勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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遅くなりましたがカールの最強騎士様の扱いも書いてみました。


戦いへの道筋

にぃ達、おじさん父さん経由で・・・・

 

 

「この馬鹿ガキンチョ!!これが終わったらお前一生外に出られると思うなよ!!」

「ガルダンディー言う通りだぞ娘よ!!俺に死ぬなと言いながら・・・分かっておるのか!!」

「分かっているならへらへらするな小娘!!」

 

うん、もうね、この三人と私っていっつもこんな感じに何だよね。もうさ、私がバランパパのレディーだってこと頭にないよねこれって。

でもさ仕方がないでしょう、へらへらするなって言われても。

三人ともボロ泣きしながら私の事抱きしめてくれるんだもん。嬉しいよ。

 

もうどんなに口悪く言っても、私の事大好きって全身で言ってくれてるんだもん。笑うわ。

 

「ガルダンディー、ボラホーン、ラーハルトもただいまです。心配かけて御免ね。」

 

何とか怒り収めてね、そうでないと前線が大変だよ。

 

ダイ兄達がミナカトールをする為に、今ロロイの谷の中央部分で大激突が起きている。

さっきまで私が処刑される寸前の中央部分が、丁度パレスの真ん中でミナカトールをするにはうってつけなのだろう・・・私はまだこの谷で何が起ころうとしているのかを知らない事になっているから、うかつ言えないよ。

言ったら何で知ってる騒動勃発だもの。

 

そんな時間はない。

 

「・・・・もうバラン様の横にいるだけにしろよ。」

「マトリフ大魔導士様の側でもいい。」

「戦場に出てくるなよ。」

 

念を押しながら三人とも渋々戦場に戻ったら、なんだか前方の敵が大量に吹き飛んだ気がするのは・・・・気のせいだという事にしよう。

 

「おじさん、その・・・カール女王様に・・・」

「ようやく会えましたね、料理人のティファ。」

 

あう!おじさんに取次頼む前にご本人来ちゃったよ!隣にバウスン小父様引っ張てきて。

あ~しかもなんか顔が怖い?だが王族相手でも私が縮こまってはいけないのだ此処は!!

 

 

「そうですね、漸くの顔合わせとなりましょう。カール女王フローラ陛下、初めてお目に掛ります。

当代の勇者ダイの妹で一行の料理人をしているティファと思います。

此度は-様々-の事を手紙一つで女王陛下に託してしまった事誠に申し訳なく。

そして兄達に成り代わりお礼を。ここに行きつくまでの道を指し示され勇者ダイ達を此処までお導き下された事を。」

 

 

ティファは内心とは裏腹に、自分に出来得る限りの礼節をもってフローラに礼をとり、頭を下げて挨拶をした。

 

父である竜の騎士は無論の事、母である故アルキード国の王女を名乗りに入れず。

 

 

・・・これが実際のティファですか。

 

先程から見ているが、矢張り想像と一緒で目の前で見てもティファの事が全く分からない。

強くしたたかなように見えたが、父とマトリフ導師にボロボロと泣き崩れ、かと思えば敵の大幹部と平然と口喧嘩紛いを味方の前であっても憚らずにし、其れをティファをよく知る有志の兵達も、サババ砦から付いて来てくれているゴメス達もティファはしょうがないと苦笑して終わっている。

 

礼儀がそこそこで後はその天真爛漫さが皆に受け入れられているのかと思えば、今の様に大人どころか一国の大臣の様な配慮をした挨拶をしてくる。

 

勇者達を庇護してくれた、ここまで導いてくれたと自分達に華を持たせることでそれまでのかなりな・・・・とんでもない案件を押し付けてきた事の詫びとしようとし、そしてこちらの心情を配慮までして見せた。

 

バランを受け入れたとはいえ其れはこの戦いの為にやむおえない部分が多々あり、祖国を荒らした者の名を誇らしげに名乗りに入れられてはカール騎士達が納得すまい。

 

あの敗走で死者は確かに出なかった。しかし斥候で出されたドラゴンが運悪く住民を逃がしたのを見届け引き上げようとしたホルキンスが、隊を纏めて撃破できたが両足を負傷しこの決戦に出る事も出来ずに今もカールを離れさせて医療の発展が著しいリンガイアに預かっていて貰っている。

