よろしくお願いします。
「ちげえって言ってんだろう!ハリネズミがいるのは木の下の巣穴だ!!!」
「違うもん!!針金雀枝の茂みの土の中よ!!」
「まだ言うか!!」「そっちこそ!!!」
・・・ガルダンディーておバカ?五歳の子ども相手に何しちゃってんの?本当にガキね。
横見たらボラホーンとラーハルトも呆れた顔してる。
何をしているんだとボラホーンため息まで吐いちゃった。でも・・ハリネズミって今は・・
(このガキまだ分かんねえのかよ!!いい加減分かれってんだよ!!)
墓荒らし紛いをしてしまってばつが悪いと思っていたところに、掘ろうとした理由を尋ねられたので、悪いと感じていたのでハリネズミの事を話したら・・居場所が違うと言われたのに腹が立ちずっと口論になって十分近くが経つ。
(ガキを殺しても仕方なしと・・優しくしてりゃあ付け上がりやがって!!)
ガルダンディーの忍耐も切れかかっていたところに、先日会った方の-ガキ-が居た!!
相変わらずルードが何故かまた懐いているのが気にくわないがまあいい!!
「おい!ガキンチョ!」今会ったガキと混じらないと考えて、ガルダンディーはティファをガキンチョと呼ぶことにしたが、呼ばれたティファは当然不快な顔をガルダンディーに向けて、「何ですか?」と一応返事をしてやる。
(んだよ、ガキの分際でいっちょ前に怒ってんのか?まあいいか。)
むかっ腹を立てているガルダンディーはティファの心情は綺麗に無視する事にした。
「この分からず屋のガキにだな・・」「・・お姉ちゃん!!!!」「・・あ~?」
-お姉ちゃん-ニーナはティファを見てそれまでの事を忘れ果て、ぶつかるようにティファに飛びつていき‥「ウ~・・ウ・・ヒィッ・・」むしゃぶりついて、ティファに受け止めてもらい、呻くように泣き出した。
(・・ミーナは・・駄目ったか・・この泣き方・・まさか!ニーナちゃんが薬を・・)
初めてあった人に妹を助けてほしいと必死に頼んできた優しい妹思いのお姉ちゃんだった。
助けられない代わりに安楽死の薬を渡したティファにとても怒っていたニーナが、ティファの腕の中で体を震わせて泣いている。
妹の死を悼む以上の痛みの心を感じ取ったティファはゆっくりと座り、ニーナが思う存分泣けるように頭を膝に乗せてゆったりとニーナの背中を撫ぜ始める。
(こんな小さな子に酷な事をさせた・・)
ティファの胸中には後悔の念渦巻く。
いかにニーナが怒っても自分でミーナに飲ませるか・・せめてニーナの両親に頼み込む事をしておくべきだったかと・・。
(泣き止んだら全部聞こう。ニーナの心の為にも。)
(何だあのガキ・・さっきはあんなに怒鳴りあってたのに・・)
お互いにハリネズミの事で一歩も引いてなかったガキが突然ガキンチョを見てボロボロと泣き始めてと・・ガルダンディーは呆気にとられる・・まるで・・自分の半身を失くしたように泣くニーナの泣き声が胸に突き刺さりながら。
そういえば、火竜の妹の事を話していた時妙に早口であった・・あれはもしかしたら・・妹の死の痛みを思い出し、・・何故かガキンチョを見たことで悲しみが溢れたのだろうか?
(またあいつが何か関わってんのかよ~・・)少しげんなりとしてきた・・。
「おいガルダンディー、」「んだよボラホーン。」
「お前あの小さいのに何かしたのか?」「・・ガキ相手にするかよ!!・・あいつの妹っていう火竜の赤ん坊が死んじまったんだと・・後は知らん・・あの妙なガキンチョが何か関わってんだろうよ・・。」「・・そうか・・」絶対そうだ!!
