勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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そろそろ二人の決着がつきます


必殺の技

あぁ、そろそろ決着の頃合いだ・・・

 

 

自分もハドラーも見た目はダメージさほどなくても、内臓方面はがっつりダメージ負ってる。

 

私は肋骨にヒビで、長袖の下絶対に痣になってんだろうな。

闘気の鎧で覆っていても衝撃迄殺してくれるなんてチートアイテム貰った覚えはない。

 

どこもかしこも痛くとも、ティファから笑みが絶える事はない。

 

痛みを感じれば本来生物は止まるか動きが鈍る。生きる為の防衛本能故に。

 

戦いの中ではそれは邪魔でしょう

 

などと生き物の本能全否定したティファが修行で徹底したのは、痛みは痛みでダメージを計測する為の物と割り切り、動きを鈍らせる本能の方を殺す事。

死ぬ痛みか死なない痛みか判定できればそれ以上は不要と、自分の本能を屈服させている。

戦闘時に限らず興奮して出る脳内麻薬とも呼ばれるアドレナリンに頼ることなく、正気のままで。

 

その痛み計測からするに、自分は体力含めて三割は削られている。

向こうに与えたダメージは、手応えからではあるが二割といったところか。

上級呪文は使わせていないが、コスパ低いとはいえ初級呪文は百近く打たせているのでそろそろ魔力も目減りして闘気技メインで行きたいところだろうか?

 

まぁそれはこっちも同じで、雪白のストックも四割使った。

 

これ以上になると-技-が撃てなくなる。

 

 

「どうした!先程よりも動きの切れがないぞ!!」

「ほざかないで下さい!私の方がうんと若くて元気一杯ですよ!!!」

 

 

上記の事はハドラーとの打ち合いしながら考え中!!この人どんだけ元気なの!本当に寿命迫ってんの⁉

 

 

動き回りながらの打ち合いで周りの壁も地面も抉れて大穴開けて、廃墟化の様想を呈させてもまだ衰えてないって・・・・スタミナのお化けめ!!

 

 

如何に雪白の追加効果があっても、そもそもハドラーとティファでは当然スタミナ量が違う。

ハドラーが百ならティファは元が精々六十かそこら。底上げしても普段使っている力とは違うので当然筋力疲弊も早く、そろそろ全身が軋み始めている。

 

 

今撃たないと本当に不利だ!!

 

 

ハドラーから繰り出された拳の上に乗っかり、ティファはそのまま後方に飛んで着地と同時に追撃してくるハドラーに土龍閃を放ち、攻撃の動きを一時停止させる事に成功し、その僅かな時でも気を整えようと呼吸を深めにとる。

先程の激突時であればそれは命取りになるだろうが、ハドラーの方もタイミング的には整えたいところだろと安全を確信して。

 

 

スゥ~ハァ~

 

 

心なしかティファの息が上がっている様子にダイは飛び出しそうになる体を己が意思で必死に抑える。

 

まだティファは負けていない。俺がティファを、妹を信じてやらないでどうする!!

 

唇を噛みしめ耐える我が子に、バランは畏敬の念の眼差しを向ける。

この短時間で息子は驚くべき速さであらゆる成長を果たしている。

幾度ティファが危険な目に遭い、その都度飛び出そうとしたのを抑えていたが、今は己の意思でここにいる。戦士として、また勇者としての自覚が、この戦いはぎりぎりまでティファにやらせなければならないのを心は兎も角、頭は納得させられたようだ。

この後に続く大魔王戦を見据え、大局で物を見始めている・・・・生中な思いや覚悟では到底できない事を。

 

そしてこの短時間でダイはハドラーとティファの動きに付いていき、時折腕や手首がピクリと動く。

二人の速さに目が慣れ、ハドラーの方の攻撃に、自分ならばどう攻撃し対処するか考えているかの様に。

 

バランの思う通り、ダイは脳内でハドラーと戦いを繰り広げている。ダイには竜の騎士が受け継ぐ戦いの記憶は受け継がれず、-原作-では超魔生物ハドラーと一番に激突したがこの世界でのダイは全くの未知で、戦いの経験もある意味摘み取られ不足しているところがあった。