彼がいれば。カール騎士団もここまでピりつかずに済んだだろうに。

 

ホルキンスは勇猛であり、単純な剣の腕では氷の勇者ノヴァにも引けは取らないと名が知れていたがそれだけではない。

大らかでどこかロカに似ている。強く小さな事に囚われず、そしてロカとも違い大局が見れる。

魔王がのがれて来ようとも、不満を一切言わずに世界の為といち早く口火を切って周囲を一喝して受け入れるぞと笑って終われていただろう。

 

幸いハドラー達の態度が良い方向に動いて五日目あたりで挨拶を交わす様になってくれたのがせめてもの救いであったろう。

 

カール騎士団にとって、ホルキンスは頼みになる団長であっただけに、負傷させた超竜軍団を心の底からは受け入れていないのが実情だ。

ティファは其れを知って、自分は勇者の妹であると留めてくれたのだろうか?

 

だとしたらなんと・・・

 

「おいフローラ!!!」

「!!・・・マトリフ様・・」

「・・・・俺じゃねえだろう。いつまで挨拶返さないつもりなんだよ。」

「・・・あ!!」

 

いけない!!考えすぎて、ティファに挨拶する事を・・・

 

「申し訳ありませんティファ。過分な挨拶を貰いましたが、今は手を携える時です。ハドラー達の事は無論驚きましたが、大丈夫です。それよりも今後の事を話しましょう。」

「はい、そう言っていただけるとありがたく。よろしくお願いしますフローラ様。」

 

 

「ここで怪我した人達を治療して、休ませてまた戦えるように・・・持久戦?」

「ティファはよく知っているな。その通り。この戦いは短期決戦にはなるまい。」

「・・・其れでノヴァが前線でなく後方のこの天幕を守りにつくんですね。おじさんもここで傷の手当と万能薬のストック作り。ノヴァ、氷を今の内に常温で溶かせるようにしておいて。この谷の暑さだと鎧着て戦っている人達がばてるの早いと思う。

フローラ様、意見具申しても?」

「・・・構いません。」

「ではお言葉に甘えて。バウスン小父様、兵達を時間を区切っての用兵をするんですよね。」

「先程説明した通りだ。」

 

周りに幕はなられていない、簡易天幕の一つでロロイの谷の全景の見取り図を置いた机を囲み、フローラ・バウスン・マトリフ・バランがティファに今後の動きを教えている。

 

ダイ達が実際に大魔王達と戦った時に知った事を聞いた時、この戦いは短期決戦はならないとバウスンは感じた。

魔界が悲惨な状況であれば、必然地上をとるか滅して魔界を浮上させてとってかわらんとするほかないのであれば、敵は不退転の軍だ。そう言った者達は前にしか進まず必然的に心が強く士気もこちらよりも高いかもしれない。

敗けるとは思えないが苦戦を強いられるのは間違いない。

 

谷にいる兵達を予定よりも百名多く連れて来てもらい、交代制で戦えるように布陣を敷いている。

其れも後半になれば全軍一斉投入の総力戦になるのは予想の内だが、序盤かせめて中盤までは其れが機能すればいい。

その間にダイ達が大魔王討伐を成し遂げるか、其れが無くともいざとなればノヴァを筆頭に魔法のごり押しをする。

後半なれば、向こうの手の内も明かされようから臨機応変に動ける体制があればいいのだ。

 

そんな中でティファに意見があるという。なんだ?何か不備な点でもあったろうか?

 

「交代できなくとも兵達が塩を摂れるようにして欲しいんです。塩の粒は・・・フラメル!リングここに全部を出して。」

「畏まりました主様。」

 

ティファの呼びかけに、フラメルは突如姿を現しティファの横に並び立っていた。

自分が戻った事でフラメルは早々に式札に戻っていたが、ティファとしては決戦時出ずっぱりにさせるつもりだ。

 

ティファの命を受け、フラメルは保管していたリングを全て机の上に出した。式札にも保管できる機能があるので自分はお役御免でも良いだろうと戻ったのだがどうやら主は自分を扱使うようだ。やれやれ仕方がない。

 

 

