勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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・・・・書いていてこれは主人公達が本当に勝てるのか筆者が不安になってくる今日この頃です


苦戦

ティファを取られない為に、無意識にティファをきつく抱きしめる。

ほんの少しの隙間から細く小さなティファを攫ってしまわれそうで、きつくきつく・・・

ベホイミスライムのべほも、ティファの肩に乗り周りを警戒している。

隣にいるハドラーを時折りベホイミの光で癒しながら。

 

「俺の事は良い・・・それよりも加勢に行かなくていいのか?」

「・・・・・私の今の役割はティファを守り抜く事よ。」

 

ハドラーからの問いに、マァムは素っ気なく返答する。いかに呉越同舟の様な態になったとはいえ、気安く話せるほど自分達の因縁は単純ではない。

それでも、ティファが助けると決めたのだから!

 

そのティファを守るのが今の自分の役割だ。いつ攻撃が来てもいいように片膝をついて、全方向の気配を警戒する。

 

マァムは目の前の激戦を見ている事しかできないが、それが悔しいとは思わない。腕の中に居るのは、クロコダインの言う通り私達の光そのもの。渡すものか!!!

 

ティファ、絶対に守り切る。だからお願い、このまま眠っていて。

お父さんのバランも、ダイもポップもヒュンケルもクロコダインも皆んなが戦っているから・・・

 

 

 

 

「あぁぁぁぁ!!!」

「はぁっ!!」

 

 

竜魔人と化し速度も威力も上げたバランとダイのタッグにもバーンは平然と対処した。

 

真魔剛竜剣とダイの剣の猛攻にも光魔の杖は耐え抜き、バーンは剣の部分だけではなく柄の部分にも魔力強化を施すことをしてのけ伝説の武具達にひび一つ入れるのを許さず、突けば槍、はらえば薙刀、斬れば剣の三位一体の攻防でダイ達の猛攻を凌ぎ、二人を振り払えば即座に地面にイオナズンを放つ。

竜の騎士の竜闘気に魔法はほぼ無効化する。とは言え、物理攻撃は-半減-するのであって無効化ではない。

いつぞや一行の料理人がしていたように魔法を物理攻撃に転換すべく、ダイ達の吹き飛ばされるよりも数歩先にイオナズンを放ち、後頭部と背面を爆風と大量の土砂が容赦なく襲い、トベルーラでフルブレーキをするも光魔の杖の光球体が容赦なく二人を襲う!

ダメージが降り積もり、いつしか二人の息が上がり始める。

あの時のティファはノヴァとタッグを組んでやっていた事だが、バーンはそれをたった一人でこなし確実にダイ達にダメージを与えている。

 

バランとしては大魔王の弱点であろう近接近戦に持ち込みたいところだが、バーンも己の弱点を熟知しているだけに二人を近づかせな戦い方を展開している。

 

なにか・・・・父さん!俺が撃って出る間にドルオーラを!!

 

ディーノ、おそらくその手は向こうも読んでいよう。私が竜魔人になった時点で。

 

そんな!そしたら・・・

 

今はバーンの攻撃パターンを知る所からだ。時間制限があるわけではない、焦るな

 

・・・・・分かった!とにかくバーンを消耗させる!

 

 

息子からの問いに冷静に返答をするが、バーンの攻撃パターンを知れたからと言って直ぐに突破できるだろうか・・・

いや!突破せねばなるまい!!

 

息子よりも先に弱気になってどうすると、バランは己を 咤する。ダイ達よりも戦い慣れしている反面、かつて一度も出会った事がない強敵にバランの心は少しばかり弱気になっていた。

 

ダイ達にとっては、敵は凄くて当たり前。勝てる見込みが薄いのもいつも通りであったが、バランは違う。

生まれし時より戦士として定められ、記憶を受け継いだ時より周りはほぼ敵はなく、ヴェルザーとの死闘の時も死ぬ思いはしたがそこまでの力の差は感じられなかった。

唯一感じたヴェルザーも、封印すればよしと精霊達の力を借りていただけにほぼ勝ち筋の見えていた戦いをしてきた身としては、道なき道を進む戦いは初とも言える。

 

だが、その道しか知らないダイの、そして仲間たちの直走る姿にバランは勇気づけられ供に掛けようと前に進み・・・・・・其れは起こった。

 

 

ザシュ!!!

