交錯し絡まり合う運命
この場で一番事態についていけず、混乱したのは賢女王と名高いフローラであったのが皮肉である。
彼女はアバンのあの言葉、大変な時こそじたばたしましょうを胸に今大戦を生き延び、反撃の手筈の支援も何処からか届いて準備がすべて整い、世界を救わんと表の世界に出て来て指揮をとるはずが・・・
「・・・・ハドラー・・・」
呆然とした言葉が、女王の口から紡がれる。
無理もない話で、前大戦では攫われかけ、今大戦では愛しい男の、希望の象徴勇者アバンを殺した男が、傷だらけとは言え当代の勇者一行と共に気絶しながらも共にいるのに、驚かない方がおかしい。
「・・・・・・嬢ちゃんが逃がしたかよ。詳しい話はこいつらの目が覚めてからだ!!
フローラ!キメラの翼でこいつら全員お前さんの隠れ家に連れて行くぞ!!」
「な!待ってください!!何故ハドラーを!!この男は敵の・・・・それもアバンを!!」
「フローラ!!!!!」
ビクリ!
「・・・・お前さんの言いたい事も分かるした言い分が正しい物も分かっている。
だがな、今起こっている事は尋常な事じゃねえ。全部が・・・・そうだ、全部がきっと繋がってやがる!!」
ベッドで寝ていたはずのティファが居らず、代わりに式と言ってい身代わりが手紙になった。
あの時から異常事態が起きていたのだ!
全部、これは嬢ちゃんの仕業だ!!
「目が覚めればダイ達が詳しい事を話してくれる。今は兎に角こいつらも纏めて連れて行くぞ。」
「マトリフ様!!」
「フローラ!勇者一行の料理人を知っているか?」
「料理人のティファ・・・・・知っています。この砦の位置と・・・・我が国を攻めて来た軍団長の素性を教えてくれたのが彼女なのです。」
「・・・・・なんだと、その手紙どうやって届いた。」
「私達をずっと支援してくれている方が、船を使って物品をずっと送ってくれていたのです。
その方はウォーリアー船長と言って、その方に手紙を託したのです。」
ウォーリアー船長!!・・・・ダイと、嬢ちゃんが幼い時からずっと世話になっていた男が・・・・・これも偶然か・・・其れとも本当に天の導きでもあんのかよ。
フローラの告白した内容に、ダイとティファの二人と深く関わっている男が逃げたカール騎士団を丸ごと面倒見ていた者と繋がっていると聞けば、さしものマトリフとても驚かざるおえない。
まるで目に見えない力が、強引にでも世界とティファを繋げんとしている様に感じて。
だが今はそれどころではない!
「なら話は早ぇ。ダイ達と一緒にハドラーを逃がしたのはそのティファだ。俺はあの子がした事に意味があると信じている。
フローラ、一度でいい!たった一度!!この老い耄れの我が儘を通させてくれ!!」
「マトリフ様・・・」
「フローラ女王、私も同じ意見です。」
「バウスン将軍。」
「あの子・・・・勇者一行の料理人が、彼等を逃がしたのであれば受け入れてみてください。
最悪自分の息子のノヴァであれば、ここまで傷ついた魔軍司令官なれば取り押さえられましょう。」
今世紀最大の大賢者マトリフが、勇猛で名を馳せるバウスン将軍の嘆願が、フローラに決断させる。
料理人のティファという者が手紙を送ってきた時、途轍もない内容に驚愕したものだ。
礼儀正しい挨拶から始まり、自分と兄と、その父親の氏素性と、父親の罪を全て告白してきた。
ソアラ姫の子達
フローラとソアラは歳が近く、共に同じ王女で跡取りの身であり何かと親交があっただけに、出奔してその後の事を知った時、胸を痛め泣いたのが昨日の事のように思い出す。
アルキード国が消滅してしまった真実も、父と母が犯した罪の果てに生まれた事も全て正直に書き連ねられ、その後の顛末も。
