俺って補助系〜呪文てんで駄目だな〜。
ピオリムでも覚えられればダイ達前衛系の戦士全員にかけて速攻アタックをもっと支援してやれんのにな〜。
若き二代目大魔道士ー候補ーポップはただ今お悩み中。
田舎武器屋の、なにをやらせても長続きしなかった自他共に認められていたダメ息子が、今や世界を救う一行の戦力強化に繋がられる魔法が使えなくて駄目だなと悩んでいるのだから人生なにが起こるかわかった者ではない。
父のジャンクに性根の座らないやつと毎日怒られていた頃のポップが見れば、あれが俺!?嘘だ!!とか騒ぐほどの男に成長している。
ロッドの扱いに慣れ、後は自分になにができるのか模索しながら昼食の為に砦に向かう。
「ポップさん、お帰りなさい。」
「あ、ただ今〜。皆んな戻ってきたか?」
「はい、珍しくもポップさんが最後ですね。ゆっくりお休みを。」
「うん、あんがとな。」
ポップは手を一つ振り、人懐っこい笑みを浮かべて門番に別れの挨拶をして広間に向かう。
今日のお昼は何かな〜と浮かれていると、ダイの元気な声が飛び込んできた。
「俺嬉しい!!ここで船長さんに会えるだなんて夢見てるみたいだ!!」
ん?・・・船長って、確か?
「俺こそ、ダイ君に会えて嬉しいよ。世界を助けるのも大事だが、まずはダイ君自身を労るんだぞ。」
「うん!きちんと寝て、食べてみんなで頑張ってるんだよ!!」
あ、やっぱりダイ達が世話になっているウォーリア船長か・・・なんでダイの知り合いがここに?
それに広間の入り口前にいるのって。
「どうかしたんすか女王様。」
「あ!ポップ君・・・いえ、大戦が始まって国を堕ちてからずっと私達に支援してくれる人がいる事は話しましたよね。」
「そうすっね・・。」
「その、支援物資を届けてくれているのが今ダイと話している彼なのですが・・・あの人までもかダイやー料理人ーと知り合いとは思わなくて・・・」
あ〜、女王様すっかりティファに苦手意識持っちったか。俺達は名前でティファだけ行為なのか無意識なのか、最近あいつの話出す時名前で呼んでないな。
ダイ達の話し声をききながら、どこか苦い顔して入り口前に立ってたのが気になったので突いてみたらビンゴかい・・
「世の中狭いっすね〜。」
ポップは当たり障りのないことを言ってフローラの隣を横切り、平間に入れば目敏いダイが駆け寄ってきた。
「船長さん!この人が俺の兄のポップだよ!!ポップ!あの人がデルムリン島のみんながお世話になっているウォーリア船長さん!!いい人なんだよ。今日もこの砦に食べ物や他の物沢山持ってきてくれたんだって!俺達よりもあの秘密トンネル沢山使って今までずっと女王様助けてるだって!」
大雑把な説明を笑顔で一生懸命するダイの頭を一つ撫でながら、ポップは広間を見回す。
船長の他には船員達は見当たらない。支援物資の方か?
バランはまだ広間にいない。
竜騎衆もまだで、自己紹介すんでんのかいつものメンバーと師匠はまったりモードで見物してる。
「弟分が騒がしく紹介してくれたが改めて。勇者ダイ一行で魔法使いしてるポップだ。話はいつもダイやティファから聞いてる。ここの物資全般は船長が全部?」
「挨拶すまない、ウォーリアだ。俺達はー頼まれたー物を運んでるだけだ。大した事してはいないさ。」
広間に入りながらポップは挨拶をし、ウォーリアも返しながら大した事はないと何気なく手を振る。
ただ、頼まれた物を届けているだけだと。
「いや、大戦が始まって地上のモンスター達は凶暴化しなくとも海は別なのは知っている。地上も今やモンスター以上の騒ぎなのに物資届けてくれるなんて感謝以外ないさ。」
ポップの真っ当評価の褒め言葉に、ウォーリアは年甲斐もなく赤くなる。
「よしてくれ。それをいうなら世界を守っている君達の方こそ・・あの小さかったダイ達がこんなに立派になって。」
自分は大した事は無いと、ダイに話を振ろうとしたウォーリアは、不意に幼かったダイとティファを思い出して、我知らず涙が込み上げそうになる。
本当に二人は小さく、世界のことなぞ何も知らなかった。船を見せればはしゃいで駆け回り、クッキー一つを宝物の様に喜んでいたあの幼子達が、世界の命運を分けた大戦をする。
「ダイ君、約束してくれ。きっと生きて、デルムリン島に帰るんだ!ブラスさんもゴメちゃんきっと待っている!!また、浜辺で鍋をしよう。」
自分ができるのは物資を届けるのが精々で、その先を助けてやる事が出来ないのが不甲斐ない気持ちでいっぱいになる。
「船長さん、俺、、俺達は絶対に勝つよ!勝ったら真っ先に皆んなでデルムリン島のジィちゃんのところにルーラして帰るんだ。落ち着いたら鍋しよう!ずっとずっと先も、俺はあの島で皆んなで鍋食べたい!!」
それはダイの幼き頃の楽しい思い出の一つ。
小さかった頃、ウォーリアは鍋と具材を取ってきてくれて昼間皆んなで笑いながら鍋を食べていた。
ティファも小さな手で包丁を持って具材を切るのを、周りの大人達は大丈夫かとオロオロしながら見守ってくれていた。
皆んな優しく良い人達だ。ゴメちゃんのこと知っても悪い事しようとした人は一人もいない。
ずっとお友達でいてほしい大人の人に、ダイは目を輝かしながら力強く約束をする。
ここ最近元気がなくとも無理をして笑っていた時とは雲泥の差がある。
矢張りティファの事で落ち込んでいても、必死に前に進もうとしてくれるのは仲間としては頼もしいが、兄としては弱音をせめて自分にだけでも話してほしかったと思うのは贅沢だろうか?
