勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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章の入りなので説明的で短めです


最終決戦編
最終決戦プロローグ


晴天で雲一つ浮かんでおらず、太陽は遮る物のない事を喜ぶように、光であまねく世界を照らしている。

ここカール王国北部のロロイの谷も例外ではなく。

 

カール山脈唯一の平原であるこの谷は、広さはそこそこあれど四方を山に囲まれ岩しかなく普段そこを訪れる者は誰もいない場所の中央に、白い石で作られた人が優に五・六人は乗れるほどの舞台ような物がある。

 

そこには確かに表れる者があり、山間と岩の間に身を潜めている者達は現れる者を日が昇る前から待ちわびている。

 

 

遅い!まだか!!

 

 

待っている者達の服も鎧とてもほぼばらばらであり、中には数名の魔族とモンスター達の姿もあるが、全員此処にいる目的は同じ。

 

上空の空中要塞にいる者達の地上消滅を止めるべくここに集っている。

 

その集団の中には若い者で特に歳が一番したのが十二であり、名をダイといい当代の勇者である。

 

その勇者ダイの周りを年若き者達が囲んでいる。隣には相棒の魔法使いポップがおり、武闘家マァム、-剣士-ヒュンケルとその肩には相棒のベホイミスライムのベほが乗っており、戦士クロコダインの隣には戦士見習のチウがいて、その彼の部隊である獣王遊撃達も待機させ、息を凝らして中央舞台を見つめている。

 

少し離れた場所には、占い師のメルルがレオナ王女やフローラ女王たちと共に戦士・騎士団の護衛される形で囲まれており、その指揮を氷の勇者・ノヴァが父のバウスン将軍と共に取っている。

 

彼等は勇者ダイと共に、この地に大魔王と最後の雌雄を決するべく戦いを挑みに来たのだが、もう一つ同じくらいの大切な理由がある。

 

先の決戦で囚われた勇者ダイの妹にして、一行の料理人を名乗るティファを奪還する事。

 

正午になれば、あの白い舞台に姿を現す事は、四日前にパプニカ王城に使者としてきたキルバーンが告げていた。

 

料理人の処刑は正午にロロイの谷にて行われると。

 

-料理人-なる職業は、勇者一行が誕生して数千年経つが今までにそんな職業はない。

ティファ自らが-勝手-に言って生み出し周囲に強引に認識させた職業もどきとも言えようが、たったの数か月で各国の兵達から料理人のティファを知らぬ者はいなくなる程の絶大なる影響力を及ぼした者が、今まさに処刑されようとしている。

 

それを救い出さんとダイ達は逸る心を無理やり押さえつけてじっとティファが現れるのを待っている。

 

待つ身としては、正午になる時間の間も狂おしく感じ、いっそパレスを強襲したいほどだ。

 

「ポップ・・・正午は・・」

「焦るなダイ、もう少しなんだから焦って気負ってたら戦う前からへたばるぞ。」

 

十五になる癖っ毛のある黒い髪を黄色いバンダナでまとめているポップが、相棒の勇者を宥めすかす。

 

「ポップ・・・・ティファは本当に・・・」

「あぁ、むかつくけどな、あの変態の疫病神はティファの事に関しては嘘言わない奴だよ。戦場で会ったら真っ先に消し飛ばすけどな・・」

 

マァムの不安もきっちりとしながら死神キルバーンを消す算段も素早くつける。

あいつはさっさと消すに限る!!ティファ達の安全と俺達の心の平穏の為にもだ!!

 

「ヒュンケル!おっさん!!是が非でもあの変態・疫病神消すぞ!!」

「無論だ!!」

「アレだけは決してうち漏らす者か!!」

 

・・・・・・ある意味で打倒大魔王バーンより盛り上がっている。理由は推して知るべしだが、チウとメルルはそのテンションにはついていけずなんだかな~と頭をひねっている。

二人にはキルに対する悪感情が無いので仕方がない。

 

しかしキルバーンを知る者の中でその考えはごく少数と言おうかこの場にはその二人しかおらず、ダイ達の後方に位置しているロン・ベルクはキルの名前が聞こえただけでも殺気を漏らし、ダイとティファの父バランなぞは、この身と引き換えにしてでも倒したいを願ってやまない・・・・ある意味どうしたら大魔王よりも倒したい人物に指定されるのか謎になるだろうが、ティファを愛する者達のほとんどの共通認識化しているのでこれも仕方がない事。

 

其れで士気が上がるのだからこれでいいのかと問われればいいと言えよう。

大魔王に負ければ地上はその日のうちに方法は不明だが消滅させられる。

負けても再起を図るなどという言葉はなく、文字通り背水の陣で不退転を強いられているのだから士気はいくら上がっても良い・・とはいえ、ティファとは一体どのような人物なのかまだ会ってもいない少女に振り回されているフローラは溜め息を吐く。

 

彼女のおかげで戦力は想定以上と言ってもまだ足りない程の大戦力となったのだが同じくらいの厄介ごとも被った。

 

慈愛に満ち溢れ優しく、その反面酷く幼く脆い心を持った少女という何とも奇妙な説明を受けているフローラが目を向けている白い舞台に突如として赤い光を帯びた魔法陣が出現をし、周囲にざわめき始める。

 

 

正午となり、大魔王バーンが偽りなくティファを地上に降ろした瞬間であった。

 

 

その陣から出現して真っ先に目についたのは白い衣に身を包んだミストバーンであった。

 

「そんな!!あいつは・・」

「落ち着けディーノ。」

「・・・父さん・・・あいつの腕の中に・・」

「ディーノ、処刑の内容が分からねば我等は動けん・・・・今は・・・堪えよ!!」

 

白い舞台中央に身を表した腕の中には、同じく白いスカートにシルクのズボンを身に纏っているティファの姿があった。

横抱きにされ見えている足にも同じ白い色の布靴を履いているのがみてとれる。

 

眠らされているのかその瞳は閉じている。

その顔は歳よりもあどけなく幼く映り、ティファを知らない者達からどよめきの声が上がるのは無理からぬ事であった。

 

 

「あれが勇者ダイの妹御・・・」

「あのような子供が大魔王の強大な力から勇者達を逃がしたのと言うのか!!」

「・・・あり得ぬ・・・・」

 

周囲のどよめきの声は全く耳に入らず、父バランに取り押さえて貰っていなければ飛び出して今直ぐ妹を取り返しに行きたいダイは、力の限り叫び上げた。

 

「ティファ!!!!!」

 

ダイの声を皮切りに、次々に叫び声がロロイの谷を満たしていく。

 

「起きろよティファ!!」

「必ず助けてあげるから!!」

「ティファ!!」

「ティファよ!!」

「ティファさん!!!」

「ティファさん!!」

 

声の出る限りダイ達は叫び上げる。

此処にいる味方の概要を知られなければいいというフローラのお許しを予め貰っていたダイ達は遠慮する事無くティファの名前を叫ぶ。

 

果たしてその叫びが届いたのか、ミストの腕の中で身じろぎをし薄っすらとティファの目が開き始めた。




今宵ここまで

この時点ではハドラー達は他出しておりますm(_ _)m
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