 

 

「・・・・ディーノ!!そんな・・・・何故!!」

「と・・・うさん・・・」

 

バーンに斬りかかったはずの真魔剛竜剣の刃は、愛する息子の肩を斬り裂き、バランは愕然としながらも息子を抱え即座にバーンから距離を取り残り一本の斬撃用の万能薬をダイのポーチから取り出し振りかけ、息子を背に庇いバーンの警戒をする。

 

一体何が起きた・・・・・自分は確かにバーンに!!

 

何をされたのか分からないバランに、ダイはそっと声を掛ける。

 

「父さんが急に現れたみたいだった・・・・大丈夫、薬で治るくらいのかすり傷だよ。」

 

 

痛みはすでにないと笑うダイを、バーンは少しばかり感心した。

 

ほぅ、寸前で避けてみせたか。

 

バーンの目論見は半分成功し、半分は失敗した。

 

己の持っているハイ・エントの能力、移動させるラド=エイワーズを無詠唱で発動させ、バランが斬りかかる寸前それがダイを真っ二つにする位置に送ったが、ダイが何かに気が付き寸前で避け肩口を斬り裂いたのみにとどまった。

 

「父さんが急に移動してきたみたいに・・・あれも何かの技なの?」

「分からん・・・・」

「・・・・来ぬのか?」

 

自分を見ながら互いに話す二人をバーンの方から話し掛けた。

 

 

「ではこちらから行かせてもらおう。」

 

宣した後バーンは一際大きく光魔の杖を横に振りかぶり、球体を発生させながら剣を巨大で太い鞭へと変換させ二人を容赦なく打ち据える。

 

ダイとバランは咄嗟に二手に分かれダイは放出型のアバンストラッシュを、バランは鞭の下を床すれすれの低飛行で避け、バーンの懐に潜り込み、息子の放った技が光魔の杖に当るように羽交い締めにせんと迫る。

 

鞭の形状が太くなりバランの動きを隠す形になったのが幸いし、手を伸ばせばバーンの袖を捕まえようとしたその時

 

 

「駄目駄目~、貴人の袖を掴むだなんて行儀の悪い♪」

 

冷たい声が歌うように紡がれた時、背中に途轍もない激痛が奔った!!

 

「ッガァァァァァ!!!!」

「父さん!!!」

 

意識していない外からの攻撃は、キルトラップの一つ、剣の雨が容赦なくバランの羽の付け根を柔らかい部分に降り注いだ。

その部分は他よりも筋肉が少なく、常時竜闘気で覆われている部分でも弱い部分の一つを、もろに喰らいバランはたまらず苦痛に満ちた悲鳴を上げてしまい、ダイは直ぐに父の下に飛んで続いて出てくる剣を壊しながら、ダメージを負った父を地面にそっと下ろす。

 

 

「父さん!!」

「・・・大丈夫だディーノよ。驚かせたがダメージ自体はさほどでもない。それよりもバーンを・・・・」

「分かった・・・」

 

ダイは素直に父のいう事に従いバーンに向き直り剣を構えるが、心の中はキルに対する怒りで煮えたぎっている。あいつは一体俺の大切な者達を何処まで傷つけれる積りだ!!

妹を始め、父をも・・・・・敵うならば今直ぐに叩き壊したい!

 

ヒュンケルとクロコダインを相手取り、時折放たれるポップの魔法も身のこなしで躱すか亜空間を広げて魔法を消すかと質の悪い戦い方でポップ達を翻弄する。

 

そして片手間とばかりにバーンの援護までして見せている。

 

「行儀の悪い子にはお仕置きだよバラン君。君もオイタ過ぎるよヒュンケルく~ん。いくらミストの秘蔵っ子だったとはいえそろそろ僕も君をお仕置きしないといけないよ~。」

 