 

だがしかし、妹の闘気の使い方、身のこなし、ハドラーからの攻撃を防ぎどう連撃に繋げるかの戦術を-見て-己の中に吸収する。

それはまさしく見取り稽古。ティファは期せずしてダイの前で全力で戦う事で、不足していた兄の戦闘経験値を爆発的に高める事に繋がった。

そこまでは意図していないが、自分の戦いで何かを掴んでくれればいいと考えていたティファが知れば、兄の役に立てたと大喜びしたであろう。

 

 

そのティファは今呼吸を整えている。

 

「流石にへたばったか?」

「さて、どうでしょうかね~。」

 

ハドラーからの問いに、ティファは人を食ったような笑みを浮かべて答える。この疲れも演出で誘ってるのかもしれませんよと、言外に-罠-である可能性を示唆して。

 

「・・・全く油断も隙も無いなお前は、疲れたのならば素直に俺に斬られたらどうだ?痛くはせんぞ。」

「・・・・・貴方一体どんな感性してるんです。斬られるのに痛いも何もないでしょう。」

 

案に即死させてやるという物言いに、流石のティファも鼻白む。自分はここで死ぬ積りは毛頭ないのでお断りである。

 

「クックック、遠慮せんでいいぞ?」

「しますし!お断りですし!!・・・・貴方そんな性格でしたっけ?」

「さて、どこぞのとんでもない娘に毒されたのやも知れんな~。」

「・・・・・・今すぐ黙りやがれです。」

 

ハドラーの言葉にティファは青筋浮かべて-満面の笑み-を浮かべてシャラップをかける。

どう見てもハドラー浮かれてる!それは自分もだからお互い様か・・・・

 

無駄話とまでは言わないが、おしゃべりしているうちにティファの呼吸は正常に戻る。ハドラーの思惑通りに。

 

疲れているティファを倒したところで詰まらんことこの上ない。そろそろ戦いも終盤。

 

もう少し打ち合ったら、自分の生涯最高傑作の-技-を繰り出す!!

 

「おおおお!!!!」

 

この戦いで初めてハドラーは闘気を練り上げた雄たけびを上げる。それはこれから、今まで以上の圧倒的な力でティファに討ちかかる事の宣言!!

 

その雄叫びの余波は凄まじく、見ているだけのダイとバランの肌をビリつかせ、フェンブレンの手足の傷のヒビが、さらに増してしまった程に。

 

背中のスラスターも吹かせ両足に力を込めたハドラーの突進にさしものダイ達も危機を感じ取り割って入ろうとしたがその動きをふいに止めた。

 

ハドラーがある地点を境に、見えない壁に激突しそうになり全力で止まったようにその場に足をめり込ませ、構えを解かずとも止まったからだ。

それも先程には全く見られなかった驚愕の表情に、微かに汗を浮かべて。

 

ハドラーが凝視する先にはティファがいるだけ・・・・・なんだあの構えは!!

 

その構えは、ダイとフェンブレンはおろか、数千年の戦いの記憶を受け継いだバラン、数多の多様な敵と戦ってきたハドラーすらも見た事がない。

 

「・・・・あの構えは一体・・」

 

それは魔界の神すらも知らぬ構えで、バーンも訝し気に玉座に座ったままだがワイングラスをサイドテーブルに置き身を乗り出して見る。

 

「ミスト・・・あの構え何?」

「私も知らん・・・・小娘の奥の手か・・・」

 

キルも終盤の為、構えは知らないがあれは必殺技の類であろうと推察し立ち上がる。この戦いの行く末をしっかりと見届ける為に。

 

 

ティファは右腰に差した鞘に雪白を仕舞い鯉口を切り、左足を前に出した前傾姿勢でハドラーの

一挙一動をつぶさに見ている。

 

ただそれだけ

 

