ヒュンケルの輝聖石から発せられる紫の光に一番に驚いたのは、ミナカトールを発動を提案したフローラ自身であったかもしれない。
「ヒュンケル!どうして先生の石が光ったの!!」
「お前何したんだよ⁉石に異常ないだろうな!それ先生の形見なんだぞ!!」
「いや・・・・俺も何故光ったのか・・石にはヒビも入っていないようで特には変わった様子は・・」
「でも・・・・とても暖かい光だったわ・・」
アバンの弟子達が、師の形見ともいうべき輝聖石の光に驚きわらわらとヒュンケルの周りに瞬時に集まり、ダイは光った事を不思議がり、ポップは魔法使いの視点で見て石の異常を心配し、マァムは感じたままの感想を口にしている。
どうやらアバンの弟子達は情報通り、魔王軍に身を堕としてしまったヒュンケルも受け入れ全員仲がいいようだ。
アバン、貴方が育てた子達は皆立派になっています。
ヒュンケルの事はフローラもよく知っている。魔王の門番が拾って育てたという少年を託され育てる事は報告を受け、その時は優しい彼らしいと笑っていられたが、半年後に憔悴したアバンが一度カールに来た時、ヒュンケルの卒業時の顛末を聞きアバンと共に暗澹とした。
私は彼を探します。もしも彼に似た・・・・いえ、フローラ様もカールの皆様もお忙しかったですね。甘えようとして申し訳ありません。
アバンは一日だけカールで休んだ後すぐに出立し、見送る際にヒュンケルを探すのは自分一人で探す事を伝えられた。
頼まれれば自分達もそれとなく探すのを手伝ったものを、アバンは頼もうとし事すら申し訳ないと言いながら行ってしまった。
それ以降、アバンが自分の元を訪れる事は無く今日まで来たが、ヒュンケルの事はサミットの情報をレオール王から知らされた時に入手している。
元魔王軍の軍団長で大戦初日からパプニカを強襲した事も、ダイ達に敗れ諭され改心し、王女レオナの裁可をきっかけに各国の王から償う道を歩く事を元魔王軍の軍団長仲間のクロコダインと共に茨の道を歩いている事を。
とても澄んだ瞳をした青年だとあった時の印象がそれだった。
アバンの事を恨んでいた事すら恥じ入るヒュンケルを見て、平和を担う後継の弟子として育てようとしたアバンが間違っていない事の証に見えて嬉しかった。
そしてそのヒュンケルが、大破邪呪文・ミナカトールを発動するのに重要な輝聖石の力を発動を一番にして見せた。
まだ古文書に書かれている発動条件や心構えも話していないのに自然と。
その長兄をダイ達は心の底から慕っている。
アバン、どうか彼等を導いてください
全員が無事、アバンから受け継いだ志を胸に、己の中の魂の光で輝聖石を光らせられる様に
今宵ここまで