マジックリングの数の多さに、フローラは目を剥きそうになった。これ一つで庶民の一家が優に半月は食べていけよう!それ程の高価な品なのだこれは。

其れが十もある・・

 

「えっと、あ、これです。」

 

透き通った水色のリングを摘まんだティファは、机の上に中身を出す。

其れは白い丸い物であった。

 

「これは-塩飴-といって、砂糖と塩とレモンの果汁を混ぜて固めたもので、疲れもとれて汗で失った体の大切なものを補充してくれるのです。これと併せて水が飲めたらいいのですが、最低でもこれが即座に口に入れられる様に各自に持たせてほしいんです。

三人一組で戦うスタイルで行くのでしたら、二人が一人を守って、交代ですればいけると思います。」

「成る程、確かにレモンも疲れをとるとティファが前に言っていたな。塩も摂り過ぎれば毒だが汗をかいた者には多少は取らせるべきだと。」

「ふふ、あの時はもっとつたない考えの浅慮で言ったのですが覚えていてくださって嬉しいです。」

 

ティファがまだ七つの頃、ノヴァの下に来ていたティファは仕入れた食材の効能や体にいい事をよく教えてくれていた。

其れはたいていが本当に役に立つもので、蜂蜜に付けたレモンの輪切りを訓練後に食べさせると疲労回復に良いとリんガイアのどの兵団でもそれは正式採用されている。

 

「そのアメはたくさんあるのか?」

「はい!死の大地に行く前からフラメル以外の式達に作らせていたのですがフラメル?いくつできてる。」

「・・・・おおよそですが五百以上は・・」

「五百!!其れは・・」

「足りない!なぜもっと作らなかったの?」

「・・・ティファ?」

 

娘の物言いに、バランが目を丸くする。

 

五百もアメがあると言われれば、この世界では砂糖は貴重品の部類のだから驚きこそする少ないとは・・・それもティファが不満を露にするのも初めて見る。どんな事にも飲み込もうとして無理をしてきた娘が・・

 

「フラメル、材料あるのなら今この場で作りなさい。小父様、ヒャドでいいので使える人一人貸してください。

五百では長丁場には少し不安です。足りるギリギリではなく溢れるくらい作れと言ったはずだよフラメル。」

「申し訳ありません主様。今すぐに御作り致します。バウスン将軍、お手間を掛けますが・・」

「いや!ティファ・・・無理はさせぬように。」

 

ティファの言い方に驚いたのは何もバランだけではなく、付き合いの長いマトリフもバウスンも驚く。

ティファの物言い方は其れはまるで・・・

 

「それにしても鋼の剣を二振り持っての出撃とは豪華ですね。」

「カール国に恩のある豪商が色々と支援してくれたのです。この決戦に間に合うように世界各地の武器屋が空にならない程度に買い上げてかき集めてくれたと。」

「それは・・・その方達の思いを無にしない為にも勝たなばなりませんね。」

「ふふ、其れに鎧も破損が酷い時は取り換えるような数もあるのです。」

 

男達の思惑をよそに、ティファはどうにか硬い表情のままのフローラの心のケア真っ最中。

フローラも自分が率いて来た一軍の良いところに目をつけて貰い口に出して褒めそやされれば心が自然と綻ぶ。

 

長期戦であれば剣も血肉の脂で駄目なり、あるいは刃こぼれもあるだろうし破損もある。

 

腰に予めもう一振り下げさせ予備を持たせることで思い切り戦わせられる様にと、支援で届いた鋼の剣をふんだんに放出している。

敗ければ地上はなくなり、文字通り出し惜しみなぞ論外だ。

 

 

 

その剣も鎧も支援金の全てがティファが裏で出していると知らないのが、フローラの心情の平安となっているのは間違いない。

 

つつがなく、着々と大魔王討伐への道を歩いている。

 

天幕内の誰もがそう思った




今宵ここまで


フローラ様やバランパパ・マトリフ様とバウスン将軍が主人公をどう思ったのかは皆様の想像にお任せいたしたいと思います( ´艸`)

ホルキンスさんの扱いですが、原作同様に戦死で終わらせていたので触れることはありませんでしたが、重症の方がバランとカールの心情的には良いかと思い変更とさせていただきました。
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