勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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潰えし夢・・・・

()()》》天翔龍閃

 

あの技を知っている人は誰もが思うだろう。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

超一流魔王にして高潔な戦士ハドラーを黄泉路に送るに、あれ以上相応しい技はなかなかあるまいとは私も思っている。

 

その威力、決まった時の荘厳さすら感じさせる龍そのものを表したような技なのだから。

 

 

()()では私だとてあれで決着を付けたい。

 

だがそれを現状が許してくれない。原因はたった一つ、黒の核晶が邪魔をする。

 

別に大魔王が今覗いていようが私の奥義知られようがどうでもいい。だけど天翔龍閃は()()がありすぎる。

 

雪白ではなく、鋼の剣でデルムリン島の洞窟ボス戦をした時はさほど感じずとっておきが出来たくらいに気軽に考え、雪白でやった時危うく洞窟が崩壊しかけた。

全てのボスを倒して雪白を手に入れて威力を試した時で、まだ雪白をきちんと扱えなくとも、神の結界が張られたあの洞窟を崩壊一歩手前にまでして見せた。

 

ではリミットリリースした時に使ったらどうなるか?確実に黒の核晶周りに大魔王が張った衝撃吸収結界ぶち抜いて暴発する事請け合い。

 

次善の策で九頭龍閃も考えたが、突進系の超魔爆炎覇と競り合った場合重量の大きい方が勝つ。筋力の弱い私の方が当然負けて、威力殺されて負けるのが目に浮かび却下。

万が一早さで優り超魔爆炎覇をすり抜け懐に飛び込みながら技を繰り出せたとして、九番目の突きが黒の核晶に当ったら・・・・駄目だみんな死ぬ。

 

ハドラーの必殺技を殺し、尚且つそのままで流れる様に打てる二段構えの必殺とは言えないが、それでも確実に二撃目が撃てる技。

 

それが二段抜刀術 双龍閃・雷

 

()()()鞘に収まった雪白を振り上げ覇者の剣と超魔爆炎覇の威力の全てを上方に行かせ、上体がのけぞり命を振り絞った代償に数瞬動けなくなるハドラーの隙を見流さず、畳みかけるべくティファは()()で雪白の柄を掴み鞘走りさせ抜刀する。

 

 

まさに流れるような連撃

 

 

()()()()()()()利き手ではない方に鞘を持ち、抜くと見せかけて鞘で相手の武器を止める虚実の技。

 

だが自分では利き手ではない右手でやった時、鞘で止めようとしてもハドラーの筋力と超魔爆炎覇の威力に負けてそのまま斬られてしまう。それに左手で凌ぎ切れた後、利き手で技を出そうとすれば持ち替えるしかなくロスが出来てしまう。それでは一瞬の動きが明暗を分ける極限の場では使い物にならない。

 

ではどうすべきか?利き手よりは威力が落ちようが、雪白の性能と追加効果で筋力を底上げし、凌ぐために全身の力で飛び上がる時に上がる左腕の速度を殺さずそのままハドラーを可能な限り上体をガラ空きにして無防備な態勢を作り出させ、右手は自然体で抜刀すればいい。

 

 

だからこれはただの雷なんかじゃない。私のオリジナル

 

「二段抜刀術!変異双龍閃・雷!!!!」

 

元の技などこの世界の誰一人として知るまい。だけど私は知っている、だからこれは-変異-だ。

利き手ではない手で技を出すのだから。

 

 

 

 

やられる!!

 

 

見た事も、まして聞いた事もないティファの技が確実に自分の首を切り落としに迫っている!

 

その動きはいやに遅く動いている様に自分には見えるが、これはきっと死にたくないと俺の本能が抗いどうにかできないかと高速で思考している証だろう。

極限での戦いを幾度か経験しているうちに何度か味わった感覚だ。

先の大戦でのアバンとの最終戦以来で久しくの事に驚くが、その分ティファの技がいかに見事かまじまじと見れている。

 

動きに一切の無駄なく途轍もなく洗練された必殺技。

 

技の語尾に雷と言っていたが、まさしく竜の娘が使うに相応しい。雷鳴轟かし相手を怯ませ雷が降ってくる。

 

不思議と心は凪いでいる。アバンの時は死にたくないと必死に念じたのが嘘の様に。俺はこれで敗れるのか・・・・満足だ・・・・満足の筈・・・なのに・・

 

 

「おおおおお!!!!」

 

自身の肉体の突如とした動きに驚愕するハドラーの思いとは裏腹に、ハドラー自身の肉体はそれを拒絶する。死にたくない!!それは生き物の本能として当たり前であり、本来はそうでなければおかしいと体が、本能ががハドラーの死を許しはしなかった!

 

全身が動けずとも、()()()なれば動く事を証明してみせた。死なない為に、足掻いて足掻いて無様でも生きろと!

 

 

「なんと!!」

「そんな!!もう少しでハドラーの首が!!」

「おぉ・・・・ハドラー様!!お勝ちなされよ!!!」

 

動けないかに見えたハドラーの執念ともいうべき肉体の動きに、バランとダイは驚愕しフェンブレンは歓喜する。

ティファ自身があの技は二段抜刀術と言っていた!ならばここを凌ぎ切ればハドラーにも勝つ見込みが高まる。

 

例え体の一部を切り落とされようと、今度こそ振出しに戻るはずだ!!

 

 

 

そんな・・・・・

 

思った通り右手での抜刀術であっても、雪白の威力でハドラーの体を斬り裂けた。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

なんで・・・・どうしてそのまま逝かなかったの!逝ってくれなかったのハドラー!!!

・・・・・最悪だ・・・

自分が今考えている事がいかに殺される相手にとっては理不尽な事かなど自身が一番承知している!だがこれで、ハドラーがバーンの裏切りを知らずに逝かせるという私の望みが潰えた・・・・

 

技の不発などどうでもいい!まだカバー出来る技はある!!

だがこれは・・・・・()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!!

 

 

斬り裂きながらティファは泣くのを堪え、唇を嚙みしめ苦い顔を見せまいと俯く。

 

 

ティファが死角となりこの場にいるダイやバラン、フェンブレンはおろか、-仕掛けた-バーン自身にもまだ見つかっていない。

 

ティファは自分にだけ見えている物に対し視線だけで射殺せる程の、ハドラーに終ぞ向ける事は無かった殺意を浮かべた瞳でそれを睨みつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

左脇腹を斬り裂いた事により露になった()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

だがそれで露わになる前に時間が戻る訳でも、まして黒の核晶が消えてくれる訳でもない

 

 

 

・・・ハドラー、貴方は()()()()()私を許さなくていい!

 

ティファは覚悟を決めた




今宵ここまで・・・・潰えしは主人公の夢・・
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