そう感じたのはその場ではフェンブレン唯一人であったが、見ているだけのダイとバランも汗を浮かべ始めた事に何事かと訝しむ。

 

分かる者には分かる、今のティファは()()()()()のが。それは嵐の前の静けさに似て、内側に闘気を練って溜めているのが。

ハドラーが止まった地点がおそらくティファの間合い。全方向二メートルが、ティファの構えている技の間合い。

踏み込めば確実に技が飛んでくる、不用意に入り込めない剣の結界にハドラーは足止めされたのだ。

 

 

「どうしました、来ないのですか?」

 

状態と同じく、先程まで荒ぶっていたティファとは違う、静かな声がハドラーの耳をうつ。

 

「私がどの様な技を繰り出すのが予測出来ずに怖れをなしましたか?分からないのであれば、

その身で全力を以って確かめに来ればいいではないですか。」

 

だがその言葉のなんと苛烈な事か!それは挑発。自分は技を撃つ、それに見合った技を出せと。

 

 

「ふん!お前にしては随分と安い挑発だなティファ。ここいらで決着を望むか。」

「どうとでも。それで、貴方は技を出すのですか出さないのですか、どちらなのかはっきりとなさい!!」

「お前に言われずとも出す!その身を焼き尽くす技で冥土に行くがいい!!!」

 

 

ズァァァァァ!!!

 

ティファの言葉に背中を押された形になったが、ハドラーはこの戦いで一番の闘気を放出し、暗黒闘気の炎・魔炎気を練り上げ左腕から右腕の覇者の剣に伝わせる構えをとった!

 

その熱量だけでも凄まじく、技も放っていないのに辺りの瓦礫が壁まで吹き飛ばされ激突をした。

 

 

もってくれよ俺の体、ティファを倒しきるまで!!

 

自身で編み出したこの技を超魔爆炎覇は、この体になって会得した魔炎気を剣に伝えて放つ技。

その為には魔炎気を発生させる為に、自身の生命力を限界以上に振り絞る必要があり、まさに不退転の必殺技。

 

決まればバランのギガブレイクにも負けない自信がある。ティファがどの様な技を出そうとも、

正面から打ち砕けば何ら問題はない!!

 

 

 

双方が構えをとってからはピクリとも動かず言葉による応酬もない。ただひたすらに-その時-を待っている。

この緊張に満ちた均衡を崩す何かを。

 

図らずもその均衡を崩したのはダイであった。彼の為に言わせてもらえれば、ダイが未熟で緊張感に押し負けて何かをしたのでは決してない。

 

続く激突と、妹とハドラーの情念ともいうべき狂気にも怯まず見続けたダイが崩したのではない。

 

彼が流し顎を伝い滴り落ちた汗が地面に落ちた時が-その時-になったに過ぎない。

 

                 ピチョン

 

 

二人は瞬時に動いた。それもコンマのずれもなく。

 

 

「超魔爆炎覇!!!!!」

 

 

魔炎気を存分に纏った覇者の剣を振りかざし、ハドラーは必殺技を繰り出す。

体内で練られた気を存分に放出し、動いたタイミングはティファと同じであったが、僅かに技の速度が自分の方が早いと感じて渾身の力を込めて打ち下ろす!

 

勝った!!

 

傍から見てもハドラーの方が僅差に見えた!だがその考えをは吹き飛ばされた!!

文字通り超魔爆炎覇諸共に!!

 

 

「ああああ!!!」

 

ガッツシャァァァァン!!!!

 

バッガァァァァン!!!

 

武器と技がぶつかり合った破裂音が広間に鳴り響き、一瞬の間が空いたが天井が-何か-によって大穴を開けられた!!!

 

僅差と思われたハドラーの技をティファも闘気を練って雪白に纏わせ強化し打ち上げ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()天井へと放出させる。

 

双方これで技はなくなり、振出しに戻ったかに見えたが!よく見ればティファが左手に持っているのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()であった!!

 

ティファの技はまだ終わってはおらず、この技はここからが本番。

 

 

 

二段抜刀術 双龍閃・雷




今宵ここまで
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