勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

313 / 536
世の中広いのだ!

往年の力と言えるほど自分は長生きもしていない。

それでも先日の某駄竜王に言われた通り、私には竜闘気はない。

だからと言ってやれる事は多々あり勝てないまでも-負けない事-位は出来る。

其れは私の得意技だ・・・・・とかカッコつけたんだけど!!

あの人私に酷い事言って今も私の事追っかけまわしてんだよ!!

 

 

闘魔傀儡掌が躱された。

其れは躱せるものだから別にいい・・・・そこはいいのだが!!

 

「・・・・・この出鱈目娘が!!!!」

「えぇぇぇ!!!」

 

完全にミストが堪忍袋の結を切らせながら、ティファに突撃攻撃を敢行した。

 

躱された事ではない。この状況になっても怯えない、可愛げのない娘にではなく、あの様な-珍妙-な躱され方を自分がされたのが酷く不愉快だ!!

 

「出鱈目ってなんの事ですか一体!!」

 

身に覚えのないティファはそのまま空中であるにも関わらず、あたかも地面か見えない結界でもあるように走って逃げ、追いつかれそうなればやはり宙を蹴り変幻自在な動きで振り切ろうとする。

 

下に降りたかと思えば不規則に、上下左右を問わずどころか斜めの動きも取りいれた動きの予測は不可能であった。

 

トベルーラでは断じてない。あれに通常魔法の魔力が一も無い事は役立たずのリビング・ピースのマキシマムを引きずり出し確認をさせている。

それによりステータスの場所に読めないブラック箇所がいくつもあったが、聖炎とハイ=エントの識別ができ、通常一般魔法の才能は皆無だと知れている。

 

ではあの動きを可能にしているのはなんであるのかが分からず、ミストを苛立たせる。

 

「ポップ!!ティファ空中を蹴ったけど高度な魔法にあんなのあるの⁉」

「あるわけねぇだろうが。・・・・無いよな師匠・・・」

「あん!!・・・・・あぁもう俺にだって分かるかよあんな動きの仕組みがよ!!」

 

ミストにも分からず、外から見ている勇者は混乱し大魔導士とその後継ぎ大魔導士たちの頭を悩ませている代物なぞ・・

 

「お前の存在其の物が出鱈目だろうが!!!」

 

キル以上にティファから-様々-な被害を受け続けてきたミストが叫びたくなっても彼は悪くない。

この処刑ではなけなしの闘気を、ティファが其れでも使えるうちはと自分の双剣を受け流し聖炎を駆使して抗い、最後は力尽きた所でとどめを刺すと想定していたのが!!いきなり空中蹴って逃げるとはなんだそれは!!

 

「常識良識無視も大概にしろ!!!!」

 

実に鬱積のたまったある意味でティファに対する心情の一部を代弁した叫びであったのを、ダイ達はあの素晴らしいティファになんの文句があると内心怒りを燃やしたが、常識ある大人達は思い当たる節があり過ぎて微妙な顔になる。

ティファにはそのまま逃げ切ってもらい何とか窮地を脱する手立てを考えて貰うか、こちらで立てている手が早急に浮かぶかの時間を稼いでほしいところであり、ダイ達と共に声を張りあげる。

 

「ティファそこ避けて!!」

「そのままよけながら時間稼げ!!」

「マトリフおじさん!!まだいい手浮かばないの⁉」

「結界解くってのは簡単じゃねぇんだぞ。ましてあんな高威力のもの、なまじな・・極大消滅呪文やった日にはやっこさんが出張るか・・」

 

ミナカトール使えないならメドローアがあるじゃないとはいかない。

おそらくミストが-外から来たもの-を言及していたという事は、こちらの切り札の一つ、メドローアやギガデイン・ライデインなどの魔法も対策はされていると見るべきだ・・・・八方手塞がりじゃねぇかよ畜生が!!

 

 

あぁもう!!-変な怒り方-しているのにこの人なんだってこんなに強いのよ!!

バーンの若い肉体でなくとも強いだなんて反則もいいところだ!!何が自分では鍛えて強くなれないから他が羨ましいとか言っちゃってのよこの人!!

十分自分を鍛えて強くなってるじゃないの!!

 

ティファとて伊達に十日もミストを側で見てい来たわけではない。日に日にミストの動きの一つ一つが洗練されて行く様を、間近で観察していた。

最初はバーンの給仕もぎくしゃくしていたが、その日の夜には素早く膳を整え、三日で鬼岩城戦で感じたあの滑らかで洗練された動きに戻っていた。

 

おそらく裏で相当体を慣らすことをしたのだろう。素敵な人だ、天晴な敵だ、己を高みに上げてもって主を勝利に導く事を妥協しない凄い人に・・・・何が悲しくって酷いこと言われなならん!!

 

 

「出鱈目とは失礼な!!!」

 

ドゴンと、岩が落ち割れるような音が谷に響いた。

 

其れはティファの見事な踵落としが、ミストの首に決まった音であった。

 

幾何学模様を描く様に逃げていたティファの、初の攻撃が決まった瞬間であった。

しかし-痛み-を本体に感じないミストはものともせずに、衝撃で体を傾がせただけで双剣をティファにふるうのを、予想していたティファは踵落としが決まっても深追いせずに逃走に再び入る。

しかしミストもティファの動きを予想して、前方に暗黒闘気が投網上に投げて上には逃さず、地上に降り立たせそのまま乱打戦にもつれこまさせた。

 

「お前の言う事、やる事、成した事全てが出鱈目であろうが!!トベルーラの類でもなく空中蹴って避ける者など居る者か!!」

「ふざけんなです!!こんなに真っ当に必死に生きている者を捕まえて超絶失礼な!!!」

 