父バランも娘一人をと罪悪感からダイとしても言えないだろうが、勇者の相棒たる自分にも漏らしてくれなかった少し寂しいのだが。
「俺・・おにぃちゃんなのにティファを・・・」
自分よりも、父よりも気心が知れている船長に話しているのだから良しとすべきだ。
ウォーリアも、表の世界では船長として動いているが、裏の事にも情報通である。
この世界の海は、どこにどんな脅威が潜んでいるか分からない。
それは海の中のモンスターの最新情報から、海賊の出没する場所、港を纏める権力者の話などを知らなければ大船団の船長は務まらない。
普段は船一隻でデルムリン島に行っているが、本来は五十隻の船団を纏めている。
その規模と、ウォーリアの個人的な人物の確かさから、ティファはカールの支援物資を彼に託した。
とはいえ幼い頃から知っているティファとしてではなく、船長にも世間的にも、何より受け取るフローラが警戒せずに受け取れる環境をでっち上げて。
フラメルよりも壮年で、元商人風の式神をこさえてウォーリアの元に向かわせた。
内容はシンプルで、先代国王の時代に世話になった商会で、フローラの代替わりの時に商会も引退して田舎に引っ込んでいたが、此度の戦で是非カール王家から受けた恩を返させて欲しいと。
ちなみにこの元・商会は実在している。ティファも自分の話に合うようなところは実際にないかと探した結果本当に実在して一家全員元気であった。超竜軍団が首都に攻め入る前にカールより離れたリンガイアの親戚の家でのんびりとしている。
ティファも悪いと思いながらもその家を探し出し、先代国王との書簡でやりとりした時に必ず押されていた商会の家紋のハンコを無断拝借して一筆書いた横にしっかりと押したので、幾度となくそのハンコを見ていたフローラの信用を勝ち取り今に至る。
話しは少し逸れたが、ウォーリアの周辺にいる海の男達は情報集めがうまく、いつの間にか国の機密や重要なことを耳に入り、勇者一行現状も知っている。
ティファが、一人残り魔王ハドラーも救った事も。
人の口に戸は立てらないとはよく言ったもの、ダイ達が助かって寝ている間にも砦に物資を届けた時に、偶然兵士の話を聞いてしまったのだが、ウォーリアはあまり心配はしていなかった。
魔王救ったのもあの子は何か深い考えのもとでそうしたのだと、そちらも動じる事なく受け止めて見せる度量の持ち主は、昔からティファを正しく評価していた。
世界を見たいと言った時も、五歳になるティファの中に眠る途方もない力強さを信じて行けるように後押しもしている。
「ダイ君、ティファちゃんならば大丈夫だ。あの子は俺達はなんかよりもよっぽどしっかりとしてる。勝算の無いことをする子じゃない。きっと戻ってくる。」
「船長さん・・」
「ティファちゃんはいつでも大波の中でも道を指し示してくれたんだろう?大戦でのあの子の活躍もあちこちから入ってる。今回もきっと考えた末の行動なら戻る道も用意しているはずだ。ちがうか?」
「・・・そうか、そうだよね!きっと戻ってこようとする!それで俺が迎えに行けば良いんだよ!ティファが小さい頃迷子になった時みたいに。」
「そうだ、兄なら妹信じて助けてやるもんだ。」
「俺はティファを、世界守る・・その後、浜鍋しよう。」
自分達兄妹をよく知るウォーリアの言葉に勇気づけられ、ウォーリアに抱きつきながら約束をする。
必ず皆んなでデルムリン島に帰るんだ。
今宵ここまで
長くなりそうなので前後編となりました。
すごいだけのダイとティファではなく、小さな頃から見守ってきた大人の船長さんに、ダイ君を元気付けてもらいました。
次回はそんな可愛い子達の親を、長年目を皿のようにして探していた船長と探されていた父親が出会いますが果たして(^◇^;)
そしてもう一つの出会いもあります。