勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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導入のような話で短めです。


新たなる希望と光

・・・・俺達が敗けたせいで・・・

 

ダイ達の情報でカール隠し砦の者達とサババ砦に残っていた者達が、バーンとその側近たちの圧倒的な強さを知って絶望しかけたように、自分達が敗れた直後、よもや死の大地が崩壊して地下からとんでもない巨大な飛行物体が出現し、ロモス王国の町を強襲したとは知らなかったダイ達が暗澹たる思いをする番となってしまった。

 

しかし希望がない訳ではない。

 

「メルル、今のところ託宣は?」

「ありませんフローラ様。あの後一度も・・・」

「そうですか・・・・いつ託宣が来ても私達に知らせなさい。」

 

メルルがバーンの攻撃を-託宣-で授かった事だ。

それは攻撃を受けたポルトスの町も同様で、人死にどころかノヴァの友達精霊の伝手で知ったのだが、精霊にもモンスター達にも同様の託宣があり、精霊達の主導の下モンスター達も逃げ延びることが出来、被害が本当に零だった。

 

最早神が起こした奇跡としか言ようのない事だが、諸手を上げて喜ぶ訳にもいかない。

 

人々が助かったとはいえ、これからどれ程同じ様な攻撃がバーンから繰り出されるのかが分からず、止めようにも超高高度を飛行している大魔王達に辿り着こうにもいく術がない。

よしんば死の大地の埋まっていた飛行物体に居室を持っていたハドラー達がキメラの翼を使おうとも強力な結界を突破する方法がない。

 

そもそもどれ程同様の攻撃が続くのかが分からず、このまま地上を蹂躙され続けられれば、いずれは逃げ場を失った地上の者達が全滅してしまう。

根本的な解決策を見つけない限り、問題の先送りでありじりじりと迫る死に怯える事になるしかない。

 

 

その解決策をフローラが提示した。

 

カール王国最大の迷宮にして、古文書によれば太古の昔、神が人間も邪気と戦える様にと作られた洞窟の二十五階にあるという大破邪呪文・ミナカトール。

 

 

「これを、貴方達も持っている筈です。」

 

強力な大破邪呪文を提案したフローラは、おもむろに首筋から一つのペンダントを取り出しダイ達に見せた。

 

それはまごう事なき

 

「アバン先生の卒業の印!!」

 

フローラの手にある涙滴形の輝聖石であった。

 

「どうして・・・・フローラ様がそれを・・」

 

ある意味フローラよりも、勇者となりてその後世界を旅し続けたアバンと長い時間関わりを持っていたマァムが一番驚きの声を上げる。

 

この輝聖石は一つを作るのにとてつもない時間が掛かる故に、自分の弟子の卒業にしか送れないと言っていたのを、卒業記念の思い出の一つとして話してくれた事を今でも覚えていただけに、カール王国の女王たるフローラが持っているとは思いもしなかった。

 

「そうですか、アバンはそんな事を。」

 

マァムが話した事を、フローラは彼らしいとクスクスと笑いだす。

彼は嘘は言っていない。マァムに話した事はきっと、-これから作る新しい-を抜かして伝えたのだろう。

 

最初の輝聖石を、自分に渡してくれた時の事を話すのが照れくさくて。

かつてアバンとロカが魔王ハドラー討伐の為に旅に出る際には眼鏡を受け取った。

その後の二年間は戻ってこなかったが、ハドラー決戦の前に一度自分に会いに来てくれた時、死んでほしくないと王家に伝わるカールのまもりを渡した時、交換するように渡された。

 

この御守りが貴女を守ってくれますようにと願われながら手ずから首に掛けてくれた事を、今でも鮮明に覚えている。

 

その話をするのを恥ずかしがってくれるところが、人の枠内から飛びぬけている様に見えるアバンの人間臭さが垣間見えて思わず笑ってしまったのだ。

 

「そっか・・・先生にもそういうところがあったんだね。」

「俺、先生は超人かなんかだってずっと思ってた・・・・・何でも出来て分からない事が無くて、困った顔で笑う事があってもいっつも何とかしちまってくれてたからよ・・」

「そうね、私もおんなじ。だってアバン先生だからで・・」

「俺は・・・そんな先生にずっと甘えて八つ当たりをして・・・」

 

アバンの知られざる青春時代を思いもかけず触れたダイ達、特にヒュンケルの反応は凄まじかった。

 

超人でも何でもない師に対し、自身の抱えきれない苦しみや悲しみと向き合うことが出来ずに逃げ出して復讐だのなんだのとカッコつけた八つ当たりをし、遂には道を踏み外し大罪を犯したのだから無理はない。

 

だが落ち込むだけではないのがヒュンケルの強さであった。

償う道を、仲間が、ティファが指し示してくれており、自分はその道を歩き続ける事を誓った身!

その誓いの中に、先生へ御恩返しも入れねば!

 

アバン先生!先生の分まで俺は更にに弟妹弟子達を守り抜き、この世界を共に守ります!!どうか安心してください!!!

 

落ち込みながらも新たな決意を燃やし、誓うように取り出した自身の輝聖石を握りしめたその時

 

 

カァァァ

 

 

ヒュンケルの輝聖石が紫の光を発した。

 

その光は力強くも暖かい、ヒュンケルそのものを表しているかの如く燦然と輝きを放ち、大広間を満たしていった




今宵ここまで

アバン先生とフローラ様の過去を、原作の五割増しで甘めにしてました(´∀`∩
(そちらの方が作者の好みだからです・・・・もっと甘くしたい今日この頃です)



原作と違い、バーンからの公開処刑のメッセージが各国に送られる前にミナカトールの登場となりました。

あれはヒュンケル達の公開処刑で、予め飛行物体が地上に係留するのを見越しての作戦だと思いますが、次回何故直ぐにミナカトールの発想になったのかを書きますのでしばしお待ちいただきたく思います。

またこの作品に出てくる破邪の洞窟を作ったのは-現役の三神-ではなく、魔界を沈めた前神様です。

少しずつですが、天界事情もぽつぽつ書いていきたいと思います。

・・・・そろそろ主人公と現在の様子を出した方がよいのか悩み時です・・
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