ヒュンケル達にとって、はっきり言えばキルとは相性が悪すぎる。

戦闘力を単純に表せれば、力も技のスキルも操る能力もほぼ全てヒュンケルが上といよう。

アバンからもミストからも武の天才と言わしめ、あと数か月本気で特訓すれば自分にも勝てると天才剣士ロン・ベルクをして言わしめたヒュンケルだが、今までキルの様な搦め手を得意とし、千変万化に動きを変える敵がいなかった。

 

みな得意な得物で自分の前に立ちふさがってきた。あるものは剣を、あるものは魔法で、あるものは槍であり、あるものは爪や牙であった。時に複数のものを合わせてその度に大ダメージを喰ってきたが対処する事は出来、ミストとの修行を除いては今日までダイ以外に負けた事は無く勝ってきた。

 

だがキルはそのどの動きにも当て嵌まらない!先程大鎌を持っていた時に打ち込んだクロコダインを、キルは大鎌を上に振りアックスを払うと同時に、すぐさま右手を大鎌から離し空間に空いた手を入れたと思えば、レイピアがクロコダインの腹部を貫き、キルはそれを見届ける事もせず足でクロコダインの巨体を壁に打ち据える。

 

 

「グァァァァァ!!!」

「クロコダイン!!!」

「余所見している場合じゃないでしょ。残りは君だけだよヒュンケル君。さしの勝負だ、存分に僕と踊っておくれよ!!」

 

クロコダインの腹部にレイピアを残し、キルは再び大鎌を持ち愉し気にヒュンケルに討ちかかる。

キルにとってはマァムなど少々手強い武闘家程度であり、ヒュンケルさえ倒せればそれでチェックメイトとなる。

 

「ほらほらどうしたのさ!!そんな様じゃ君を鍛えたミストががっかりするじゃないか!!こっちに戻ってきてまた一からミストに鍛え直してもらいなよ。君の事はバーン様も気に入っていたんだよ?今ならお嬢ちゃん込みで君の事も僕も口利きして・・・」

「黙れ!!!」

 

ふふ、本当にこの子は小さい頃から何も変わっていないな~。

 

直ぐに怒り出す

 

ヒュンケルに弱点があるとすれば其の一点。

それは普段は無表情で氷の如くと言われているが、それは仮面。誰よりも熱い情熱を持っているヒュンケルが己を隠す為の。

 

普段はそれを上手に被っているが、幼い頃からキルはモシャスをして自分と知られないようにしながらヒュンケルをからかって遊んでいた。

 

それは主にアバンの事をネタにして。

 

口でそして心の表面上では彼のものを憎んでいるというが、心のもっと深い所ではアバンの優しさに魅かれているのをキルはずっと知っていた。

暗殺者の観察を日常としている者からすれば、ヒュンケル等隠し事をしている内にも入らず、見ていて数日で知れている。

 

憎しみの裏返しを心に秘めている。

 

口で憎しみを吐かなければその思いが保たないから、復讐の動きを止めれば気が付いてしまうから。いつしか無意識にアバンを心の奥底では慕っていた事を。

 

親友を自分にとっては無価値な者にとられた腹いせに、姿を幾度も変えアバンをぼろぼろにけなさえば、決まってヒュンケルは激怒した。

 

貴様如きがアバンの何が分かる!!

 

あれは自分の者だと独占欲丸出しにしているのに全く気が付かず。滑稽な有様を見て留飲を下げていたが、大人の様になってもまるで変っていない。

 

他の事を言っても戦場の今では表情を変えないだろが、ティファを持ち出されれば途端に崩れる。

 

 

崩れた所を更に狙って行けばいい。君の弟子殺しても怒らないでおくれよミスト~。

 

困った事に、親友が弟子の様子を食い入るように見ている。

 

敵に走っても、情の厚い親友にとっては弟子のままらしいが仕方がないよね。

僕にとってはこの子は今も昔も無価値なままなんだからさ♪




今宵ここまで・・・・


キルとヒュンケルの幼少期を捏造させていただきました。

普段のヒュンケルは戦場において氷の剣士の異名を持っていましたが、昔はアバンを、今では主人公を持ち出されれば揺れてしまいます。

それはヒュンケルにとって最も慕う相手であるが故に、キルが持ち出すのが許せなくて。


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