して許さない!
「そうか。」
「はい!」
ティファも自分と同じ!世界の命運掛かったこの戦いでも俺を一番の敵と定めてくれている!
「いざ!尋常に勝負ですハドラーッ!!!!」
その言葉が発せられたのと、白い物が弓なりの様にハドラーに迫ったのはほぼ同時であった。
言葉と共に、ティファは先手とばかりにハドラーに向かっていた。凄まじい速度で迫り、通った後が闘気の圧力に耐え切れず抉れていく!!
「ふんぬ!!!」
バギン!!!!
その初太刀はハドラーの覇者の剣に弾かれた。ハドラーは見えてはいなかった。だが圧倒的な威圧から打ち込まれる太刀筋を先読みし薙ぎ払ったにすぎず、払った方も払われた方も一瞬構えが出来ず無防備な状態になった。
先に態勢を整えたのは空中に放られた形のティファではなく、ハドラーの方であった。
払われた勢いで後ろに飛ばされたティファを追撃して袈裟切りにするも、受け止められそこからは打ち合いへとに突入する。
お互いの力の余波に体勢が崩れるが、ハドラーはその体躯を活かして踏みとどまり、ティファは打ち込まれるハドラーの剣を反対に利用し、雪白を打ち込み支点にして態勢を立て直して斬撃を繰り出していく。
ハドラーが一の動きで事足りる動きは、ティファはニが必要だが今は雪白の追加効果でスタミナを心配する必要がなく存分に迷いなく打ち込める為に互角の打ち合いが、大広間をして所狭しと二人はそこかしこで打ち合い、相手に届かなかった闘気は余波となり、ダイ達を圧している。
ガラン
何かに躓いた・・・これか!
ガン!
「ダイ兄!フェンブレン邪魔!!預かっておいて!!!!」
手足なく身動きが取れないフェンブレンは当然自力で逃げる事は出来ず、ティファはそこに躓き、其の隙を見逃すはずもないハドラーが剣ではなく蹴りをティファの腹に入れようとしたが、察したティファは一度大きく後ろに飛んで間合いを取り、追撃してきたハドラーを躱し、直後に振り向くと同時にフェンブレンをダイの下に蹴り飛ばしすぐさまハドラーに向かって行く。
巻き込まない為の優しさではない、ハドラーの間に入る者は誰であっても邪魔だ!!
雪白の斬撃一辺倒のティファに対し、ハドラーは拳や蹴りも交えティファを翻弄する。油断をすれば、何が飛んでくるか分かったものでは無いと、ティファの神経を最大限迄稼働させ追い詰める。
幾度目かの打ち合いの果てに横に薙ぎ払われ、刀身と共にが完全にのけぞったティファの腹に、左足で地面を踏みしめ、右足の重い蹴りの一撃をすかさず振り抜く。
だが、その足にと自分の腹の間にティファは素早く雪白を捻じ込み後ろに吹っ飛ばされるだけで済ませてみせた。幸い狙っての事ではなく咄嗟の事で、刃の部分ではなく峰の部分が足に当った為、こちらの足を切断されずに済んだわ。
・・・・本当に油断も隙も無い・・・ハドラーにはまだ魔法があったっけ・・
体格・リーチ・筋力の差は如何ともしがたいけど、速さなら負けない!!
「おおおお!!!!」
両足に闘気を流し強化したティファはの姿は初太刀の時よりなお早く一瞬ともいえる速さでハドラーに迫る。
また同じ手か!!
見えずとも横薙ぎにして防ごうとしたハドラーの覇者の剣は空を裂く。
読んだ場所にティファはおらず、トンと、空を裂いた覇者の剣の先端が重くなる。
ここ!!
自分の速さについてこられていないと読んだティファは、初太刀と違い闘気を抑えその軌跡から割り出されずに、ハドラーの手前で足に闘気を再び流し込んで強化し、ハドラーの右後方に飛んでいた。
空振りに終わる覇者の剣に乗って足場にし、その首を刎ねる為に!!!
「ああああ!!!」
その斬撃は決まり斬首されるかと見ていた全ての者達が思ったほど完璧にタイミングが決まっていた。
イオラ!!!
ズッッガァァァァン!!!!
「ティファ!!!」
ハドラーも伊達に過酷な場会で生き延びた強者ではない。先端の重みを感じて直ぐに察し、魔力を溜めティファの雪白が自分の首に触ると同時にに左手から爆裂中級呪文を放つ。。
あの態勢からでは避けられない!
見ていたダイは、煙渦巻く戦場に入ろうとしたが父バランに左腕を掴まれ止められた!!
「離して父さん!!ティファが心配じゃないの!!!」
「落ち着くのだディーノ、煙は直ぐはれる。」
果たしてバランの言葉通り、爆裂呪文とはいえ単発のイオラの煙はたかが知れておりすぐさまはれた。
直ぐに目に入るのはハドラーだが、ダイは妹のみが案じられるが、同時に戦士としての疑問が湧いた。
何故ハドラーは追撃戦をしていない?呪文でダメージ喰らった敵に討ちかかる絶好の機会を何故?
その答えはおのずと直ぐに出た。
よく見ればハドラーの右耳が千切れて血が流れ出ているではないか!べしゃりと何かが地面に打ち付けられる音がし、そちらを見れば煤けているがダメージをさして負っていないティファが雪白をいつもの様に左肩に懸けて立っていた。
ダイには分からなくともバランからは見えていた。
ティファが呪文の詠唱を聞くと同時に首を斬首する為の斬撃をしている最中であっても左手を即座に離し、闘気を掌に集中させイオラがその威力を発揮する前にぶつけて己の被害を最大限に殺すと同時に
吐き捨てられたハドラーの右耳は生々しく、見ている者達の背筋を寒からしめる。
もっと惨いものを見て来たバランとても、それが我が子ティファが仕出かしたかと思うとうすら寒さを感じずにはいられない。
「ふん、噛み癖があるとは行儀の悪い娘だ。」
だが、そんなティファに平然と話しかけるのは耳を噛み千切られた当人ハドラーであった。
今のティファならば、この程度出来て当たり前だろうとばかりに驚かず、行儀が悪いと咎めるほどの余裕がある。
「いいでしょう、首の代わりが右耳たった一つ。」
本当は口の中に入った血も吐き捨てたいが、これ以上の行儀の悪さは止めておこうとばかりに右手の甲で拭い去り、
目の瞳孔は完全に開き、そこに居るのは戦いに魅入られた戦士が、否!戦う獣が佇んでいる!
「何か問題ありますか?」
あくびれずに傲岸に言い放つその様は・・・
「クックックッ、問題なぞない!!」
「でしょうね!!!」
それを合図に二人の打ち合いが再開される。
銀の髪と白銀の髪をたなびかせ、二頭の美しい戦う獣が喰らい合いを再開する
今宵ここまで
雪白の最後の機能と、それにより主人公の身体機能が跳ね上がり激突する事が可能になりました。