五分近く泣き続け、ニーナの泣き声が次第に落ち着いてきたのを見計らいティファは
ニーナに声をかける。
「ニーナ・・」話をすべて聞こうと思ったが・・「お姉ちゃんごめんなさい!!」
ニーナに謝られてティファは驚いた。
「どうしてニーナが謝るの?ミーナ助けられなくて・・」
「ううん!!ミーナね・・お姉ちゃんの言った通り・・息するのも苦しそうになっちゃって・・血を吐いて・・だから・・お父さんが薬・・」「私が渡したの?」
「うん、お父さんが・・ミーナに飲まそうとして・・でも!ニーナがミーナのお姉ちゃんだから・・だから!!ニーナが・・うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「そうか・・。」大人に任せず自分の手で・・可哀そうに・・悲しくて・・痛かったろうに・・。
「おいガキンチョ!!そいつ一体何なんだよ!急に泣き出して謝ったりして!!」
・・あれガルダンディー、ニーナちゃんの事気になるのかな?
・・ボラホーンとラ―ハルトもチラチラこっち見てる。・・全部話すか。
「この子の名前は・・。」ニーナちゃんの名前を教えてあげて、あったことを事をすべて話してあげた。人にもいろんな人がいるのを知ってほしくて。
「もって五日・・苦しまずに眠るように逝く薬を処方して・・てっきり大人が飲ますんだと思ったけど・・」大人がするのを止めて自分で・・卵から孵した大切な妹の為に。
余程ミーナが弱って苦しんでいたんだろうけども・・可哀そうなことをさせてしまった。
「ニーナちゃんご免。。」
「・・なんでお姉ちゃんが謝るの?」
「診てあげた時、私が薬をあげていればニーナちゃんがしなくて・・」「違うもん!!」
わ!ニーナちゃんすっごい気迫・・。
「違うもん・・ミーナのお姉ちゃんは・・私だから・・大切な・・妹だから・・うわぁん!!」
そうか・・そうだよね・・大切な妹の命を・・他人任せにしたくなっかったんだ・・。
こんなに小さな子が・・悩み抜いて・・私も・・ダイ兄が同じ事になったら・・自分でするか。
・・ガルダンディーが・・泣いてる・・そっか・・ガルダンディーにも、ルード君がいる。
ニーナちゃんの気持ちが分かるか・・。
(こいつ・・俺と同じだ・・俺だって・・ルードの為ならなんだってしてやる・・
どうしてだよ!!だってこいつは・・憎い・・人間・・なのに・・)
(この娘たちは本当に人なのか?本当に何度目だこう思ったのは・・。
しかし・・今までにあったどの人間達と全く違う!何故なんだ・・。)
(どうして俺の心がこうも揺れるんだ・・たかが・・人間の小娘たちなのに・・)
ニーナの悲痛な叫びと優しい心が、人間憎しだけの三人の心の中に響き始め様々な思いを引き起こさせる。
ひょっとしたら人間にも・・そう思い始めていた矢先・・。
「あ!ニーナがいたぞ。」
「・・あれってミーナを診てくれったっていうお姉ちゃん?」
「でも側にいる人達怪しくね?」
「・・ってかニーナ泣いてるぞ!!!」
「なんだって!!」
「誰よニーナちゃん泣かした奴⁉」
「お前らニーナに何しやがった⁉」
「ニーナこっちに来いっ!!」
「「「「「「ニーナ助けるぞ!!!!」」」」」」
うわ~・・ひょっとしなくても・・あれってニーナちゃんの村の子大集合?
ニーナちゃん人気あるみたい。ミーナの事で慰めようと捜してたのかな。
・・男の子もだけど・・女の子も怖い・・私ともかくこの三人見て向かって来るってすごい・・。
ってか!女の子の方が雰囲気がおっかない!!何故に⁉
(何だあのガキの大群は⁉)
(なんとまあ・・)
(・・何故・・)
(((自分たちを怖れず向かって来る⁉)))
大人でさえもよける自分達を見ても、一人として怖がることなく、それどころかニーナを泣かせたと怒って一丸となって突撃してくる・・どうしろというのだ!!
武器を持った大人ならば何の躊躇もなく殺して終わりだが・・相手は素手の子供ばかり!
斬る気も起きず・・どうすればいいんか途方に暮れるしかない。
三人が本気で困ってる・・子供相手だしね。
でも、人間にも色々いるでしょ。酷い奴だけではなくて、優しくて勇敢な人達も。
超竜軍団の三人に向かっていくのは勇敢か無謀かはご意見の分かれるところだと思います。
ガルダンディー達は原作よりも涙もろく、優しい心を持っています。
次回でバラン編はお終いです。