複雑であった。親友とまでは言えなくとも、友人の愛した男が為に、子を宿し出奔し、その果てに国が一つ消し飛ばされ、逆恨みのような復讐に身を投じた男のせいで自分の祖国までもが蹂躙されたのだから。
父は今、配下の者達と共に命を懸けて償う道を進もうとしています。
どうか父達が、道を歩く事をお許しください。
そこには恨みがあるのは分かりますだの、父達がしてしまった事は等、賢しらな言葉は一つもなく、只々許しを願う言葉のみであった。
世界会議でバランが許されている事にも触れておらず
レオン王との内密の新書の遣り取りである程度の情報は手に入り、その事も掴んでいる。
フローラ女王の許しもなく申し訳ないと書かれていたのには、レオン王の律義さがしのばれ思わず笑ってしまったが。
償う道を行く、であるならば一度は信じようとバラン達の事は見守る積りであった。
礼儀正しく、心優しい手紙を送ったティファはこの中に居ないようだが。
「分かりました、-全員-を私達の隠れ砦に連れて行きます。」
バラン達の時の様に、マトリフ達の言葉を一度だけ。
バウスン将軍の言う通り、ここ迄肉体がボロボロなハドラーであれば、殲滅の騎士団長、北の氷の勇者ノヴァがいれば制圧できると見積もりもきちんと入れて。
名目は捕虜とすれば連れていける。
本音としても、謎に包まれていた魔王軍の情報は全て欲しいのだから。
「・・・・・マトリフ様、僕はしばらくこの場に留まります。」
「坊や・・・」
「ティファが、あの子が出て来た時一人では迷子になってしまいます。必ず・・・・必ず戻りますので何卒・・・・この場に留まるのをお許しくださいフローラ女王陛下。」
陣がまだ残っている。
其れに未練を残し、ひょっとしたら遅れてティファも出てくるのではないかと、ノヴァは一縷の望みをかけている。
「分かりました。ただし日が暮れる前に砦に来なさい。場所は・・・」
「大丈夫です。ティンク!」
「ハァアイ!!」
「!!・・・これは・・・」
「ティファと僕の友達の精霊のティンクです。」
「精霊の!!」
ノヴァに呼ばれ、顕現したティンクはフローラに一礼する。
「初めまして人の女王様。私がいれば、ノヴァについている子達が砦に導くから大丈夫よ。
ノヴァ・・・・必ず砦に来るのよ・・」
「分かっている。父さん、マトリフ様・・・」
「日暮れ前にだぞ。」
「危ないと思えばすぐに砦に来いよ坊や。」
「はい。必ず。」
「ティファ様を・・・どうか・・」
「我等も残りたいが・・・」
「貴方方はバラン様に・・・・」
「頼むぜノヴァ・・・」
キメラの翼で移動する一行を見送った後、ノヴァは幽かに光る陣に跪きティファを思い浮かべ祈りを捧げる。
その顔は悲痛で、ティファが戻らないのではないかという思いを必死に振り払うように一心に祈る。
大切な自分の半身が帰って来る事を。
バラン様のように腕を失くしたとてそれでもいい。
手足が無くなっている程の怪我でも、マトリフ様と自分が命を繋ぐ。
余生の全ては僕が見る・・・・だから・・・・お願いだからティファ・・・帰ってきておくれ
皆が君を待っているんだよ
だからどうか!僕等の元へと帰ってきておくれ!!
握りしめた己の手が血を流すのにも気が付かず、ノヴァは一心不乱に祈りを捧げる
今宵ここまで・・・・・
主人公が今まで世界を回り繋げてきた道が、解毒騒ぎの時以上に、全て表に出ようとしています。
この場をお借りして謝罪があります。
双竜紋を生み出す為筆者は神様特典として譲渡方法を書きましたか、初期設定ですでに得点を貰ったことになっていました。
かなり前に書いた事ですが、自作の設定を忘れてしまいお恥ずかしい限りです。
タグを直しますので宜しくお願い致します。