 

漸くミストの予定した乱打戦に入り、ティファも受ける手の部分に闘気を纏わせグローブ形状に張り巡らせ、デストリンガー・ブレイドを凌いでいく。

そしてティファは真正面から受けるだけではなく、突いてきたミストの腕を飛んで躱し、そのまま伸びきるミストの腕を伝い、宙に棒があるかの様に何かを掴んで放たれる暗黒闘気の糸を躱して再び宙に戻り態勢を整え一息ついて吠え上げる。

 

「世は広大無限!!誰にとっても広いのです!!貴方の知らない事等山のようにある!!井の中の蛙大海を知らずとしりなさい!!!この天地三界を極めた者もいない事もまた然りだ!!!!」

 

ミストが出鱈目と評した物は、絡繰りが分かれば簡単だ。

ハイ=エントの結界術、ジ=アザーズを指定した場所にむ詠唱で小型に張るなり足場にするなりして逃げいているだけ。

 

出典は-某結界術師-を絶賛参照!!

私としては温厚で知的な雪○筋を目指したかったけど、あの空蝉のすり抜けは出来ないので、脳筋の墨○筋の絶海は無理でも結界を足場にすることは出来る。

この世界で今のお話分かった人は転生者で間違いない。

 

話逸れたが結界は守りだけに使うという既存の概念をぶっ壊してくれたあの漫画大好きな私としては使わない手はない!!惜しむらくは結界を伸ばして剣や槍みたいに突き刺すことは出来ないけれど。

 

「・・・この・・・闘魔傀・・・」

 

バヂュン!!!

 

闘魔傀儡掌を討とうと掲げたミストの右手の指先が弾け青い血を流す。

 

成る程、バーンの本体を預かっていた時とは違い-あの体-は傷つける事は可能か。

 

何が起きたのだと当人も含めて見ていた者達全てが何が起きたか分からず呆然としている中、ティファだけが冷静な瞳で観察を続ける。

 

種を明かせばこちらも何という事は無い。闘気の糸を出すタイミングで-出口-を塞がれたらどうなるか。

おそらく凍れる時の秘法で守られていた肉体では傷はつかず闘気が押し戻されるだけで終わったろうが、今のミストの宿っている肉体では出口を喪った闘気によって肉体は傷がつく。

 

「出血死・・・・その肉体が滅べば本体の貴方はどうなるのですかミスト?」

 

その言葉に呆然としてしまったミストが弾かれるようにティファの方を警戒してみれば、獣の瞳が燦然と輝いていた。

獲物の弱点を見つけた肉食獣の瞳が、欄と輝きを増し宣する。

 

「いきます。」

 

その宣告と共に、ティファの猛打が始まった。

 

 

「あぁぁぁ!!」

「くっ!!!」

 

その激しい猛打に今度はミストが手を焼き、距離を取り糸で首筋が無理でも体を絡め取りブレイドの刃を突き立てようとするも、ティファ自身が追いすがってきて先程と動きが反転させられた。

 

ならば自分が前に出てティファと自分の体格差を利用し上段から打ち下ろしティファの態勢を崩させたいが、大振りになる前にティファの手から金色の炎がちらりと見えた瞬間飛び退さり、ティファが振り下ろした拳から聖炎が繰り出されたが不発となりそのまま地面を叩いてしまい、すぐさまティファも後ろに逃げる。

 

この攻防を-四度-目になるが、ティファは諦めずに自分に聖炎を打ち込もうとする。

ティファに出来るのは精々その辺り。如何に出鱈目な逃げ方をしていてもいずれは万策尽きよう。

時間稼ぎにはうってつけだ。

 

そんなミストの心情を、先刻承知なティファは猛攻しながら内心でうんざりとする。

 

ったくいやになる。向こうは-時間稼ぎ-しながら私の処刑を見物していると思うと腹が立つ。

 

ミストの本当の所は分からないが、ティファはこの処刑自体が勇者達を誘き出す囮であると同時に時間稼ぎなのを知っている。

バーンは待っているのだ。この地に黄昏時が訪れるのを。

 

今までピラァは落とす時間が決められていなかった。朝であったり夕刻・夜という時もありばらばらであったが、六芒星最後は-黄昏時-に打ち込むのはティファ達は予想している。

 

黄昏時とは生命の源たる太陽の落日と生命を休ませあるいは尽きかける命をそのまま闇に誘う夜が混じる刻限。

 

古より魑魅魍魎が跋扈する逢魔が時であり、魔を増幅し禍が増幅する大禍時。

 

黒の核晶を核とした魔の六芒星陣が一番力を発揮するのはこの時間であろうと三神様達と精霊王様達で算出した時間帯。

 

けれどそちらが時間を稼ぎたいようにこちらも時間稼ぎに箱の茶番の様な処刑撃破有難い。

大魔王にとっては私の生死よりも、そちらを発動させる方が大切だからいまいち私のこの処刑に対して本気度が感じられないのは好都合。

 

-仕込み-は終わった。

 

ティファの気配が変わり、ミストは双剣を構え警戒をする。ティファの姿勢が前傾姿勢となり、今にも喰らいついていきそうな獰猛な気配を発している。




今宵ここまで


主人公が参考にした漫画を知っている方は転生者ではなくとも漫画○タクの仲間入りかと( ´艸`)

主人公は前世では動く事があまりできずほぼやる事ないのでネットでピ○○マを読み漁り、特にバトル漫画大好きだったのでそこでダイの大冒険と出会ったのです。

次回か遅くともその次位で処刑終了を目指します!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。