主人公にとって大切なキーパーソンになっていく人です。
よろしくお願いします。
(さっきからこいつ等すごい話してなかったか?)
ベホイミ草の研究だのホイミ系の魔法に疑義を呈すだの・・おまけに二人共精霊と話せて
当然とばかりに話を進めていた。
面白そうな話だと思って二人を見つけて駆けだしそうなバウスンを止めて会話を聞いていたが、とんでもない子供達だとマトリフは鳥肌が立つ思いがした。
(どうしよう・・バウスン将軍だけならともかくマトリフさんまでいるなんて・・世捨て人してるんじゃないの⁉何でリンガイアにいんのよ!)
「ノヴァ!説明をしなさい。この子は城に入っていい子なのか?」「・・あの父さん・・」
城内に入ったのがまずかったとティファは臍を噛む。いつもならば式鳩で来た事を知らせて城の外で落ち合っていたんだけどな〜。
「ティファ!今日城の厨房の人がお菓子を作ってくれるっていてたよ。ティファも食べに来なよ。」
ノヴァにお誘いをいただいた。
「ダメだよノヴァ。私そもそもこの国の人でもないし、城に行ったら不味いと思うよ?」
「大丈夫!僕の友達って言うからさ。」
ノヴァは子供特有の無邪気さでティファを誘う。
「それに私あんまり目立ちたくないんだよ。」
城内の主要人物の目に留まりたくないとティファは断ろうとしたのだどダメだった。
「ふ~ん、じゃあこの国でティファの名前を知ってるのは僕だけなんだ?」
「そうだよ。」
「そしたらティファは僕の秘密の友達だね!大丈夫、僕と精霊が守ってあげる。」
天然王子のノヴァはティファを守ってあげる認定をしておおはしゃぎをした。
勇者目指す人間の器の大きさを見せてもらったのか何なのか超微妙だがやはりティファも女の子で、守ってあげる発言は胸にぐっと来る。
ティファの名前も別名にすると言われて絆されて付いてきたら・・この事態を招いてしまった。
ノヴァは必死にお父さんを説得しようとしてくれているど分が悪い。
「この子の名前ネイって言って・・」
「ネイ・・孤児の子か?「孤児?」
「・・いや・・」
・・ノヴァ-ネイ-の意味知らないで私に着けたか。
ネイとは-誰であっても誰でもない-孤児院の子が付けられる通り名で・・二・三人知ってるって言ってたけど、
この様子だとバウスンさんがきちんと―孤児と孤児院-の事教えてないな?過保護だ・・。
でもバウスンさんがどんなにノヴァを溺愛していてもこの件は見逃さないだろうな。
城とは本来王家を守るための要塞で、素性の知れないもんが入るなどもってのほだ。
・・謝って・・。
「父さんのバカ!!」
「こらノヴァ!」
「分からず屋!大嫌い!!」
・・ああバウスンさん大ショック顔・・ノヴァもぼろ泣き・・仕方ない。
マンドリン出して・・
-だ~い好き~だ~よ。あなた~と一緒にいられるのなあらこんな幸せないは~-
仲直りしてもらおう。
-ず~とあなたが大好きで~一緒にいて笑いあいたい。雨の日も晴れの日も~一緒にいましょう~。
だ~い好き~だ~よ。あなた~と一緒にいられのなら~こんな幸せはないは~
あなたはいいかが~?-
ノヴァがお父さん大好きなのはよくる。バウスンさんがノヴァを愛しているのも。
怒りで忘れていること思い出してくれればいいけど、ノヴァ泣き止んだか。
「ノヴァ駄目だよ、お父さんにあんなこと言ったら。」
「でも!!」でもじゃない。
「ノヴァは勇者様目指してるんでしょ?」「・・うん。」
「勇者様ってすごいんでしょう?それこそ敵だって許して改心させちゃうくらいだって、
大人の人達言ってたでしょ。」
「そうだけど・・。」
「だったら心がうんと広い、大きくてとっても優しい人にならないといけないんでしょ?
なのに大切なお父さんに、ちょっと怒られたからってあんな酷い事言ったらだめだよ。
そもそも城の中に私がいる事がルール違反なんだよ。おとうさんがただしい。
ノヴァのお父さん、城に入ってごめんなさい。今すぐ出ていきますのでノヴァを怒らないで上げてください。」
ノヴァがティファをバウスンから守ろうとしたように、ティファもノヴァを守ろうとする。
お互いに初めての同い年頃のお友達を守りあおうとする行為はバウスンの心を揺り動かした。
「ネイといったね。悪いと分かってくれているのなら、今回は大目に見よう。」
城にいていい許可を出す。
その上・・出ていく発言をしたティファを止めるべく「皆止めて!!」
ノヴァの言葉に精霊達の言葉がティファの上にのしかかる。
知覚できないものにとっては何の影響力はないのだが、ばっちり見えて話しているティファには
大岩が乗っているように感じて身動きが取れなくなった。
「・・分かりました。お招きにあずかります!だから精霊たちどけてよノヴァ!!重い!!」
のしガエルにならない様に全筋肉を使いつつ、ティファがぶち切った。
「・・焼き菓子食べていってくれる?」
「食べるから!それまでどこにも行かないから!!」
「分かった!みんなありがとう!!もう大丈夫だって。」
「・・ったく・・重かった・・。」
ノヴァの一言で精霊達が下りていく。
「皆ノヴァに甘い・・」
「-当然!!-」
「私にも優しくしてよ!!」
「-してますが・・-」
「-ノヴァの方が・・-」
「良い子なのはわかるけど!!それって依怙贔屓よ!」
「-だってね~・・-」
ティファが精霊達と揉め始める。
「ティ・・ネイ、皆仲良くでしょ?」
「う~。」
「ね?」
「・・分かった。」
「うん、じゃあ皆で焼き菓子食べに行こう。-他の子-もいいかな父さん?」
ティファを天然王子笑顔で宥めたノヴァは、バウンスに精霊達もいいかのお伺いを立てる。
精霊も飲食は出来るが、いきなり食べ物が空中に浮いて無くなっていくのは一度やって
驚かれている。
驚かれない様に友達全員で行きたいと・・
「分かった。父さん達も一緒だ。」
「は~い」
(・・マジですかい?)
食べてさっさと逃亡しようとしたティファは笑顔のまま凍り付く。
(なんて子だこいつは・・こんなにちっこい奴がもう勇者の心構えを人に説いて教えている
・・まるでアバンの奴みたいな子だ。)
マトリフは心の底から-ネイ-に感服をする。
ネイというのは偽名であるのはすぐに分かった。先程バウスンの子が-ティ-と他の呼び方をしようとしていた。
どう見ても良い子のノヴァが庇う大切の友のようだ。
ノヴァと同じく精霊の見える子で・・底の知れない子供。知識も考え方も並の子ではない。
「・・変わった子供だな・・」そう評する以外見つからない。
(・・マトリフさん・・あなたもですか?)
ぽつりと漏れたティファに対するマトリフの評価が聞こえてしまった当の本人は、
笑顔を保ちつつ心の中でしくしく泣いた・・。
ノヴァは精霊達とバウンスと城の大人たちに可愛がられて良い子のまま成長をして、
天然王子の癒しキャラにしていきます。