勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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希望の光は・・・

見えてきた希望の光は、目に見えて隠し砦の味方全員の士気を高めるのに尽力した。

例え生かされている理由がとんでもなくとも、ティファが生きているだけでダイ達にとっては希望であり、あのとんでもないティファならば公開処刑の場であっても必ず戻ろうと足掻いてくれる。

 

その時は自分達の全力を尽くして救い出せばいい!!

 

「私の右腕があれば・・・・肝心な時に本当に役に立たない・」

 

三界の守護騎士の身なれど、バーンの真の目的も知らず人間憎さで魔王軍に身を堕とし、危うく地上消滅の手助けをしようとするは、その地上の危機の際して戦えず戦力になれない事をバランが無念そうに俯くが、ダイの考えは違っていた。

 

「父さんは昔冥竜王ヴェルザーから地上を守ってくれたじゃないか!!だったら今度は俺達が頑張る時だ!!」

「そうだぜ!後は後進に道譲って、あんたは後ろででんと構えてくれればそれでいいの!」

「ティファが戻ったら一番に抱きしめてあげて。それが一番喜ぶから。」

「戦いは力だけではない、バランがいるだけでダイもティファも心強く有れるはずだ。」

「うむ、後は俺達が無様な戦いをしないように見張っていてくれ。」

 

ダイ達の励ましが

 

「バラン様が生きてるだけでガキンチョ絶対喜びますぜ!」

「バラン様、戦いは我等が。貴女様は小娘とディーノ様のお心をお守りください。」

「娘とて助け出された後は弱っておりましょう。マァムの言う通り一番に抱きしめてそのままお守りください。」

 

竜騎衆達の言葉が

 

「ティファさんのお父さんがそんな悲しい事言わないでください。ティファさんは仲間は役に立つ立たないじゃないっていつも言っています。」

「そうです、供にずっといたい。それが仲間であり家族なんだって。」

 

チウとメルルの言葉がバランの心を、そして聞いている周りの仲間全員の心の火を強く燃やす。

 

「そなた達・・・・ありがとう・・・こんな私に対しそこまで・・・」

「父さん・・・父さんは、生きてくれてるだけで俺嬉しい・・・だってあの時死んじゃうって・・・・・バーンは俺達が倒すから・・・父さん長生きして・・・」

「ディーノ・・・・あぁ、約束しよう。白髪の老人になるまでお前達と共に生きよう・・」

 

周りからの感謝の言葉に心を震わせ、涙ぐむバランにダイが力強く抱き着く。

これからの戦いは自分達が担う。だから何も心配は要らないのだと言い続けて。

 

今この地上があるのは紛れもなく、目の前の-先代の竜の騎士-のおかげなのを、この場にいる全員が知っている。

もしもヴェルザーの野望が阻止されていなければ、十五年前に魔界の大侵攻の前に人間はなすすべなく、其れこそハドラー諸共逆らい抵抗した者はおろか、国は滅び人間も徹底的に殲滅されていた事であろう。

 

大罪を犯した事実は消えない。それと同じで地上を救ってくれた恩に報いるのもまた同様で、一刻も早く、ミナカトールの実現を一歩でも二歩でも前進させたいと、ダイ、ポップ、マァムがフローラに詰め寄らんばかりの勢いで古文書の内容に書かれている魂の性質を教えて欲しいとせがみだした。

 

有事の際とは言え一国の主に対して少々問題はあるが、何時も遠慮のないダイとポップでは珍しくはない光景。

二人は世界と妹が掛かれば誰に対しても遠慮も容赦も無くなる超が付くほどのシスコンブラザーズ。

両方を助けられることが可能な事を知るのに何の遠慮がいるとばかりにフローラに詰め寄る中に、マァムも混じっているのがマトリフにとっては意外だった。

 

マァムはどちらかと言えば身分や常識を弁えている方で、こういう時には反対にダイとポップを諫めてフローラに謝る方だとばかり思っていただけに、必死の形相に面食らう。

 

