勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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よろしくお願いします。


赤ん坊は無力です

こうして私は‐ダイの大冒険‐の世界に転生を果たした・・ってもまだ無力な赤ん坊だけれども、意識ははっきりしているから、父さん・母さんの事をバッチリ見ています。

 

ソアラ母さんは温かく優しい人。バラン父さんがいつも言っている。

ーソアラは太陽のようだーと・・その通りのような人だ。

バラン父さんも優しいけれどちょっと武骨で・・何故かダイ兄は父さんが抱くと大泣きしてしまい、その度に父さんがしょげてしまう。

・・父さんってあの冥竜王ヴェルザーに一人で勝った伝説の竜の騎士なのに、お父さんとしては新米パパか。いっつもその事でソアラ母さんに怒られてる。

なので、「キャ~ア、キャアキャア」「ソアラ!ティファは私が抱いても笑ってくれるぞ!」

赤ん坊スマイルの大盤振る舞いだ。温かくて大きな手をした父さん大好きです。

 

「良かった。これでディーノも笑ってくれればいいんだけれども。」

「む、それをいわれると・・」

 

もう絵に描いたような幸せな家族なのだ。

ここは緑豊かなテランの領地。時々ダイ兄ともども父さんに抱っこされて散歩に連れて来てもらってる。

人が少なく見かけたことがない・・追われる者達が隠れて暮らすにはもってこいの場所だ。

 

でも・・私は知っている。私達が生まれてそろそろ半年が経ち、直にアルキードの人達に見つかるだろう事を。

気の毒だけど一国の・・それもその国唯一の跡継ぎ王女が出奔したんだから仕方が無い。血眼になって探すのは当たり前だ。

はたから見たら、この二人のしている事は浅慮な気もする。

宮廷追い出される時、母さんが妊娠しているのを知ったとき、腹くくって人間ではありませんをカミングアウトして、竜の騎士の事をテラン王に問い合わせてもらえば・・あるいはどうにかなったかもしれないのに・・今更言っても詮無いことか・・。

なってしまったものは仕方がない。こうなった以上は原作通りにいってもらうしかない。

流されてデルムリン島に行って、ブラスさんをーじいちゃんーにして、そこから先は少しずつ原作を改編して・・如何・・中身ともかくこの身は赤ん坊。さっき母乳をソアラ母さんから貰って眠くなってきた。

 

「う~じゅ~」

「あらあら、ティファはおねむさんね。」

「ゆっくり寝なさい。」

 

母さんと父さんの優しい声・・それに、 

 

「おやすみね~夢を見ましょう~・・」

 

母さんの歌・・子守唄がする・・もう・・眠いよ~。

 

やりたい事、考える事は沢山あるのに・・赤ん坊は無力です。

眠気に負けて・・夢の中に落ちていきました。




次回にはデルムリン島にたどり着きます。
子守唄はその内フルコーラスで出したいと思います。

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