 

 

「・・・・・・最後がかすれて読めないって・・」

「運が無ぇ・・・・・このかすれたの絶対俺だぞ・・・勇気はダイで、慈愛ったらどう考えてもマァムだろ・・・」

「・・・・・今のポップなら勇気百倍な気もする・・」

「したらかすれてんのがダイか?いややっぱさ、勇気がダイでこのかすれたのは智略とか頭脳系じゃねぇ?」

「そうね・・・・そしたらそれはポップ枠かしら?」

「そうだね、俺達の頼れる魔法使いだもんねポップは。」

「照れんじゃねぇかよ二人共・・・そしたらそこはまっかせなさい!」

 

一行のムードメーカーポップは力強く自分の胸を叩いて二人を励まし、全員が見守る中三人も輝聖石を握りしめ、思いを浮かべてようとする。

 

 

「ダイ・・・・お前難しい事考えるとややこしくなりそうだから、単純に自分の思い浮かべた方がいいと思うぞ?」

「単純って・・・例えば?」

 

心に浮かべる思いをどうすべきか、ダイはヒュンケルとレオナを真似して戦う理由や誓いを胸に浮かべようとしたが、其れだけで怖い顔になったダイを見かねたポップがアドバイスする。

ダイは言ってはなんだが頭脳派でも難しい事を考えて上手くいくタイプでもないと、親友で弟分に対してかなり失礼だが真っ当な評価を下すポップのアドバイスは唯一つ。

 

「お前が大好きな人達全員思い浮かべりゃいいんでねぇ?」

 

その人達を守りたいという思いこそが、ダイの勇気の源では無いだろうか?

 

「俺の好きな・・・」

 

ポップの言葉に、ダイは真っ先にレオナを見た。

その反応に、塔のレオナが顔を赤らめる。

 

「ちょっとダイ君!!此処はお父さんのバランを見る所じゃないの⁉」

 

恋人の気持ちはとっても嬉しいが!家族愛も大切にしたいレオナはこの場合は父親を真っ先に見なさいと赤くなりながら叱ろうとしたが

 

「姫、ディーノのした事は正しい。自分が愛する者を一番に見るのは自然な事だ。ディーノ、ティファは私達が守る。お前はこの女性を生涯をかけて守り抜け。」

「分かってるよ父さん。レオナもだけど、皆も俺が必ず守るよ!」

 

当のバランが息子の思いを擁護し、其れにダイが力強く応える者だからレオナとしては嬉しいを通り越して居た堪れない。

 

そんなレオナを、ダイは優しく見つめながらブラスじいちゃん、島の皆、ウォーリアー船長達、旅先で出会ったネイル村にいるロカさん夫婦や村の人達。それに戦いながらも助けたモンスターの仔達、そして可愛いティファの笑顔。

今ダイの頭の中を、大好きで愛おしい者達が笑顔で駆け巡っている。

 

そう、俺はこの大好きな人達がいる地上を・・・・・

 

 

ダイの雰囲気が落ち着いたのを見たポップとマァムは顔を見合わせて一つ頷く。

これで安心して自分自身の思いを高める。

 

ポップとマァムにも思いがある。

 

その思いを胸に輝聖石を握りしめた時、-二つの光-が広間を満たした。

 

 

 

光った輝聖石は二つ、

 

その事実が、広間全員を静寂に包むには十分であった。

 

 

光れなかった者をよく知るマトリフが愕然とし、ヒュンケル達もかける言葉が見つからずに動揺する。

 

 

「なんで・・・間違えだよこんなの!!!」

「嘘だ!!こんな事・・・・きっともう一度やれば!!」

 

それは光らせられなかった者よりも、光らせた者達の方が動揺し、輝聖石の下した評価を打ち消そうと躍起になる。

 

 

 

 

 

一行の中でティファと同じく慈愛に満ち、心優しいマァムの思いに輝聖石が応えず光らないのが間違っていると




今宵ここまで
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